俺の幼馴染みはヤンデレです 作:太公望
花咲川に戻ってきた耀太君。さーて、どうなるのかな笑笑
朝、俺はいつも通り花咲川への道を歩いている。いつも通りといっても、珍しく1人っきり。千聖も彩も紗夜も誰もいない。少しだけ平和な時間だよ。でも学校に行ったらすぐに終わるに決まってる。だって彩は『連絡くれないなら分かってるよね?』ってメッセージ送ってきたし、千聖に至っては『学校で待ってるわよ♡』って来たんだぜ? 平和が無くなる確定演出のオンパレードかよ。
「はぁ……学校行きたくねぇぇ!」
1人虚しく叫びながら歩いていくのだった。
学校について教室の扉の前に来た。開けようかな、開けないかな。あんなこと言われたじゃん? 開けた瞬間目の前に彩とか千聖とかいたりして? 彩には首締められそうだし、紗夜なら薬の原液そのまま飲ませてきたり? 千聖なら……なにしでかすか1番わからん。
「うん、生徒会室に逃げようか」
始業のチャイムが鳴るギリギリで教室に来れば流石に手が出せないと思って生徒会室に逃げ込むことにした。燐子も朝は生徒会室に来ないしな。あとは行くまでにイヴに見つからないようにするだけか……
そしてなんとか生徒会室についた。扉に手をかけると既に鍵が空いており、中に誰かいる様子だった。いや、燐子なわけが無い。そう信じて俺は生徒会室の中に入った。
「なんだ、有咲か」
「なんですか、私で悪いですか」
「いや有咲で助かったわ」
有咲は蔑んだ目で俺を見る。なんかこれにも慣れたわ。慣れちゃいけないと思うけど。
「そいや、有咲達のクラスって出し物なにやんの?」
「お化け屋敷ですよ。香澄がどうしてもやりたいって言うからつい。てか、そんなこと聞いてどうするんですか。来ないでくださいよ。気色悪いんで 」
「あのさ、これでも一応先輩だぜ?」
「先輩でも変態で忘れてるから最低限の敬語使ってるんですよ。先輩じゃなかったら敬語すら使ってないですから」
変態じゃないんですけど。なんかすっごい偏見生まれてね?
「ん? 忘れてるって何を忘れてんの?」
「ほらそうやって忘れてる。先輩じゃなかったら引っぱたいてますよ」
「それだけは勘弁。仕事手伝うから機嫌直してください」
「それじゃ今日中にこれ全部お願いします」
ドンッと音を立てて大量の書類が俺の目の前に置かれた。いや絶対に今日じゃ終わらんてぇ……
「ヨウタ君? この写真はどういうコト? なんで連絡くれなカッタノ?」
「耀太さんはいい加減自覚してください。アナタはワタシのモノ。ワタシはアナタのモノなんですよ? 」
「耀太……言わなくてもわかってるわよね? 」
「ヨウタクン……お薬あるよ?」
うん、こうなるのは知ってた。説明すんのめんどっちいんですけど。花音はオドオドしてるし、サリヤスは何が何だかわかってないし? まぁしょうがないか。何はともあれ平然を装うしかないな。
「んじゃ飾り付けしよーぜー」
「逃がさないヨ?」
「っっっ!?!?」
平然を装ったのが間違ってた。俺が目を逸らして壁の方に歩いた瞬間、彩は俺を壁に押し付けて首を絞めてきた。しかもかなり力が強いから呼吸も身動きもしずらい。
「ワタシがお嫁さんダヨネ? 赤ちゃんも作るんでしょ? ワタシ以外見ないでよ。ワタシのことがキライ? キライなら耀太君の好みのオンナのコになるよ? 」
「ちょっっ、まっって」
「彩ちゃん、それ以上やったら耀太の意識が飛んじゃうわよ」
「そっか……またあとでちゃんとお話しようね。2人っきりで……♡」
千聖に制止された彩はそう言い残して俺の前から去っていった。助かった……のか。
「耀太、大丈夫……?」
「え、あー、まあな」
千聖にも問い詰められると思ってた俺だったが、見当違いな言葉が来たから思わず口から出てしまった。本当にこいつは千聖か? なんかすごい違和感あるんだよな。
「早く飾り付けしましょ。時間は有限よ?」
「あ、はい。やりましょうか」
その後、サリヤスや花音と話していても千聖は俺に絡むことは無かった。もちろんのこと、彩達は絡んできたぜ? こいつなにしたんだよ。さすがの俺でも心配するんですけど。
「あ、いたいた。耀太先輩〜」
しばらくすると、美咲が来た。まだ昼飯時でもないじゃん。美咲が来るならそれぐらいじゃね?
「どした?」
「高いところにリボンとか貼り付けたいんで手伝って貰えますか? 机とか使っても届かなかったんですよ」
「りょーかい。行くわ」
「妾も行ってくりゅ!」
「私もついて行こうかしら」
美咲の教室に行くって言ったじゃん? サリヤスと千聖もついてくるって言ったじゃん? なんかヤバない? (語彙力皆無)
「あ! 耀太先輩!」
「連れてこなくていいって言ったのに……」
「んな事言っても届かないから呼ばれたんですけど。貼り付けたらさっさと自分の教室に帰りますよ」
「窓の冊子の5センチ上に4センチ間隔で3つずつ、4面にお願いします。やれたからってカッコつけないでくださいね」
「しねーよ」
とりあえずめんどくさいから順序よく冊子の上に貼り付けて行った。画鋲は下から千聖とサリヤスが渡してくれて、有咲と美咲が場所の指示を。そんな感じで結構手早く進んだからすぐに終わった。
「これで終了っと」
「耀太先輩は書類の整理も忘れないでくださいね 」
「あーはい。頑張ります」
教室に戻るともちろん残りの仕上げ。仕上げって言ってもカフェだから生地の仕込みとかメニュー表の最終チェックとかな。しかもさ、なんかコスプレするらしいぜ? 俺は執事と魔王なんだとか。俺がいない間に勝手に決めやがって……まぁ決めたのは誰だか予想は着くんだけどな。
「ヨーター! 構って!」
「は?」
「構って構って! 今日は父上も母上も遅いから暇なの!」
「はぁ……」
放課後になって生徒会室に向かおうとした時、サリヤスに構ってって言われた。こいつと絡むとネイルとかで遊ばれんだよな。結構悪くは無いけど。
「千聖、悪い。先に帰っててくれ」
「……ええ、わかったわ」
は? マジで?
「お前、なんかあった? 具合悪かったり熱あったりする?」
「なんでもないわ。それじゃ、帰るわね」
絶対におかしい。あいつに限ってこんなにすんなり……いや、やっと分かってくれたのか。ありがてぇわ〜
サリヤスと生徒会室にきて、サリヤスに構いながら書類の整理を進める。部活動や学校行事の経費、体育館倉庫の用具などなど、単純にめんどくさいものばっか。これ全部有咲に押し付けられてたのか。逆に俺がやってよかったかもな。
「あ、耀太先輩。ちゃんと逃げずにやってるんですね」
「逃げねーよ。それにサリヤスがなんか寝てるから静かにな」
「流石に押し付けすぎたんで手伝います」
いつの間にかソファーで寝ているサリヤスに備え付けの毛布をかけて、俺は席につく。目の前には大量の書類。それを挟んで有咲が見える。
「あのー、有咲? ひとつ聞いていい?」
「なんですか」
「朝言ってた俺が忘れてることって何? 本当に思い出せないんだけど」
「だから変態なんですって」
いやそれは理不尽じゃないですか。さすがの俺でも傷つく。って言いたいところなんだけど、有咲がここまでなるって俺は相当なこと忘れてんじゃね?
「それってなんか約束みたいなもん?」
「そうですよ。3年生になったらってやつです」
3年生になったらってやつ? 全くもって身に覚えがございません。
「申し訳ございません。全くもって身に覚えがございません」
「はぁ……」
「約束だったら今できることならすぐにやるから」
「へぇ……今すぐにですか?」
「そう」
そこまで言うと、有咲は顔を赤らめた。俺に近づいてきた日菜とかましろみたいに。え、何この雰囲気。
「それじゃ私と付き合ってください」
「よく聞こえませんでした。もう一度お願いします」
「私と付き合ってください」
「今は無理です」
「ほら変態」
俺、付き合う約束なんてしたっけ。内容を覚えてないんだけど。でも、3年生になったらってことはしたのは去年か。有咲と会話……したっけ?
「内容わかんないってことで無理なんですよね。それなら教えてあげますよ……このメガネかけてこの髪型なら分かりますか?」
「2年始まってすぐじゃん! しかもあの時って有咲、不登校気味だったんだろ!?」
「それで耀太先輩が言ってくれたんですよね。『無理してやりたくないことをやる必要は無い。これでも俺は先輩だから相談だって乗るし、勉強も教えられる』って。普通初対面で言います?」
「言いません」
いやごもっともでございます。
「でもそれだけで付き合えは違うんじゃね?」
「まだ終わってないんですけど。1番忘れちゃいけないでしょ。私が学校に来るようになって初めて会った時に言った言葉覚えてますか?」
「んー……覚えてない」
「はぁ……『学校来れたんだな。いつでも頼ってくれよ』って言ってくれたんです。その時の私は自信ないから、名前も知らなかった自信満々な耀太先輩のことを少しでも知りたくて『先輩の傍にいてもいいですか?』って聞いて、耀太先輩は『3年になって彼女もいなかったらな』って返したんです」
「あーはいなるほど。俺バカだな」
3年生になっても彼女がいなかったら? 俺今3年。彼女いないです。非リアです。リアルは充実してるけど彼女がいないから非リア判定なんですけど。
「だから付き合ってください。私なら耀太先輩のこと満足させられます。別にアッチの方向でも……」
「年頃の女子が言うことじゃないだろ」
「それじゃそれ言わなかったら付き合ってくれるんですか?」
「それも別。俺ってば、結構すごいことになってるから」
ヤンデレがいて、従姉妹もいて、泣きそうな生徒会長にストーカーと天才兼天災後輩。こんなにいるのにどうしろってんだよ。今すぐなんて無理無理。
「いつまで待てばいいですか? ちゃんと3年生になるまで待ちましたよ?」
「卒業式。俺の卒業式まで待ってくれ。その日までには絶対に返事をする。顔を見て、どんな結果になろうとも俺は返事するから」
「ま、耀太先輩の周りには燐子先輩と紗夜先輩もいますもんね。それに奥沢さんまで。どれだけいても負けませんから。耀太先輩しか見てないんで」
「意外。有咲って意外と一途」
「ち、ちげーし! 耀太先輩だけなんだから! ///」
口走ったからには卒業式までには決めなきゃな。高校最後の日。それまでに決めて、返事して。俺の気持ちにもケリつけて……か。
▼▼▼▼
今日、私は耀太にどんな顔をしていればいいかわからなかった。SNSにアップされている写真も見たし、彩ちゃん達とも仲がいいし。それでも私は耀太と1番長くいる。1番長く想っている。誰よりも長く、強く。それ故に重く。耀太を誰にも渡したくない。耀太と2人でいたい。想いが重いのは彩ちゃんや紗夜ちゃんも一緒。それをうけて耀太は平然としているけど、生活の枷となっている気がしてならない。もし、枷になっているとしたら。1番は私なんだろう。だって、1番長く想っている。1番長く一緒にいるんだもの。
「私と付き合ってください」
「今は無理です」
「卒業式。俺の卒業式まで待ってくれ。その日までには絶対に返事をする。顔を見て、どんな結果になろうとも俺は返事するから」
「ま、耀太先輩の周りには燐子先輩と紗夜先輩もいますもんね。それに奥沢さんまで。どれだけいても負けませんから。耀太先輩しか見てないんで」
忘れ物をして教室に戻る途中、生徒会室の前を通っていたら中から聞こえてきた耀太と有咲ちゃんの声。耀太は有咲ちゃんに告白されていたけど、返事はすぐにはしなかった。いや、きっとできなかったんだわ。私がいるから。耀太のことは私がよく知っている。自分のことより相手のことを先に考えて自分自身を押し殺す様な時がある。まさにそれが今、目の前で起こっていた。私がいなければきっと今頃誰かと付き合っていたのかもしれない。彩ちゃんやイヴちゃんかもしれない。紗夜ちゃんやサーリャちゃん、日菜ちゃんや花音だったり。そうなったとして、目の前で耀太と誰かが一緒にいたとしたら私はきっと耐えられない。
「もう、どうしていいのか分からないわ。自分に正直にあるべきか。耀太のことを考えるべきか……いつも通りの白鷺 千聖を演じていてもバレたのだし」
平然を装っていても耀太にはバレた。本当はあそこでキスでもしてワタシのモノだっていうことをアピールしたかった。でも、それは耀太にとっての枷になる。鎖として耀太を引き止めることになる。
私は私の想いと耀太のことを考えながら、夕焼けに照らされながら1人、帰り道を歩く。いつもなら隣に耀太がいた。私にとってはそれが当たり前。耀太が隣にいて、ワタシのモノで当たり前。それが耀太にとってはどんなことかも知らずに。気づけば自然と頬を一筋に雫が道を作っていた。理由は分からない。自分自身がどうしたいのかすらも分からない。きっと、演じきれていない白鷺 千聖が流した涙だったんだろう。そう思って道を歩いた。
え、なにげ千聖さんが葛藤してるって?
有咲が耀太のことを好きだったって?
花咲川に帰ってきた瞬間すごいことになってた笑笑
しかも彩には首締められるしね。耀太、The苦労人って感じがするよ。
さてさて、最初は5話で終わるとか言ってた文化祭編が準備までで5話も使っちゃいました(・ω<) テヘペロ
なんで次回からは文化祭本番。また学校ごとに分けていこうかと思います。
これ押せば感想欄にとべます。
来たら投稿頻度上がります。いや、上げます
https://syosetu.org/?mode=review&nid=217756&volume=1