巻き込まれたので、ハジメさんの立場(原作の)を簒奪する事にしました。   作:背の高い吸血鬼

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32話 決着

銀紋章の極光が迫る。魔力関係以外のステータスが低いユエの回避は間に合わない。感覚でわかる晴香は【異界収納】に00式を収納すると、縮地を発動してユエを掻っ攫う。そして、思いっきり体を捻った。

 

―――ゴオォォオオオオオオッ!!!!

「―――ッ!!」

 

晴香の後方を極光が通過する。

 

一瞬だけ拮抗し、瞬刻の時間稼ぎに成功した【聖絶】の活躍により、如何にか回避に成功した晴香だったが、背中を一部抉られてしまった。極光には肉体を溶かしていく一種の毒の効果も含まれており、普通は為す術もなく溶かされて終わりである。しかし、神水の回復力が凄まじく、溶解速度を上回って修復しており、速度は遅いものの、晴香の魔物の血肉を取り込んだ強靭な肉体とも相まって時間をかければ治りそうである。

 

「【焦天】!」

 

個人を対象に回復効果を高めた中級光系回復魔法が瞬時に放たれ、神水の効果と改まって高速に回復して行く。回復魔法は苦手なユエでも、中級程度は瞬時に発動できる。

 

極光が収束すると同時に、ほぼ完治した晴香たちに向かって今度は直径十センチ程の光弾を無数に撃ちだしてきた。まるでガトリングの掃射のような激しさであり、縮地のタイミングがつかめず回避に専念するしかない。

 

「ユエ!」

「【光壁】!」

 

このままでは埒が明かない。晴香の声に瞬時に察したユエが、次の縮地のタイミングを邪魔する光弾に対して、光属性障壁魔法をノータイム発動。

 

「ナイスっ」

 

障壁は一瞬で砕け散ったが、その一瞬が脱出のチャンスを有効に使い、置き土産を数個召喚しながら縮地で弾幕を逃れる事に成功した晴香は、そのままユエを背負いなおして離れる。

 

追撃しようと再度、極光を放とうとした銀紋章だったが、突如として頭上に現れた球状の物体に視線を向けた、その時。その球状がパっと爆ぜ、内部から黒い粘着質の液体が飛び散った。ソレを注視していた銀紋章は諸にそれを浴びてしまい、視界がふさがれる。振り払おうと激しく首を動かそうとした次の瞬間。

 

「くアアァァァアアアアアッ!?!?」

 

満遍なく撒き散らされてから発火するように改良された燃焼手榴弾改は、その威力を遺憾無く発揮した。付着したタールが約3000度の灼熱の劫火となり、外殻から内部を炙る。鱗があるとはいえ、どの部位よりも圧倒的に防御力が低い顔周辺は炭化するが、それでもなお生きる事の出来るのは、流石ヒュドラと言った所か。

 

しかし、その命もここまで。この様な隙を逃がす晴香たちではない。

 

「【緋槍】【砲皇】【凍雨】!!」

 

矢継ぎ早に引かれた魔法のトリガー。有り得ない速度で上級魔法が構築され、炎の槍と螺旋に渦巻く真空刃を伴った竜巻と鋭い針のような氷の雨が一斉にヒュドラを襲う。目もダメージを受けているからか、それとも意識が完全にそれているからか、碌に回避も儘ならないヒュドラは全てを喰らう事に。

 

そして最後のゴリ押しと言わんばかりに、

 

「喰らえっ」

 

再召喚した00式の10cm装弾筒付翼安定徹甲弾が打ち出される。砲弾が砲身を抜けると、サボと呼ばれる装弾筒が四枚に分かれ、魔力を有りったけ込めたシュタル鉱石製侵徹体(矢のような弾頭)が電磁加速されながら、ユエの魔法を絶賛諸浴び中のヒュドラに突き進む。

 

余りに速度が高速な弾頭は、レーザー光線のような残像を描き、魔法の渦へと突入。

 

ドォオオオ―――ゴバッ・・・

 

タングステンや劣化ウラン(劣化ウランはウラン235が殆ど無い放射能物質であり、発見したとしても放射線が怖くて使いたくない)を発見できないので、弾頭質量を【錬成[+圧縮錬成]】により無理矢理高められた重質量の弾頭は、ヒュドラの胴体に着弾。彼のサソリモドキを超越する外殻防御力を突破して銀紋章には致命的なダメージを与えた。

 

しかし、倒しきるまでには至らなかった。

 

「グゥルアアアアッ!?!!」

 

銀紋章が断末魔の絶叫を上げる。何とか逃げ出そうと暴れ、光弾を乱れ撃ちにする。

 

殆どは見当違いの方向へと消えて行くが、燃焼手榴弾が効力を失ったタイミングで晴香たちに殺到する。かつてない程の憤怒の表情で激しい殺気を叩き付けられ、ユエの援護により突破出来た光弾の嵐は更に強力となり、弾幕密度が急激に上昇。【光壁】による援護は有るが、少なくない命中弾が晴香の肉体を削る。

 

「グッ」

 

充血するほど目を見開き、飛翔してくる光弾の優先順位を瞬時に判断しては回避をする。だが、どうしても避けられないと判断した攻撃は致命傷を避ける様にしてではあるが、晴香に命中してダメージが蓄積されていく。

 

「アグッ」

「ハルカっ!!」

 

切羽詰まったユエの悲鳴にも似た声がする。

 

このままでは不味い。ユエが回復してくれているとはいえ、更に密度を上げて行く弾幕に晴香の処理能力が限界に到達する。激しい頭痛がする。このまま脳を酷使し過ぎれば、体が強制的に意識を手放すだろう。だが、ここで晴香が倒れれば最愛のパートナーを守れない。

 

自分の敗北=ユエの死だ。

 

しかし、この弾幕をどうやったら―――――――――

 

『処理の限界を理由に、貴方はここでヒュドラに殺されるの?』

『せっかくユエを救い、いい関係を築けているのに、貴方は諦めるの?』

『あの日語り合った『一緒に帰る』と言う約束を、貴方は破るの?』

 

一瞬、チカチカと点滅しては途切れそうになる意識の狭間で、もう一人の私(はるか)が、今の状態の本物()を見下し嘲笑うかの表情で口にする。仮初(はるか)にそんな事を言われるのは癪に障った。反論しようと口を開きかけたその時―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ユエとの死を、許容するの?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガツンッと、頭に衝撃を受けた。仮初(晴香)の放った強烈な言葉が、本物(晴香)の脳内を反響する。ユエとの死を許容?そんな事、絶対に出来る訳がない。あってはならない。私ともあろう化け物が、あろう事かこの絶望的な状況に一瞬とはいえ諦めかけていた事実に、晴香の胸中に激烈な怒りが満ちた。

 

私は何を諦めかけている?

 

今意識を失えば、私とユエはどうなる?

 

パートナーと共に死する不条理な運命だと、この状況を許容する?

 

同じ化物如きに屈する?

 

否! 

 

断じて否だ! 

 

私達の未来と生存を脅かすものは敵だ! 

 

敵は・・・

 

 

 

「―――殺す」

 

その瞬間、頭のなかにスパークが走ったような気がして、晴香は一つの技能に目覚めた。嘗て蹴りウサギより簒奪した【天歩】の最終派生技能[+瞬光]。知覚機能を拡大し、合わせて【天歩】の各技能を格段に上昇させる。ユエとの死を一瞬とは言え許容しかけた憤怒を起爆剤に、晴香は一つの壁を越えた。

 

晴香は必死に動く回避行動を止めた。

 

「は、ハルカ!?」

 

何故か動きを止めた晴香に、バルカン砲など比にもならない弾幕が殺到する。ユエは焦燥に駆られるが、晴香を信じた。きっと何らかの策が有るのだと。

 

そして、それは証明される。

 

晴香はギリギリまで動かず、光弾が直撃する寸前でふらりと倒れるように動き回避する。ユエを抱いたままダンスでも踊るようにくるりくるりと回り、あるいはフラフラと倒れるように動いて光弾をやり過ごしてしまう。まるで光弾の方が晴香を避けていると勘違いしそうだ。

 

ユエが目を丸くする。

 

「ユエ、【蒼天】を放てる?」

「・・・3回、なら」

「十分。私が合図したら、アレの頭上に放って」

「んっ」

 

閃光手榴弾を投げ、縮地で離れる。また焼夷手榴弾だと警戒した銀紋章がソレを光弾で破壊した、その次の瞬間。内部に限界まで魔力の込められた【緑光石】が割れ、地下空間を真っ白に染め上げる。どれ程の光量なのか不明だが、恐らく60万カンデラ以上の光源を直視してしまった銀紋章は、今度は別の方法で眼をやられてしまった。

 

またも五感の一つを潰されたことに激怒の咆哮を上げながら、先程晴香たちがいた部分を重点的に光弾を乱射する。が、その時には移動していた晴香たちには一切の攻撃が命中しない。

 

「ユエ、此処で隠れてて。合図したら、お願い!」

「んっ!」

 

柱の後ろにユエを隠すと、晴香は【気配遮断】と【魔力遮断】を発動させながら飛び出し、魔法詠唱をしながらヒュドラに急接近する。稀に飛んでくる光弾を避けてヒュドラに近づくと【重剣嶽】並みの魔力を消費する魔法を放つ。

 

「―――【破落】っ!」

「ッ!?!?」

 

消費魔力量からみて最上級に匹敵する土属性魔法【破落】は、指定した範囲内の地面を一気に掘り下げて対象を落下させ、落とす為に退けられた土や岩などで対象の地面との隙間を押し固める拘束系魔法だ。細工もしてあり、詠唱もしたため消費魔力は少ないが、30mを優に超す対象が対象な為に掘る深さや範囲が広かったので、結果的に【重剣嶽】を超える消費魔力であった。

 

幾ら神水で回復しているからとは言え、6割の魔力を持っていかれたのは痛いが、これで決着がつくと確信しているので心配ない。

 

銀紋章は、視界が塞がれており、更には晴香が気配や魔力を消している為に感知できず、まんまと晴香の罠にかかる事となり、下半身及び首半分強が埋まる事となる。ヒュドラレベルの化け物が暴れれば、この程度の拘束など簡単に解けるはずが、幾ら動こうにも身動きが取れない。それは晴香が細工として【異界収納】に有り余る鋼を【錬成】にて岩々に混ぜ込み、幾ら化け物でもちょっとやそっとの身動き程度では出る事の叶わない、言わばコンクリートに埋められてるような状態である。

 

更に悪い事に、首が殆ど埋まっており、射線をうまく取れないことにより極光を放てない。攻撃手段が極光や体当たり程度しかない銀紋章にとっては致命的な状態にあり、更に身動きがとれぬようにと、首上部も晴香による錬成で行動の一切を封じられてしまう。

 

「ユエっ」

「んっ―――【蒼天】っ!!」

 

青白い太陽が銀紋章の固定された頭上に出現し、身動きの取れない銀紋章を融解させていく。タールの3000度を優に越える超高温の人口太陽は、銀紋章の強固な防御力を突破して少なくないダメージを与えていった。

 

「グゥルアアアアッ!!!?!?」

 

銀紋章が断末魔の絶叫を上げる。何とか逃げ出そうと暴れ、光弾を乱れ撃ちにする。しかし【破落】から抜け出す事は叶わず、斜め横上の一定方向のみにしか放てない制限が設けられた光弾など全く脅威ではない。だが、それでもラスボス。全力を振り絞っているのだろか、地面に大きな亀裂が走る。

 

だが、晴香が錬成で片っ端から修復していくので逃げ出せない。極光も撃ったばかりなので直ぐには撃てず銀頭は為す術なく高熱に融かされていった。

 

感知系技能からヒュドラの反応が消える。今度こそヒュドラの死を確信した。

 

 




・・・








・・・結末が原作と似てる?(と言うかほぼ一緒?)

―――私の実力では無理だ!(開き直り)

その事とは別に、本日の12時ごろ活動報告を上げます。内容は今後のこと。これから先に登場する物の名前とか、どんな事を書こうとか、ちょっと読者様方に質問を取りたいがための投稿となります。この質問にはネタバレが含まれることが前提なので、知りたくない!って人は見ない事をお勧めします。見ても良いよッ!って人だけ閲覧し、質問内容に感想として返答していただければ幸いです。皆さまの意見を参考にこれからを書いていこうと考えておりますので、よろしくお願いします!

―――ただし、必ず書くとは言っていない(キリッ)
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