突然だが、俺の家は高層マンションだ
最上階の一フロアが俺の家
それより下には従業員や子供が住んでる
三久「__あ、柊木君。」
司「......」
ここに俺が住んでる事は誰にも知られていなかった
そう、俺の家の前にこいつがいるわけないんだ
司「......なんで、ここにいる。天空時三久。」
三久「あなたをつけている間に住居を特定出来たんです。」
司「ストーカーか。」
いや、ストーカーだった
まぁ、元ではあるんだが
俺は大きなため息をつきながら話しかけた
司「何の用だ。俺もお前がここを通らない事は分かってる。」
三久「一緒に学校に行きましょう。」
司「は?嫌だ。」
俺はそう言って学校の方に歩いた
天空時三久は駆け足で俺を追ってきてる
三久「ま、待ってください。」
司「嫌だ。お前と学校に行ったら仲が良いと言うあらん誤解を招く。」
三久「あ!」
俺は走り出した
そして、真っ直ぐ学校に向かった
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司「__はぁ、疲れた。」
全力で走り、学校に着いた
走ったことに関しては一切疲れてない
家の前に同じ学校の人間がいたという事実に疲れてるんだ
七深「__あー、柊木君ー。」
司「広町か。」
下駄箱に来ると、広町がいた
今まで知らなかったが、意外と近かったらしい
七深「おはようー。」
司「あぁ。」
七深「今日は朝から目が死んでるねー。どうしたのー?」
司「......ストーカーがいて、疲れた。」
七深「え?また?」
司「あぁ。」
俺はそう言いながら下駄箱を開けた
すると、中に手紙が入ってた
司「......」
七深「お、おー。」
俺は静かにそれを開けた
内容は放課後に屋上に来てほしい、というものだった
七深「これが、普通のラブレター?」
司「......」
俺はその手紙を静かに下駄箱に入れ直し
勢いよく、閉めた
七深「な、なにしてるのー?」
司「無視だ。」
七深「えー、なんでー?」
司「なんでもだ。」
丁寧なことに差出人の名前が書いてた
天空時三久だこの時点で無視する理由に十分だ
俺は取り出しておいた靴に履き替えた
司「よし、教室行くか。」
七深「いやいや、手紙取りなよー。」
司「断る。」
三久「__ひどいじゃないですか。」
司「......チッ」
もう追いついて来たか
普通の中の上なだけはある
三久「女子からの手紙ですよ。受け取ってくださいよ。」
司「知らん。」
三久「なんで、そんなに私を避けるんですか。」
司「胸に手を当てて考えてみろ。」
三久「?」
俺がそう言うと、天空時三久は俺の胸に手を当てて来た
一瞬の出来事で頭の中が真っ白になった
七深「!?」
司「......何をしている。天空時三久。」
三久「え?胸に手を当てろって言っていたので。」
司「お前は自分の罪状を思い出すのに、他人の胸を触ろうと思うのか?」
三久「冗談ですよ。」
天空時三久は笑いながらそう言ってきた
ただ単純にうざすぎるんだが
司「......はぁ。」
俺は心底疲れた
こういう時の最良の対処法は無視だ
俺はそう思い教室の方にゆっくり歩きだした
三久「待ってください。」
司「......」
三久「ま、また、行きますからね!」
七深「......?」
俺は後ろに天空時三久の声を受けながら
教室に歩いて行った
七深(なんでだろ?今、少し胸が痛かったような?)
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学校というものは俺にとって退屈なものでしかない
社員からの定期報告を見てたりするだけで時間が過ぎていった
司「__もう、こんな時間か。」
気づけばもう、昼休みになっていた
俺は鞄の中から某カロリー食品とゼリーを出した
司(最近は安定しすぎて退屈だな。)
俺は嵐の前の静けさの様なものを感じながら
パソコン画面を見ていた
三久「__不健康ですね。」
司「!?」
俺は席から飛びのいた
そして、俺は話しかけて来た人物を見た
司「何をしている。」
三久「お弁当、食べませんか?」
司「は?」
困惑している
こいつは何を言ってるんだと
だが、質問の返答だけはすぐにでた
司「いらん。」
俺はそれだけ言うと、席に座りなおした
周りからは、色々な声が聞こえてくる
「あれって、天空時先輩だよな?」
「う、うん。」
「なんで、柊木君に?」
「家の資金援助、主従関係、色々考えられる。」
「もしかして、恋人同士だったりして?」
司「......チッ。」
本当に面倒だ
こいつの狙いは何だ
司「お前は何を企んでる。」
三久「え?」
司「俺を陥れて、何かする気か?」
こういう時はストレートに聞くのが一番だ
目的次第なら仕留めればいいだけの事だ
三久「お礼を、したいんです。」
司「は?」
三久「この間、助けていただいたことの。」
司「......いらん。」
俺は静かな声でそう言った
出来るだけ周りの人間に聞こえないように
司「あれはあくまで依頼だ。礼を言われる筋合いはない。」
三久「後、もう一つの目的があるんです。」
司「なに?」
三久「少し、場所を変えていただけないでしょうか......?」
司「......」
俺は心底面倒に思いながら
教室から出て、屋上に移動した
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屋上に来た
人一人いないな
司「__それで、もう一つの目的とは何だ。」
俺は屋上に来るとすぐに本題に入ろうとした
天空時三久は俺の方をまっすぐ見た
三久「私は柊木君に助けられてから、ずっとおかしいんです。」
司「おかしい?」
ビルから飛び降りた時に何か体に負荷がかかったか?
それとも、爆発音で聴覚に何か影響したか
三久「私は最初、貴方の事を悪だと思っていました。」
天空時三久は話し始めた
それにしても、第一印象最悪だな
三久「ですが、あなたに助けられて。あの日、人身売買にかけられた人たちの事を聞きました。」
司(明石か。)
三久「柊木司、パンドラは悪じゃなかった。たくさんの人を救う正義だったんです。そう思うと、私の頭はぐちゃぐちゃになりました。」
まぁ、イメージが180度変わったわけだし
そりゃあ、考えもまとまらないだろうな
司「バカな奴だ。」
三久「え?」
司「最初のお前の考えは間違えてない。パンドラの俺は悪だ。」
俺はそう言った
天空時三久は目を丸くした
司「お前は何もわかってない。」
三久「どういう事、ですか?」
司「確かに俺は多くの人間を救ってるんだろうな。」
三久「はい、確かに、救っています。だから__」
司「だがな。」
三久「?」
司「人を殺せば、他に何をしてようがそいつは悪なんだよ。」
三久「っ!」
そう言うと、天空時三久の顔が強張った
俺は続けて話した
司「俺は今までに何百人もの人間を殺してきた。」
三久「......っ。」
司「血なんて、いつの間にか赤い絵の具を見てるのと何ら変わらなくなった。」
初めて人を殺したのは小学生の時だった
最初こそ、戸惑いがあった
だが、いつからだったか何も感じなくなったのは
司「こうなるまで人間を殺した奴はどうやっても正義になんてなれない。それが俺だ。」
三久「......」
司「そういう事だ。」
俺はそう言って扉の方に向かった
もう話すことなんてないだろう
三久「待ってください。」
司「......なんだ。」
天空時三久は俺を呼び止めた
まさか、まだ話すことなんてあるのか
三久「悪なのは、あなた自身なんですか?」
司「......なに?」
三久「真に悪なのは、あなたの行いだけなんじゃないですか?」
司「行い?」
三久「罪を憎んで人を憎まず、そう言う言葉があります。だから、あなたもそうなんじゃないですか?」
司「もう一つ、教えてやる。」
これを知ってるのは、明石だけだ
そして、これが俺の最大の罪であり
悪である理由
司「俺は_____」
三久「__え?」
その時、天空時三久の時間は完全に止まった
まるで、温度が消えたようでもあった
司「俺は生まれた時から、罪なんだよ。」
三久「それでも......」
司「?」
天空時三久は俺の服を掴んだ
そして、こう言った
三久「私には関係ありません......!」
司「なにがだ__」
三久「私はあなたに恋情を抱き続けます。」
俺はたいそう驚いた
想像してなかった事態だった
三久「私はあなたの正義を知りました。今更、そんな事を言われても、私には関係ありません......!」
司「......そうか。」
俺は少し笑った
そして、俺は天空時を見た
司「天空時。」
三久「え?(呼び方が......)」
司「お前は変な奴だ。金と外見以外で俺を評価する人間がいるなんてな。」
三久「それは、誰もあなたを知らないだけです。」
司「だがな。」
俺は静かな声で、優しく
天空時にこう言った
司「__やめとけ。」
俺はそう言った後、屋上を去った
__________________
俺は放課後の廊下を歩いてる
もう夏に近いのもあり、外はまだ明るい
司(__後味悪いな。)
天空時は多分、もう俺にそう言う思いを抱くことはないだろう
だが、これでいい
これが正解なんだ
透子「__行くよー!倉田ー、二葉ー、広町ー!」
つくし「うん!次のライブこそ!」
ましろ「う、うん......」
七深「がんばろー。」
司「ふっ。」
あいつらの姿が見えた
まだ、大丈夫みたいだな
そう思ってると、俺の携帯が鳴った
司(......仕事か。)
俺は携帯画面を確認した
人体実験場の殲滅か
俺は内容を確認すると、明石に電話をかけた
司「明石。」
響『はいはーい!仕事?』
司「あぁ。詳細はすぐに送る。今夜、決行だ。」
響『りょーかい!』
俺は明石との電話を切り
仕事の詳細を明石に送った
司「行くか。」
俺はそう呟いてから
歩を進めた