温かいお言葉はやる気に、厳しいお言葉もやる気になります。
一分遅れたッ!
「で、これどうすんだ?」
第三小講義室に一つだけある中型の机の中心には、エビフライ十本が入ったパックが置かれている。政秀が昨日の夜にスーパーで買ってきたものらしい。そもそも賞味期限は大丈夫なんだろうか……?
「そういえば昨日、冷蔵庫の奥に入ってたような気がしますね。ちゃんと保存してたから大丈夫なんじゃないですか?」
「おいおい、ナチュラルに心を読まれてんだけど。こういうのって小説特有の表現じゃないの?」
「仲良いわねアンタら……」
どこがだ。お前の目は腐ってるのかよ。ちなみに、俺の顔は腐る通りこして死んでいる。
「志波先輩もじゃないですか!」
「わ、私は同じ学年だけどクラスは違うし……ていうか持内、アンタ今私の事バカにしなかった?」
「しっ……してないしてない」
何だこいつら怖い……。俺が痴女とか妄想女とか読んでいる事もばれているのだろうか。勘弁してほしい。
「で……で、だ。ここにエビフライは十本ある。男三本、女二本で十本。これでいいだろ」
「「「異議あり」」」
三人同時の異議あり。麻雀の同時ロンじゃあるまいし。アレをされた時は本当に自分の運を憎んだ。
「僕、さっき二本食べたからもう無理……。胃もたれが……」
「いやお前、胃が弱すぎない? 二本で限界とかおっさんじゃあるまいし……」
いや、俺の親父も揚げ物は結構食うからお爺さん? か。とりあえずお前は胃腸薬持ち歩け。そして三本食え。
「じゃあ、先輩はたくさん食べれるってことですね! ……ほら、こんなに太くて大きいのがたくさぁん♡」
「いや、俺は油ものとか制限しているからそんなに食えんぞ」
「え、持内アンタ食事制限してるの? その年で?」
そう、俺は食事制限をしている。まあ、食事制限とはいってもあまり厳しく制限してもストレスがたまるだけだから緩くではあるが、それでも糖質と資質をある程度制限している。その二つは太る原因になるからだ。……当然、エビフライには脂質が含まれている。
「先輩、流石に食事制限するには早いと思うのですが……成長期だし……」
「いや、食事制限とはいえど量を思い切り少なくするわけじゃない。ただ、摂取栄養素を調節しているだけだ」
「違いがわからないですけど……まあ、いいです。私の分食べてください」
「……俺の話聞いてた?」
だからそんなに食えねえっつってんだろ。五本だぜ五本。
「私のもよろしく。……乙女にカロリーは大敵なのよ」
だからそんな食えねえっつってんだろ。七本だぜ七本。
「とにかく、お前らは二本食え。カロリー取った分運動すればプラマイゼロだ。頑張れ」
俺の持論、「食った分動けば太らない」。もっと世間に広まるべき。ちなみにカロリーは主に糖質、脂質、たんぱく質を足した表記だが、実はたんぱく質はまったく太る要素ではないため、カロリーだけで判断するのはあまりよくないので気をつけよう。
「せんぱ~い、食べ終わったら私と一緒に運動しましょ♡」
「おう、食べた直後に運動するのは身体に悪いから、あとで腹筋に効く筋トレを教えてやるよ」
「思ってた運動と違う……むぅ」
ん? 腹筋じゃなくて、なけなしの胸を少しでも増やすために胸筋の方が良かっただろうか。
「まあ、とにかくアンタが食べた分運動すればいいのよ。十本だから……十キロ走れば痩せるんじゃない?」
「うん、とりあえず今は『走れば痩せるって安直すぎるだろ! 逆に痩せにくくなるという説があんだよ!』などというツッコミは抑えておこう。……十本も食えるかッ!!」
「まあまあ、頼むよ飛理也。僕も一本は頑張って食べるからさ」
「ま、まあ……お前はこいつらよりもちゃんとした意識があってよかったよ。いくら主犯とはいえども」
そう、いくら主犯とはいえども。
「志波先輩、少し考えが」
何やらごにょごにょしているが、何を企んでいるのだろう。
「え!? ……うん」
小佐野の顔が赤いが、何を企んでいるのだろう。
「わ、わー。こんなにも大きくて太いから入るかなー」
「小佐野やめろ! エビフライ如きでお前まで麻衣みたいなこと言わなくていいんだ!」
余りにアレな光景だったので、仕方なく一本ずつ食わせ、俺は七本食った。
タルタルかマヨネーズが欲しかった。
文字数が足りねぇッ!