俺の幼馴染みはヤンデレです   作:太公望

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穴があったら入りたいほどの失態を冒したので、掘って穴に入って書いてきました。もちろん病み度1000%です(ZAIAクオリティ)


38話 千聖のしたいこと

 文化祭の次の日、耀太は学校に来なかった。体調不良で欠席と言っていたけれど、私には本当の理由がわかる。

 

 昔もこんなことがあった。中学生のころだったかしら、私と耀太が喧嘩してそのまま家に帰った。次の日学校に行ってみると耀太の姿はなかった。その日は水曜日だったのに、次の月曜日まで学校に来なかった。心配して家に行ってみたら耀太のお母さんが『理由も言わずにずっと部屋で泣いてるの。ご飯も食べるし、お風呂も入るんだけど学校にだけは行きたくないって……』って言っていたわ。

 

 私がしたことは何気ない喧嘩だった。だけど、耀太からしてみれば何気ないことなんかじゃない、本当に重大で大きなものだった。

 

 いつもヘラヘラしてて、いざとなると頼りになる耀太だけれど、本当の耀太は全然違う。自分のことを後回しにしているのは弱い自分を隠すため。人に頼るしかできない弱い自分を隠そうとして、少しでも強い自分を演じているの。

 

「ヨータ、大丈夫かな……」

 

「パスパレのレッスンも休むって連絡きたって麻弥ちゃんが……」

 

「そう……ここ最近頑張りっぱなしだったから疲れでも出たのかしらね」

 

 嘘をつきながら学校が終わる。燐子ちゃんも紗夜ちゃんも耀太のことを心配しているようだった。それもそのはず。2人が生徒会で耀太と一緒に仕事をしていたんだもの、耀太の仕事量は私よりわかってるはず。でも、今の私にはそんなことはもう関係ない。だって耀太のことは諦めたんですもの。

 

 

 

 パスパレのレッスンをするために事務所に来たんだけれど、今日はどうも様子がおかしい。いつもなら遅刻ギリギリに来るはずの日菜ちゃんが私より早く来ているし、麻弥ちゃんとイヴちゃんはソワソンしている。そして何よりおかしかったのは彩ちゃんの様子だった。いつもなら明るく振る舞う彩ちゃんなのだけれど、今日はやけに静かで暗かった。

 

「おまたせ。レッスン始めましょ?」

 

「あ、あのね……」

 

「どうしたの、彩ちゃん?」

 

「う、ううん。なんでも、ないよ……」

 

 今日は耀太が作ってくれていたメニュー表通り、ダンスレッスンから入った。その中で私は何度も何度もミスをした。腕のふりが一瞬遅かったり、前に出す足が逆だったり……いったいどうしたのかしら。

 

「千聖さん、大丈夫っすか? ミスも多いし、具合悪いなら休んだ方が……」

 

「大丈夫よ。体調は悪くないし、逆に絶好調よ?」

 

「な、ならいいんすけど……」

 

 麻弥ちゃんが言葉を濁したけれど、私はそれを気にせずに次のレッスンへ移った。次は演奏のレッスンで、近々あるバラエティ番組で演奏することになっている2曲を練習した。

 

 曲の練習中にも私はまたミスをした。何度も何度も、簡単な所なのに、いつもならできる所なのにミスを繰り返す。耀太がいないなら私がいちばんしっかりしてなきゃ行けないのに、なぜだか全てが上手くいかない。

 

「千聖ちゃん……」

 

「ごめんなさいね、番組で披露するのが近いからちょっと焦っちゃうのよ」

 

「千聖ちゃんの嘘つき」

 

 レッスンが始まってから一言も言葉を発さなかった日菜ちゃんが初めて発した一言がそれだった。私が嘘つき? 一体何について嘘をついてるのよ。

 

「嘘なんかついてないわよ? 体調悪くないし、番組が近いのもあるでしょ?」

 

「だって今日の千聖ちゃんはるんっ♪ てしないんだもん。よーくんがいないから練習できないの? 今から電話してきてもらう?」

 

「そこまでしなくてもいいわよ。私なら大丈夫だから……ね?」

 

「私だってわかるよ? 学校で1日ずっと暗かったもん。それに耀太君も今日いないし、昨日の後夜祭で耀太君と一緒に踊ったのって千聖ちゃんでしょ? もしかして……耀太君と何かあった?」

 

 嘘をついているつもりはなかった。暗くなっているつもりもなかった。なのに、日菜ちゃんと彩ちゃんは分かっていた。まただわ、耀太の時みたいに隠し通せていない。演じきれていないのよ。もうこうなったら話すしかないわね。

 

「彩ちゃんの言う通りよ。昨日の後夜祭で私は耀太と踊っていた。そして……私は耀太を諦めるって言ったのよ」

 

 私の一言にみんなが驚いた。それもそのはず。私がいちばん耀太のことを好いていたし、誰よりもずっと一緒にいた。でもそれも今はどうでもいいこと。耀太は諦めたんだもの。

 

「私、耀太にずっとくっついていたでしょ? お泊まりの時だって、ロケの時も収録の時もずっと耀太と一緒。それで耀太の迷惑になってたんじゃないかって。それに、私は耀太のこと好きじゃなかったみたいだから」

 

「千聖ちゃんは……それでいいの?」

 

「これでいいのよ。だって私は耀太のことが好きじゃないのよ? 一緒にいる必要がないじゃない」

 

「千聖ちゃんってこんなに嘘下手だったっけ? 全然るんっ♪ てこないし、嘘ついてるのバレバレだよ?」

 

「嘘なんてついてないわよ!」

 

 日菜ちゃんの言葉に苛立ちを覚えてつい大きな声を出してしまった。その声でみんなはビクッとして怯えていた。落ち着きなさい千聖、諦めたんだからもういいのよ。

 

「千聖ちゃんが耀太君にやってたこと迷惑なら私がやってたことも迷惑でしょ? 私も耀太君のこと諦めなきゃダメになるの……?」

 

「彩ちゃん、それは違うわよ。私は耀太といちばん長くいるもの、耀太にとって迷惑だったのは私だけよ」

 

「あーもう全然るんっ♪ てしない! 千聖ちゃんの嘘つき!」

 

「嘘なんてついてないって何回言えばわかるの?」

 

「じゃ、じゃあ、なんで泣いてるの……?」

 

 彩ちゃんに言われて自分の頬を触ると、確かに涙が流れたあとがあった。そして触っている指の上にも涙が流れてくる。

 

「なんで、なんでよ……とまって、止まりなさいよ!」

 

「耀太君のこと、諦めきれてないんでしょ? まだ耀太君のこと好きなんでしょ……?」

 

「そんなわけない! 自分の意見を言えないくせに人の意見をまとめるのだけは人一倍上手くて、いっつも誰にでも優しく接して、ヘラヘラしてるのに頼りになって、本当の自分を見せようとしない男は嫌いよ! 大嫌い! バカでクズでマヌケで自分のこと押し殺して……とにかく嫌いよ!」

 

 私の中で最大限の罵倒を口にする。耀太のことを諦めたんだからどれだけ罵倒しても心は痛まないはず。なのに、一言口にする度に心臓が苦しくなって呼吸が出来なくなる。頭が痛くなって涙が止まらなくなる。

 

「嫌い、嫌い……大嫌い……耀太なんて嫌いよ……」

 

「よーくんのこと1番わかってるの千聖ちゃんじゃん。悪口言ってるつもりだけど、全部よーくんのいい所だよ? 

 

 ヘラヘラしてるのに頼りになるのは私たちみんな知ってるでしょ? 今日やったメニューだってよーくんが考えてくれたものだし、番組に出れるのだってよーくんがプロデューサーに掛け合ってくれたからだよ? 

 

 それに、よーくんが自分のこと押し殺してるっていうなら今の千聖ちゃんも一緒だと思うけどな〜。よーくんが好きなのに嫌いって言って、自分に嘘をついて自分を苦しめて。よーくんをバカにしたいのにいいことしか出てこなくて。

 

 それだけよーくんのこと考えてあげられるんでしょ? それだけよーくんのことが好きなんでしょ? なら我慢するに必要なくない? 

 

 よーくんは嫌ならちゃんと嫌だっていうし、ダメならちゃんとダメだって言ってくれる。でもそれを千聖ちゃんは1回でも言われた?」

 

「言われてないわ……」

 

「でしょ? ならよーくんにとって、それは嫌じゃなかったんだよ。この前、よーくんが羽丘の生徒会室で休んでる時に勝手にスマホのフォルダ見ちゃったんだけどさ、あたしたちパスパレの写真とか予定表とかでいーっぱいで、よーくん自信が写ってる写真なんか全然なかったんだ。

 

 でもね、その中でもちょーっとだけよーくんが写ってる写真があったの。それはね、みんなで撮ろって言った記念写真。それと……千聖ちゃんと一緒に写ってる写真だよ」

 

 それを聞いた瞬間、私は驚くことしか出来なかった。記念写真があるのは何となくわかる。だけど、なんで私と一緒に撮った写真があるのよ。最後にとったのは中学生のときでしょ? その時はスマホなんて持ってなかったじゃない。

 

「だからさ、きっとよーくんも千聖ちゃんのこと好きだったんじゃない? 千聖ちゃんのことが好きだったけど、あたしとおねーちゃんが告白したり、七深ちゃんも燐子ちゃんもよーくんのこと好きでしょ? 

 

 よーくんは誰にも迷惑をかけたくないし、誰にも泣いて欲しくないっていってた。だから千聖ちゃんに好きだって言えなかったんだよ。それで、一緒に踊った後に言おうとして……千聖ちゃんに先に言われてって感じだと思う。

 

 でもさ、よーくんってモテモテだからあたしも返事してもらえてないんだよね〜。『卒業式までには返事する』って言ってくれたから、それまであたしを好きになって貰えるように頑張るけどさ」

 

「私が……耀太と一緒にいてもいいの? 好きになってもいいの?」

 

「そんなルールはあるわけないデス! 大好きな人と一緒にいたいって思うのが当たり前デス!」

 

 当たり前、そんなことを言われてハッとした。耀太と一緒にいるのが私にとっての当たり前。だとしたら、耀太は私といるのが当たり前だった。耀太が本当に嫌ならすぐに拒絶するって1番知ってるのは私なのに……どうしてこんなことに気づけなかったのかしら。

 

「わかったわ……もう1回、ちゃんと耀太の顔を見て話してみるわよ」

 

「そうなったら千聖ちゃんとライバルだもんね! 私だって耀太君に告白したんだから!」

 

「ワタシもデス!」

 

「あたしもだもんねー!」

 

 もう……みんながみんなライバルじゃない。

 

「麻弥ちゃんはよーくんのこと好きじゃないの? よーくんと話してる時はいつもよりるんっ♪ てしてたけど」

 

「じ、ジブンなんて皆さんと比べたら途方もなく地味でダメなので耀太さんには全然釣り合わないって言うかなんて言うか……」

 

「でも好きなんでしょ?」

 

「likeよりもLoveの方で……」

 

「なら麻弥ちゃんもライバルだ! パスパレみーんなライバル! すっごくるんっ♪ てくるよ♪」

 

 麻弥ちゃんまでって……まったく、日菜ちゃんのペースに乗せられたらみんな勝てないわね。

 

「みんなライバルなら負けないわよ? 耀太のことを1番知ってるのは私なんだから♪」

 

「ズルいズルい! 耀太君のちっちゃい頃の話聞かせてよ〜!」

 

「千聖ちゃんもるんっ♪ てきてるよ♪」

 

 わかったわ。もう自分に嘘はつかない。私は耀太のことが好き、大好き、私のモノにしたい。歪んでても歪でもこの思いは正真正銘ホンモノよ。だったらこれを全力でぶつけるだけ。手段はちょっとあれだけどね♪ 

 

「ごめんなさいね。私、耀太のところにいってくるわ」

 

「うん、行ってらっしゃい!」

 

 行くなら夜、耀太の家に行って、ちゃんと耀太の顔を見て言うのよ。この思いの全てを全力でもう一度ぶつけるの。もう二度と自分に嘘はつかない。もう二度と……耀太のことは諦めたりしないんだから♡




このあと千聖さんはどうなるんでしょうね〜。そしてパスパレがライバルとか( ゚∀゚)・∵ブハッ! エグすぎですやん笑

今度はちゃんとしたヤンデレです(ちゃんとしたとは?) 早いうちにあげると思うので、頑張ります。

あと、クリスマス回のやつ絶対遅れます☆年内には書きあげるので(本編として)ご容赦ください_|\○_
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