俺の幼馴染みはヤンデレです   作:太公望

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明日も投稿するから切腹で許してください



52話 修学旅行3日目

 修学旅行3日目にして最高の日。

 そう、今日は琵琶湖周辺限定だけど1人行動が許される日。しかも生徒会の仕事もない! 

 

「今日こそ……今日こそ修学旅行を満喫して最後に青春してやるぜぇ!」

 

「そうね、どこに行こうかしら」

 

「……は?」

 

 さて、質問をしたい。

 

「お前はなんでここにいる」

 

「耀太のいるところが私の居場所よ」

 

「……は?」

 

「何よそのとぼけた顔は。ほら、早く行かないと時間が無くなるわよ?」

 

 ホテルから出た途端に千聖はスポーンしてきた。しかも俺の真横にいるんですよ。

 しかも今日は私服OKなんです。やめて、やめてくれ。何故か知らんけど目に毒だ。

 

「安心してちょうだい。彩ちゃん達には別の時間を言っているから来ないわ」

 

「そうなんですか。それじゃぁ俺は1人で行きます」

 

「釣れないわね。そんなこと言うなら今電話するわよ?」

 

「すいませんでした早く行きましょう」

 

「ええ、行きましょうか♪」

 

 3人以上で、先生に行き先を伝えて許可を貰えば琵琶湖周辺以外にも行ける。だけど、俺はそもそも行く気がないし、千聖がいる状況でもう1人呼べるわけが無い。

 

「で、どこに行くの?」

 

「どっかに行くかもしれないし、どこにも行かないかもしれない。気ままに歩くだけだ」

 

「まったく、なんでこういう時に限って何の予定もないのよ」

 

「予定はあったよ。俺一人で回るって言う予定はな」

 

「崩したのはどこの誰かしらね」

 

 お前だよってここで叫んでやりたい。

 でも、この笑顔だからダメなんです。笑ってるけど笑ってないこの笑顔。

 なんか久々に見たけど、慣れないんですね。てか、これ絶対慣れちゃダメなやつでしょ。

 

「まぁ、たまにはいいわね。なんの予定もなくぶらつくのも」

 

「特にこう言う湖の湖畔とか最高最強だろ」

 

「それに加えて耀太と二人だもの」

 

 否定したい。とてもとーってもめちゃくちゃウルトラスーパーメガとん急に否定したいです。

 いやね、千聖と一緒が嫌なわけじゃないんですよ。そんな感情を持っちゃいけないんですよ。

 でもさ〜、ほんの少しだけ一人の時間が欲しい修学旅行でした。

 

「ねぇ、覚えてる? 小学生の頃、海で夕焼け見た事」

 

「あー、あったあった。ちゃんと覚えてるよ。じゃんけん負けてお前と薫の瓶ラムネのゴミ持たされたからな」

 

「そんなの耀太がじゃんけん弱いのが悪いんじゃない」

 

「しるか。あの時は運が悪かったんだよ」

 

「そんなのいつもの事じゃない」

 

 なんか千聖と2人っきりでこういう話するの久しぶりな感じがしてならない。

 千聖と2人っきりになる状況と言えば、めちゃくちゃ怒って襲われそうになる時とか、登校する時とか仕事に行く時とかがほとんどだからな。

 

「そんなこと言ったら遊園地でお化け屋敷入れなくて泣いてたのは誰だよ」

 

「うっ……そ、それは薫も一緒よ。それに耀太なんてジェットコースター乗れなかったじゃない」

 

 ふんっ、俺をバカにしたならお前もちゃんとバカにしてやるよ。

 

「お化け屋敷は人だから怖くないの。ジェットコースターは速いし高いからダメなの」

 

「ジェットコースターは機械だから怖くないのよ。お化け屋敷は人だからこそ怖いんじゃない。いつどこから来るのも分からないもの」

 

「そんなんある程度予想できるだろ」

 

「あんな暗い中で出来るわけないでしょ」

 

 どれぐらいだろうか、俺と千聖は口々に言い合いながら歩いていた。

 別に時間も気にせず、行先も何も気にせず、気の向くまま風の吹くまま、のらりくらりと歩いていた。

 

「まったく、いつまで歩くのよ」

 

「知らん。あー、でもここで休憩するか。ベンチもあるし、ちょうどいいだろ」

 

「そうね。そうしましょうか」

 

 いつの間にかついていた丘の上で休むことにした。ちょうど良さげなベンチもあったし、なによりこの景色が最高。

 周りの丘より少し高いから琵琶湖がよく見える。それに、背中に山があって、吹き降ろす風もアホほど最高。

 

 うん、語彙力消えるほど最高。

 

「こうやってまた景色見られるといいわね」

 

「腐れ縁なんだから、なんだかんだ言ったってくるだろ」

 

「あら、腐れ縁じゃなくて恋人としての間違えじゃなくて?」

 

「おう、間違えじゃなく……間違えじゃなく、ない……です」

 

「そうよね♪」

 

 ダメだ、このままだとやられる。色んな意味でやられる。社会的身分も精神的生命も何もかも持っていかれる。

 

「そんなに警戒しなくていいのに。私だって簡単に襲うような猿じゃないのよ?」

 

「……は?」

 

「失礼ね。本当のことでしょ」

 

「ええ、まぁ……はい」

 

 助かった、のか。いやいや、助かったってことにしておこう。

 なんか白々しいな。そこまでされるとこっちまで調子狂うわ。でも、それぐらいが一番可愛いと思うんだけどな。

 

「まぁ、冗談は置いておいて、実際どうなのよ」

 

「なにが」

 

「とぼけないでよ。告白することよ。だってあと三日しかないのよ?」

 

「……申し訳ないのですが何も策がございません。なんならどうやってどこで告白しようかも考えてません」

 

 本当に申し訳ございません。マジモンの無策です。

 だって告白なんてしたことないし、されたことは……あってもあれはカウントしないし、難しいんだもん。

 

「耀太らしいっていえば耀太らしいわね。そういうバカみたいなところも」

 

「バカってなんだよバカって。俺だって考えんだぞ。だって一世一代の告白だぜ? 最っ高で最っ強で忘れられない告白にしたいじゃん。それこそ自分の子供にも自慢できるぐらいのやつがいい」

 

「あら、そこまで考えてくれるのね」

 

「そりゃ当たり前だろ。俺は一途だからな」

 

 バカはバカです。ええそうですとも、俺はバカです。

 でもね、そんなバカな俺でもそこだけは考えるんですよ。

 

 俺はプロポーズも告白も1回がいい。ちゃんと一人の人をずっと好きでいたい。なんでこんな考えになったかは知らないけど、変えたくないこの思い。

 

「もちろん私も一途よ。あなただけにね♪」

 

「遠慮したいです」

 

「そんなことさせないわ。絶対に私に夢中にさせるんだから」

 

「えぇぇ……」

 

 なんか安心するけど、安心できないこの感じ。

 黙ってれば普通の美人なんだけどな。普通と言わずめっちゃ美人なんだけどな。黙ってれば、黙ってればですけど! 

 

「何がなんでもするわよ。もちろん実力行使も厭わないわ」

 

「あ、全力で逃げます」

 

「嘘よ。あと三日しかないんだもの、そんなことしても焼け石に水でしょ。それに、私は耀太のことを信じてるから♡」

 

「その信用はどこから来るんですかね」

 

「幼馴染の感ってやつかしら」

 

 幼馴染っていう特権を使うのはやめて欲しい。ていうか、それを不意に言うのを特にやめて欲しい。

 

 普通に考えたら芸能人でバンドやってる美人さんが隣の家の幼馴染で、小中高とクラスまでずっと一緒とか、ありえないんだよな。

 ここにリア充を恨む人がいたら真っ先に俺が刺されるだろ。それほど恵まれてると思うんですが、僕は恵まれてないと思います。いや恵まれてますけどね!? 

 

「なにはともあれ、後悔がないようにしてね」

 

「お前からそう言われるの初めてだわ。普通にビビるんだけど」

 

「別にいいじゃない。耀太が自分で卒業式の日に告白するって言ったなら、私はそれを待つだけよ。それが正妻の威厳でしょ♪」

 

「そーですかそーですか」

 

 なにが「正妻の威厳でしょ♪」だ。

 でもまぁ……今の俺があるのも千聖のおかげだしな。花咲川来たのも、パスパレと絡み始めたのも、生徒会に(非自主的に)入ったのも、千聖がいなかったら起きなかった。

 

 今までの俺の全ての記憶のどこかに千聖はいた。

 いやさ、いなくていい場面はいくらでもありますよ。なんならいた方がいい場面の数百倍はありますよ。

 

 とは言いつつも、それだけ千聖が俺の中で大きな存在って訳だ。

 

「耀太が私を選んでくれたら今度は二人で来ましょうか。もちろん新婚旅行よ? あ、子供と一緒にでもいいわね」

 

「お前もそこまで考えてんじゃん」

 

「当たり前じゃない。あなたとの事だもの」

 

「あっそ」

 

「そうよ」

 

 なんかこういう千聖だからなのかな。ムカつくけど憎めないって言うかなんて言うかさ。

 ヤンデレ筆頭ですが、可愛いことは認めます。そして、俺の中で一番大きい存在だということも認めます。ついでに世話になったランキングNo.1の称号もあげましょう。

 

 だから、これはちゃんと言葉にして伝えておこう。

 

「まぁ〜なんだ、今までありがとうな。お前がいなきゃ彩達ともあってねぇし、高校生活も普通すぎて退屈だっただろうからさ。これでも……結構感謝してるぜ」

 

「い、いきなり何よ。褒めたって何も出てこないわよ」

 

「いんや、ただ思ったから言ってみただけだ。もう二度と言ってやんね」

 

「な、もう1回言いなさいよ! 録音してないじゃない!」

 

「いや録音しようとするな!」

 

 やっぱり千聖のやつは平常運転なんだな。

 録音はさせないし、二度といってやんない。

 千聖が平常運転なら、俺も平常運転できる。

 

 やっぱ、千聖が幼馴染でいてくれて良かったよ。

 

「さ、俺はかーえろっと」

 

「今頃彩ちゃん達が血眼になって探してるでしょうね」

 

「……帰んのやめた」

 

「なら私も♪」

 

「お好きにどうぞ」

 

 あと三日しかないのか。

 

 誰も悲しまずになんて綺麗事は言えない。

 誰も選ばずに逃げるなんてことはしたくない。

 

 俺は俺のために、俺自身に嘘をつかないために、ちゃんと答えを出さなきゃ行けない。

 

「今日の夜は耀太の部屋で寝ようかしら♪」

 

「ほかの男子いるぞ」

 

「知ってるのよ? ほかの男子はみんな彼女の部屋で寝てるってことをね。だ・か・ら、耀太は私と寝るの♡」

 

「全力全開でお断りさせていただきます!」

 

 でもこの調子だと三日で決められる気がしねぇ!




ちゃんと明日も投稿ちゃんと明日も投稿ちゃんと明日も投稿

予告

本編はあと3話で終了します。その後はルートで書く予定です。
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