巻き込まれたので、ハジメさんの立場(原作の)を簒奪する事にしました。   作:背の高い吸血鬼

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ohayou!


29話 パートナーの実力

程なくして直径五メートルはありそうな太い樹が無数に伸びている場所に出た。隣り合う樹の太い枝同士が絡み合っており、まるで空中回廊のようだ。

 

晴香はユエを抱っこし【空力】にて頭上の太い枝に飛び移る。

 

「ユエ、いっぱい来たら殲滅しちゃって!」

「んっ!」

 

頼られることが嬉しいのか、威勢よく頷いて手を掲げた。

 

ユエが寄生竜の相手をしてくれている間に、晴香は【異界収納】より取り出した金属や毛皮で、ユエの頭部をすっぽり隠すヘルメットの制作に掛かった。何時も事ある毎に撫でているユエの頭のサイズは、この手が覚えている。どの程度だったかを瞬時に反映し、内部に柔らかい毛皮を張り付け、顎紐などを付ける。

 

「・・・お花畑」

 

チラッと一瞥すれば、ユエの言う通り、現れた十体以上のラプトルは全て頭に花をつけていた。それも色とりどりの花を。

 

「【凍獄】!」

 

ユエが魔法のトリガーを引いた瞬間、晴香達のいる樹を中心に眼下が一気に凍てつき始めた。ビキビキッと音を立てながら瞬く間に蒼氷に覆われていき、魔物に到達すると花が咲いたかのように氷がそそり立って氷華を作り出していく。寄生竜たちは一瞬の抵抗も許されずに、その氷華の柩に閉じ込められ目から光を失っていった。氷結範囲は指定座標を中心に50m四方。まさに【殲滅魔法】というに相応しい威力である。

 

「はぁ・・・はぁ・・・」

「お疲れ様。助かったよ、流石ユエだね!」

 

周囲一帯、まさに氷結地獄と化した光景を見て混じりけのない称賛をユエに贈る晴香。ユエが殲滅魔法を放つちょっと前にヘルメットを作り終えたのだが、この様な役割分担が出来るだけで双方の負担が軽減できるのはいい。しかし、今回ユエは最上級魔法を使った影響で魔力が一気に消費されてしまい肩で息をしている。おそらく酷い倦怠感に襲われていることだろう。

 

これでは負担軽減どころか、負担を強いてしまった。

 

晴香は傍らでへたり込むユエの腰に手を回して支え、【気配遮断】しながら、首筋を差し出す。吸血させて回復させるのだ。神水でもある程度回復するのだが、吸血鬼としての種族特性なのか全快になるには酷く時間がかかる。やはり血が一番いいようだ。

 

ユエは晴香の称賛に、僅かに口元を綻ばせながら照れたように「くふふ」と笑いをもらし、差し出された首筋に頬を赤らめながら口を付けた。

 

カプッ、チュー

「んっ」

 

晴香の皮膚を八重歯が貫き、ちくりっと突き刺さる。しかし、まったく痛みは感じず、寧ろ擽ったいのを我慢するほうが辛い。血を効率よく吸う為か、ただ舐めたいだけなのか分からないが、首筋をぺろぺろする行動も、その辛さに拍車を掛けている。が、その辛さに意識を向ける事が出来なくなった。

 

「んふぅ・・・熟成の、味っ♪」

「そんなに美味しいの?・・・今度、ユエの血飲ませて。」

「ぷはっ・・・ごちそう様。吸血鬼じゃないから、鉄の味?」

 

そもそも吸血鬼に唯の人間(半魔中)が血を飲ませてと要求する逆構図に、無表情ながらもユエは結構驚いている。吸血行為は300年前でも吸血鬼の国アヴァタール王国や理解ある国以外は忌避していた。そのせいで度々戦争が起こっていたくらい。晴香は吸血行為に理解があり、ユエに吸われるのは満更でないようだが、まさか私の血を吸いたいなどと言われるとは思わなかった。

 

吸血姫なのに人間(最愛)に血を吸われる。いいかも!と思ったユエは、承諾。まさか私の血を求めるなんて・・・ふふ、うふふ!と、ちょっぴり照れ隠し気味に再度、血を吸う。

 

照れチュー

 

「む・・・ユエ、十体以上来るよ。ちょっと移動するから、抱えられて」

「ん」

 

首に手を回したユエは、がっちりと晴香に抱き着いた。吸血行為中のまま。

 

そんなユエを抱えた晴香は、ユエの負担にならないよう細心の注意を払いながら、木で出来た空中回廊を疾走する。追って来る竜たちが寄生状態だと知っている晴香なので、彼等を遠隔操作する本体であるアウラウネが潜む縦穴を探しまわる。アウラウネは用心深く、凄む縦穴に近づけさせない為に、住処の方向へと侵入者が近づくと、洗脳した彼等を大量に仕向けて来る。

 

その性質を利用して、彼等に案内してもらう。

 

そして28話後半の冒頭。

 

晴香達は現在、200近い魔物に追われていた。晴香は気にしてないが、草むらが鬱陶しいと、吸血は済んでいるユエは晴香の背中から降りようとしない。

 

後ろからは魔物が、

 

ドドドドドドドドドドドドドドドッ!!

 

と、地響きを立てながら迫っている。背の高い草むらに隠れながらラプトルが併走し四方八方から飛びかかってくる。それを迎撃しつつ、探索の結果一番怪しいと考えられた場所に向かいひたすら駆ける晴香。ユエも魔法を撃ち込み致命的な包囲をさせまいとする。

 

カプッ、チュー

「んっ」

 

樹海を抜けた先、今通っている草むらの向こう側にみえる迷宮の壁、その中央付近にある縦割れの洞窟。アウラウネの住処だ。

 

晴香は【空力】で跳躍し【縮地】で更に加速する。

 

カプッ、チュー

「あっ♡―――もぉ~ユエ?回復してるでしょ、ちょくちょく血吸わないで。気持ち良くて集中できないよ」

「・・・不可抗力なので。なので!」

カプッ、チュー

「んぅっ♡―――ちょっと、楽しんでるでしょ!」

「・・・・・・んふぅ♪」

 

こんな状況にもかかわらず、晴香の血に夢中のユエ。元王族なだけあって肝の据わりかたは半端ではない。そんな風に戯れながらもきっちり迎撃し、晴香達は二百体以上の魔物を引き連れたまま縦割れに飛び込んだ。

 

縦割れの洞窟は大の大人が二人並べば窮屈さを感じる狭さだ。ティラノは当然通れず、ラプトルでも一体ずつしか侵入できない。何とか晴香達を引き裂こうと侵入してきたラプトルの一体がカギ爪を伸ばすが、その前に晴香が06式で吹き飛ばすと、錬成で割れ目を塞ぐ。

 

「いやぁ数百体vs実質一人の壮絶な鬼ごっこってこんな感じなのかな?」

「・・・お疲れさま」

「お疲れ様。ユエ、装備を整えたいからちょっと下りて?」

「むぅ・・・仕方ない」

 

晴香の言葉に渋々、ほんと~に渋々といった様子で晴香の背から降りるユエ。晴香の背中は居心地がいいらしい。

 

「さて。ユエ、これ被って」

「?・・・ん」

 

先程製作したヘルメットをユエの頭に被せると、ベルトと金属で固定する。ブカブカと言う程でも無く、しかしきつくない丁度良いサイズに作られており、内部もふかふかな毛皮が敷き詰められている為、過度な衝撃でも発生しない限り痛みは感じないだろう。

 

「・・・これは?」

「花対策かな?私達を追っかけて来た竜たちはみんな頭に花を付けてたでしょ?でも、花が無くなった竜は、取れた花に対して八つ当たりしてたよね。竜も人も意思とか思考を司るのが頭だから、花が此処に潜むであろう親玉の遠隔操作端末になってるんじゃないかなって考えたんだ。どうやって寄生させるのか分からないけど、多分種を飛ばして頭部から直接寄生するんだと思ったから、コレで防げるんじゃないかな、と。」

「・・・なるほど」

 

サリン擬きに耐え続け、激痛程度に収まるまで精神的に鍛えた晴香は、満を持して【毒耐性】を習得したため、アウラウネの胞子攻撃は無効であるからしてヘルメットは被らず、錬成で入口を閉じたため薄暗い洞窟を二人は慎重に進む。

 

しばらく道なりに進んでいると、やがて大きな広間に出た。広間の奥には更に縦割れの道が続いている。もしかすると階下への階段かもしれない。晴香は辺りを探る。【気配感知】には何も反応はないがなんとなく嫌な予感がするので警戒は怠らない。気配感知を誤魔化す魔物など、この迷宮にはわんさかいるのだ。

 

晴香達が部屋の中央までやってきたとき、それは起きた。

 

全方位から緑色のピンポン玉のようなものが無数に飛んできたのだ。晴香とユエは一瞬で背中合わせになり、飛来する緑の球を迎撃。このピンポン玉擬きを破壊する事により飛び出す、胞子を防ぐ為に、晴香は即行で地面を錬成して壁を作った。

 

「ユエ、大丈夫?」

「もんだいない」

「本体の位置は?」

「・・・あっち」

 

壁越しに指さした方向。壁に小さな穴を空けて覗くと、奥の縦割れを発見。なるほど、原作通りだ。

 

「ユエ、ちょっと此処で隠れてて。25式で吹き飛ばす」

「ん」

「もし生きてたら、一発ぶちかまして」

「わかった」

 

晴香は飛び出すと【異界収納[+遠隔召喚]】より25式84mm無反動砲を取り出し、空中でキャッチするとアウラウネが居ると思われる縦穴目掛けて榴弾を発射。吸い込まれる様に飛翔した弾頭は、縦割れ内部に侵入し、そこで爆散。轟音と共に其処が弾け飛んだ。

 

「【雷砲】!」

 

雷属性の上級魔法。雷の砲撃を繰り出すというものであり、榴弾と同じ様に縦割れに命中。周囲に可視化する程の大電力を迸らせて、対象を攻撃した。

 

「・・・やった?」

「ユエちゃん、それフラグ」

 

とは言ったものの、アウラウネが動き出す様子がない。それどころか、ピンポン玉の一つすら飛んでこない。榴弾の爆発によるものと、放電など高いエネルギーを持つ電子と酸素分子の衝突によって空気のオゾン化が発生した為にでた独特の匂いに、何らかの生物が焼け焦げた匂いがするが、果たして。

 

「あれ、もしかして殺った?」

 

取り敢えず06式を放つが反応が無い為、晴香単体で縦穴を覗く。所々破壊された後や瓦礫が散らばる中、最奥には焦げて黒っぽくなった残骸を発見。一部の焦げてない緑色の皮膚を見るに、これがアウラウネだと判断した晴香が再度発砲。

 

弾丸が命中するが反応が無い為、死亡していると判断した晴香は、その死体を【異界収納】に仕舞ってユエの場所へと戻った。

 

奈落の更に深層である場所のボスたるアウラウネだが、こんなに弱いとは少々拍子抜けだ。

 

 




つい、勢いの余り作品を書いちゃいました。【日乃本帝國召喚】という【みのろう先生】作の【日本国召喚】の二次創作作品です。興味のある方はぜひ見て見てください
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