俺の幼馴染みはヤンデレです 作:太公望
「あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」
「こういう時だけかしこまっちゃってどうしたのよ。日菜ちゃんを見習ったら?」
「あけおめことよろ〜!」
「いや、さすがにあれはバカすぎる」
現在、1月1日、元日の朝6時でございます。俺たちは初日の出を見るために寒い中庭に出ていた。もちろん初日の出を拝めたが、その代償として体の芯までの凍りつくような寒さの中で待つという苦行を強いられた。
「さてさて、元日といえばお餅よお餅! 早速食べましょ〜♪」
「餅自体はあるけどつけるものないんですが」
「それなら安心しなさい。きな粉にずんだに特製醤油と海苔! ついでに高級納豆とおばあ様のあんこがあるわよ!」
「あんこは全部俺のな」
「あたしも食べますー」
子供みたいに舌を出した母さんに俺は呆れる。だってばあちゃんのあんこはめっちゃ美味いんだもん! 甘さもちょうどいいし、舌触りも滑らか……考えるだけで最高。
「こ、こんなに沢山……」
「美味しそうだけれど、食べ過ぎは良くないわよ?」
「適当に焼いておくからお好きにどうぞ。雑煮も直ぐにできるから」
「やっぱり元日はこうじゃなくちゃね〜」
まったく、母さんは料理しないし、父さんは車の準備してるからいないし、千聖達はもう食ってるし……俺も早く食いたいんですけど。
「耀太、あんた毎日自分で料理してんのにこれぐらいしか出来ないの? 味はともかく見た目が雑よ?」
「家で食う分には申し分ない程度だと思いますが」
「しょうがないわね、ちょっとキッチン貸しなさい!」
母さんはそう言ってキッチンにたった。いやいつぶりだよ、母さんの料理食うとか。
「さてさてさーて、あたしにまっかせなさい☆」
そういいながら切り餅をいくつか切り始めた。切り終えたものを耐熱容器に牛乳、砂糖、チョコレートと一緒にいれてラップをかけて電子レンジにかける。そして取り出したものに片栗粉を入れてまた電子レンジ。柔らかくなってきたところで取りだし、ホワイトチョコを割って、それを包む。そしたらまたまた電子レンジに直行。そうして出来上がったものにココアパウダーをまぶして完成したらしい。
「どーよこれ。普通の餅じゃつまらないから大福っぽくして、中身はホワイトチョコ。そんでもってココアパウダーふりかけて色もちょうどいいでしょ♪」
「んふ〜♪ ひゅっごくおいひい!」
「ホワイトチョコとココアの味がちょうどいいっす!」
「この写真、SNS映えしそう……」
「そんじゃ夕飯もその調子でよろしく」
「あ、夕方にはまた日本たつわよ? 今度はオーストラリアでファッションショーなのよね〜」
流石に早すぎると思うが、それが仕事ならしょうがない。千聖達がいるんだからまた泣きつかなきゃいいけど……無理な話か。
そして元日にすることで優先度が1位のことをするために神社に来た。なにかって? そんなの決まってんだろ、初詣だよ。俺は寒くないように適当な洋服の上に厚めのコート着てきたんだけどさ……
「じゃじゃーん! どう? るんっ♪てきた?」
「これぞ日本の風物詩です!」
「1度着物きてお参りしたかったんだ〜♪」
見事に全員着物着てやがる。しかも揃いも揃って母さんが見繕ったらしいじゃん? まぁ似合ってないことは無いんだけれども、寒いと思うのは俺だけでしょうか。
「ったく、こんな寒いのによくそんなの着てこれるよな」
「あ! あたしおみくじ引いてくる!」
「ちょ、ちょっと待って日菜ちゃん!」
「ほらほら、あたしらもいくよ〜」
「わ、わかってるから引っ張らないで!?」
日菜が騒ぎ出し、彩と千聖とイヴがついて行く。それをみた母さんも父さんを引っ張ってどっかに行った。そして残ったのが……
「の、残っちゃいましたね」
「アイツらがアホなだけだろ。さて、どうするか……」
完全に出遅れたし、どこに行ったか知らんし、人めっちゃ多いし……この時間なら少しは空いてると思ったけど、それが間違いだったみたいだな。今の方が人来るみたいだわ。
「考えててもしょうがないか。時間かかるからさっさとお参り済ましちまおうぜ」
「そうっすね。ってうぅ……寒いっす」
そういいながら麻弥は寒さで赤くなっている両手を擦っていた。はぁ……めんどくせぇな。
「手、繋いどこうぜ。どうせ寒いだろ。俺、別にそういうの気にしないから」
「え、い、いいんすか?」
「その方がはぐれなくて済むだろ。ついでに、そのまんまだとまた千聖に言われるぞ?」
「じゃ、じゃあお言葉に甘えて……」
麻弥と繋いだ手をコートのポケットに突っ込んで、本殿まで続く長い列に並ぶ。しっかし、めっちゃ並んでるな。やっぱし元日の初詣ってことだからだよな。こうやって見るとカップルとか……ん? カップル? カップルって手を繋いで、一緒に初詣が定番だよな……今の俺と麻弥の状況と見事にベストマッチ? しかも高校3年だし、麻弥は着物とかどっかの天才物理学者も驚くぐらいのベストマッチじゃないすか? えぇ!? 千聖たちに見られたらヤバいって……もういいや、開き直っちまうか?
「耀太さん、ジブンの着物姿って……どう見えます?」
「麻弥の着物姿?」
俺の思考回路がショート寸前に陥った時、麻耶が話しかけてきた。そのおかげでショートしなくて済んだけどさ、いきなり何? 麻弥が今来ている着物は和風柄の黒色。和風柄って言っても、めっちゃ昔の貴族が着てそうなやつで、どことなく大人っぽく見えてくる。なんていうか……奥ゆかしい? って表現であってる気がする。ったく、母さんのファッションセンスには頭が上がらないんだよな。
「似合ってる気がするけど。いつもより大人っぽく見えるって言うかなんていうか……まぁそんなとこ」
「フへへ、ありがとうございます」
その後も適当な話をしていると、あっという間に本殿の目の前に。神様へのお願いか〜。
「去年1年間ありがとうございました。今年も1年間よろしくお願いします」
「お参り終わったんでお守り買いに行きませんか?」
「そうするか」
ということで売店に来てみましたね。今度は並んでないみたいです。あー良かった、並ぶの嫌い()
「何買うか……とりあえず安全祈願かな」
「ジブンもそうっすね……って、なんでそんなに買うんすか?」
「パスパレ全員分。これでもマネージャーですので」
「アハハ……」
金使う所もないからパスパレメンバー全員分のお守りも買って、お参りもして終わり。だよな? なんか忘れてる気がするけど……
「なんか忘れてる気が……」
「そういえばおみくじ引いてないっすね」
「そうじゃん! いっちゃし大事なこと忘れてたわ!」
なんで忘れてたのかなぁ……初詣といえばおみくじ! その年の運勢を占わなきゃなんないんだよ。母さんは毎年大吉引くけど、父さんは毎年末吉か凶を引く。でも父さんは最初に引いたのが1番悪いやつだと年末には1番いいやつになってるって自分に言い聞かせてるんだよね。なんかそのポジティブシンキングにしびれる憧れる。
「俺は……これだ!」
「ジブンはこれっす!」
「さてさて……って末吉なんですけど、泣きたいんですけど」
「ジブンは……同じく末吉っすね。あ、でも恋愛運だけは好調みたいっす」
「俺も同じようなもんだな」
その後、おみくじをちゃんと木に結びました。俺は大吉以外は木に結ぶ主義なんですよねぇ〜。
「あ、そういや母さんも千聖達も見当たんないや。電話するか」
「あ、あの……ちょっとだけジブンの話聞いてください!」
「ま、まぁ別にいいけど」
連絡しようとスマホを取りだした時、麻弥がそんなことを言ってきた。ま、時間もあるし別にいっか。
「耀太さんって色んな人から告白されてますよね。日菜さんも、イヴさんも彩さんも……大変なのが目に見えます」
「まぁ大変だわな。でもちゃんと卒業式に返事するので」
「耀太さんが大変なのは分かってるんです。だから言おうかずっと迷ってたんすけど……今ここで言います!」
そういった麻弥は俺の手を握ってきた。
「じ、ジブン、耀太さんのことが好きです! 付き合ってください!」
「気の所為? 聞き間違い?」
「そんなことないっす! ジブンは耀太さんのことが好きなんです。頼りになるし、カッコイイし、いつもジブンたちのこと考えてくれるし……いつの間にか耀太さんのことで頭がいっぱいになってたんです。皆さんより魅力も何も無いっすけど……ジブンでよければお願いします!」
「あ、ありがたいけど『卒業式に、ですよね!』そ、そうだよ」
「ならジブンにも考えがあります。千聖さんにも日菜さんにも負けませんから!今まで何も出来てなかったぶん、皆さんに遅れを取ってるんだから頑張りますよ!」
まさかまさか……うーん、麻弥まで? ありがたいんです。本当にありがたいんです。でも俺の悩みの種が増えそう、っていうか増えてんの。
「えへへ、麻弥ちゃ〜『ちょっとまだ!』グフッ」
「彩に日菜? なんでそこに……ってイヴと千聖もいるし。……母さんと父さんも?」
ん? てことはまさか……
「これ仕組んだやつは今ここで大人しく出てきなさい」
「ええっと……『はやく』だって! 彩ちゃん!」
「日菜ちゃんも千聖ちゃんもでしょ!?」
「じ、ジブンのためにやってくれたんだから怒られるならジブンですよ!?」
▽▽▽▽▽
散々な目にあった初詣も終わり、やっと帰宅。あーあ、今年って何? 厄年? 本当になんなんでしょう。
「耀太、ちゃんと返事しなさいよ〜? みんな可愛いんだからさ♪」
「それ以上茶化したらばあちゃんに言いつけるよ。それとも辛いものフルコースがいい?」
「ごめんなしゃい……」
確かに可愛いことは認めるよ。だってパスパレは全員アイドルじゃん? 俺もそれに含まれるかどうかはわかりませんが、事務所所属っていう肩書きはあるんだよね。それが今後関係するかどうかは明白。熱愛報道とか面倒くさそうじゃん。
「熱愛報道とかは気にしなくていいよ? あたしはよーくんとラブラブなところみんなに自慢したいぐらいだから自分から言っちゃうもん♪」
「私はちょっと気にしちゃうかも……耀太君はカッコイイからほかのオンナのヒトがよってくることになるから……でも安心してね。みーんな私が消してあげるから♡」
「とりあえず彩は物騒なことは言わない。日菜は少しぐらい気にしなさい。っていうか2人ともサラッと俺の心を読むなし」
「賑やかで何より。耀太1人で少し心配な部分はあったけど……これだけ友達いるなら安心だね」
「だから言ったじゃない。あたしらの息子なんだから気にしなくていいわよ〜ってね☆」
母さんも父さんも何言ってるんだか。俺は1人でも大丈夫です〜。
「んじゃ、あたしらは行くかんね。今度は卒業式に帰ってくるから。多分!」
「多分じゃなくて絶対に帰ってくるよ。仕事も全部片付けてくるから」
「うるさいから母さんは来なくてもいいよ」
「えぇぇ!?」
その言葉を聞いた母さんはまたしょげて、千聖達はやっぱり笑っている。なんか昨日もこんなことあったような……ま、いっか。
「耀太のことは任せてください。ちゃんと面倒はみますから♪」
「千聖ちゃんがいるなら安心ね。あ、そうだ。耀太って2輪の免許持ってるの?」
「とりあえず夏休みに取れるだけ取っておいた。なんで?」
「あたしが乗ってきたやつ置いてくから乗ってていいわよ。ただし、2人乗りするなら一番最初に彼女を乗せること。これが条件よ!」
「はいはい、ありがとうございますー」
時間になったので母さんと父さんは空港に行くことに。なんやかんやあったけど、マジで嵐のように去っていったわ。なんていうか……退屈になるな。
「そんじゃまたね〜♪ 今度会う時はお義母さんって呼んでね☆」
「耀太のことお願いします」
「余計なお世話……ま、行ってらっしゃい」
それを聞いた母さんと父さんは空港に向かった行った。『次に会う時はお義母さんって呼んでね☆』とか、俺責任重大じゃん。だるいわぁ〜。
ということでした。
麻弥がやっとスタートラインに立ちましたね。耀太のお母さんのキャラ濃すぎって?実際、同級生の母さんがこんな感じなんですよ。でもすっごくかっこよくて憧れちゃうんですよね。
次回は誰だともと思います?まだ冬休みですよ?修学旅行はまだだし、蘭とかパレオもいること忘れてる人いません?(それはお前がしばらく出てないから) 次回からは嫁候補がじゃんじゃん耀太にアタックしていく……かも!(誰がいいとかあったらリクエストくれると嬉しいです)