巻き込まれたので、ハジメさんの立場(原作の)を簒奪する事にしました。 作:背の高い吸血鬼
「・・・ハルカ、これから如何する?」
「ここの攻略かな。そして、地上を目指すの」
本当の目的であるユエの救出もとい確保は成功した。後は、全力で守りながらこの真オルクス大迷宮を攻略して神代魔法である【生成魔法】を得て、地上に帰還することだろう。それまでの間に出来るだけ多くの技能を簒奪、技能等の熟達、そしてユエとの密接な関係を築く。
「・・・それから?」
「それから?う~ん・・・元の世界に帰るんじゃない?」
スンスンと鼻を鳴らしながら、撫でられるのが気持ちいいのか猫のように目を細めていたユエが、帰るという晴香の言葉にピクリと反応する。
「・・・帰るの?」
「一応、失踪者扱いだろうからね。生きてるって家族に報告しないと」
晴香はハジメの様に、【帰還】に対して異常なまでの執念は無い。だがしかし、元の世界に残された家族が居るので、異世界に連れ去られましたと一言でも報告を入れに行くのが筋だろう。いなくなってしまった娘に多大な心労と共に心配する両親の姿が脳裏に浮かぶ。
「・・・・・・そう」
ユエは沈んだ表情で顔を俯かせる。そして、ポツリと呟いた。
「・・・・・・私にはもう、帰る場所・・・ない・・・・・・」
何も知らなくても、これまで話を聞いていて、ユエには帰る国も家族も無くしていることは把握できる。そして、救ってくれた自分に新たな居場所と見ているということも察していた。新しい名前を求めたのもそういうことだろう。だからこそ、晴香が元の世界に戻るということは、再び居場所を失うということだとユエは悲しんで顔を俯かせた。
「なに言ってるの?帰る、と言うか居場所ならあるじゃない」
「・・・えっ?」
だからこそ、晴香の言葉に驚いて顔を上げた。晴香はユエの頬に手を添えて、その驚きに染まった瞳を真っ直ぐ見つめながら口を開いた。
「貴方の居場所は私の隣よ。もし帰る事になっても、それは変わらない。寧ろ嫌じゃ無かったら一緒に行こうって誘おうと思ってた」
驚愕をあらわにして目を見開くユエ。涙で潤んだ紅い瞳にマジマジと見つめられて変な気持ちになってきた晴香は、一度視線を逸らして言葉を続ける。
「まぁ、人間しかいないし、魔法も無い唯の人しかいないから人外には色々窮屈な世界だけど・・・そんな世界でも良いなら、一緒に行かない?」
しばらく呆然としていたユエだが、理解が追いついたのか、おずおずと「いいの?」と遠慮がちに尋ねる。しかし、その瞳には隠しようもない期待の色が宿っていた。キラキラと輝くユエの瞳に、晴香は頷く。すると、今までの無表情が嘘のように、ユエはふわりと花が咲いたように微笑んだ。思わず、見蕩れてしまう晴香。
極至近距離で、こんな表情を見せられたら、晴香が色々ヤバい状態に突入しそうだったので頬から手を放して距離を取った。「あ・・・」と何か残念そうに声を溢したユエが正かの行動をとる。あのままでは襲いそうでヤバいと思いとどまっていた晴香の隣に立ったユエは、そのまま晴香の膝の上に座ったのだ。
金糸の様に輝くユエの髪。何故か目が向く旋風。女の子特有のふわっと香る良い匂い。最適なポジションにするべく、その小さなお尻を何度もすりすりして、最適を見つけると、ユエは力を抜いて晴香に凭れ掛かった。
「あの、ユエさん?なに、してるの?」
男だったら立ってる!(ナニがとは言わない)。何て思いながら、自分が女であることに感謝した。もし男だったら硬い何かがユエにぶつかっていたかもしれないのでセーフ。しかし、興奮した影響で鼓動がバクバクと唸っており、凭れたユエに聞こえてしまわないかとっても心配。
この間、晴香はホールドアップ。抱きしめたいけど、抱き締めたら襲ってしまうからという理由。
「・・・ぅふ」
振り返ったユエは、晴香を見て舌なめずりをした。小さな舌がユエの唇を妖しく光らせる。思わず見入ってしまった晴香だが、ハっと気付くと顔を逸ら―――せなかった。ユエが晴香の頬を物理的に固定してしまったために。熱を孕み潤んだ視線が晴香を貫く。ユエの瞳は雄弁に語っていた。
『襲わないの?なら、私が襲う』
と。
ユエには筒抜けだった。自分は女だけど、晴香は私に興奮している!と見抜かれる。政の才能は無論、登用させる為には人を見る目が無いといけないので、伊達に王女をやっていた訳では無い。こんなに近づいてて接触しているにも拘らず手を出してこない晴香に痺れを切らしたユエが攻勢にでた。
妖しく光る猛禽類の得物を見る様な視線に、蛇に睨まれた蛙の様に動けない晴香は、ステータスが圧倒的に有利なはずなのにユエの初動に反応できなかった。
「んぅっ!?」
その柔らかい唇を、晴香の唇に押し付ける。思わず仰け反った晴香だったが、その隙にユエに押し倒された。
好きな子にファーストキスを奪われてしまうという衝撃の出来事に、対応できない。
「ちょっ、ユ―――」
「ちゅ、んむっ、れろ・・・」
舌が入って来た。押し返そうにも舌は絡め捕られ、うねる度にやって来る快楽と痺れに懐柔され、口内を蹂躙される。ユエの唾液が流れ込み、晴香の唾液と混ぜられ何とも言えない甘美な味わいに眩暈に襲われた。
晴香の抵抗虚しく、ユエに成すがまま。先生により、この道百戦錬磨に鍛え上げられたユエの夜伽スキルは、そういう行為を一度も経験した事が無い晴香を、それが対男性用であったとしても翻弄する。ユエの肩を押して強引に引き剥がそうにも、体に力が入らなくなってしまい、早速この行為を許すしかない状況である。
唯のディープキスだけで、何度も意識を失いそうになる快楽。そんな状態が何分も続けられたら―――
「わぷっ・・・ふふ、このまま続ける?」
「うん・・・」
心此処に在らずな晴香は、思わず即肯定してしまった。
その後どうなったかは、言わずもがな
* * * * *
「っ~~~?!?!(超絶身悶え中)」
目が覚めて、朧げな意識の状態で自身を見下ろして、何故か
言葉に出来ないあんなことやそんなことの蛮行の数々を思い出す度に、転げまわりたくなる。しかし、隣でユエが気持ちよさそうに眠っているので身悶える事しか出来ない。
何と言う事でしょう。初対面の人と、私は一線を越えてしまいました!と叫びたい。しかし、隣でユエが気持ち(ry
「・・・・・・・・・」
何度も深呼吸したことにより、冷静さを取り戻した晴香は、タオルを取り出して全身を拭く。べとっとした謎液(謎液ったら謎液!)を拭き取ると、寝てるユエを起こさない様に謎液を拭き取りに掛かる。事後のユエの艶姿にもうやったばかりなのにまた興奮してしまう、己の浅はかさにげんなりしながら優しく慎重に・・・
「んっ・・・」
無視。無視だ。
「あぅ・・・」
無視・・・
「あっ・・・」
無、理ぃいいい
拭くたびに聞こえる嬌声に、理性にダイレクトダメージを受けながら拭き取ると、毛布を取り出してユエに掛けた。その隣には汚れてない綺麗な服を置くと、晴香は壁際に座り込み、やってしまった事に対しての反省会+賢者タイムに入った。
(こんな事になった原因は判ってる。その原因は私だ。私がユエに興奮なんてしなければ、こんな事には成らなかったかもしれない。いや、別にこんな事になってしまったのが残念とか嫌だった訳じゃないよ?寧ろウェルカム。ウェルカムだったからやっちゃったけど、本当だったらもっと雰囲気の良い感じにやりたかった・・・って、そうじゃない!まだ信頼関係築いて数時間の相手に、私は何て事を・・・いや、ユエから手を出して来たからユエが私に何て事を・・・?)
自問自答。
(・・・でも、気持ち良かったな。ユエみたいに上手くなかったけど、私もユエに対してやったら気持ちよさそうに濡らしてたし。)
思い出すのは、晴香に何処かを何かさせて濡らして嬌声を上げてたユエの艶姿。何回も求められて、それに応じて何度も。ビクッと痙攣しながら荒い息を吐いていたユエだが、何故、晴香を求めたのか。そもそも何故ユエは晴香を襲った・・・?
疑問が湧く。確かに晴香は興奮していたけど襲うことはしなかった。が、ユエが晴香を襲う事とになる。では何で襲った?幾ら興奮されてたとは言え、まだまだ初対面であり、お互いの事をちょっとしか理解してない状態で、ユエと晴香は一線を超える事となった。もしやユエは初対面でも遠慮なくイケる口なのかと思うと、それは違うだろう。
(私を襲わないといけない状態にあった?なぜ―――あっ)
「もしかして、これは所謂『責任、取ってね?』という奴では・・・?」
晴香と性的な関係に発展させることで【ユエとやったと言う事実】を盾に、晴香がユエから離れることを阻止するため。既に手を出され(出して)もうお嫁に行けない!的な考えでは?何て策士な!
「私から、ユエから離れるなんてありえない・・・って言っても、心配、だったのかな?」
信じてた家訓や叔父様から裏切られ(と思っている)て、人間不信になり相手を完全に信頼できない状態で『貴方の居場所は私の隣り。帰る時も一緒。』と宣言されたが、言葉だけでは本当なのかと不安があり心配して・・・と言うか絶対心配してこのような行為に走ったのかもしれない。信頼されてない・・・と言うより、信頼したいと信じたからこそ、こういう事をしたのか。信頼されて無ければ責任取ってねも効果が無い。
本当に【責任取ってね】なのかは兎も角。
「ユエが本当に信頼できるパートナーにならなくちゃ、ね・・・」
今も気持ちよさそうに寝息を立てるユエを見ながら、晴香は胸に誓った。
一応初の百合回です。【ガールズラブ】とタグに刻んで漸くの百合回です。r18に触れない様に意識して書きましたが、いかがでしたか?