1週間前は散々だった
ストーカーに追いかけられて、何時間も帰るのが遅れた
幸いだったのはためてる仕事がなかったことだ
司(__なんだ?)
教室に行くと、多くの人間が群がっていた
何かで盛り上がってる、などではなく
全員が全員、困惑の表情を浮かべている
つくし「あ、柊木君!」
「あれが柊木か!」
そんな声が聞こえると、人ごみの中から一人の男子が俺に詰め寄ってきた
司「なんだ、この手は?」
その男子は俺の胸倉を掴んでいる
「とぼけるな!お前だろ!天空時さんをどこにやった!」
司「は?天空時?」
こいつは何を言ってるんだろう
天空時と言えば、前のストーカーの事だ
どこにやった?
司「何のことだ。俺は知らん。」
「っ!」
俺は胸倉を掴んでた手を引きはがした
司「お前は確か、あの企業の跡継ぎか。」
「は、放せ!」
俺は少しずつ、握る手に力を入れる
手の中には少しずつ、骨の存在を感じる
司「お前の父親にはかなり資金協力をしてやってたんだがな。」
「ちょ、ま、折れ__」
手の中で、骨が砕ける感触がした
「ぎゃぁぁぁぁあ!!!」
男子は発狂しながら、地面に倒れた
腕を抑えて悶絶している
司「お前の父親との契約は破棄だな。潰れはしないと思うが、今までのような贅沢は出来ないと思え。」
俺はそう吐き捨てるように言って、教室に入った
そして、自分の席に座った
教室の外では、さっきの男子を心配する声が聞こえる
司(はぁ、面倒だな。)
俺はパソコンを開き、さっきの男子の親にメールを打った
内容は契約破棄
ついでに、息子の教育くらいしっかりしろだ
つくし「何やってるの!?」
司「あ?」
つくし「あの先輩、腕折れちゃってるじゃない!」
二葉つくしは俺の前に立ってそう言った
司「それがなんだ?俺は無礼な奴に制裁を与えた、何が悪い?」
つくし「確かに、柊木君の事情を聞いてなかったけど、流石にやり過ぎだよ!」
司「あっそ。」
俺はそれだけ言って、パソコン画面に目を移した
そこにはさっきのメールの返信がすごい勢いで来ていた
司(まぁ、こことの契約が無くなろうが俺には一切問題はない。)
つくし「ちょっと!話を聞いて!」
なんて声を無視して俺は仕事を始めようとした
すると、校内放送が鳴った
『__1年A組、柊木さん。理事長室にお越しください。』
司「......なんだ。」
今日は朝から面倒事が多い
俺は席から立った
司(まぁ、何か必要な話かもしれない。一応行くか。)
俺はそう思い、理事長室に向かった
つくし「もう!なんなの、あいつ!」
ましろ「ふ、二葉さん、言葉遣いが......」
つくし「だって、あんなのおかしいじゃない!なのに......!」
ましろ「そ、そうだけど......」
つくし「あー!むかつくー!」
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”廊下”
七深「__あれ?柊木君?」
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理事長室に来た
俺はドアを開け、部屋に入った
そこには、どこかでみたことがある2人がいた
司「__天空寺の所のか。」
天空時源治、天空時華
確か、前のパーティーで挨拶に来てたな
源治「......柊木様。」
司「この間ぶりだな。」
俺はそう言いながら向かいのソファに座った
そして、すぐに本題に入ることにした
司「それで、今日は何の用だ。わざわざ学校まで来て。」
俺はそう切り出した
すると、2人の表情は一層、暗いものになった
華「娘が、行方不明になったのです。」
司「へぇ。」
天空時華が口を開いた
正直、俺に言われても困る
どうせ、俺に居場所を聞くんだろう
源治「それで、昨晩。こんなものが送られてきたのです。」
司「ん?」
俺の予想に反して、天空時源治が何かの紙を出した
そこには、英文が書かれていた
司「これは......」
文面に目を通してみた
それは所謂、脅迫文だ
司(お前の娘は知り過ぎた。そして、我々の依頼を失敗した。)
依頼、つまりは俺の弱みか何かを探る事
失敗は期間内に成果を上げられなかっただろう
司(殺してもいい、だが、100億払うなら命は考えてやる、か。)
子供が書いたみたいだな
馬鹿みたいだ
司「それで、これを俺に見せてどうしろと?」
源治「娘を、助けてほしいのです......!」
華「お願いします。柊木様、いえ、パンドラ様......!」
司「断る。」
俺はそう言った
2人は驚いたような顔で俺を見た
源治「な、なぜ!」
司「聞けば、お前の娘は俺を陥れる依頼を受け、失敗してこうなったらしいな。」
源治「!」
司「その時点で俺がその依頼を受けるメリットはない。自業自得だ。」
俺はこれに続けてこう言った
司「しかも、俺はお前の娘にひどい迷惑を受けた。なんで、そんな奴を俺が助けないといけない。」
華「おっしゃる、通りです......」
司「そもそも__」
バタン!!!
司「!」
俺が喋ろうとすると、理事長室のドアが勢いよく空いた
そして、数秒後、俺の右頬に鈍い痛みが走った
司「......何の真似だ、広町七深。」
七深「......」
目の前には広町七深がいる
その目は俺を鋭く睨んでいる
七深「......最低だよ。」
司「なに?」
広町七深は静かな声でそう言った
俺は理解に苦しんだ
俺が最低?
七深「全部は聞けてないけど、最低だよ。」
司「なにがだ?悪いが俺には理解できない。」
七深「人が危ないのに、自分の都合ばっかり優先して、こんなにお願いしてる2人を突き放して......」
司「うるさい。」
七深「!」
俺は椅子から立ち上がりながらそう言った
司「俺はストーカー被害になって、迷惑をこうむった。だから、死のうが死ぬまいがどうだっていい。」
七深「柊木君の迷惑は......」
司「?」
七深「柊木君に迷惑かけるのって、死なないといけない程の罪なの......?」
司「......」
広町七深はそう問いかけてきた
七深「天空時先輩はそれだけの事で死んじゃうの......?」
司「......」
七深「それって、本当に等しい罰なの......?」
こいつ、よく覚えてるな
正直、等しいかどうかと言われれば等しくない
言ってる事は最もなんだろうな
司「......チッ。」
俺は少し舌打ちをして
天空時の2人の方を向いた
司「おい。」
源治「は、はい。」
司「お前たちは依頼金200億でも俺に頼むか?」
華「はい。お願いします。」
源治「いくらでも、お支払いします。」
司「......はぁ。」
俺はポケットから携帯を出した
そして、明石に電話をかけた
響『はいはーい!』
司「仕事だ。」
響『仕事?なになに?』
司「天空時三久の救出、場合によっては誘拐犯全員を消す。」
響『場所は?何か手がかりある?』
司「おい、場所の手掛かりは。」
源治「最後に目撃されたのは、○○の港です。5日ほど前です。」
司「らしい。」
響『オッケーオッケー!あのあたりの監視カメラ全部洗てみる!』
司「時間がない。今夜決行だ。今すぐ俺の家に来い。」
響『りょーかい!って、えぇ!?』
明石がそう言うと、俺は電話を切った
司「さてと。」
俺は上着のボタンを開けた
七深「柊木君。」
司「あ?」
七深「やっぱり、柊木君だねー。」
司「意味が分からん。」
俺はそう言いながら、部屋の外へ歩いて行った
司「広町。」
七深「え?どうしたのー?(今、呼び方が。)」
司「俺の早退届、出しとけ。」
俺はそれだけ言って、部屋を出て行った
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部屋を出て、俺は廊下を歩いている
司(__あの女。)
あの女、広町は中々、肝が据わってる
その辺の社長なんかは俺にぶつかっただけで土下座するのも珍しくない
だが、あいつはあろうことか俺にビンタをしてきた
司「......ははは。」
笑いが漏れる
あいつも異常だ
明石と同じ、変な奴だ
司「__気に入ったぜ、広町。
俺はそう呟いてから
教室でカバンを取り、明石と合流するために自宅へ向かった