司「__いよいよ、か。」
月ノ森音楽祭当日
校内はその話題で持ちきりだ
司「......」
俺は今、屋上で座ってる
教室は落ち着かない
カグヤ「__司さん。」
司「十条か。」
カグヤ「おはようございます。」
こいつはいつも通り
無表情で声のトーンが変わらない
だが、なんで、ここに来た
司「何か用か。」
カグヤ「......はい。」
十条はそう言うと
俺の目をまっすぐ見てこう言った
カグヤ「司さん、あなたは......」
司「......聞こえたか。」
カグヤ「はい......」
十条が答えた後
俺は立ち上がった
司「それでなんだ。止めにでも来たか。」
カグヤ「いえ。」
司「!」
カグヤ「僕にあなたは止められない。だから、後悔しないようにここにきました。」
十条は俺に真っ直ぐ体を向けた
そして、こう言った
カグヤ「僕を導いてくれて、ありがとうございました。」
司「!」
カグヤ「あなたは永遠に僕の英雄であり続けるでしょう。」
司「......そうか。」
俺はそう短く答えた
そして、立ち去ろうとした
カグヤ「だからこそ......」
司「......?」
カグヤ「死なないでください......!」
司「......っ。」
十条はこぶしを握り締めてそう言った
あふれ出したように出た言葉は
確かな重さがある
カグヤ「お願いです、死んでも、死なないでください......!」
司「......めちゃくちゃだな。」
俺は振り返り
十条の頭に手を置いた
司「十条。」
カグヤ「......はい。」
司「お前は、幸せになれよ。」
カグヤ「っ!!!」
司「じゃあな。」
俺はそう言って
屋上から立ち去った
”カグヤ”
カグヤ「......司さん。」
僕はさっきまで手が乗ってた頭を触った
今にも消えそうな感触にあの言葉
そして、司さんから出てる音
僕にはわかってしまう
あの人は、死ぬんだと
僕の英雄は愛する人を守るために死ぬんだと
ましろ「__じ、十条君......?」
カグヤ「倉田さん。」
ましろ「な、何してるの......?」
カグヤ「道を、見てたんだよ。」
僕は優しく笑いながら
倉田さんにそう言った
カグヤ「......天に続く、道を。」
ましろ「え......?」
カグヤ「あ、ごめんね。」
僕は目の前に立ってる倉田さんを見た
カグヤ「ねぇ、倉田さん。」
ましろ「どうしたの?」
カグヤ「今夜、僕のピアノを聞いてくれないかな。」
ましろ「え?十条君のピアノ?聞きたい!」
カグヤ「じゃあ、月ノ森音楽祭の後、迎えに行くよ。」
ましろ「うん!」
カグヤ「じゃあ、僕は行くところがあるから。またね。」
僕はそう言って、屋上から出て行った
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音楽祭が始まって
俺はステージを見てる
もうすぐ、あいつらの出番だ
透子『__初めまして、Morfonicaです!』
あいつらが出て来た
桐ケ谷透子がMcをしている
今までと面構えも違う
ましろ『聴いてください、金色へのプレリュード......!』
司「!」
初めて聞く曲だ
俺が見た初ライブから今日のライブ
こいつらの世界は確実に進んだ
演奏から、それが顕著に表れてる
音は口ほどにものを言う、ってな
司「__ふっ。」
演奏が終わると、俺は小さく笑った
そして、心の底から拍手を送った
司「いい仲間になったな、広町。」
俺はそう呟いて
その場を後にした
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”七深”
月ノ森音楽祭でのライブが終わった
最高に青春って感じがして
とってもいいライブだったと思う
瑠唯「__広町さん。」
七深「るいるい?どうしたの?」
瑠唯「今日の反省をしたいのだけれど、この後、アトリエに集まれるかしら?」
七深「る、るいるい真面目だね~。」
透子「なーに言ってんの!」
瑠唯「!」
るいるいと話してると
とーこちゃんが話に入ってきた
透子「八潮、ライブの成功祝いしたんでしょ!」
瑠唯「?」
七深「あー、そういう事かー。」
つくし「いいね!やろうよ!」
七深「そういう事なら~!」
ましろ「あ、あの!」
今度はしろちゃんが大きな声を出した
どうしたんだろう?
ましろ「私、行くの遅れる......」
透子「え?どっかいくの?」
ましろ「えっと、十条君に......」
透子「え!?十条!?そういう事なら行ってきなって!すぐに!」
ましろ「よ、夜だから......///」
つくし「よ、夜!?///」
透子「うわ、ま、まじかー!」
瑠唯(話がずれてしまったけれど、まぁ、いいわ。)
それからしばらく、私達はライブの成功を喜び合った
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”司”
夜、俺は広町の家から少し離れたから場所にいる
もうすぐ、行動開始時刻だ
響「__司。」
司「......遠くで待機してろと言ったはずだが。」
響「ごめん。でも、話がしたくて。」
明石はそう言って、俺の目の前まで来た
目が涙で潤んでる
響「司......」
司「......っ!」
明石が俺に抱き着いてきた
司「......やめろ。」
響「嫌......」
明石は俺から離れようとしない
逆に力が強まった
響「好きだよ、司......」
司「っ!」
明石は突然、そう言った
俺は体から力が抜けた気がした
響「ほんとはもっと、ちゃんと言うつもりだった......」
司「明石......」
明石の腕に縛られてるみたいだ
動く事が出来ない
響「好き、大好き......」
司「っ。」
響「だから、離れないで、離れないでよ......っ!」
明石のその声はひどく悲痛に聞こえた
でも、俺は決心したんだ
司「......すまない、明石。」
響「っ......」
俺は明石にそう言うと
今着てる上着を明石に着せた
そして、優しくこう言った
司「俺は、広町が好きになった。」
響「!」
司「だから、もう、引けないんだ。」
俺はそう言って、立ち上がった
司「10年分の立ち回りは書き留めてある。天空時も十条も手を貸してくれるだろう。」
響「司......」
司「後は、任せた。」
俺はそう言って、広町の家に向かった
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”音楽室”
夜の月ノ森の音楽室に2つの影があった
カグヤ「__じゃあ、好きな所に座って。」
ましろ「うん!」
ましろはカグヤにそう言われると
ピアノに一番近い椅子に座った
それを見てカグヤはピアノの前に座った
カグヤ「ねぇ、倉田さん。」
ましろ「どうしたの?」
カグヤ「今日、本当なら倉田さんのためにピアノのを弾きたかったんだ。」
ましろ「え?」
カグヤ「でも、変わったんだ。」
カグヤはこぶしを握り締めた
ましろは戸惑っている
カグヤ「......行くよ。交響曲第5番『運命』」
カグヤはピアノを弾き始めた
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”司”
夜のアトリエ
八潮瑠唯からの連絡によると桐ケ谷透子と二葉つくしがいる
だが、電気が消えてるのを見ると、多分、寝てるんだろう
司(__右側にスナイパー6人、左に8人。)
完全に殺しにきてる
だが、まだ俺を狙ってくる気はないみたいだ
司「入るか。」
俺は手はず通り、八潮瑠唯が明けてある窓から
アトリエの中に侵入した
七深「__うわぁ!」
司「広町、お前を殺しに来た。」
七深「え......?」
俺がそう言うと、広町は目を見開いた
七深「な、なんで......?」
司「......依頼だ。」
出来る事なら
ここで、俺を嫌いになってくれ
そして、忘れてくれ
七深「や、やめてよ、ドッキリか何かなんでしょ......?」
司「......」
七深「な、何か言ってよ......」
広町は夢でも見てるような顔をしてる
そりゃそうだ、こいつは殺されるようなことなんてしてないからな
司「パンドラはお前を殺すことができる。覚悟してもらう。」
七深「今までの事、全部嘘だったの......?」
司「っ......!」
広町は悲しそうな顔でそう言った
心臓が痛い
嘘なんてなかった
広町と過ごした時間に嘘なんてあるはずないんだ
七深「ね、ねぇ、答えてよ!」
司「俺は__」
バン!!!
司「__ぐっ......!!!」
七深「え?」
瑠唯「......」
八潮瑠唯が放った銃弾は
俺の胸を打ち抜いた
響『__司ぁ!!!』
俺にも、普通の人間と同じ部分があった
それは、血管の強度だ
ライフリング加工された銃なら
皮膚をぎりぎりさいて、血管を壊せるんだ
七深「柊木君!!!」
司(__あー、うるさい......)
広町が駆け寄ってきた
七深「な、なんで!」
瑠唯「......彼の頼みよ。」
七深「たの、み......?」
八潮瑠唯が静かに声を出した
広町は困惑してるみたいだ
瑠唯「広町さんを彼の犠牲にしないために......」
七深「え?ど、どういう事?分かんないよ......」
広町はそう言いながら目に涙を浮かべている
俺の瞼もとじ始めた
七深「ま、待って!目を開けてよ!死んじゃうよ!!」
司(......広町。)
まだ、意識が残ってる
でも、もう持たないんだろうな
司(さっきまで殺されそうになってた相手に近づきやがって。ほんとに......優しいやつだな。)
体の感覚がなくなってきた
今、俺はどうなってるんだろう
七深「起きて!起きてよ!!」
瑠唯「......」
広町の声が遠くに聞こえる
迎えが近いな
司(ありがとう、広町。)
温度なんてもうほとんど感じてないのに
何故か温かい
司(次の俺は普通だから、その時は......)
意識が闇に落ちていく
もう、終わりだな......
司(その時こそはまたお前に出会って、必ず、好きだって伝える。)
七深「柊木君!!!」
さようなら、広町
__________________
”カグヤ”
カグヤ「__!」
泣かないって、泣かないって決めた
なのに、なのに......
ましろ「じ、十条君......?」
カグヤ(なんで、涙が......!)
僕は無心でピアノを弾き続けた
手元なんて見えない
でも、感覚で弾ける
カグヤ(何となくわかった。)
伝わって来たんだ
僕に、全て......
僕はピアノを弾き終えた
カグヤ「......さようなら、僕の英雄。」
ましろ「十条君......」
僕は月に照らされた音楽室で
涙を流し続けた
__________________
”響”
響「司、司ぁ......!!!」
涙が止まらない
司は今、死んだ
『__明石。』
響「!」
私のパソコンから
司の声が聞こえた
あたしはパソコンに飛びついた
司『まだ、やるべきことがある。見て、そして確認しろ!』
響「っ!!」
あたしはパソコンを開いた
そして、画面を凝視した
志木『ははは!奴は死んだかぁ!?』
そこには、前に行った
主の部屋の映像が映されてる
司が死んでから、12分
志木『もう、配置してる者たちは引き上げて良い!報酬は大量に用意しよう!』
響「この......!!!」
今すぐ、この男を殺したい
あたしの手で殺したい
響(あと、1分!!!)
司は用意してた
あの男が司が死んでから
15分は出てこない
逆に15分経てば必ず出てくるって
全部わかってたから
響(__来た!!)
『__ドォォォォオン!』
私が見てる画面は爆発音と同時に砂嵐になった
これが、司の作戦
あいつらが司の死亡を心臓の停止で判断することを読んで
司の心臓が止まって20分で爆発する、爆弾
響「......」
この爆弾が爆発すること
それは何よりの、司が死んだ証拠
あたしはその場で崩れ落ち
大粒の涙を流した
__________________
”七深”
何も分からなくなった
るいるいが柊木君を撃って
私の腕の中にいる柊木君は冷たくなって
私は声を上げ続けてた
瑠唯「......広町さん。」
七深「......ごめん、近づかないで。」
瑠唯「......」
私の腕の中には冷たい柊木君
私はそれを抱きしめ続けてる
七深「ねぇ、起きて、起きてよ、柊木君......」
そう言っても、柊木君は反応しない
七深「またドッキリなんでしょ?だって、寝てるみたいだもん......」
瑠唯「......」
七深「もう、驚いたから、十分だから、起きてよ!!ねぇ、柊木君!!!」
瑠唯「......彼は、もう。」
七深「うるさいっ!!!」
瑠唯「っ!」
七深「柊木君はこれから起きるんだよ!!るいるいは黙ってて!!!」
私は柊木君を撫でた
触ってれば起きるかもしれない
それで、触るな、って言ってくれるかもしれない
七深「__全然、起きないや__」
瑠唯「っ!広町さん!」
私の意識はどこか、闇に落ちて行った
帰ってきてよ、柊木君......