禁忌少年の月ノ森ライフ   作:火の車

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風邪

 遊園地に行った日から

 

 特に予定が入ることもなく夏季休暇を過ごした

 

 結局、あの現象も謎のままだ

 

司「__あっ。」

 

 リビングで考え事をしてると

 

 ある事を思い出した

 

 今日は夏季休暇最終日

 

司「明石に連絡するの忘れてた。」

 

 俺はそう思って、携帯を手に取った

 

 そして、明石に電話をかけた

 

司「明石か?前に行ってた出かけると言う話だが。」

響『ごめん、行けそうにない......』

司「?」

 

 電話に出た明石の声がおかしい

 

 少し、枯れてる?

 

響『いやー、風邪ひいちゃって......』

司「明石が?珍しいな。」

響『あたしの免疫力は司と違って人並みだからねー。』

 

 明石は少し笑いながらそう言った

 

 だが、かなり苦しんだ声をしてる

 

司「そういう事なら仕方ない。またの機会だな。」

響『うんー。ばいばーい......』

 

 明石はそう言って電話を切った

 

 俺はテーブルに携帯を置いた

 

司(予定が無くなったな。)

 

 俺は天井を見上げた

 

司(__そう言えば、あいつ、一人暮らしだったよな。)

 

 10分ほどボーっとした後

 

 俺はそんな事を思った

 

 明石の声を聞く限り、かなりの重症だ

 

司「......チッ。」

 

 俺はソファから立ちあがり

 

 服を着替えて、財布を持った

 

司「暇だし、様子を見に行ってやるか。暇だし。」

 

 俺はそう呟いてから

 

 マンションを出た

__________________

 

 ”響”

 

 今回の風はかなりの重症っぽい

 

 のど痛いし、頭痛いし、熱出てるし

 

 何よりも倦怠感が強すぎ

 

響(__はぁ、なんでこんな日に限って......)

 

 ほんとなら、今日は司と出かける予定だったのに

 

 ついてないなぁ......

 

響(司じゃないけど、あたしは神様に嫌われてるのかな?)

 

 あたしはそんな事を思いながら天井を眺めた

 

 そう言えば、飲み物も食べ物も切れてる

 

 流石にヤバいかも......

 

響「......買いに行かないとだよね。」

 

 あたしはそう言って体を起こした

 

響「うっ......」

 

 やっぱきつい

 

 頭フラフラする

 

響「コンビニ行こ......」

 

 ピンポーン

 

 あたしが部屋を出ようとすると

 

 インターフォンが鳴った

 

響「え?誰?」

 

 特に今日、誰かが来る予定はなかったし

 

 なんだろ?

 

 あたしは重い足を引きずって玄関に行って

 

 扉を開けた

 

響「__はーい、どちら様ですかー....?」

司「俺だ。」

響「え?司?」

 

 扉を開けていたのは

 

 いつもと変わらない仏頂面の司だった

__________________

 

 ”司”

 

 明石は一瞬、困惑の表情を浮かべた後

 

 俺を家に招きいれた

 

響「それで、何しに来たの?」

司「暇だから様子を見に来た。」

 

 俺はそう言って

 

 持ってきた袋を机に置いた

 

司「どうせ、お前の事だから飲み物も食料も不足してるだろ。」

響「良く分かってるねー。」

 

 明石は頭を掻きながらそう言った

 

 俺は呆れてため息をついた

 

司「たくっ......」

響「あはは......」

 

 俺は時計を確認した

 

 もう昼時だ

 

司「さっさと横になれ。飯を用意する。」

響「えぇ!?」

司「なんだ。」

響「つ、司が優しくて怖い。」

司「気絶させるぞ。」

響「あーごめんごめん!」

 

 こいつ、本当は元気なんじゃないか?

 

 そうは思ったが

 

 見ればこいつの調子が悪いのは分かる

 

 呼吸音と心音が少しおかしい

 

響「じゃあ、お言葉に甘えて、横になろうかなー。」

 

 明石はそう言って、敷いてる布団に入った

 

 俺はそれを確認すると、持ってきた食材をキッチンに広げた

 

司「さて、さっさと作るか。」

 

 はっきり言おう

 

 俺は料理も出来る

 

 和食からタイ料理まで(?)

 

 ありとあらゆるジャンルの料理を作れる

 

 病人食といったら......おかゆか

 

 俺はさっさとおかゆを作った

 

司「__ほら、出来たぞ。」

響「わーい!」

司「感謝して食え。」

 

 俺はそう言って明石の前におかゆを置いた

 

 そして、椅子に座った

 

響「美味しい!」

司「当然だ。」

 

 明石は嬉しそうにおかゆを頬張ってる

 

 俺はその様子を眺めていた

 

響「司ってやっぱ、偉そうなこと以外は完璧だよねー。」

司「一言余計な奴だな。」

 

 俺は明石を睨みつけながら言った

 

 明石はそれに気づくと、慌てた表情で謝ってきた

 

響「ごめんって!」

司「ふん、今日は特別に許してやる。」

響「あははー、ありがとー。」

 

 そう言うと、明石は食事を再開した

 

 そして、数分後、明石は食事を終えた

 

響「__ごちそーさま!」

司「じゃあ、薬飲んでさっさと寝ろ。」

 

 俺は明石に薬を飲ませ

 

 食器を下げた

 

 明石は布団をかぶった

 

司(それにしても、明石が体調不良とは珍しいな。)

 

 俺はそんな事を考えながら

 

 洗い物を進めた

 

 そして、洗い物が終わった

 

司「__じゃあ、俺は帰る。」

響「え?」

司「なんだ。」

 

 俺が帰ろうとすると

 

 明石が何かを言ってきた

 

 俺は明石の方に顔を向けた

 

響「帰っちゃうの......?」

司「そりゃ帰るだろ。」

響「本当に......?」

司「何が言いたいんだ。」

響「一緒にいて......?」

 

 明石はそんな事を言ってきた

 

 こいつは何を言ってるんだ

 

 年だけなら俺より上だろう

 

響「一人じゃ心細いんだよー......」

司「......はぁ。」

 

 俺はため息をついて

 

 明石の横に座った

 

司「寝るまではいてやる。」

響「うん、ありがと。」

 

 明石はそう礼を言うと

 

 ゆっくりと目を閉じた

 

響「ねぇ、司。」

司「なんだ。」

響「なんで、今日は来てくれたの?」

 

 明石は俺にそう問いかけて来た

 

 俺は静かに答えた

 

司「暇でかつ、本来お前に使う時間だったからだ。」

響「そっか......」

司「いいから寝ろ。バカが。」

響「うん。」

 

 それから、20分ほどすると

 

 明石が眠りについた

 

司(__やっと寝たか。)

 

 俺はため息をつきながら明石を見た

 

 良い顔で寝やがって

 

 俺は心の中で悪態をつきながら

 

 明石の寝顔を見た

 

司「......」

 

 寝てるやつを見ると

 

 こっちまで眠くなってくる

 

司「......寝るか。」

 

 俺はそう呟いて

 

 床に寝ころび、目を閉じた

__________________

 

 ”響”

 

響「__んっ......」

 

 目が覚めた

 

 どのくらい寝てたんだろ

 

 窓から入ってくる日の色的に夕方かな

 

響「司はもう帰ったかな......って!?」

司「......zzz」

 

 横を見ると

 

 なんとも綺麗な寝顔があった

 

 あたしは口をふさいだ

 

響(司、いてくれたんだ......)

 

 あたしは体を起こして

 

 眠っている司を見た

 

 寝顔だけ見れば、いつものあの偉そうな感じは全くしない

 

響「快眠ですかー?王様ー?」

司「ん......」

 

 あたしが頬に触れると

 

 司は嫌そうな顔をした

 

響(それにしても、感慨深いねー。)

 

 最初の頃なんて

 

 こんな姿を見せる事なんて全くなかったのに

 

 今となってはだよ

 

響(でも、あたしを見つけてくれたのは司なんだよね。)

 

 初めて司に出会ったのは海外の闇市

 

 そこで、あたしはいつも通り商売をしてた

 

 その時、どこかの大商会が言いがかりをつけてきて

 

 あたしはどこかに連れて行かれそうになった

 

 流石にあの時は死ぬのを覚悟した

 

 でも、その当時から活躍してた司がそこを通りかかって

 

 何十人もいる外国人を倒して、あたしを助けてくれた

 

響(あの時から変わらず、司は偉そうだよね。)

 

 司から初めてかけられた言葉は

 

 挨拶でも、心配の言葉でもなくて

 

 「お前は使えそうだな」だった

 

 あの時は驚いたなー

 

 だって、あの時の司、中1だよ?

 

 そんなあたしより小さかった子がそんな事言うんだよ?

 

 やばいでしょ?

 

響(ほんと、大きくなったねぇ。)

 

 司と出会って、3年

 

 殺し屋に巻き込まれたり、色々あったけど

 

 赤の他人から、信頼できる人物になって

 

 そして、今は友達になって

 

 次は......

 

 いっつも偉そうで、口が悪くて

 

 でも、なんだかんだ

 

 今日みたいに暇だからとか建前言って

 

 一人のあたしを心配してくれるくらい優しい

 

響(そんな司を、好きになった......)

 

 あたしは司の頭を撫でた

 

 司はくすぐったそうに身をよじった

 

響(だから、いつか、この気持ちを伝えて。ずっと、こんな風に司と一緒にいたい。)

 

 そんな事を祈りながら

 

 あたしは司が目覚めるのをしばらく待っていた

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