俺の幼馴染みはヤンデレです 作:太公望
なんとなんと修学旅行も最終日になりました。
帰りはバスでゆっくり帰るらしい。でもところどころ寄るところはあるっぽいけど。
まぁ、疲れるし、寝れるからその方がありがたい。
「えへへ〜、隣だね、耀太君!」
「なんなら1人で先生の隣行くんだけど」
「ちょ、ちょっと!」
「半分冗談」
「そうだよね〜……って半分!? 半分なの!?」
乗るやいなや、隣の彩が馬鹿騒ぎする。
いまさっきまでジャンケンしてて、やっと決まったらこの状態よ。
俺らの席の後ろは5人席になってきて、そこに千聖、花音、燐子、紗夜、サリヤスが座っている。あ、真後ろは千聖なので怖いです。
「膝枕して寝る?」
「なんでそんな事しなくちゃならないんですかね。僕そんなことしたら首痛くなるんですけど」
「あ、そっか。それじゃ私が耀太君の肩に頭乗せて寝るね♪」
「肩こるんですけど」
修学旅行中ほとんど静かだった彩だ、今この瞬間襲われるかもしれない。またスタンガンとか催涙ガスとか使って気絶させて来そう。いや、やって欲しくないからね。フリじゃないからね!?
「彩ちゃん、耀太の隣だからって調子乗らないのよ?」
「うぐっ……きょ、今日は私がじゃんけん勝ったんだから耀太君を好きにできるんだもん!」
「悔しいですが、今回だけは我慢します。どうせ明日は生徒会の引き継ぎとかあるから耀太さんと一緒にいれますから」
「そうね、明日はパスパレのレッスンもあるから、目の前で色んなことしてあげるわ♡」
「2人とも怖いから明日サボろうかな」
2人の言う通り、午前中は学校で生徒会の引き継ぎ、午後はパスパレのレッスンというか、集まりがある。
どっちもどっちでめんどくさいんですね。あ、買ってきたお土産も渡せるからいいか。それを加味してもマイナスの方が大きかったりそんなこと無かったり。
「めちゃんこ眠いからもう寝っかな」
「寝れるように『枕も薬もいらないから。アイマスクなら常備してあるから』な、なんでそんなにわかるの……」
「なんでって言われましてもね。誰がとは言わないけど、どこの誰がとは言いませんけど! 薬飲ませたりスタンガンやって来たりしてるからある程度予想できるんですね」
そう言うと彩だけじゃなく、自覚があるであろう後ろの三人もビクッとしていた。
自覚を持ってもらわなきゃ困るんですよ。自覚無しでやってたらマジでやばいかんな。普通に心配するレベルだから。
「じゃ、おやすみ」
「休憩所に着いたら起こしてあげるね」
「よろしく」
ちゃんと寝れるといいけど、寝れる気がしない。
ここは彩を信じてみよう。何もしないと信じてみよう。てか信じさせてくれ。
「耀太く〜ん、着いたよ〜」
「ん……なにこの状況」
「耀太君からしてきたんだよ?」
彩はちゃんと起こしてくれた。
でも何故か膝枕されてる状況で起こされたんだ。
寝る時はアイマスクしたし、ベルトもしてた。でも今はベルトもしてないし、アイマスクも取れてる。
これ明らかにやったよな、彩のやつやったよなこれ。確信犯だよな。
「もういいや、飲み物買ってくる」
「私も一緒に行こ〜っと♡」
「来んな」
「ひどい!」
「そう言っても来るだろ」
拒否してもちゃんと彩が着いてきてた。
なんか、これもこれでいつも通りすぎて逆に安心できるぐらいなんだよ。
「見て見て、このストラップすっごい可愛いよ! イヴちゃんに買っていってあげよ〜っと」
「俺はちゃんとお土産は買ってあるからいいや。とりあえず飲み物とガムとかな」
「なんでガム買うの?」
「バス乗ってるうちに撮った写真整理したいからさ。そのためにPC持ってきてるんだし、寝て体力回復したから元気全開」
その後、バスの中でPCを開いて、カメラとスマホから撮った写真を移した。
余裕で3桁をこしていて、我ながら撮りすぎだと思う。でも、後悔はしてません。反省もしてません。
「あ、これ、神社で撮ったやつ!」
「こっちは湖の写真だよ。結構綺麗に撮れてるだろ?」
「耀太さん、アルバム用の写真も選んでおいてくださいね。あ、それと私と耀太さんの2人用のやつもお願いします」
「アルバム用のはとっくのとうにやっておいた。2人用のやつは気が向けば」
「ずるいずるい! 私も!」
気が向けばと言っても、気を向かせる気がないので無しということでいいですよね。
場合によってはやるけど、まだその時じゃない。
「とりあえず紗夜にはこの写真送っておくよ」
「これって……星の写真じゃないですか」
「屋上で撮った写真だよ。燐子と二人っきりだったからって怒ってただろ。それの埋め合わせってことで」
「あら耀太、そんなことがあったのね。しっかりと説明してもらおうじゃない」
「おっとおっと口が滑りましたね」
横からも後ろからも鋭く冷たい威圧感を押し付けられて、俺は怖気付いてしまう。
あの夜のことを言えばこうなることは分かってたよ。でも言わざるを得なかったんです。てか、俺が言わなくてもどうせ紗夜が言ささてたでしょ。
そうこうしているうちに学校に着いた。
修学旅行がもう終わったって考えると、寂しい感じがする。
「おっねぇちゃーん!」
「私に抱きつかないで耀太さんに抱きついて」
「それでもいいよ♪ よーくんにも会いに来たんだし!」
「やめてくんね」
「この間の仕返しです」
いつのことを持ってきてんだってツッコミたいけど、これ以上面倒事になるのは避けたいから言わないでおこう。
「あ、お土産買ってきたけど明日渡すから」
「えぇ〜、今ちょうだいよ〜」
「今日は紗夜からの分で我慢しとけ」
「え! おねーちゃん買ってきてくれたの!?」
「余計なこと言わないでくださいよ。せっかく家に帰ってから渡そうと思ってたのに台無しじゃないですか」
これもこれで仕返しです。内心ざまぁみろって爆笑してるよ。きっと紗夜もさぞ困っていることでしょう。
「さぁて、俺は帰りますかね」
「明日、私たちはいつも通り登校ですからね。朝起きる時間を間違えないように忠告しておきます」
「もし間違えたら?」
「それは自分で考えてください。どうなっても知りませんよ」
「頑張ろうと思います」
いつもなら千聖と帰るんだけど、千聖は親が迎えに来てたらしく、今日は別で帰った。
なんか、たまに親がいるって羨ましいって思えるんだよな。
俺の親はほとんど海外にいるから、一緒に飯食ったり、遊園地に行ったりしたことが無いに等しい。
小学校の頃は父さんがいてくれたけど、中学になったら父さんも母さんについて行ったから一人暮らし状態になった。
入学式も一人。授業参観も一人。誕生日も夏休みもクリスマスも一人。
2人がいなくて寂しいとこもあったけど、別に恨んでなんかない。母さんがやりたい事をやって、父さんがそれを応援する。
それってめっちゃかっこいい事だし、俺はすげぇ憧れる。
自由奔放で野性的だけど、しっかりと自分自身の芯を曲げないで生きていく母さんを俺は尊敬してる。
破天荒な母さんを影から支えて、自分の惚れた人の1番近くにいようとする父さんを俺は尊敬してる。
「ただいま……って、いたんだ」
「おかえり、耀太。ちゃんと約束通り帰ってきたよ」
「あ、帰ってきたのね。早く手を洗って荷物置いてきなさい。今日の夜ご飯は豪華よ♪」
ちゃんと約束を守ってくれる2人を俺は尊敬してる。
俺は母さんと父さんの子供でよかったって笑顔で言えるよ。でもまぁ、そろそろ子離れして欲しいんですけど。
「今行くよ。それと……おかえり、母さん、父さん」
「うん、ただいま」
「そんなことよりはーやーくー! ご飯冷めちゃうって!」
「二度と言ってやんね」
「なんか言った? 炒めてるから聞こえないのよ」
2人は約束をちゃんと守ってくれたんだ。
今度は俺が約束を守る番。
卒業式の日、俺は告白する。
俺が後悔しないように、俺自身を曲げないように、精一杯頑張る。
完結(仮)まであと2話