俺の幼馴染みはヤンデレです 作:太公望
高校を卒業した俺と千聖は仕事をしながら大学に進学した。
「ねぇ耀太、なんで時間に遅れたのかしら?」
「ごめんなさい。教授と話してました」
「ついでにファンの子に話しかけられてたわよね。今日はオフなんだから、メリハリつけなさいよ」
「めんぼくない」
授業が終わって俺たちは駅で待ち合わせをしていた。
千聖の言った通り、今日から3日間は仕事も授業も何も無いため、2人で京都へ旅行へ行くことにした。
「遅れたことに関してはしょうがないとして、ファンの子に話しかけられてあんな対応をしてるんじゃねぇ?」
「許して? ねぇ許して?」
新幹線の中で千聖からの説教を受けている。何故か知らんけど、俺だけで仕事もらう時も出てきたんですよ。この間なんか日曜日の朝に放送される子供向けのテレビのメイン戦士になるかもって話されたかんな。いやまぁ断りましたよ。俺はどっちかと言えばメイン戦士のピンチに颯爽と駆けつけて助ける追加戦士がいい。
「私が掛け合って仕事もなくしたんだから、少し体を休めなさい」
「へぇへぇ、ありがとうございます」
「それに久しぶりに2人きりなんだから、とことん甘えるわよ」
「それはもう存分にどうぞ!」
大学に入ってからというもの授業のレベルも上がり、家ではほとんど勉強漬け。仕事も多くなってきて休む暇なんてないない。だから2人でイチャイチャできてないんですよ。やっと付き合えたって言うのにさ。付き合ってるのに一緒に出かけたのは片手で数えられるからね! あ、仕事とか抜きだよ?
「そういえば、なんで京都にしたの? この間は北海道とか行きたいなって言ってたじゃない」
「特に理由はない」
「あるわよね?」
「修学旅行ではみんなで行ったので今度は2人きりで行きたいと思いました」
「よろしい」
昔に比べてヤンデレ面が出てくるのは減ったけど、その代わりに隠し事を許してくれなくなりました。この間なんかレポートの提出日に熱出してでも行ったんだけど、それがバレて家へ強制送還されたんだよ。そんときは酷く怒られたもんだ。
京都についてそのままホテルに荷物を置いた。場所は修学旅行の時と同じ場所。偶然じゃないよ、狙ったよ。褒めてくれてもいいんだぜ?
「ええ、褒めてあげるわ」
「口に出てた?」
「それはもう大声で。分からないぐらい疲れてるんでしょ」
「よし、休まないで歩くか」
「まったく、しょうがないわね」
そういってあの時とおなじ道を歩き始めた。琵琶湖の畔を歩き、2人で来た丘の上まで来た。お昼時だけどなぜかお腹が減ってないから缶コーヒーだけ買ってきて飲んでいる。
「あなた、やっとブラックコーヒー飲めるようになったの?」
「やっとだよ。まぁ、結構苦いけどな」
「今度、私が淹れてあげるわ。そうすれば飲めるでしょ?」
「嫌でも飲まなきゃ怒るだろ」
「わかってるじゃない」
毎度思うけどあれだよな、将来的に千聖の尻に敷かれるやつですよね。それでも好きなのは変わらないんだよ。案外千聖のこと好きすぎて依存しそう。てか既に依存してるみたいだわ。今までやってた家事をほとんど千聖がやってるしな。
「今日の夜も一緒に寝てくれるのよね?」
「あたまえ。久々に同じ時間に帰れるんだから」
「よかったわ。最近一人の時が多くて寂しかったのよ」
いつの間にか千聖は甘え上手になってるんだよな。朝なんか俺が起こさなきゃ布団から出ようとしないんだから。しかも俺が使ってた枕を抱きしめてるんだぜ? そんなの見たら惚れるしかないだろ。だから毎朝惚れ直してます。
「あれ、白鷺千聖じゃね?」
「なんかモブ男と一緒じゃん。ナンパしようぜナンパ」
「釣れたら夜まで遊ぶか」
「ありあり」
おっとおっと、どこの誰だか知らんけど千聖をナンパしようだなんて考える輩がいるようですね。そんな輩に教えてやろう。こいつをナンパするのは俺以外不可能だ。俺だって100万年かかったんだからな!
「だから、お前らはさっさとどっかいけ」
「あ? なんだよモブ男のくせに」
「お前は千聖のなんなんだよ」
「どうも千聖の彼氏です。それといいこと教えてあげる。これ以上俺の事を悪くいうと千聖がキレるぜ? キレたら俺でも止められないぜ?」
実際、俺の後ろにいる千聖は類を見ないほどに濃いドス黒いオーラを発しています。もう俺逃げたいんだけど。
「耀太、少し下がってて?」
「さっさと帰った帰った」
「お、おい! 帰るぞ!」
いつだか千聖をナンパしたヤツらが返り討ちにされたの覚えてるからな。大学生になったんだし、今となっちゃ千聖は俺の彼女だ。それなら俺が守るに決まってるだろ?
「はいはい、あいつらどっか行ったから落ち着け落ち着け」
「まったく、なんで自分が馬鹿にされてるのになんともないのよ」
「自分が馬鹿なのは自分が一番知ってるからな。それに、お前が馬鹿じゃないって思ってくれてるだけで充分だ」
「かっこつけないでよ。いつだってかっこいいんだから」
そういって顔を隠す千聖を俺は見逃しませんでした。なんで俺の彼女はこんなに可愛いんでしょう。元々可愛かったんだけど、明らかにもっと可愛くなってるよね。もうここでプロポーズしちゃう?
「早いけどホテルに帰ってゆっくりしようぜ。またナンパされるのも困るし」
「あら、嫉妬?」
「ええそうですよ。お前が他のやつになびくのが怖ぇから嫉妬してるんだよ」
「安心しなさい。私はあなた以外になびくことはないわ。あったらこの世が終わる時よ」
そういって俺たちはホテルに帰った。部屋に入ってお茶を飲んでると、千聖が寄ってきた。あれか、イチャイチャするってことですね。
「ギュッてして?」
「日菜みたいな言い方だな」
「ちょっと真似たわ。甘え上手でしょ?」
「この上なくな」
イチャイチャするって言っても抱きついてたり、そのまま寝たりするだけでした。それだけで十分なんですね。
「ねぇ、眠くなってきたわ」
「んじゃ寝ればいいだろ」
「ちゃんと起こしてね?」
「気が向けばな」
そういって俺も千聖も眠りについた。
するといつの間にか2人とも寝ていて、起きたら夜中だった。ご飯を直ぐに食べ、そのまま温泉に入って部屋に入ってきた。
「何もしないぞ。一緒に寝ても襲わないからな」
「しなくてもいいわよ。してくれるまで待つわ」
「そうしてくれ」
「そうするわ。おやすみ、マイダーリン」
「おやすみ、マイハニー」
せめてもの言葉を口にしてまた眠りにつく。こうしてられるなら俺は幸せそのものだ。ずっと、これが永遠に続けばいいのに。いや、続けられるように頑張るんだ。
今年もありがとうございました