司「__素晴らしい。」
俺はいつも通り
学校の机でパソコンを広げ、仕事をしていた
昨日に滞ってた商談を決めたことにより、今日の利益は昨日から30%アップ
グラフも右肩上がり続けてる
司(これから市場が急激に動くことはない。自動で金が入るだけだ。)
面白い事この上ない
何のリスクもなく、碌な苦労もしないで国家にある金の36%を手中に収める
それで経済を回してるから、俺に逆らうやつはいない
司「......」
だが、困った
ここから俺は何かしらの報告があるまですることがない
俺は携帯を出して予定表を見た
司(会食の招待は2日後。副業もまだ仕事の話は来てない。あ、1週間後に弦巻との約束があった。)
基本的に俺の予定は埋まってる
学校にいる間の仕事は代理人に任せてある
立ち回りは全て指示している
司(しまった。今日1日の予定が空いてしまった。)
そんな事をしていたら、俺自身の仕事は結構なくなる
代理人がいなかったら、少なくとも20年は動きっぱなしになる
司(うちの代理人は優秀だな。今度、会った時にボーナスを渡してやろう。)
俺はそんな事を考えながら
いつも動かし続けてる頭を止めて
ボーっとしたまま、時間を過ごした
__________________
司「__ん?」
気づけば、いつの間にか周りの生徒は鞄を持ち下校をしようとしていた
司(少しボーっとしすぎたな。)
俺はそう思いながら、席を立ち
下校の準備をして、教室を出た
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教室を出て、俺は廊下を歩いていた
さっきまで頭を動かしてなかったからか、かなりすっきりしてる
司「......?」
廊下を歩いてると、何かの音が聞こえて来た
ギター、ベース、ドラムの音だ
司(月ノ森でバンドだと?)
月ノ森には音楽はクラシックしかないと思ってるようなつまらん奴らばっかりと思ってたんだが
俺は時間もあったので、フラッと音が聞こえるほうに歩いて行った
司(__さーて、どんな奴らがいるんだろうなー。)
俺は教室の中を見た
司(あれは、確か。)
二葉つくしと倉田ましろ
あと、あれは、桐ケ谷透子だったか
後は......
瑠唯「__何をしているのかしら?」
司「......生徒会か。」
瑠唯「えぇ。生徒会の八潮瑠唯よ。」
八潮瑠唯、確か入学して最初のテストで1位だった奴か
瑠唯「あなたはここで何をしているのかしら?」
司「珍しい音が聞こえて、気になったから見に来た。それだけだ。」
嘘をつく意味もないので、俺は正直にそう言った
八潮瑠唯は俺の話を聞くと特に疑う様子も見せなかった
瑠唯「気持ちは分かるわ。確かに月ノ森では珍しいもの。」
司「お前がここに来てる理由は、これの監視って所か。」
瑠唯「あら、良く分かっているわね。」
司「元は騒音って苦情が生徒会に寄せられて、教室の使用許可を取り消そうとしたがそれが叶わず、お前が監視することが使用条件になった、って感じだろ?」
瑠唯「大体正解よ。流石ね。」
司「お前を一目見ればわかった。そして、少し前に作った曲を持って来るくらいにはほだされたと。」
俺は八潮瑠唯の手元を指さしながらそう言った
紙の状態から見て、最近は使われてない物だろう
瑠唯「それは勘違いよ。しつこかったから提供してあげるのよ。」
司「まぁ、それはそれでいいんだが。それ、バイオリンの曲だろ?バンドで使えるのか?」
瑠唯「知らないわ。」
司「うわ、鬼だ。」
透子「__そこでなーにやってんのー?」
俺と八潮瑠唯が話していると、教室の中から桐ケ谷透子が顔をのぞかせていた
少し話過ぎたか
透子「って、まさか、柊木司!?」
司「あぁ、そうだ。」
透子「うっそ!本物!?」
桐ケ谷透子はそう言いながら俺に近づいて来た
透子「いつも、家がお世話になってます!」
司「家?......あぁ、あの呉服屋の娘か。確かブランドも持ってると聞いた。」
透子「はい!そうっす!」
司「その年でブランドを持つのか。中々の才能だな。」
SNSで人気もあって、人間が自然に周りに集まる人間
中々、商売に向いてそうな奴だ
つくし「あっ!柊木君!」
司「あ、ツインテール。」
つくし「私は二葉つくしよ!昨日呼んでたじゃない!」
もちろん知ってる、冗談だ
だが、昨日こいつを初めて見たが
なんだろう、このポンコツの気配は
透子「ちょ、二葉、知り合いなの?」
つくし「昨日、言い合いしたのよ!」
司「それで、俺のぼろ負けして倉田ましろに止められた、と。」
つくし「ま、負けてない!」
こいつの自信は果たしてどこから来てるんだ?
まぁ、別にいいんだが
瑠唯「やっぱり、有名ね。」
透子「いや、当り前っしょ!世界一の実業家でかつ、その性格から王って呼ばれてるんだよ!」
つくし「お、王!?」
司「あぁ、そんな呼び方もされてたな。」
透子「よかったら、あたし達の練習見て行きませんか?」
桐ケ谷透子はそんな事を言ってきた
透子「次は絶対、あたし達が来るんで!」
瑠唯「流石に、そんな時間はないでしょう。」
司「そうだな、時間もあるし、面白みがあるからいいぞ。」
つくし「!?」
透子「まじ!?じゃあ、どうぞ!」
俺はそうして、練習場所の教室に招き入れられた
__________________
教室に入ると、残りのメンバーがいた
透子「客さんだよー!倉田ー!」
ましろ「お、お客さん?って、柊木さん?」
七深「あれー?昨日の人だー。」
司「お前は......」
昨日......
俺が接した人間は......
司「昨日、ぶつかった奴か。」
七深「そうだよー。」
司「確か、お前は......広町七深か。」
俺は一応、学年にいる全員の名前を把握してる
その中でも特出してる人間はある程度調べてる
七深「おー、私の事、知ってるんだねー。」
司「あぁ。」
こいつはいたって普通、という印象だ
学年順位も普通だし、月ノ森の水準にいる学生か
透子「じゃあ、練習再開しよ!八潮も曲持ってきてくれたし!」
つくし「ありがとう!八潮さん!」
ましろ「ありがとう。」
七深「ありがとー、るいるいー。」
瑠唯「無駄口を叩いてないで活動を再開しないさい。」
八潮がそう言うと、4人は練習を再開した
俺は八潮の横に座りその様子を見ていた
司「......?」
練習の風景を見て、違和感があった
演奏全体の印象としては、まぁまぁ
普通の人間は月ノ森生にしては普通と思うくらいだろう
ただ......
司(広町七深、あいつだけ上手すぎないか?)
経験者か?
だが、月ノ森でベースをしてる奴なんて聞いたこともない
瑠唯「違和感があるかしら?」
司「あぁ。」
俺が考えてると、八潮瑠唯が話しかけて来た
こいつ、何か知ってるな
瑠唯「彼女はずっと学年トップだった子よ。」
司「なに?」
瑠唯「芸術の分野でも注目を集めて、学年で最も期待されていたわ。」
まさか、そんな存在だったとは
もう少し過去のデータに目を向けるべきだった
司(じゃあ、つまり。)
そのくらいの人間なら、昨日の携帯の画面を見られてても不思議じゃない
十中八九、どこかしらは見られてる
司「ふむ。」
だが、慌てるような問題じゃないな
見られてたところで、何も変わらない
だって、俺の副業は政府公認なんだから
俺がそんな事を考えてるうちに、4人の練習が終わった
透子「__こんなもんだねー!」
七深「おつかれー。」
ましろ「お疲れ様。」
つくし「お疲れ様!みんな!」
まるで部活動の後みたいな感じだ
透子「どうでした?あたし達!」
司「いいんじゃないか。今の所、雰囲気も悪くないし。」
俺はそう言いながら椅子から立ち上がった
司「ただ、一つ。アドバイスを送ってやるよ。」
透子「なんっすか?」
司「八潮瑠唯が持ってきたその曲、バイオリンの曲だから、そのままでバンドに使えないぜ?」
透子、ましろ、七深、つくし「あっ。」
俺がそう言うと、4人は思い出したようにそう言った
少し考えれば分かることだが、考えてなかったんだろうな
透子「ど、どうしよ!」
ましろ「誰か、編曲できる人がいれば......」
七深「私がしてみようかー?」
つくし「え?出来るの?」
七深「多分ー。」
透子「じゃあ、一旦は広町に任せる。」
七深「りょうかーい。」
俺はそんな会話を聞きながら鞄を持った
瑠唯「どうだったかしら?彼女たちは。」
司「そうだな、俺の見立てでは、すぐに頭打ちする。」
八潮瑠唯の質問にそう答えた
少し見て分かった
こいつらは世間から見られる月ノ森のブランドに見合ってない
司「色々理由はあるが、一つ言うとすれば。」
瑠唯「?」
司「倉田ましろ、あいつだな。」
瑠唯「倉田さん?」
司「あぁ、あいつが一番、普通の人間っぽいからな。」
俺がそう言うと、八潮瑠唯は首をかしげていた
そして、もう一つ、思った事を言う事にした
司「後は、このバンド、メンバーが足りてないな。」
瑠唯「そうなのかしら?」
司「あぁ。」
それからさらに、八潮瑠唯は疑問の表情を浮かべた
瑠唯「それをなぜ、私に言うのかしら?」
司「さぁな。ただ、このバンドの5人目のメンバーになる可能性が高い人物を考えてた。」
瑠唯「まるで、その人物は私と言いたそうね。」
司「どうだろうな。」
俺はそう言って、教室を出た
司(どんな過程であれ、八潮瑠唯はあのバンドに入る。あいつは絆され過ぎだ。)
俺はそんな事を思いながら、家に帰って行った