巻き込まれたので、ハジメさんの立場(原作の)を簒奪する事にしました。   作:背の高い吸血鬼

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本日2話めです


4話 顔合わせ

 神の意思の下では無く、頭フラワー勇者とそれに扇動された生徒たちにより、戦争参加の決意が示されてしまった以上、私達は戦いの術を学ばなければいけない。いくら規格外の力を持っていようと、元は偽の平和にどっぷりつかっていた日本人だ。いきなり実戦で魔物や魔人族と戦う等、不可能である。

 

しかし、其処等辺の事情は当然予想されていたらしく、イシュタル曰く、聖教教会本山がある【神山】の麓の【ハイリヒ王国】にて受け入れ準備が整っているらしい。

 

 王国は聖教教会と密接な関係があり、聖教教会の崇める神―――創生神エヒトの眷属であるシャルム・バーンなる人物が建国した最も伝統ある国ということだ。国の背後に総本山があるのだから、その繋がりの強さがうかがえるだろう。

 

「それでは【ハイリヒ王国】へと向かいますぞ。私に付いて来て下され」

 

イシュタルの合図で、皆動き出す。勇者が龍太郎君と今後の話に盛り上がっている時、香織ちゃんと雫ちゃんがハジメさんの所にやって来た。

 

「ねぇ南雲くん。これって、勇者召喚ってやつだよね?大丈夫・・・かな?」

「・・・それは、分からない。でも、最悪は回避してるみたいだ」

 

というコショコショ話に聞き耳を立てて居ると、同じくコショっと小さく話しかけられる。雫ちゃんに。

 

「貴方は、他校の子?」

「はい、多分ですけど、他次元の同じ位置にあった学校から召喚されました」

 

別に他意は無いけど、それとなく私の予想を刷り込んだ。ありふれの世界の魔法陣が、次元の違う私の場所にも何故か同時に魔法陣が展開するのは、時間軸が重なっていたから、とか人間には理解できない現象が作用したからだろう。考えたくないのは、エヒトが私を何らかの目的の為に呼んだ、とか。どちらかと言うと、偶然としか思えないが。

 

「そうだったのね・・・一応、自己紹介しとくわ。私は八重樫雫。貴方は?」

「綾瀬春香、です。宜しくお願いします」

「こちらこそ、よろしく」

 

私、興奮しています。小説の中の人と知り合いになれた事に。

 

これからどのような事が起こるのか、等の世間話をしながら歩いていると、聖教教会の正面門にやってきた。下山し、ハイリヒ王国に向かう為だ。聖教教会は神山の頂上に存在し、凱旋門もかくやという荘厳な門をくぐると、そこには雲海が広がっていた。高山特有の息苦しさ等は、魔法で生活環境を維持しているので問題ないらしい。

 

知ってる私からしたらそれ程驚く事なく、ただ絶景だな~って思っただけだけど、雫ちゃん達その他は、太陽の光を反射してキラキラと輝く雲海と、透き通る青い空という雄大な光景に呆然としていた。

 

 何処か自慢気なイシュタルに促されて先へ進むと、柵に囲まれた円形の大きな白い台座が見えた。これが魔法版ロープウェイね・・・

 

台座には巨大な魔法陣が刻まれている。柵の向こう側は雲海なので、大多数の生徒たちが中央に身を寄せあう。それでも興味が湧く様でキョロキョロと周りを見渡していると、イシュタルが何やら唱え始めた。

 

「彼の者へと至る道、信仰と共に開かれん、【天道】」

 

その途端、足元の魔法陣が燦然と輝き出す。そして、まるでロープウェイの様に滑らかに台座が動き出し、地上に向けて斜めに下って行く。先程の【詠唱】で台座に刻まれた移動系魔法を起動させたようだ。結構地味だが、ある意味初めて見る魔法に生徒たちが騒ぎ出す。雲海に突入する頃には大はしゃぎだ。

 

子どもか!

 

子どもか・・・

 

濃い霧である雲を抜けると、地上が見えて来る。目下には大きな都市。山肌せり出す様に建築された巨大な城と、放射状に広がる城下町。ハイリヒ王国の王都だ。台座ウェイは、応急と空中回廊で繋がっている高い塔の屋上に続いているようだ、

 

 

       *   *   *   *   *

 

 

王宮に着くと、私達は真っ先に王座の間へと案内された。教会に敗けない位煌びやかな内装の廊下を歩く。道中、騎士っぽい装備を身に着けた者や文官らしき者、メイドなどの使用人とすれ違うのだが、皆一様に期待に満ちた、あるいは畏敬の念に満ちた眼差しを向けて来る。私達が召喚された勇者であると知って居るからだ。

 

私だったら、こんな高校生集団を勇者になんて、断固拒否するがね。と、すれ違った者達を一瞥した。

 

美しい意匠の凝らされた巨大な両扉の前に到着すると、その扉の両サイドで直立不動の体制を取っていた騎士二人が、イシュタルと勇者ご一行来たことを大声で告げ、中の返事も待たずに扉をあけ放った。

 

イシュタルはそれが当然というように悠々と扉を通り、光輝たち一部(私も)の者を省いて生徒たちは恐る恐るといった感じで扉を潜った。

 

 扉を潜った先には、真っ直ぐに敷かれたレッドカーペットと、その奥の中央に豪奢な椅子―――王座があり、その前で覇気と威厳を纏った初老の男が立ち上がって待っている。エリヒド・S・B・ハイリヒ国王その人だ。その隣には、王都襲撃を生き残る予定の王妃ルルアリア・S・B・ハイリヒが居り、更に隣には香織に振られる不憫な王子ランデル・S・B・ハイリヒ、14歳ほどの金髪碧眼の美少女リリアーナ・S・B・ハイリヒが控えている。レッドカーペットの両サイドの左側には、甲冑や軍服らしきものを纏った者達が居り、右側には文官と思しき者達が30人以上佇む。

 

リリーちゃん可愛い。この子が将来、ワーカーホーリックになっちゃうのが悲しいことだ。

 

王座の手前まで着くと、イシュタルは生徒たちをそこに留まらせ、自分は国王の下へと進んだ。

 

そこで、おもむろに手を差し出すと、国王は恭しくその手を取り、軽く触れない程度のキスをした。知識と同様、この世界は国王よりも教皇のほうが立場が上であると。そして、この国を動かすのがエヒトである事が確定した瞬間であった。政教分離の元の世界が懐かしい。

 

其処からはただの自己紹介だった。

 

王族は良いとして、この国の騎士団長であり、生涯勇者である光輝をしても、剣術では叶わないほどの凄腕を持っているメルド騎士団長や、出番を見なかった宰相等、高い地位にある者の紹介がなされた。

 

 途中、美少年や振られ王子が香織ちゃんに吸い寄せられるようにチラチラ向けられていた事から、香織ちゃんの魅力は本当の異世界でも通用している事を認識した。

 

その後、晩餐会が開かれ、異世界料理を堪能する事となった。見た目は地球の洋食と殆ど変わらなかったが、偶に出る桃色のソースや虹色に輝く飲み物が出てきたりしたが非常に美味しい。召喚された生徒たちは、毒や洗脳系の魔法、薬物などが入っているかもしれない・・・なんて気にせず舌打っている。私は内心警戒しながら食べたが、問題無かった事に一安心だ。

 

しかし・・・

 

ニルシッシル食べたい(切実)

 

何れ向かう事となろう、湖畔の町ウルに行けるまでの辛抱、だね・・・




ニルシッシルとは、異世界版のカレーです。

私、ウルの町編でこの話を見た時から、トータスに行ったら是非食べて見たいと思ったんですよ。その感情を、春香ちゃんに植え付けましたw
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