陰キャなんで恋愛なんてしません   作:*白湯*

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どうにか1日1筆2日目まで続いた白湯です。
この調子で明日まで進んでくれるといいんですが、まぁ三日坊主かどうかは明後日になればわかるので。
とりあえず2話です。



未婚なんで

取り出した課題を開くと、そこには文字がびっしりと埋められたページが沢山出てくる。

最初から最後まで全てのページが埋められている。

そういや今日今までのツケを払う時だとか言われてたなぁ、どうしよう、忘れてた。

「忘れてましたぁ、てへっ」とでもおどけて誤魔化してみるか。

いや、そうするとすぐに個別指導室に連れてかれ腹パンをぶち込まれる。

素直に鍵を取り行くついでに説教だけされに行くか。

覚悟を決めて、席から再び立ち上がりカバンを背負った。

基本的にこの時間帯なら前を通って教室から出ていっても注目されることは無い。

これが日中の時間帯となると、教室の黒板付近には自称陽キャ軍団が沢山屯しており、通るのに一苦労する羽目になる。

そういう時は素直に移動用のスペースが開けられている教室の後ろから抜けていくのが最適であったのは中学生までだった。

中学生の時は後ろにカバンを入れ込むロッカーがあり、授業の準備をする邪魔になるためそこに人が屯することは無かった。

しかし、ロッカーが廊下になった高校ではそんなことに気を使うことも無く前後両方に障害が生まれてしまう。

したがって、高校では真ん中を静かに、机にぶつかることなく通り抜けていくことが最適解である。

廊下に出ると綺麗に静まり返っていて、とても心地が良かった。

この適度な静かさを感じながら、ゆっくりと足を階段の方へと進め始めた。

廊下というのも日中は騒がしいものになっているので、このような静かな時間がとても心地よく感じる。

普段とは違うというこの特別感に浸りながら、階段を一段ずつ下っていく。

その階段を一番下へと下っていくと別館へと向かう廊下と、職員室へと向かう廊下に別れている。

もちろん、職員室に向かうため左へと足を進める。

町田先生の机は奥の扉から入った方が近いため、奥の扉の前に向かう。

職員室というのは基本的に入る必要が無いため、中学の時と高校入学時は緊張するものだった。

だが、今となっては慣れすぎて自宅のように入ることが出来る。

最初の方は入ると先生たちもチラチラとこちらを見てくるが、何回も入っていると「なんだ、いつものか」的な視線に変わってきた。

まぁ、いちいち見られるというのも好きではないので、そのような対応になっていくというのはとても助かることである。

「失礼しまーす」

この一言さえ言っておけば、テスト期間でない限りは遠慮なく入室を許可される。

まぁ、誰も入っていいよなんて言ってくれないけど。

職員室に入ると適度に暖房が効いていて、眠気を誘ってくる。

なんで、先生たちこんな環境で寝ないで作業出来んの?

眠気をこらえ職員室の奥へと進んでいく。

奥には小柄な女性が足を組み、机を指で叩いてリズムをとっていた。

耳にイヤホンをかけているところを見ると、おおかた好きなアイドルの曲でも聞いているのだろう。

こちらがある程度近づくとこちらに気づいたようで、イヤホンを外し回転式の椅子を回し、体をこちらへと向ける。

「まっちー、お呼びですか?」

「まっちー言うな、これでも先生だぞ?」

「これでもって、それ自分で言います?」

まっちーこと町田千代子(まちだちよこ)

身長154cm、御歳27、独身。

見た目は本当に幼く、身長もあってか制服を着たら生徒と間違えてしまう程である。

「呼ばれた理由は分かっているな?」

「心当たりはあります」

「なぜ、君はそれですぐに来ないんだ…」

まっちーはこめかみ辺りを抑えながら、呆れるように下を向いた。

「いえ、心当たりがあると言いましたが、それに気づいたのは電話をされてからです。今日職員室に来いと言われていたのはすっかり忘れていました。」

「なぜ、そこまで清々しく言えるんだ…うぅ…頭痛がする…」

さすがに可哀想なので本題に入ってあげようと思ったところ、まっちーの机にあるカレンダーを見つけた。

そのカレンダーには今日のところに赤いペンで、とても綺麗な丸が付けられていた。

「なんですか?わざわざこの事メモして置いたんですか?」

視線をカレンダーに向けて、先生に尋ねてみた。

「あ、あぁこれか、いや、そういう訳では…」

そう言うと少し顔を赤らめて、指で自分の頬をぽりぽりとかじっていた。

なにか、自分の想像とは違っていたらしい。

なんだよ優しい先生かと思って尊敬しちゃったじゃん、なんだよやっぱまっちーじゃん。

自分で聞いた手前聞かないでおくのもあれだが、まっちーの場合聞かないでおいてあげるのが優しい選択だろう。

よし、聞かないでおこう、俺優しいから。

「君との約束をメモしていた訳ではなくだな?今日その…婚活パーティーがあってだな…」

あーあ、大抵は予想出来てたけど自分で言っちゃったよこの人。

「いやぁ…この前も婚活パーティーに行ったんだがな?」

また、始まったよ、この人の話聞いてるとめっちゃ可哀想になるからまじでやめて欲しい。

というか途中から絶対愚痴になる。

「ほら、私年下からモテるというか好まれるじゃん」

じゃん、じゃないよ知らないよ。絶対見た目的にタメだと思われてるだけだよ。

「途中までいい感じになるんだけど、途中から世代の違う話が始まってだな…」

ほら、やっぱり。この人絶対勘違いされてるだけだって。

「だから、私27なんだけど…っていうとさっきまでタメ口だった男がえっ、みたいな表情になってちょっと引いてから言うんだよ。お、お若いですねって」

やめて、もうやめたげてよ。ほんとに可哀想だから。

絶対その男タメだと思ってたけど実は自分より年上だったとい事実に絶対驚いてるよ。

ダメだよ男ならそこでときめかないと、この人年にデリケートなんだから。

「そんなに、そんなに私はダメか?」

そう言って上目遣いでこっちに問いかけてくる。

やめろよ、そういうこと。可愛いだろうがこんちくしょう。

なんで、あんたそんな歳なのに、そんな可愛いこと出来んの?

なんで、椅子で内股になって上目遣いするかな、そんなんしたら男もイチコロだろうが。

あ、そういえばこの人酒癖悪いんだった。

「い、いやダメじゃないっすよ、てか先生。そろそろ周りの先生方からの視線も辛いので本題に」

「あ、そうだった。君、ちゃんと課題は提出したのか?」

「いいえ?」

「はぁ、君のことだからそうだろうと思ったよ」

先程までの可愛い仕草などなかったかのように、また頭を抱えてしまう。

「いや、いつも言っている通り課題は終わってますよ?でも、終わってるなら出さなくていいじゃないですか」

「なぜそうなる…その確認のために課題は出すのだろう…」

「いや、僕そんないちいち確認してもらうために課題をやっていないので、提出する必要はないと判断しました」

「たしかに、君はそうだろうが周りに合わせてだな…」

「だってあいつら絶対に答えみてますよ?提出するために答えを写してるだけですよ?そんなんやる意味ないじゃないですか、俺はあいつらと同じになるのは嫌です」

「まぁ、たしかに課題の確認していてそんなのは分かっている」

「え?流れ作業じゃないんですか?」

「馬鹿を言え、ちゃんと最初のうちは答えがあってるか確認している。その内に答えは全て覚えてしまうがな」

「知らなかったです」

「そりゃ、君は一回も出していないからな」

やはり、この人は違う、と思ったがまぁ普通ならそうか。大抵の先生はやっている。

おそらく、新任やまだ若い先生はだ。

おそらくある程度働いている先生は数回はチェックするがしばらく経つと人柄で大丈夫かを判断するような気がする。

まぁこの年でそれをしっかりしているというのは、やはり尊敬出来ることだと思う。

「む。君今なにか失礼なことを考えていたな?まぁ、いい。どうせ、君のその口ぶりだ、全て終わっているのだろう?」

「ええ、もちろん。」

俺は問題の課題を先生に手渡した。

先生はそれを受け取ると、ページを開きしばらくかけて全てのページを確認した。

「やはりな、どうせ君のことだ配られた時に面倒だとか言って予習も含め全て終わらせてしまったのだろう?」

「流石ですね」

「半年も君の担任をしていれば分かるよ」

なによりタチが悪いのがこの人が俺の担任であることだ。

全てを理解されているというのは、何かしらの時に逃げ道がないということに等しいのだから。

「君がここに来たのはこれだけが理由じゃあるまい。鍵を借りに来たのだろう?」

そう言うと先生は自分の机の横にかけてある鍵を俺に渡してくれた。

「他のメンバーはどうした?」

「いつも通り部活に行ってから来ますよ」

「そうか、よろしく頼むぞ」

先生はそう言いながら俺の課題の最後のページに確認したというスタンプを押して俺の突き出してきた。

「これでもうこの課題は提出しなくていいぞ」

「どうも」

課題を受け取り頭を下げると、先生はうむと返事をして自分の机を向いて作業を始めた。

それを見て俺は先生の元を後にして出口に向かった。

俺はあの先生と関わりが多すぎる気がする。あの先生は俺の得意教科の担当教師であり、この鍵を借りた理由でもある生徒会の顧問でもある。

ここまで関わりを持つと俺まで不幸な気分になる、てかあの人どれだけ俺の担当なの?何、先生の推しは俺ですか?

てか、誰担とかそういうアイドルの担当戦争とかで誰担とか俺嫌いだわ。

とにかく、先生は早く誰かと結婚して幸せになってください。

これはガチでマジで割と早く。

職員室を出ようと扉に手をかけた所、後ろから「くしゅん」ととても可愛らしいくしゃみが聞こえたが、後ろに目があるわけでもなく誰かは分からなかったのでそのまま出ることにした。

全く誰か分からないけど、早く結婚してくださいよ。




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