”アトリエ”
平日の朝
七深「__っ。」
アトリエの中では
ガラスが散らばり
床には血が滴っている
七深「......あは、あはは......!」
その部屋の真ん中で
七深は不敵に笑っている
七深「ごめん、ごめん、ごめん......!」
すると、今度は泣きだした
七深はしきりに謝り続けている
七深「痛い、痛いよ......」
七深は血が流れる右手を抑えた
血はさらに流れ、床にぽたぽたと落ちている
七深「でも、まだ、駄目......まだ、柊木君は許してくれない......」
そう呟き、七深は泣き続けた
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”月ノ森”
つくし「__広町さんが、来てない?」
昼休み
月ノ森の中庭でそんな声が響いた
透子「うん......」
瑠唯「体調不良などの可能性はないの?」
透子「それが、先生に聞いたんだけど、連絡入ってないって......」
ましろ「そ、それって、まずいんじゃ。」
つくし「い、いや、そうとは限らないよ!」
そう言うつくしの顔も不安の色がある
昨日見た、七深の自傷
それに加えて、今日の無連絡の欠席
透子「これ、行った方が良くない?」
瑠唯「そうね。放課後に行ってみましょう。」
ましろ、つくし「う、うん。」
それから、4人は不安を感じつつ
放課後までの時間を過ごした
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4人は放課後、広町家のアトリエに来た
透子「__広町ー!いるー!?」
ましろ「ち、ちょっと、透子ちゃん。」
透子「って、あれ?」
つくし、瑠唯「!」
透子がドアノブに手をかけると
ドアは鍵が掛かってないのか
あっさりと開いた
瑠唯「やけに、不用心ね。」
つくし「いやいやいや!おかしいよね!?」
ましろ「ど、泥棒とか......」
透子「やばいじゃん!入るよ!」
透子はアトリエの中に入った
それに3人も続いた
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アトリエの中はかなり荒れている
床に散らばった、割れたガラス
その中にちらほら、赤い跡が付いてるものがある
ましろ「__こ、これ......」
瑠唯「......まずいわ。」
透子「八潮?」
瑠唯はそう呟くと
周りを見渡した
七深「__なにしてるのー......?」
つくし「ひ、広町、さん......?」
瑠唯(......遅かった。)
4人の前に現れた七深は
髪はボサボサで
服も破れていて、ほぼ裸
そして、両手からは真っ赤な血がしたたり落ちている
七深「バンドの練習ー......?」
透子「そうじゃなくて!なんで、そんな事になってんの!?」
七深「......?」
七深は透子の言葉に首をかしげている
やはりと言うべきか、目は死んでる
つくし「すごい怪我してるじゃない!」
七深「怪我......?あ、これ。」
ましろ「い、痛くないの......?」
つくしがそう言った後、
ましろは恐る恐るそう聞いた
七深「痛いよ、すごく。」
瑠唯「ならなぜ、そんな事をしているの?」
七深「......罪があるから。」
透子「つ、罪?」
つくし「そんなの、広町さんにはないよ?」
七深「私のせいで、柊木君は死んだんだよ?」
4人「!!」
七深は低い声でそう言った
4人はその様子に背筋が凍った
七深「ここで、胸を撃たれて、痛かったよね、苦しかったよね......」
瑠唯「......っ。」
七深は胸を押さえながらそう言った
七深「あの日から、ずっと、夢の中であの光景が出てくるの......」
ましろ「っ!」
七深「きっと、柊木君がまだ怒ってるから......」
瑠唯「それは、ないわ。彼は......」
七深「......もう、今日は帰って。」
七深は小さな声でそう言った
つくし「で、でも......」
七深「帰って!!」
ましろ「......うん。」
4人は七深の気迫に押され
アトリエを出た
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4人はアトリエを出た後
公園のベンチに集まっていた
透子「__あれは、完全にやばい。」
透子は最初にそう言い放った
他の3人はうつ向いている
瑠唯「彼女の精神はもう、限界ね。」
つくし「私達の話なんて、聞く耳持たなかったね......」
ましろ「うん......」
4人は肩を落とした
そして、大きなため息をついた
透子「あの雰囲気、それこそ、柊木さんの言う事しか聞かなそうだった......」
つくし「じゃあ、もし仮に目覚めなかったりしたら......」
透子、瑠唯、ましろ「......」
つくし「......考えるのはやめよっか。」
最悪のケースを想像しても仕方ない
何より不謹慎だと思い、つくしは話すのをやめた
その時、ましろの携帯が鳴った
ましろ「あ、十条君。」
透子「十条?」
ましろは電話に出た
カグヤ『もしもし、倉田さん!』
ましろ「十条君?どうしたの?」
カグヤ『今、周りに広町さんいる!?』
ましろ「え?いないけど......」
ましろがそう言うと
カグヤは慌てたような声を出した
カグヤ『さっき、広町さんがアトリエから出たって連絡が入った!』
ましろ「!?」
カグヤ『もしかしたら、もう近くに__』
七深「__皆。」
ましろ、つくし、瑠唯、透子「!!」
電話の途中
突然、七深が公園の木の間から出て来た
カグヤ『っ!しまった!』
ましろ「ど、どうしたの?」
カグヤ『気を付けて!もう、きみたちの周りに来てる!」
ましろ「来てる?」
?「__やっと出て来たか、広町七深。」
七深「......誰。」
七深がそう問いかけると
そこら中から男たちが出て来た
織元「俺は織元。柊木司の秘密を聞きに来たんだ。」
透子「柊木さんの、秘密?」
織元「ちょーっと、噂を耳にしてな。」
つくし「まさか。」
織元「柊木司が、死んだってな。」
七深「っ!!」
織元がそう言うと
七深は目を見開いた
織元「俺たちが聞きたいのは、誰が柊木司の会社を継いだかだ。」
瑠唯「......そんな事が分かって、何になるのかしら。」
織元「もちろん、奴に成り代わる。」
七深「......」
織元「そして......」
織元が手を挙げると
5人は瞬く間に囲まれた
透子(しまった!)
織元「お前らには、この計画に協力してもらう。人質だ!」
モブ「柊木司亡き今!俺たちは怖いものなしだ!」
織元「さぁ、精々、役に立ってもらうぞ。」
そう言ったと同時に
男たちは5人に近寄った
透子「ちょ、こっちくんな!」
織元「お前ら、こいつら運んどけ。」
男たち「おう!!」
5人「っ!!」
5人はそうして、トラックに乗せられ
どこかに運ばれていった
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”病室”
病室には機械の無機質な音が響いている
響(__まずいことになった!)
そんな病室の中で
響はある事を考えていた
響(まさか、司の情報が洩れてたなんて!カグ君が向かったけど、間に合う訳ない!)
響は焦っていた
司の情報が洩れてる以上
相手は心に絶対的な余裕がある
しかも、今回の相手は......
響(ヤクザ、織元組なんて......!あいつらは本当に司以外は手も出せないのに!)
このままじゃ、5人は無事では済まない
司の情報が漏れる可能性は極めて0だった
でも、ばれた
司の立ち回りにも、このパターンは書かれてない
響「どうしたら、いいの......?」
打つ手がない
カグヤや三久、龍奈の力を入れても
あの組織に手出しは出来ない
しかも、5人の身は向こうに握られてる
響「何か、何か......!」
響は思考を巡らせた
司「......っ。」
響「!」
その時、機械の動きが変わった
さっきよりも激しく動き出した
響「ま、まさか!」
響がそう叫んでたちがると同時に
病室内にある機械は全て、ショートした
司「__ここはどこだ。」
響「司!!」
司「明石__って、おい。」
響は司に抱き着いた
司は煙たそうにしてる
響「よかった、よかった......!」
司「そうか。」
司はそう言うと
自分についてる点滴をすべて外し
そして、ベッドから立ち上がった
司「広町が、危ないんだろ。」
響「え!?な、なんで!?」
司「聞こえたんだよ。あの世までな。」
司は肩を回した
そして、外の景色を見て
忌々しげな顔をした
響「司......?」
司「......どうやら。」
響「!」
司「俺はたいそう、神と言う奴に嫌われてるらしい。」
司は微笑みを浮かべながら
明石にそう言った