巻き込まれたので、ハジメさんの立場(原作の)を簒奪する事にしました。   作:背の高い吸血鬼

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おはようございます!
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41話 それは殲滅と言う名の実験(非検体by帝国兵)

性的少数者の話をサラッと語った後、魔物の襲撃を片手間に撃退しながら進んでいると、一行は遂にライセン大峡谷から脱出できる場所にたどり着いた。岸壁に沿って壁を削って作ったのであろう階段は、50mほど進む度に反対側に折り返すタイプであり、中々に立派な階段である。階段のある岸壁の先には樹海も薄らと見える。ライセン大峡谷の出口から、徒歩で半日くらいの場所が樹海になっているようだ。

 

晴香が先の遠くを見ていると、シアが不安そうに話しかけてきた。

 

「帝国兵はまだいるでしょか?」

「う~ん、どうだろうね?」

 

居ます。約三日間、貴方達(兎人族)を待つ為に焚火を炊いてのんのん日和を謳歌しています。

 

―――毎度のことながら、そんな事言えない。

 

「そ、その、もし、まだ帝国兵がいたら・・・晴香さん・・・どうするのですか?今まで倒した魔物と違って、相手は帝国兵・・・人間族です。ハルカさんと同じ。・・・敵対できますか?」

 

シアが意を決しての質問に周囲の兎人族も聞きウサミミを立てている。シアの言葉に、周りの兎人族達も神妙な顔付きで晴香を見ている。小さな子供達はよく分からないとった顔をしながらも不穏な空気を察してか大人達と晴香を交互に忙しなく見ている。

 

しかし、晴香はそんなシリアスな雰囲気などまるで気にした様子もなく、まぁ気持ちはわかる、と言わんばかりの苦笑いを浮かべて言ってのける。

 

「そりゃ出来るよ。と言うか敵対されるなら対峙しないと。貴方達は樹海探索を効率よくする為に雇って、代わりに探査に支障が出ないようにするために守る。例え相手が同族だろうとね・・・シア、覚えてる?私達は貴方達をずっとは守らないことを」

「うっ、はい・・・覚えてます・・・」

「だから、樹海案内の仕事が終わるまでは守るわ。私達のためにね。それを邪魔するなら魔物だろうが人間族だろうが関係なく、私は殺すよ」

 

晴香らしい理由に苦笑いしながら納得するシア。【未来視】で暫定的な未来を知っていても、未来というものは絶対ではないから実際はどうなるか分からない。見えた未来の確度は高いが、万一、帝国側につかれては今度こそ死より辛い奴隷生活が待っている。表には出さないが【自分のせいで】という負い目があるシアは、どうしても確認せずにはいられなかったのだ。

 

「はっはっは、分かりやすくていいですな。樹海の案内はお任せくだされ」

 

カムが快活に笑う。下手に正義感を持ち出されるよりもギブ&テイクな関係の方が信用に値したのだろう。その表情に含むところは全くなかった。大樹の霧のことも頭に無かった。

 

一行は、階段に差し掛かった。晴香を先頭に順調に登っていく。帝国兵からの逃亡を含めて、ほとんど飲まず食わずだったはずの兎人族だが、その足取りは軽かった。亜人族が魔力を持たない代わりに身体能力が高いからだ。

 

(ふぅ・・・それじゃぁ実験と行きますか!)

 

晴香は前世界は無論、この世界でも初めての人殺しを行う。ハッキリ言って魔物を殺しまくっていたので、生物の殺傷には慣れていると言っても過言では無く、今更人を殺した程度で如何と思う事はないだろう。流石に敵対していない人間を殺す事はしないが、敵には問題ない。

 

『ユエ、帝国兵が居るから、私の後ろで兎人族達を守って』

『?・・・んっ』

 

そして、遂に階段を上りきり、晴香達はライセン大峡谷からの脱出を果たす。

 

登りきった崖の上、そこには。

 

「おいおい、マジかよ。生き残ってやがったのか。隊長の命令だから仕方なく残ってただけなんだがなぁ~。こりゃあ、いい土産ができそうだ」

 

30人の帝国兵がたむろしていた。周りには大型の馬車数台と、野営跡が残っている。全員がカーキ色の軍服らしき衣服を纏い、剣や槍、盾を携えており、晴香達を見るなり驚いた表情を見せた。が、それも一瞬のこと。直ぐに喜色を浮かべ、品定めでもするように兎人族を見渡した。

 

「小隊長!白髪の兎人もいますよ!隊長が欲しがってましたよね?」

「おお、ますますツイテルな。年寄りは別にいいが、あれは絶対殺すなよ?」

「小隊長ぉ~、女も結構いますし、ちょっとくらい味見してもいいっすよねぇ?こちとら、何もないとこで三日も待たされたんだ。役得の一つや二つ大目に見てくださいよぉ~」

「ったく。全部はやめとけ。2~3人なら好きにしろ」

「ひゃっほ~、流石、小隊長!話がわかる!」

 

帝国兵は、兎人族達を完全に獲物としてしか見ていないのか戦闘態勢をとる事もなく、下卑た笑みを浮かべ舐めるような視線を兎人族の女性達に向けている。兎人族は、その視線にただ怯えて震えるばかりだ。同じ女性として、不快に感じるがそれだけだが。

 

帝国兵達が好き勝手に騒いでいると、兎人族にニヤついた笑みを浮かべていた小隊長と呼ばれた男が、ようやく晴香の存在に気がついた。

 

「あぁ?お前誰だ?兎人族・・・じゃあねぇよな?」

「人間よ」

「はぁ?なんで人間が兎人族と一緒にいるんだ?しかも峡谷から。あぁ、もしかして奴隷商か?情報掴んで追っかけたとか?そいつぁまた商売魂がたくましいねぇ。まぁ、いいや。そいつら皆、国で引き取るから置いていけ」

 

史実の様に勝手に推測し、勝手に結論づけた小隊長は、さも自分の言う事を聞いて当たり前、断られることなど有り得ないと信じきった様子で、そう晴香に命令した。当然、晴香が従うはずもない。

 

「お断りするわ」

「・・・今、何て言った?」

「あら?聞こえなかったの?もしかしてその耳はお飾り?亜人と蔑む彼等の耳より性能が低いのw?―――あっ、あぁ!そっかそっか!言葉が理解出来ないんだね(笑)?それなら、赤ちゃんからやり直してくだちゃいね~・・・ぷっぷぎゃーッwww大草原不可避ッ!!」

 

草に草生やすの草ァ―――は兎も角。

 

お前何処のミレディだっ!?とでもいう様な馬鹿にする素敵なセリフが放たれる。この様に巫山戯る罵倒を言い放つのは何気に快感。ちょっぴりミレディの気持ちがわかった気がした晴香である。急に豹変した晴香に、つい先程まで震えていた兎人族達が我を忘れて呆けた表情で晴香を見る。事前に背後に降ろされていたユエは、困った表情で晴香を見ていた。

 

対する小隊長殿以下30名の帝國兵は、完全に舐められていると捉えてわなわなと震えている。

 

「あっれれ~どうして震えてるの~?まるで生まれたての小鹿みたいねw!お顔も真っ赤w知能も赤ちゃんだから、しょうがないのかなぁwww!」

 

顔真っ赤小隊長はハルカの言葉にスっと表情を消す。周囲の兵士達も怒りに染まっている。

 

「・・・おい、あの巫山戯たアマは殺すな。四肢を切り落として盥回しだ。終わった後は槍をぶち込んでやろう。残りの兎人族は老人は処分だ。女子供は殺さず生かせ」

「ほ~ん?つまり、私の敵になっちゃうけど、良いの?よちよち赤ちゃんには勝てないよ~・・・プギャーwwww!!」

 

―――ブチッ!

 

幻聴だろうか、血管が切れる音が聞こえた気がした。

 

「アァッ!?野郎、ぶっ殺してy―――」

 

苛立ちを表にして怒鳴る小隊長だったが、その言葉が最後まで言い切られることはなかった。なぜなら、一発の破裂音と共に、その頭部が砕け散ったからだ。眉間に大穴を開けながら後頭部から脳髄を飛び散らせ、そのまま後ろに弾かれる様に倒れる。

 

「私は野郎じゃないよ、女の子で~すw」

 

そんな事を言って、小隊長が一瞬でやられてしまった事に何が起きたのかも分からず、呆然と倒れた小隊長を見る兵士達に追い打ちが掛けられた。

 

ドパァァンッ!

 

一発しか聞こえなかった銃声は、同時に、後方で杖を所持していた魔法職と思われる六人の帝国兵の頭部を吹き飛ばした。後方支援を断つのは戦闘の基本!実際には六発撃ったのだが、晴香の射撃速度が早すぎて射撃音が一発分しか聞こえなかったのだ。そんなパニック状態の帝国兵に、更なる脅威が迫る。

 

06で試験を終えた晴香は、もう用済みだと言わんばかりに一人を残して、残りを06及び60の空中リロードで高速再装填を済まし、再びクイックドローにて瞬時に殲滅した。それは一つの戦争とは言えない、唯の処理であった。

 

隣で血飛沫が舞い、それを頭から被った隊最後の生き残りが、力を失ったようにその場にへたり込む。無理もない。ほんの一瞬で29人の仲間が殲滅されたのである。彼等は決して弱い部隊ではない。むしろ、上位に勘定しても文句が出ないくらいには精鋭だった。故に、その兵士は悪い夢でも見ているのでは?と呆然としながら視線を彷徨わせた。

 

そんな彼の耳に、これだけの惨劇を作り出した者が発するとは思えないほど飄々とした声が聞こえた。

 

「うん。実験は成功だね!」

 

兵士がビクッと体を震わせて怯えをたっぷり含んだ瞳を晴香に向けた。ハルカは06片手に笑顔で微笑みながらゆっくりと兵士に歩み寄る。白いコートを靡かせて死を振り撒き歩み寄るその姿。堕天使にしか見えないと、失神しそうになるのを如何にか堪えてしまった生き残りは、そうとしか見えなかった。

 

「ひぃ、く、来るなぁ!い、嫌だ。し、死にたくない。だ、誰か!助けてくれ!」

 

命乞いをしながら這いずるように後退る兵士。その顔は恐怖に歪み、股間からは液体が漏れてしまっている。ハルカは、冷めた目でそれを見下し、兵士の頭にゴリッと銃口が押し当てた。ビクッと体を震わせた兵士は、醜く歪んだ顔で再び命乞いを始めた。

 

「た、頼む!殺さないでくれ!な、何でもするから!頼む!」

「そう?なら、他の兎人族がどうなったか教えてもらえる?」

 

まぁ、分かってるのだけれども助けたハウリアたちは知らないので聞く。

 

「・・・は、話せば殺さn―――【ごりごりっ】ま、待ってくれ!話す!話すからぁ!・・・・・・多分、全部移送済みだと思う。人数は絞ったから・・・」

 

【人数を絞った】それは、つまり老人など売れそうにない兎人族は殺した。兵士の言葉に、悲痛な表情を浮かべる兎人族達。他の生き残りの事が知れたであろうと判断し、直ぐに視線を兵士に戻すともう用はないと瞳に殺意を宿した。

 

「待て!待ってくれ!他にも何でも話すから!帝国のでも何でも!だから!」

「・・・そうねぇ、それじゃぁ、コレをガハルド皇帝に届けて貰える?」

 

晴香が渡したのは丸みを帯びたポーチ。何やら黒光りする筒が入っている。

 

「そ、そんな事で良いのか・・・?」

()()()届けてね?」

「了解です!!!」

 

ビシッと決められた敬礼に、晴香も思わずにっこり。

 

それが何なのか知らないが、コレを届けられれば生き残れる!己の生存の為に、生き残りは下半身を体液で濡らしたまま全速力で帝国が存在するであろう方向へと走り出す。その後ろ姿を、晴香は笑顔で眺めながら口ずさんだ。

 

「―――3、2、1・・・」

 

それはタイムリミット。

 

生き残り君はステータスは高かったのか、どんどん小さくなる人影の辺りから爆炎が上がる。渡した物―――対人手榴弾の爆炎だ。この戦闘で使用予定だったのだが、兵士を実験体にするのなら最後くらい絶好調の状態の方が喜んで受け入れてくれるだろうと判断し、生き残って帰る事が出来る!と気分アゲアゲ⤴だった兵士君を時限式で吹き飛ばしたのだ。

 

【遠目】で確認した限り、四肢は弾け飛んで死体はぐちゃぐちゃだが、一定以上の範囲内にいる人間にたいしてはちゃんとした効果が望める絶妙な燃焼石加減であり、晴香的には満足いく出来だった。

 

何てマッドな実験を・・・てっきり生かすのかと思ったシアはおずおずと晴香に尋ねた。

 

「あ、あのさっきの人は見逃してあげても良かったのでは・・・」

「見逃すって言ってないし、最後に警戒を解いたのが悪い」

「あ、はい・・・」

 

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