禁忌少年の月ノ森ライフ   作:火の車

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守りたいもの

 月ノ森音楽祭まで残り1週間

 

 もう、時間はほとんど残されてない

 

 とりあえず、色んな場所をあたることにした

 

司「__おい、十条。」

カグヤ「あれ?司さん?って、呼び方変わってないですか?」

司「あぁ、この間の倉田ましろとの話を聞いてな。」

 

 俺はそう言って、十条の胸を叩いた

 

 すると、十条は驚いた顔をした

 

司「成長したじゃねぇか、小僧が。」

カグヤ「ありがとうございます?」

司「それで、聞きたいことがあるんだが。」

カグヤ「はい?」

司「倉田ましろとはどうだ?」

カグヤ「倉田さんですか?特にあれから何もないですが?」

 

 十条カグヤは首をかしげながらそう言った

 

 そんな様子を見て、俺はため息をついた

 

司「たくっ、お前と言う奴は。」

カグヤ「?」

司「お前は倉田ましろをどう思ってるんだ?」

カグヤ「え?」

 

 そう言って、十条は考え始めた

 

 こいつ、鈍感すぎるだろ

 

カグヤ「ほっとけなくて、可愛らしくて、一緒にいると楽しいです。遊園地に行った時も楽しかったですし。」

司「へぇ。」

カグヤ「司さん?」

司「倉田ましろはお前の特別だと。」

カグヤ「!」

 

 こいつは基本的に人に感想をあまり言わない

 

 だが、ここまで並べたとなると、あるぞ

 

司「お前、倉田ましろの事が好きなんじゃねぇの?」

カグヤ「!」

司「どうだ?」

カグヤ「......」

 

 俺がそう言うと、十条は下を向いた

 

 そして、数秒後に顔を挙げた

 

カグヤ「よく、分かりません。」

司「!」

カグヤ「僕は人を好きになったことがありません。だから、これがどういったものか。」

 

 十条は自分の胸を押さえた

 

司「お前のそれが答えだ。」

カグヤ「え?」

司「人の感情なんて、理解しようとしたって出来ん。だから、自分がどう思うかだ。」

カグヤ「......はい。」

司「ほら、これやるよ。」

 

 俺は話し終わった後

 

 ある書類を渡した

 

カグヤ「これは?」

司「音楽室の使用許可書だ。月ノ森音楽祭の日の。」

カグヤ「どうして、これを僕に?」

司「知らん。後はお前の思った通り動け。」

カグヤ「え?司さん?」

司「じゃあな。」

 

 俺はそう言って、教室を出て行った

__________________

 

司「__いた。」

 

 俺は廊下でその人物を見つけると

 

 歩いて近づいた

 

司「おい、八潮瑠唯。」

瑠唯「柊木君、何か用かしら?」

 

 八潮瑠唯はいつも通り、機嫌の悪そうな顔をしてる

 

 俺は構わず話した

 

司「バンドに入ったみたいだな。」

瑠唯「えぇ、そうね。」

司「ふーん。」

瑠唯「何か言いたそうね。」

司「いや、我ながらいい予言をしたと思ってな。」

 

 俺は笑いながらそう言った

 

 八潮瑠唯は俺の方を睨みつけて来た

 

司「まぁ、それはいいんだ。」

瑠唯「さっさと本題に入りなさい。これから練習なの。」

司「そうだった。」

 

 俺は頭を切り替えた

 

 

司「お前に頼みがある。」

瑠唯「頼み?あなたが私に?」

司「あぁ。」

瑠唯「......天変地異の前触れかしら?」

 

 こいつの俺へのイメージはとりあえず分かった

 

 だが、俺は気にせず話を進めた

 

司「月ノ森音楽祭の日、広町の家に行けるか?」

瑠唯「広町さんの家に?なぜ?」

司「......広町を殺せと、依頼が来た。」

瑠唯「!」

司「だが、狙いは広町じゃない。俺だ。」

瑠唯「どういう事?」

司「説明する。」

 

 俺は八潮瑠唯に全ての事情を話した

 

 そして、なぜ、俺が八潮瑠唯に声をかけたか

 

 こいつを引き金にするためだ

 

司「お前にこれを渡しておく。」

瑠唯「これは......!」

司「広町を守るために、頼んだ。」

 

 俺はそれだけ言って

 

 八潮瑠唯の前から立ち去った

 

瑠唯(彼は、まさか......)

__________________

 

 こいつらが最後だ

 

 俺は奴らを屋上に呼び出した

 

龍奈「__何の用だ、柊木ー!」

三久「り、龍奈さん、もう少し静かに。」

司「よう、2人とも。」

 

 俺は2人の前まで歩いた

 

司「お前たちに話がある。」

龍奈「話ぃ?」

三久「なんですか?」

 

 2人は首をかしげながら

 

 俺の方を見てる

 

司「まずは、天空時。」

三久「はい?」

司「多分、お前とは月ノ森音楽祭後は会えなくなる。」

三久「え......?」

 

 天空時は目を丸くした

 

 獅子王龍奈も表情を引き締めた

 

龍奈「どういう、事だ。」

三久「そ、そうですよ。」

司「俺のもとに広町を殺せと言う依頼が来た。」

三久「え?」

龍奈「なに!?」

三久「で、でも、それにさっきの話、なんの関係が?」

司「狙いが広町じゃないからだ。」

龍奈「......そういう事か。」

三久「え?」

 

 獅子王龍奈は気づいたみたいだ

 

 戦いの場に身を置いたものにしか分からない

 

三久「待って、もしかして!」

龍奈「......死ぬ気なのか?柊木。」

三久「でも、なんであなたが、そんなことを......」

 

 天空時がそう呟いた

 

 多分、普通の俺なら広町を見殺しにしてたんだろうな

 

 俺が生きた方が有益だとか言ってな

 

 それが、俺だったからな

 

司「俺になかったものが、生まれた気がしたんだ。」

三久「なかった、もの......?」

司「漠然と、闇の向こうに。」

龍奈「......」

司「命を懸けて、守りたいものが。」

三久「っ!!」

 

 俺ははっきりとそう言った

 

 何なんだろうな、この感覚は

 

 胸の内が暖かくて、良く分かんねぇ

 

龍奈「......そうか。」

司「俺の代わりはもういる。出来れば、力を貸してやってくれ。」

 

 俺はそう言って

 

 屋上から立ち去ろうとした

 

三久「待って、ください......」

司「......すまない、天空時。」

 

 俺はそれだけ言って

 

 屋上から出た

__________________

 

 ”三久”

 

 すまない、彼は確かにそう言った

 

 この言葉の意味を理解するのなんて容易です

 

 でも、でも......

 

三久「私が欲しいのは、そんな言葉じゃないんです......」

龍奈「三久......」

 

 もう、彼の心が私に来ることなんて無い

 

 彼は常に余裕をもって人を助けようとする

 

 でも、今回は命を懸ける、そう言いました

 

 つまり、私は命を懸ける対象にはなれない

 

 そんな事、分かってるんです......

 

三久「だからせめて、嘘でも、死なないって言ってくださいよ......!」

龍奈「......」

三久「私に少しくらい、止めさせてくださいよ!!」

龍奈(......無理だ、三久。)

 

 私は涙を流しながら叫んだ

 

 聞こえてるかもしれない

 

 聞こえていてほしい

 

龍奈(覚悟を決めた男は、例外なく、止めれないんだよ。)

三久「柊木君......!!!」

 

 私はそれから

 

 声にならないような声で叫び続けました

 

 そして、いつの間にか意識を失っていました

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