嘘吐き■■は箱庭で※を夢見る   作:@T

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他の小説も書いているので更新は遅めです


【どんな時にも不敵な笑みを忘れるな。笑って、哂って、嗤って生きろ、それが嘘吐きの生き方だ】
 -----嘘吐き


【強制的に異世界へ】

 とあるマンションの一室

 明りも点いていないその一室で青年と思われる男はベッドに横になりながらため息を吐く。

 

「世界は変わった……だが俺は変わらない……」

 

 男は部屋に飾っている写真立てに眼をやり、そして窓を開けてベランダへと出る

 外は街中の街頭に照らされ夜なのに明るい。

 

「……この世界はもう俺を必要としていないのかも知れないな」

 

 男の呟きはまだ働いている夜の闇に飲み込まれる

 男は窓を開けっぱなしにして部屋へと戻った。

 

「……何処か遠い所に行きたいねぇ……」

 

 なんとなしに男は言葉を放つ

 独り言は無音の部屋へと響く。

 

 何の意味もない言葉

 その言葉に反応は無い、有る筈が無い。

 

 男は明日も部屋でゴロゴロと暇を持て余し

 明日一日を無駄にする……その筈だった。

 

「?」

 

 家具がほとんどない部屋の整頓された机の上

 何も置いてない筈のその上に男は“何か”を見つける

 それを見た瞬間、男は驚きに眼を見開き、そして口の端を持ち上げた。

 

「【嘘】を吐いて無い筈なんだけどね~……誰の悪戯か、それとも……」

 

 男には確信があった

 目の前の物は自分を此処とは違う場所に連れていてくれる物であると。

 

「準備するか……ここには帰ってこれなさそうだし」

 

 そう言って男はクローゼットを開ける

 中には男が何時も着用している黒のパーカーが吊るされている

 男はそれを羽織り、部屋を見渡す

 そして写真立ての前に移動した。

 

「……これ以外に持っていく物も無い……か」

 

 男はそう呟いて写真立てをパーカーのポケットに入れる

 その後、机の上に置いてあった“手紙”を手にベランダへと移動した。

 

「……此処では色々な事があったな……良い事、悪い事。今考えればまぁ、【悪くは無かった】」

 

 男は嘘だけどな。と呟いて手紙を開けようとする

 だがそれは扉が吹き飛んだ事によって中止された。

 

「『嘘吐き』! やっと見つけたぞ!」

 

 入ってきた人物は銃を男に向けながら部屋へと入ってくる

 その人物は男が知っている者だった。

 

「刑事のおっちゃんじゃないですか。どうしてこんな所へ?」

「どうしてだと? お前を豚箱に入れる以外に何がある!」

 

 男はやれやれと肩を竦めて刑事を見る

 刑事は男の一挙一動を警戒しながら銃の引き金に指をかける。

 

「まぁ、最後に会えたのがおっちゃんである意味良かったのか?」

「何?」

 

 男はベランダの縁へと立って刑事を見下げる

 刑事は男を見上げながら睨む。

 

「何のつもりだ?」

「この部屋のクローゼットの下に俺の稼いだ金がある。アンタが15年間も俺を追いかけてきた報酬としてもらってくれ」

 

「俺を買収するつもりか?」

「いらないなら教会なんかに寄付してくれ。元々いらない金が完全にいらなくなったからな」

 

 男はそう言うとゆっくりと後ろへと体重を傾けていく

 それに気づいた刑事は銃の引き金を引いた。

 

-----パンッ-----

 

 銃弾は男の肩の上を抜けていき虚しい音を響かせる

 男は落ちながら刑事に向けて不敵に嗤った。

 

「【またな】」

 

 刑事は男が落ちていったベランダに急いで向かう

 男が落ちていった筈の場所にはヒラヒラと手紙が落ちていくだけ

 その手紙も風に吹かれて天高く舞い上がりその姿を消す。

 

 刑事はベランダの縁を殴り悲痛な声を上げた……

 

 

ーーー☆ーーー☆ーーー☆ーーー

 

 

 男が眼を開けるとそこは空の上

 身体は重力に引かれて凄い勢いで地面へと向けていく。

 

「おいおい、ベランダから落ちたらスカイダイブとは中々にスリリングじゃないか【恐い恐い】」

 

 男はパーカーのフードの中から不敵に笑って周りを見る

 自分と同じ状況にある他の三人を見て更に笑った。

 

「下は湖、高さは予測千メートル以上。普通なら確実に死ぬな」

 

 男は呟きながらまた嗤う

 湖は既に眼前へと迫っていた。

 

「これは【死ぬ】な」

 

 

ーーー☆ーーー☆ーーー☆ーーー

 

 

 湖に落とされた四人は陸へと向かう

 そして陸に着き直ぐに悪態を吐き始めた。

 

「し、信じられないわ! まさか問答無用に引き摺りこんだ挙句、空に放り出すなんて!」

「右に同じくだクソッタレ。場合によっちゃその場でゲームオーバーだぜコレ。石の中に呼び出された方がまだ親切だ」

 

 二人の少年少女が言葉を交わしている中、男は三毛猫を持った少女の手をとって陸へと引き上げる

 

「……ありがと」

「どういたしまして」

 

 男は悪態を吐き合う二人を笑いながら観察した後、風の動きを確認する

 そして風下の方向へと歩んで三人との距離を十分にとった後、パーカーのポケットから煙草とライターを取り出した

 

「……ふぅ」

 

 煙草を吸いながら男は三人を観察する

 

 紅いリボンを頭に着けた少女、男はこの少女に懐かしさを感じた

 それは少女の性格が知り合いに似ていたからか、それとも……

 

 三毛猫を抱えた少女、男はこの少女に危うさを感じた

 それは少女の眼が知り合いに似ていたからか、それとも……

 

 ヘッドホンを付けた少年、男はこの少年に……

 

「……で、そこのフードを被ってる怪しい貴方は?」

 

 そこで男の思考が現実へと戻る

 三人の視線は男に向いており、男は三人が自己紹介の様なものをしているのだと分かった。

 

「おっと、これは失礼。女性に先に名前を言わせてしまうとは……」

 

 男は煙草の火を消し、フードをとって自己紹介する

 フードの中から出てきた顔はにこやかに笑う

 その顔は優しい笑みを浮かべながらどこか胡散臭く感じる様な顔だった。

 

「名前は【木葉(きは) ソウ】、職業は無職。見たところ皆の中で一番の年上かな? 何か困った事があったら相談に乗るよ」

 

 男の自己紹介は顔のせいか胡散臭く

 その言っている言葉に対しても胡散臭く感じる。

 

「そう。よろしくねソウ君」

「あぁ。よろしく」

 

 男の自己紹介に対して少年は訝しげな表情を男に向ける

 男……ソウはその視線に気付き、少年に向けて笑った。

 

「どうかしたかな、“十六夜君”」

「……イヤ、なんでもねーよ」

 

 十六夜はソウに向けている視線を外す

 ソウは十六夜の行動に少し笑いながらある方向に笑った。

 

 「で、呼び出されたのは良いがなんで誰も居ねえんだよ。この状況だと、招待状に書かれた箱庭という物の説明をする人間が現れるもんじゃねえのか?」

「そうね。なんの説明がないままじゃ動きようがないもの」

「……。この状況にたいして落ち着き過ぎているのもどうかと思うけど」

「ま、高所からの落下なんて日常的に【何処でもありえる】から別にね」

 

 ソウの言葉に三人は唖然とした顔でソウを見る

 ソウは三人の表情ににこやかに笑った。

 

「【嘘】だよ」




【名前】
 木葉 ソウ

【容姿】
 灰色髪
 蒼眼
 見た目は20代前半に見える

【詳細】
 何時も笑って相手に考えを読み取らせない
 その所為でどこか胡散臭く行動すべてが嘘っぽいと言われる

 箱庭に来る前はとある事をしていて警察に追いかけられる事になっていた
 お気に入りの黒のパーカーには背中に“戯言”と書かれている
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