俺の幼馴染みはヤンデレです 作:太公望
テスト期間で投稿出来ませんでした。
投稿してなかったのに学年3位とかいうナメクジ順位でした。悲しいので頑張りました。
夜が明けて、窓から差し込む朝日に照らされて目が覚める。今日は日菜も紗夜もいない。めっちゃ平和な朝ですわ。っていってもこれから月ノ森に行くんですけど。それでもいつもと比べたら比較的に平和かな。
朝飯を食べて、手短に準備を済ませて自転車を取りに行く。月ノ森は普通に考えて遠い。距離的には花咲川の1.5倍ぐらい(体感)あるから歩くのは嫌だ。めんどっちいし、チャリを使えばパレオからも彩達からも逃げ切れる自信がある。
「さぁて、さっさと行くか」
「あ、よー、先輩……」
「ましろ? どうしたんだよ。こんな朝っぱらから俺の家の前なんかで」
玄関のドアを開けると、目の前にマフラーをしたましろが立っていた。あれ、家の場所教えたっけ?
「そ、その……七深ちゃんからよー先輩のお家の場所聞いて、家が近かったから一緒に行こうかと……」
「てかずっと待ってたわけ!?」
「多分……30分ぐらい?」
「うっそだろ」
こんな寒い中30分とか……普通にインターホン押せばよかったやん。
「インターホンおそうと思ったんですけど、いないかもしれなかったし、まだ寝てるかと思ったし……」
「あー、なるほどね。中入ってていいよ。すぐに準備するから」
そういって俺はましろを家に入れて準備をした。準備って言っても、制服は半分着てるからちゃんと着て、寒くないように上着とネックウォーマーするだけだけどな。まぁ弁当は……食わなくても何とかなる。
「うし、待たせたな。行くか」
「は、はい…!」
家から出て、俺はましろと2人だから自転車はやめて徒歩で月ノ森への道をいく。朝はちょっと霧がかかってて、吐く息も白くなるほど寒い。あーあ、手袋してきた方が良かったかな。
「よー先輩……?」
「どした?」
半分ぐらい行った所にある信号に引っかかって止まった時、俺はましろに話しかけられた。
「そ、その、文化祭って誰とまわるかって決まってますか? よかったら一緒にまわりたいな……って///」
「別にいいぜ。見回り終わり次第だけど暇だし」
尚、彩たちに絡まれなかったらの話であるが。
月ノ森に着くと、ましろはライブの準備があるって言って体育館に向かっていった。それで俺はどうするかって? めんどくさいけど生徒会室に向かいました。
「おっす。おはよ」
「ごきげんよう。朝早いんですね」
「まぁな。早起きは三文の徳って言うじゃん?」
そんな年寄りくさいことを言いながら話し込む。話すって言っても今日の予定だけどな。
「そろそろ時間ですね。Morfonicaのライブが始まるので体育館にご案内します」
「悪いな。仕事はきっちりとやり遂げるよ」
体育館の中に入ると人が多いこと多いこと。その人ごみを掻き分けて舞台裏に行くと、既にステージ衣装に着替えたましろ達がいた。ってことは必然的に……
「よーちゃんっ♡」
「ですよねー」
「広町さんはいつもそうやっているの? 真宮さんの迷惑を考えないのかしら」
七深に抱きつかれると、透子曰く、『正論爆撃機』こと、ヴァイオリン担当の八潮 瑠唯が話しかけてきた。
「だって私とよーちゃんだよ? 従姉妹だし、好きな人だから当然だよ〜」
「だとしても、周りの目は気にしないの? 貴方はともかく、真宮さんはこれでも芸能人なのよ?」
「そうそう。まぁ時と場合を考えればやってもいいけど」
「そうやって広町さんを甘やかしている真宮さんにも問題があると思います」
マジで正論爆撃機って言われる理由がわかったわ。なんか精神的にグサグサ刺さったよ。
「みんな! そろそろ時間だよ!」
「だって〜。また後でね〜」
「はいはい。ましろも頑張ってこいよ」
「は、はい!」
ライブが始まると普通に凄かった。キーボードがいないからどうなるかとは思ってたけど、そこは八潮のヴァイオリンの技術で遜色なくカバーした。
それに続いて透子が少しあどけない音でギターを鳴らす。このあどけない音の中でも、華やかさや気品さがあり、さすがお嬢様学校のバンドって感じがする。
透子からアイコンタクトを受け取った七深がギターのあどけない部分を、持ち前の天才肌を発揮してカバーしつつ、自分の見せ場もしっかりと決めきった。
そして3人の音を支えるドラムのつくし。技術面では麻弥には劣ると思うが、3人が安心して音を出せてることから、絶対的信頼を置いてることが分かる。まぁさすがリーダーってとこだな。身長のことは置いておいて()
そんな音をまとめて引っ張っていくのがボーカルのましろ。いつもオドオドしてるのがましろなのかって疑いたくなるぐらい自信に満ち溢れた歌声。
音楽なんてやってない俺が言うのもなんだけど、パスパレのマネージャーとしてかなりのバンドを見てきたから言わせてもらう。実際のところ、細かい部分での指摘はかなり多い。でも、俺はMorfonicaの音は結構好きだな。華やかさも気品さもあって、めっちゃいい雰囲気だし、この5人だから出せる音なんだって感じがする。まぁ音楽やってない語彙力皆無の俺が言えるのはこのぐらいだけどな。
「疲れたぁ〜」
「よーちゃんご褒美ちょうだ〜い」
「なにも持ってねーよ」
「撫でてくれるだけでいいから〜」
「はいはい」
そうやってねだってくる七深を俺は渋々撫でた。なんていうか、もう少し空気を読んで欲しい。だってさ、ライブ終わったばっかだぜ? そこら辺が気色悪いから苦手なんだよ。
「よー先輩……?」
「ん? どした?」
「私も、して欲しいです」
「いえばやるってんの」
「えへへ///」
ちょっと雑めにわしゃわしゃとしてみた。さすがに髪が崩れるからやらかしたと思ってたけど、満足気だからよかったんだけどさ。
ましろ達はクラスに戻り、俺は学校を見回りということでブラブラしてる。ましろとの待ち合わせはあと1時間後。俺がましろのクラスまで行くんだよな。だって、じゃないとましろが迷いそうで怖いから(過保護になってます)
「あ! ヨウタさん!」
「耀太先輩じゃないですか〜」
「美咲とイヴじゃん。逃げていい?」
「逃がさないデス!」
時間が近くなってきたからましろのクラスに向かう途中、ハグに見せかけた関節技を決めてこようとするイヴを止めながらため息をつく。美咲もやれやれ、と言いたげにため息をつく。やっぱそうなるよなぁ〜
「一緒に文化祭回りましょう!」
「今1人ですか? よかったら一緒にどうです?」
「あー、えーとさぁ……」
どうしよう。ましろが来るって言うと美咲はともかく、イヴが何をしでかすか。こんな所でされたら……嫌な予感しかしねーなおい。
「あ、よー先輩」
「ましろ? ……いいこと思いついた!」
「ふぇ?」
そういって俺はイヴから離れてましろの肩を掴んで自分の方へ抱き寄せた。
「悪いな。今日は先客がいるんだ」
「ちょ、先輩……///」
「耀太先輩だいたーん」
「ヨウタさん? ワタシがいるんですよ?」
こうしてもダメなのかよこら。よし、こうなったら最終手段だ。
「さてさて、そんなイヴにご報告。ここになんと俺のハンカチがあります。しかもさっき汗拭いたから匂いついてるぜ?」
「くださいください!」
「んじゃ取ってきな〜」
取り出したハンカチをちょっと遠くに投げると、イヴはそれ目掛けて一目散。いや速いこと速いこと。
「んじゃ、俺行くわ」
「お気をつけて〜」
あとはましろと一緒に回るだけで今日が終わる。めっちゃ体に優しい日で何より。
▽▽▽▽▽
ライブが終わって、私たちはクラスに戻ってきた。戻ってくるや否や、クラスのみんなからの大盛況。ライブ頑張った甲斐があるね。
「あ! そうだ! シロってさ、シフト終わってからとか空いてたりする?」
「終わってから? よー先輩と一緒に回る予定だけど……」
「マジ!?」
私がそう言うと、透子ちゃんだけじゃなくてクラスのみんなが驚いていた。なにか不味いことしたかなぁ……
「シロ、悪いことは言わないから何かあったら上目遣い!」
「ましろちゃんならきっと大丈夫だから!」
「えぇ〜???」
仕事をやっている間にも、他の人からも「危なくなったら抱きついて!」とか「何か買ったら食べさせあってね!」とか言われたりして何が何だかもう…… でも、お母さんにも手伝ってもらって少し多めにお弁当作ってきたから一緒に食べれたらいいな。
「あと10分で時間だ……」
「あたしが代わりにやっておくから早く早く! 耀太先輩と楽しんできて!」
「え、でも『いいからいいから♪』……うん」
時間になってないのに透子ちゃんに押される形で着替え始めた。撫でられてわしゃわしゃになっている髪の毛を整えて、制服のボタンをちゃんとつけたのを確認して教室を出た。ちゃんとしてなきゃよー先輩の前に出られないよ……
「あ、よー先輩」
教室から出ると、待ち合わせの時間前なのによー先輩は待っていた。というよりも、若宮先輩になにかされてて困っていたって言った方がいいのかな?
「ましろ? ……いいこと思いついた!」
「ふぇ?」
よー先輩は私のことを見つけた瞬間、何かを思いついて私の肩を掴んで自分の方に抱き寄せた。
「悪い。今日は先客がいるんだ」
「ちょ、先輩……///」
先輩の手はすっごく大きくて、ちょっとした切り傷とカサブタがあってザラザラしてた。それでも何故かすごく安心できる。抱き寄せられた時に少しよろけちゃったけど、先輩が抱きとめてくれたし、先輩の匂いがすごくいい匂いで……もう何が何だかわからなくなってきちゃった。
「ましろ、行こうぜ……ましろ?」
「うぅ……」
「あれ? よー先輩…?」
「起きたか。具合は大丈夫か?」
「具合……あ、大丈夫です///」
先輩の声で私は目が覚めた。そこは生徒会室のソファーのひとつで、よー先輩だけじゃなくて桜弥先輩もいた。そっか、先輩に抱き寄せられて倒れちゃったのか……
「耀太さん、あなたは倉田さんに何をしたんですか?」
「言わなきゃダメ?」
「まぁ琴美さんに免じて今回は無罪放免です。今後、我が月ノ森の校舎内でこのような事がないように」
「ハイ」
私が倒れちゃったのが悪いのによー先輩が怒られてる……申し訳ないな。
「ところで倉田さん、今回はあなたから耀太さんのこと誘ったのですよね?」
「そ、そうですけど……」
「耀太さんのお母様、琴美さんからの伝言です。『うちの耀太は押しに弱いからとにかく押して押して押しまくれ!』だそうです」
押して押して押しまくれ? 私なんかにできるかな……
「あ、ありがとうございます」
「私も陰ながら応援していますよ。あなたの恋路に花が咲きますように」
「こ、恋路だなんて///」
恋路と言われても、私がよー先輩の事を好きになっていいのかな……。七深ちゃんと従兄弟だし、よー先輩の周りには私なんかより可愛い子がいっぱいいるから私なんて……。そもそも、私自身がよー先輩のことを好きなのかどうかも分からないのに……
「私も自分のクラスの出し物がありますのでしつれいします。どうぞおふたりでごゆっくりして行ってくださいね」
「ありがとよ」
桜弥先輩にお礼を言っているよー先輩の横顔。私にはもったいないぐらいにカッコイイな。
「あ、そういやさ、ましろが持ってたこれって何だったの?」
「そ、それは……お弁当、です。ちょっと多めに作ってきたんでどうですか……?」
「昼飯買ってないしな。うん、少し貰うよ」
お弁当箱を開けると、生徒会室の中に美味しそうな匂いが広がって行った。中身は定番のハンバーグや卵焼き。それに加えて七深ちゃんから聞いたよー先輩の好きな漬物を少し。喜んでくれるかな?
「そういや、箸ってある?」
「え、箸ですか? えーと、あれ…1つしかない……」
忘れてきたかと思い、お母さんの連絡先を開く。そこには私が連絡するのを見越したように『箸は1膳しかいれてないです。好きな人と食べさせあってください♡』って連絡が来てた。
「わ、忘れてきちゃったみたいです……」
「まーじか」
「で、でも! 私が食べさせてあげます! 毎日疲れてるし……さっきまで見回りしてたし……!」
好きなのかどうかは分からない。けど、胸のあたりがすごいモヤモヤしてて分からなくて……よー先輩と一緒にいる時だけはそれが無くなるから、もっと近づけば分かるのかな。
「口、あけといてくださいね?」
「あ、あーん」
よー先輩のあいている口の中に卵焼きをひとつ入れる。ちょっと甘めだけど大丈夫かな? それより、こういうのって付き合ってからするんじゃ……
「味の方は大丈夫ですか?」
「めっちゃ美味いよ。毎日食べたいぐらい」
「あ、ありがとうございます!」
「んじゃ〜今度は俺の番だな」
今度は立場逆転して私が食べさせてもらう側になった。なんだかむず痒いな。
お弁当箱の中身が無くなるまで、私とよー先輩は食べさせあっていた。よー先輩は気づいてないかもしれないけど、同じ箸使ってるから間接キス……だよね? 高校生なのにしちゃった///
「うし、とりあえず回るか」
「は、はい!」
その後、私とよー先輩は2人で時期外れのかき氷やおいしいクレープを食べ歩いたり、お化け屋敷などを回って行った。お化け屋敷ではあまりにも本格的に作ってあったのでついよー先輩に抱きついちゃって……迷惑かけちゃった……
「耀太さん、倉田さん、いいところに来ましたね」
「ん? いいところってどしたんよ」
「話は中でぜひ」
桜弥先輩のクラスの前に来ると、桜弥先輩が出てきて私とよー先輩を中に連れていった。
中に入るとオカルト的なものがいっぱい飾ってあって、中央に『みっちゃんの占い』と書いてある看板があった。
「私のクラスに占いができる人がいるんです。おふたりもどうですか?」
「せっかくだしやってみっか」
「よー先輩がやるなら私も……」
案内された席に座ると、前には桜弥先輩のクラスの人が座っていた。
「えーとね、そっちの男の子!」
「俺?」
「そうそう! 君は色々と大変そうだね。沢山の人から色んな感情を向けられている。その感情の根源と行き着く先は一緒だけれど、その道はどれも違っている。真っ赤な血に染められた道。歪みに歪んで今にも壊れそうな道。まっすぐ綺麗な道。心当たりは?」
「いや心当たりしかないです、はい」
沢山の人から向けられている感情は私でも何となく予想できる。それは『好き』という感情。私も持っているのかは分からないけど、持ってもいいのかな。
「それでそっちの女の子は〜、なかなか面白いね」
「?」
「今は真っ白でどの色にも染まれる。だけど、端の方からひとつの色にだんだんと浸食されて行っている。こっちは心当たりある?」
「たぶん、なんとなく……」
私が染められていくのはきっとよー先輩の色に染められているんだと思う。最初にあってからずっと頭の中から離れなくて、いつの間にかよー先輩と。って考えてたり、虹を見たり、何かいいことが起きる度に最初によー先輩に伝えたくなる。
「だけどまだ芯の部分は迷ってるみたいだね。転機が訪れるのは今年中、その中でもクリスマス前後。あ、でもお正月がすぎたらキツくなりそうだからがんばってね!」
よー先輩との一日はあっという間に終わってしまった。時間は5時を過ぎようとしていて、月の光が雲ひとつない空から絶え間なく降り注ぐ。吐く息も白く、手が悴んでくる。
「今日はありがとな。どうせ俺も1人で暇だったし、楽しかったよ」
「わ、私こそ楽しかったです!」
ニカッと笑いながらよー先輩はそういった。その声を聞く度に胸の鼓動が高鳴って呼吸が早くなっていく。
「そんじゃな。気をつけて帰れよ」
「あ……ま、待ってください!」
離れたくない。もう少しだけ、もう少しだけでいいから一緒にいたい。迷惑かけるかもしれないけど、我儘を言いたい。
「一緒に帰ってもいいですか?」
「家近いんだもんな。暗いし送っていくよ」
私の我儘でよー先輩と帰り道を歩く。横の道では車が走り、人が家に帰っているであろうことがうかがえる。私もよー先輩も家に帰っている。家に着いたらもう1人。次会えるのなんていつか分からない。でも、よー先輩のことをもっと感じたい。
「あ、あの……手、繋ぎませんか? 寒いですし……」
2つ目の我儘。こんなに我儘をいうなんて私はなんて悪い子なんだろう。そう思うけど、よー先輩にだけは我儘を言ってしまう。
「そうするか。確かに悴むしな」
そんな我儘を気にもとめず受け止めてくれる。手を繋ぎ、よー先輩を感じていると胸の鼓動が高鳴る。呼吸が早くなっていく。この時間がずっと続けばいいのに。そんなことが出来ないことがわかっていても、そう願ってしまう。
家の前に着いたけど、まだ手を離したくない。ずっと繋いでいたい。よー先輩を感じていたい。でも、それは出来ないと諦めて手を離す。
「今日はありがとうございました。とっても楽しかったです!」
「俺もだよ。じゃあな」
「おやすみなさい」
よー先輩の後ろ姿を見送った。見えなくなったところで、私も家に入ろうとしてドアノブに手をかける。酷く冷えたドアノブ。よー先輩の暖かい手とは違う。
その時、私の中のモヤモヤの答えが出てきた。あのモヤモヤはきっとよー先輩の事が好きだってことを隠していたんだ。あんなに暖かくて優しいよー先輩のことを好きになってしまった。数回しかあっていないけど、もっと知りたい。もっと感じたい。もっと話したい。もっと一緒にいたい。
私は自分に自信が無い。でも、これだけは自信を持って言える。
「よー先輩、大好きですよ」
よー先輩のことが好き。単純な事だけど1番大変なこと。伝えなくちゃ……頑張れ私!
長すぎた笑笑
ましろが健気すぎてちょっと感慨深いです。
自分に自信がないけど、自分の耀太に対する思いだけは自信を持って言えるなんてかっこよすぎですやん笑笑
最終日はわかってますよね?
そう、花咲川です。
後夜祭のダンスもあるし? サーリャも千聖さんもいるし? 耀太……文化祭最終日だ。気張っていけや!