巻き込まれたので、ハジメさんの立場(原作の)を簒奪する事にしました。 作:背の高い吸血鬼
ハジメさんの最弱ぶりが露見した日から1週間たった今日。私は、訓練の休みを貰って王都の城下町へと、勇者ご一行では無く御忍びとしてやって来た。王都襲撃が発生する前なので、活気に満ちた喧噪が其処かしこから響いており、ここにケルト音楽のBGMでも流せば正にファンタジーゲームの”始まりの街”の様に見えるだろう。ただ残念なことに、ケモミミやエルフはいない。何故なら、彼等は聖教教会により被差別種族認定されているからである。なので、ここにはすべて人間しか存在しない。
どうしてもケモミミやエルフを見たいのなら、何があっても自己責任で【ハルツィナ樹海】へと突撃する事をお薦めする。
さて、話が反れたが、今日私が城下町へとやって来たのは、あと一週間後に向かう事となる【オルクス大迷宮】攻略の要となる、とても重要なモノを買いに来たのだ。
「此方です、ハルカ様」
ショーケースに並べられた、ある鉱石が綺麗にカットされた装飾品が並ぶ。その鉱石は魔法具の照明により青白い光を反射しており、女性であればうっとりと見惚れてしまうような美しさを内包した鉱石であり、主に貴族の令嬢や婦人などに絶大な人気を誇る宝石。結婚指輪の宝石と言ったらこの鉱石と言わしめる、その鉱石の名は―――
「へぇ、これが―――」
グランツ鉱石である。
* * * * *
買い物は続く。先程のジュエリーショップで購入した指輪の入った袋を大切にカバンに仕舞う
そこでオーソドックスな塩と胡椒、そのほかこの世界特有の香辛料を一瓶ずつ10個ほど購入。先程購入した指輪の二倍ほどお金が飛んだが、後程必要になる。
その他にも調理器具や食材、魔法薬など『お店でも開くのか?』と言われそうなほどの量を買い込んだ。これほどの荷物は一人で持ち運べないので、店員に後で馬車を呼ぶから店の裏手に重ねて置いといて欲しいと、その旨を伝える。指示通りに運びだしてくれた店員に感謝すると、周囲に誰も居ない事を確認してから異界収納にしまい、そそくさと立ち去った。
それから、迷宮探索では服もマメに洗う事が出来ないので、下着込みで20着ほどと、サイズを小さくしたものも同じくセットで20着、計40着を購入。
全て新品で有り、まだ裁縫技術が未発達の世界である為、衣類はブランド品並みの値段である。なので、それらを40着も買ってくれた私に対し、店長直々に『次回もごひいきに・・・』と、手もみされた。
因みにだが、お金は全てハイリヒ王国が出してくれた。救国の英雄になる私達にはある程度の自由が許されており、その自由を私はお金を貰って買い物に使う事にしたのだ。なので、結構な額を貰ったけど、その殆どを今日この街で放出してしまい、懐が寂しい事になってしまったが、別にこれから使う予定はないので、大した問題ではない。
* * * * *
王城へと戻ると、王国筆頭の錬成師たちが凄む鍛冶場へとやって来た。ここには、王都大結界の修復作業中にハジメさんに弟子入り志願した筆頭錬成師のウォッペンらが王国を守る騎士たちの装備を制作している筆頭達専用の工房である。
「こんにちは~」
「おお、ハルカ嬢!よくぞまいりましたな」
実は、此処に来るのは4回目になる。理由は言わずもがな【錬成】の上達の為であり、同じ錬成師であるが長く国の為に働いているベテランの、彼等の技術を盗みに来たのだ。彼等はハジメさんの様に一瞬で兵器を作ったりできないのでゆっくり慎重に作業する。それが返って分かりやすいとの事で見学させてもらってる。しかし、今日は見学では無い。
「頼まれていた鉱石、用意しておきましたぞ」
そう言って渡されたのは、一抱えはある大きな木箱。受け渡されると、ずっしりとした重みを感じる。体感50kg以上だろうか、召喚前であれば確実に持てない物でもステータスを取得してからは軽く感じており、超人になって来たという実感がわいて来る。
「ありがとうございます!」
受け取った私は宛がわれた部屋に戻り、開封する。蓋を取ると布に包まれた鉱石が多数存在した。
布を剥がし、王立図書館に存在した【トータス鉱石図鑑】なる本から抜き取った情報と【錬成[+鉱物系鑑定]】を元に、どれがどの鉱石なのかを選別する。
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タウル鉱石
衝撃や熱に強いが、冷気には弱い。冷やすことで脆くなる。熱を加
えると再び結合する特殊な鉱石
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シュタル鉱石
魔力との親和性が高く、魔力を込めた分だけ硬度を増す特殊な鉱石
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ラトネミル鉱石
魔力との親和性が高く、加工が容易。唯、硬度は高くなく、柔らかい
為に武器などには使用できない。魔力をよく流す導体でもある
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鉄
加工次第では武器にも道具にもなる、汎用性の高い優れた鉱石
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緑光石
魔力を吸収する性質を持った鉱石。魔力を溜め込むと淡い緑色の光
を放つ。また魔力を溜め込んだ状態で割ると、溜めていた分の光を
一瞬で放出する
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オスカーさん曰く、この世界最高硬度を誇る鉱石【アザンチウム鉱石】は入手できなかった。ここで入手できれば更に戦略が捗ったのだけれども、無い物は仕方がない。その他の鉱物だけでも手に入ったのは僥倖だ。早速、錬成の鍛錬を開始する。この鍛錬の結果次第で運命を左右するから。
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召喚から二週間が経過した。そして、まだメル団から発表されてないが、明日からオルクス大迷宮へと向かう事となる。私はこの日の為に寝る間も惜しんで鍛錬を続けて来た。その成果をぶっつけ本番で試す時がとうとうやって来たのだ。
私はおもむろににステータスプレートを取り出す。これが、二週間頑張った私のステータスである。
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綾瀬春香 17歳 女 レベル:13
天職:錬成師
筋力:120
体力:105
耐性:100
敏捷:135
魔力:480
魔耐:480
技能:錬成
[+鉱物系鑑定][+鉱物系探査][+イメージ補強力上昇]
弓術
[+命中率補正]
火属性適性
[+効果上昇]
土属性適性
[+効果上昇]
全属性耐性
魔力感知
言語理解
異界収納
[+重量無制限][+内部時間停止]
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鍛錬に持ち込める時間が少なすぎてそこまで伸びなかった。錬成で新たに[+イメージ補強力上昇]が付いたのは、毎日毎日複雑な模型を想像し、それを実際に錬成・失敗・想像というエンドレスを続けてきた結果だ。因みにだが、派生技能が得たいが為に紙などに書いてイメージを確立なんてことはしていない。私としても良く取得出来たなって思う。
属性魔法に関しては、何と言うか、才能があったとしか言えない。本当に何と無く、こうすれば消費魔力少ないし威力も上がるよね!ってやったら[+効率上昇]の派生技能を得る事が出来た。ハジメさんが聞いたら泣きそうだね・・・
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王城での訓練最終日。訓練が終了した後、いつもなら夕食の時間まで自由時間となるのだが、今回はメル団から伝える事が有るからと引き留められた。何事かと注目する生徒たちに、メル団は野太い声で告げる。
「明日から、実戦訓練の一環として【オルクス大迷宮】へ遠征に行く。必要な物はこちらで用意してあるが、今までの王都外での魔物との実戦訓練とは一線を画すと思ってくれ!まぁ、要するに気合入れろって事だ!今日はゆっくり休めよ!では、解散!」
(いよいよ、だね・・・)
派生技能を得るのが早い?
それは・・・
陰でご都合主義が働いてるからさ(キラッ☆彡)