セーブからやりますか?
↓
勿論、やるしかない
目指した場所【お日さま園】は、人の気配はなく庭に使われた遊具は錆びれボールは放棄状態の木造二階建ての建造物があった。
隠れるには絶好かも知れないが宇宙人が此処で根城にするのはどうも納得出来ずにいた。
今宇宙人は日本各地の学校を襲い、サッカーという対話手段を用いて勝負を仕掛けているなら、こんな場所に居続ける理由はあるのだろうか?
根城にするならかなりの施設になり、奴ら全員が生活や軍事など出来るだけの大きさなど不可能だ。
もしくは、奴等未知のテクノロジーでその問題をどうにかしているならば、此処でやる必要性もなく人間社会が多い都市部で灯台もと暗しをすれば良いだけだ。
だが、今は再度訪れた窮地をどう凌ぐかに掛かっている。
背後から現れたこの少女、青髪のショートで服装はローブで隠されており頭だけ露出しているだけだ。
目は何を考えているのかは分からないが、感情が出てないように見えるが奴等なら出来る芸当なのだろう。
(周囲ばかり目を向けすぎて、肝心の近距離を疎かにするとは俺の未熟故か……それとも、平和な日本のぬる湯に浸かりすぎたのか?)
「貴方は……誰なの? バダップ•スリード?」
「!?」
「なら、付いてきて…」
やはりエイリア学園全体が俺を知っているようだ。
あの三人が最初から俺を狙い、そして勝敗関係なくあの手紙で誘導する作戦だったのだろう。
だが、あの反応は俺の予想とは違い、まるで知り合いが来たから部屋まで案内する親か親戚みたいな対応だ。
今、あの少女は建物に入り玄関は開きっぱなしの状態、今なら逃げるのも得策だがもう下がるに引けない実状故にあの対応かも知れない。
(エイリアの考えは分からないが、今は入るしかない。 余計な考えは捨てて、クリアに物事を見なくては奴等の思う壺だ)
「ねぇ…早く来て?」
「あっ、あぁ分かった」
玄関前で何時迄も入らない俺を気にしてか扉からひょこっと顔を出し入るよう勧められ、俺は渋々建物内に入っていった。
中に入ると、荒れていた外とは違い整った内装で玄関に近くに置いてあった色落ちした手製の招き猫を指先で軽く触るが埃など付かなかった。
(整理整頓され、掃除も行き届いているか。 置いてある物は一般的にらある物だらけで、別に気にする程の物はないが強いて言えばサッカー関係が多いか?)
少女の背中を追い、静かな建物内で響く足音が二つだけ。
俺は少女にバレないよう歩きながらも周りに目を配り情報を得ようと奮起するが、どの部屋も通路も私生活していた痕跡や少年少女らしい部屋ぐらいしかない。
すると少女は、ある部屋の扉前で足を止め俺も同時に止まると少女は語る。
「この部屋で待っていて、すぐに戻るから…」
俺は少女に促されて部屋に入ると、入った扉は静かに閉まった。
(部屋の配色や家具からして応接室か。 客の為の部屋があるとは少し驚くが、果たして今の俺は客に値するのか?)
不信感は拭えないが、一旦辺りを調べるとテーブルには紅茶のパックと入れる為のお茶碗に和菓子が入った小袋が置いてある。
壁には掛軸があり、[家族団欒 幸せなひと時を]と書かれているが、破れたのか修復した箇所がいくつもある。
棚に目を配ると多くのトロフィーや時計があるが、倒されたのか伏せられたのかは判断に困るが写真立てのように見える。
軽く持ち写真立てを直すと、そこには二人の人物が写っているようで、大人と子供が笑い合っている。
(何故伏せる必要があるのか、それにこの二人とエイリア学園の関係あるのか判断するには情報が足りないか)
「……バダップ•スリード、付いてきて」
扉が開くと直様少女はそう言い残し、来た道を戻り玄関方向に進んで行った。
まだ調べる事はあったが、無視する訳には行かず玄関までの道を辿り進んでいく。
玄関に到着した時には既に出たようで開けっぱなし、俺は開いた隙間から出ると察したのか背中を向けた少女が俺に語る。
「此処が何か分かった?」
少女から言われた言葉に、俺は先程までの情報とこの建物周辺状況から答えを導くが、これは先程とはあまり変わらない。
「最初は保育園かと思ったが、孤児院……そうだろ?」
「そう、此処は身寄りのない子供達が集まった場所……お日さま園」
あっさりと認める少女、この場所はそうだとしたら俺は此処に導かれたのだろうか。
だが、此処そうなら俺は最悪な展開も視野に入れないといけないがどうなるか…。
「俺を此処に来させたのは何故だ? 君達にとって、この場所は不利益しか起きない筈だ」
「うん、よくない事。 でも、知る権利があるから…彼等とは違って貴方は特別」
(これも引き分けた事で、同等の扱いされ知る権利を貰えたか。 だが、特別とは何だ?)
「エイリア学園に入ら『おいおい、そう簡単に鬼を勧誘するのはナイぜ?』 !?」
少女の言葉を遮り、別の声が森に響き渡った。
突然の事に一瞬目がギョッとしたが、直様少女は声がした方向に目を向け睨みを利かしている。
俺もその方向を向くと、軍服を着た少年と背後にローブを着た二人が立っており、自分達を交互に見ながらも何処か面白い物を見た子供のような反応をしてきた。
「かの宇宙人がこんな森の、寂れた孤児院に鬼を招いてネタバラシか? はははっ、所詮は過去に縛られた者の末路に巻き込まれた者共か?」
「っっ!!!!」
見た目は、俺と大差無さそうだがあの身のこなしは通常の鍛えではなく……そう俺と何か似ている気がする。
事実、奴の言葉に少女はエイリア学園が使う黒いボールを何処からともなく出し右脚で思いっきり蹴ったようだ。
だが、奴はそれを軽くあしらうように左足でボールを受け止め、勢いを失ったボールを右手でキャッチした。
奴の顔と声は何処かで知っているような気がするが、何故か霧がかかったようにぼんやりとしてハッキリしない。
(何か、何かが見えそうだが分からない。 ならば、今は奴の行動を注意深っ!? あの方向は、もしかしたら…)
「へっ、そんなボール当たるかってんだ!! それになぁ……先に手を出せばどうなるかシラネェーとな!!」
気迫の言葉と共に、奴はボールを右足で叩きつけるのと同時に左右から幾つもの装置発射口が現れた。
ドス黒く赤黒い装置から幾つもの紅蓮の光が溜まり続け、叩きつけたボールが空中から元の場所に戻った時には光は限界まで高まっていた。
「デス レイン!! テメェらの繋がり壊してやるよ、ははハハ!!」
「ダメっ!? 此処は!! 皆の!!! 場所を奪わせない、 アイス ブロッ!?!?」
少女のキーパー技を使うものの、奴の技は全体技に近く対象に此方は一点型のようだ。
つまりは相性は最悪であり、止めたとしても自分以外の周りには影響がデカい……一人に対して戦車や大砲をぶつけるようなものだ。
だが、対処方法がないわけではない、今は試合でもなければボールが一つだけではないからだ。
俺は奴の次の行動に移った時に、孤児院の庭にて放棄されたボールを手で拾い元いた場所に走って戻った。
戻る最中、ボールの空気圧を手で確認するが万全とは言い難く強い衝撃に耐えれるか不安が過るが時間は待ってはくれない。
少女からすり抜けた球を対処すべく、俺は直様手にあるボールを高く蹴り上げ後を追うように高く跳んだ。
球は重力に沿って落下しており、落下地点は間違いなくあの孤児院だろう。
(今、壊されればエイリア学園との関係や証拠がなくなってしまう。 そうなれば、総理を救ったとしても問題の糸口が消えては意味がない。 エイリアが、少女が何を考えているかはまだ分からないが今は!!)
「対処 開始!! タイミング及び射角微量調整、耐えてくれ……デススピアー!!」
孤児院と奴の放った球の間を横切るように放った。
放たれた球は、螺旋を渦を巻き地面を抉りながら一直線に進む中、周囲に存在した奴の球を巻き込んだ。
「ちっ、邪魔が入ったか……まさかアレで止めるとは思わなかったぜ? バダップ•スリード?」
予想してなかったのか、俺に対し称賛してくるが態度に変化なく余裕を見せ続ける。
(防衛には出来たが、奴の様子から本気を出していない。 更には、背後の二人も未だ動きを見せていない。 不気味に感じるが、同時に懐かしくもあるがどうしっ!?)
様子を観察しながらも相手にバレないよう思案をしていると、背後で大きな爆発音が辺りを轟き爆風が襲う。
直ぐに振り返ると先程まで守った孤児院は半壊しており側には一人立っているが、爆風の影響か砂埃が舞い土煙で影しか見えない。
土煙の中から出て来たのは、新たなフードを被った者のようだが、背後にいた者と違いフードについた砂埃を払いながら話し出した。
「おい、俺の仕事に邪魔するんじゃねーよ? 壊すのは俺だった筈だ?」
「君が一発でヤらないから手伝ったんだよ? それに破壊対象に関しては、誰でも良かった筈だけど?」
「……だったら、今度は邪魔するな? 良いな!!」
「了解」
あの会話、まるでエイリア学園三人衆を思い越すような感覚になるが、そんな悠長に構ってはいられない……前後挟まれたようだ。
(戦況は最悪、脱出するにしても奴等の目を掻い潜るには道具も何もない。 それにあの少女、様々な出来事が重なり更には建物を壊された影響か立ち竦んでいるが、今の状況打開出来るとしたら今は鬼になるしかない)
奴等が会話する中、気づかれないよう急いで少女に会話を試みる。
「皆の場所……お父さんとの思い出が壊された……約束守れなかった」
少女は一人呟く、エイリア学園は一枚岩でもなく皆の予想とも違う存在であり面倒のようだ。
「俺は、お前達エイリア学園の実状は分からない。 だが、残る物は知っているつもりだ」
「? 残る物って?」
「思い出、つまりは記憶であり心だ。 お前達が覚えている限りそこにあり続け、想いもまたそこにある。 だが、生きなければ証明する者はいなくなり、誰からも忘れられる……今すべき事分かるな?」
そう、俺は戦争の中にいた。
両親は戦火に焼かれ故郷を失い、心に穴を拡げながらも戦う以外道が無かった。
だが、あの中でも俺を支えていたのは憎しみだけじゃない、両親や故郷の日々が間違いなく支えていて今も導いている。
俺は少女に語りかけ、一歩進むための言葉を紡ぐ。
その甲斐もあってか知らないが、少女は此方を向き静かに頷く。
(瞳に精気が戻ったようだな、だが敵に塩を送るとは何とも言えんが、状況打開になるなら俺は辞さない。 これも作戦として考慮しよう)
少女が立ち直ったタイミングで、奴等もまた会話が終わり此方を振り向き言い放つ。
「お前達は、牙を抜かれ俺に喰われるだけの存在だ。 諦めて俺にやられるんだな」
今度は逃がさんと俺達に向けて言いながら、足下に再度ボールを転がしながら目をギラつかしている。
フード被った者達は、様子を見続けており介入する気は無いようだ。
「お前達は一体誰の指示に従っている? エイリア学園と敵対する勢力か?」
「はん、そんな奴等が俺達に対抗出来るだけの力を持ってる訳ねぇしな。 それにお前の方が知ってるんじゃないか? 俺達の背後にいる存在をな」
(エイリア学園など眼中に無く、そして俺が知る存在? まさか、動き出し始めたのか?)
「じゃあな、期待外れだったぜ……デス レ『こっちを向け、脳筋』 誰が脳!? 」
仕返しのように会話を遮り、少女が奴を言葉で揺さぶらせると先程使った黒いボールを奴の頭上目掛けて蹴り上げた。
すると、ボールは眩しい輝き辺り一面を白く塗り潰した。
◼️◼️◼️◼️◼️
光が治った時には、奴等はいなく壊れた建物があるだけだった。
先程輝いた黒いボールはもう原形を保ってなく崩れていた。
「クソっ、目がまだチカチカするぜ。 あのボールに閃光弾擬きが出来るなんて知らねぇぞ?」
「まぁ、この時代だとあのエイリア学園の技術は高いしね。 エイリア石有無関係なく、奴等はそれなりの強さだし」
「だが、こんな装置があるなら弱いじゃねーか?」
戦場に脱出もクソもない、あるのは勝利か敗北しかなく俺達には後ろは見るつもりもない。
「脱出用だろうけど、勝敗関係なく使えるし相手の視野を奪うには絶好だろうね。 事実喰らった脳筋さんが居たくらいだし」
(コイツ、さっきから脳筋脳筋言いやがって……俺はそんな筋肉質じゃねぇぞ)
「……俺達の任務は成功した、これで奴等の争いは激化するな」
「どうだろうね? この建物有無で戦いが終わるとは思わないし、あの老人は眼中ないんじゃない?」
エイリア学園が生まれた理由、そしてその元凶は憎しみに囚われ周りが見えていない。
この建物が寂れていた時点でどうなろうと変わらなかった。
「くたびれ儲けか、まぁ良いさ。 今の力が見れたならそれでな」
「だから脳筋って呼ばれるんだよ? エスカバ?」
「黙ってろ、ミストレ!!」
作戦は成功、バダップ•スリード捕獲は保留になったが別に良い。
俺達には休む暇など存在しないのだから、次の狙いはそう……
【財前 塔子拉致及び、ヒデナカタの捜索】
障害は排除しなければいけない、全てはサッカーを排除する為に…
◼️◼️◼️◼️◼️
俺達は森の中を無我夢中に走り、どうにか山道から交通の多い国道に出た。
近くに切り株に一旦座り息を整える中、一緒に行動したエイリア学園の少女に話かける。
「お前はどうする『クララでいい』 クララはどうするんだ?」
「戻れない、だがらバダップ•スリードと一緒に行く。 それが目的と繋がるから」
呼び捨てが良いなら俺も習った方が良いか、だが目的が繋がるというなら予測は幾つか出るが今はいい。
「……名前でいい、目的がどうあれ離れる気がないなら協力してもらうぞ? エイリア学園について判ってないことあるからな」
「分かった、でも他の人とは協力しない。 バダップだけだがら」
エイリア学園のクララと協力体制が出来たが、コレは仮初でありいつかは終わりが来て戦うだろう。
だが、この間だけは友としてあり続けるだけだ……戦況や状況が第三者が介入し敵味方が協力するような戦いと同じようにな。
(俺を貶めたラーメン店主が動きだしたか、塔子達は無事だろうか? 嫌な予感がする、合流したいところだ)
仲間(仮)が一人増えた、新たなフラグが立ちましたが選びますか? 選びませんか?
…今日もセーブをしよう。
何処で分岐があるか分かったもんじゃない。