巻き込まれたので、ハジメさんの立場(原作の)を簒奪する事にしました。 作:背の高い吸血鬼
「まぁでも、今の所は問題無いでしょうね。この室内にいた全員に箝口令でも敷けば、外部にその失態は漏れる事がありませんし、私も言いふらすようなことはしませんよ?・・・例え、動く景色と音を同時に記録できるアーティファクト《スマホ》を持っていても、言いふらしません」
が・・・と続けた晴香さんは、悲しみに沈んだ様な表情で告げる。
「もし、
そう言って、胸ポケットからスマホを取り出すと、録画していた動画を長老方に見せつけながら再生ボタンを押した。
* * * * *
『なら、こんな人間族の小娘が資格者だとでも言うのか!?敵対してはならない強者だとッ!』
『そうだ』
『・・・ならば、今、この場で試してやろう!』
―――ズドンッ!
『―――温い・・・温すぎる。これが、亜人最強種の一撃・・・ハっ、笑止ッ!!』
『さて・・・自称最強種殿。殺意を持って妾を攻撃したのじゃ―――覚悟は出来ておろぅ?』
『ッ!』
『―――何処へ行こうというのかね?』
「ッ!?』
―――ゴキンッ!
『【刳〇祓】っ!』
『ッゥカハっ!?』
『で?』
『―――ッ』
* * * * *
「で?どうでしたか?よく撮れてるでしょう?」
すまし顔でそう言った晴香であったが、自身の言動とか色々を見て転げまわりたくなった・・・が、顔には出さない。
「「「「「・・・」」」」」
晴香が言った【箝口令作戦】は結構有効なのではと考えていた長老方にダイレクトダメージが入っていた。確かに箝口令を敷けば、カメラもその様なアーティファクトが無いこの世界では有効だったかもしれないが、晴香が持ち出した背景と音を同時に記録できるアーティファクトの存在は途方もなく大きかった。
なんせ、ジンを含めた映像に移っていた数名の長老も、全てが鮮明であり、皺すら見れているのだ。声も本物と大差なく、長老方と親しいものや見た事がある者に箝口令を強いた所で晴香がコレを流したりでもすれば、一発で本物であると露見する。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はぁ~・・・ハウリア族は忌み子シア・ハウリアを筆頭に、資格者【アヤセハルカ】の身内と見なす。そして、資格者アヤセハルカに対しては敵対はしないが、フェアベルゲンや周辺の集落への立ち入りを禁ずる。以降、アヤセハルカの一族に手を出した場合は全て自己責任とする・・・以上だ。何かあるか?」
妥協した・・・否、妥協せざるを得なかったのかもしれない。亜人族最強のジンが子供の手を捻るかの如く簡単に組み伏せられ、超常の力を振るう武器が自分達の方へと向けられると・・・とでも思ったのだろう。晴香はそんな事はしないのだが、それは兎も角。晴香たちに有利な方向に話が進んだので、それで良しとしよう。
そして、これ以上の要求は持っていない晴香は首を横に振ると、軽く頭を下げた。
「無理を聞いてもらい、そして理性的な判断をして頂き、ありがとうございました」
「・・・そうか。ならば、早々に立ち去ってくれるか。ようやく現れた口伝の資格者を歓迎できないのは心苦しいのだがな(忌子が身内に存在するために歓迎できない)・・・」
晴香の言葉に苦笑いするアルフレリック。他の長老達は渋い表情か疲れたような表情だ。恨み辛みというより、さっさとどっか行ってくれ!という雰囲気である。その様子に苦笑いの晴香はユエやシア達を促して立ち上がった。
しかし、シア達ハウリア族は、未だ現実を認識しきれていないのか呆然としたまま立ち上がる気配がない。ついさっきまで死を覚悟していたのに、気がつけば追放で済んでいるという不可思議な状況。「えっ、本当に行っちゃっていいの?」という感じで内心動揺しまくっていた。
と言うか、耳に出ている。心の動揺を表すかのようにぶんぶん揺れている。晴香はなんか面白いと思った。
「ほら、
しかしなかなか動かないので、晴香の言葉でようやく我を取り戻したのかあたふたと立ち上がり、ユエと仲睦まじく手を繋いて出て行く晴香の後を追うシア達。アルフレリック達も、晴香達を門まで送るようだ。
シアが、オロオロしながら晴香たちに尋ねる。
「あ、あの、私達・・・死ななくていいんですか?」
「・・・その耳は飾りなの?」
「本物ですぅ!ちゃんと聞いてました!!って、そうではなくてですね、その、何だかトントン拍子で窮地を脱してしまったので実感が湧かないといいますか・・・信じられない状況といいますか・・・」
周りのハウリア族も同様なのか困惑したような表情だ。それだけ、長老会議の決定というのは亜人にとって絶対的なものなのである。なので、どう処理していいのか分からず困惑するシアにユエが呟くように話しかけた。
「・・・素直に喜べばいい」
「ユエさん?」
「・・・ハルカに救われた・・・それが事実。受け入れて喜べばいい」
「・・・」
ユエの言葉に、シアはそっと隣を歩く晴香に視線をやった。晴香はシアに向かって微笑む。
「約束したからね」
「ッ・・・」
シアは、肩を震わせる。樹海の案内と引き換えにシアと彼女の家族の命を守る。シアが必死に取り付けた晴香との約束。
ライセン大渓谷の魔物から、亜人狩りに来た帝国兵から守り抜いてくれた。しかし、今回はいくら晴香でも見捨てるのではという思いがシアにはあった。帝国兵の時とはわけが違う。言ってみれば、帝国の皇帝陛下の前で宣戦布告するに等しい行為だ。にもかかわらず一歩も引かずに約束を守り通してくれた。例えそれが、晴香自身の為であっても、ユエの言う通り、シアと大切な家族は確かに守られたのだ。
先程、一度高鳴った心臓が再び跳ねた気がした。顔が熱を持ち、居ても立ってもいられない正体不明の衝動が込み上げてくる。それは家族が生き残った事への喜びか、それとも・・・
シアは、ユエの言う通り素直に喜び、今の気持ちを衝動に任せて全力で表してみることにした。すなわち、晴香に全力で抱きつく!
「ハルカさ~ん!ありがどうございまずぅ~!!」
「・・・(どう反応すれば良いか分からない苦笑い)」
「むっ・・・」
史実を進むかのように歩んで来たので、大体同じように進むだろうと思って居た晴香は、シアの次の行動を読めてはいた。しかし、此処で避けては今までの積み重ねてきたものが崩れてしまいかねない。なので、大人しく抱き着かれる事にしたのだ。
ユエという最愛が存在しながら、他の女に抱き着かれるのは最低野郎な気がしてならない。
史実ハジメさんもこの様な葛藤?見たいな物を感じていたのか・・・と、晴香は思う。物語が進むにつれて、ハジメさんはユエの他にもシアやティオ、香織と言ったヒロインたちをどんどん堕としていった。だが、晴香には
泣きべそを掻きながら絶対に離しません!とでも言う様にヒシッとしがみつき顔をグリグリと晴香の肩に押し付けるシア。その表情は緩みに緩んでいて、頬はバラ色に染め上げられている。
これが何を意味するのか、分からない晴香ではない。罪悪感がUPして行く。
それを見たユエが不機嫌そうに唸るものの、何か思うところがあるのか、晴香の反対の手を取るだけで特に何もしなかった。何時もより握り加減が三割増しで強いと感じるのは、気のせいではない。晴香は受け止めて優しく包み込む事に徹した。
喜びを爆発させ晴香にじゃれつくシアの姿に、ハウリア族の皆もようやく命拾いしたことを実感したのか、隣同士で喜びを分かち合っている。それを何とも複雑そうな表情で見つめているのは長老衆だ。そして、更に遠巻きに不快感や憎悪の視線を向けている者達も多くいる。
晴香はその全てを把握しながら、ハッ!?と思い出した。
【友好の印カチューシャ(猫耳バージョン)】をつけ忘れた、と。
* * * * *
「―――さて、諸君。君たちには戦闘訓練を受けてもらおうと思います」
フェアベルゲンを追い出された晴香達は、一先ず大樹の近くに晴香がさり気なく盗ん・・・貰ってきたフェアドレン水晶を使って結界を張っただけの拠点とも言えない拠点を作って一息ついた時の、晴香の第一声がこれである。
その中で切り株などに腰掛けながら、ウサミミ達はポカンとした表情を浮かべた。
「え、えっと・・・ハルカさん。戦闘訓練というのは・・・?」
困惑する一族を代表してシアが尋ねる。
「そのままの意味よ。この状況を理解していると言う事で話を進めるけど・・・いい?私が貴方達と交わした約束は、案内が終わるまで守るというもの・・・じゃあ、案内が終わった後はどうするのか、貴方達は考えた?」
ハウリア族達が互いに顔を見合わせ、ふるふると首を振る。カムも難しい表情だ。漠然と不安は感じていたが、激動に次ぐ激動で頭の隅に追いやられていたようだ。あるいは、考えないようにしていたのか。
「まぁ、考えてないでしょうね。考えたところで答えなどないから。貴方達はとても弱く、悪意や害意に対しては逃げるか隠れることしかできない。そんな貴方達は、遂にフェアベルゲンという隠れ家すら失った。つまり、約束の効果で守られている貴方達は私とユエの庇護を失った瞬間、再び窮地に陥るというの」
「「「「「「・・・・・・・」」」」」」
全くその通りなので、ハウリア族達は皆一様に暗い表情で俯く。そんな彼等に晴香の言葉が響く。
「貴方達に逃げ場はない。隠れ家も庇護もない。だが、魔物も人も容赦なく弱い貴方達を狙ってくる・・・このままじゃぁ全滅ね?でも、それでいいの?弱さを理由に淘汰されることを許容するの?幸運にも拾った命を無駄に散らす?・・・どうなの?」
誰も言葉を発さず重苦しい空気が辺りを満たす。そして、ポツリと誰かが零した。
「―――そんなものいいわけがない」
その言葉に触発されたようにハウリア族が顔を上げ始める。シアは既に決然とした表情だ。
「そうよ。いいわけがないの・・・ならば、どうする?答えは至極簡単。ただ、強くなればいい。襲い来るあらゆる障碍を打ち破り、自らの手で生存の権利を獲得すればいい。ただ、それだけよ」
「・・・ですが、私達は兎人族です。虎人族や熊人族のような強靭な肉体も翼人族や土人族のように特殊な技能も持っていません・・・とても、そのような・・・」
兎人族は弱いという常識が晴香の言葉に否定的な気持ちを生む。自分達は弱い、戦うことなどできない。どんなに足掻いても晴香の言う様に強くなど成れるものか、と。
「ふッ」
「「「「「・・・」」」」」
晴香はそんなハウリア族を鼻で笑う。
「ならば、問おう!」
そして、ニヤと黒い笑みを浮かべた晴香は、口角を釣り上げて言葉を発する。
「―――うぬらは、力が欲しくないか?」
ゴクッと、誰かが喉を鳴らす音が、静寂の樹海の中に痛く響いた・・・
ハルカ
「貴方は、どの力が欲しい?」
A・何故か多数のヤンデレに愛されられる
B・周囲の人間を洗脳してコンギョ状態に出来る
C・好きな人と永遠を共にできる
ユエ
「・・・C。晴香と、ずっと一緒」
晴香
「ユエ・・・♡」
シア
「私もCで、一緒に混ぜて下さいですぅ!!」
晴香&ユエ
「却下」「(´・д・`)ヤダ」
シア
「そんなー(泣)」