禁忌少年の月ノ森ライフ   作:火の車

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 5月も終わりに近づいて来た

 

 中間テストもいつの間にか終わってて、今日は返却日らしい

 

 全く興味がない俺はテスト返しをしてようが仕事をしていた

 

司(__いい感じに事が運んでるな。今日この時点で200億か。)

 

 契約が滞ることもないし

 

 社員の労働時間も抑えられてる

 

司(海外の反発してた連中も大人しくなった。しばらくは安心だな。)

 

 俺は軽く息をついた

 

 まだ完全に安心とは言い切れないが何かあるとも思えない

 

司(......眠いな。)

 

 ここ数年、まともな睡眠をとってなかった反動か

 

 睡魔に襲われる

 

司(今日は午前で終わり。少し寝れるな。)

 

 俺はそう思い、目を閉じた

__________________

 

 ”夢”

 

司『__ん、ここは......』

 

 目を覚ますと、そこは白い花が隙間なく咲く花畑だった

 

 俺はその真ん中で一人、立っている

 

司『ここは、室内か?』

 

 少し遠いが

 

 白い壁の存在が確認できる

 

 そして、天井の構造を見た感じ、ドーム型の建物だと分かる

 

司『一見すれば野外、中々の技術だな。』

 

 俺は少し感心しながらそう呟いた

 

 こういう景色は嫌いじゃない

 

 白というのは目に優しいからな

 

司『!』

 

 しばらく周りを見渡していると

 

 花畑に一筋の道が出来た

 

司『......俺にそこを歩けと?』

 

 俺はそう問いかけてから

 

 その道を歩いて行った

 

司『......』

 

 俺が進むごとに、花が避けて道が出来る

 

 それに従って、俺は歩き続ける

 

 そして、少し歩くと、不思議なものを見つけた

 

司『__これは、なんだ?』

 

 そこには、石でできた台座

 

 その上には小さな箱がぽつんと置かれている

 

司『見ない形だな。いつのものだ?』

 

 状態はかなり綺麗だ

 

 だが、はるか昔に作られたような感じもする

 

 まるで時間を止めて保管されてるみたいだ

 

司『......どうやら、俺にこれを会わせたかったらしいな。』

 

 花の道は台座の前まで続いてる

 

 道に従って、それの前に歩み寄った

 

 その箱は鎖で硬く縛られている

 

司『さて、これはどうするんだ?__!』

 

 俺は疑問に思いながら箱に触れた

 

 すると、箱を縛っていた鎖は溶けるように消えた

 

司『ははっ、流石にこれは予想外だ。』

 

 俺は笑いながら箱のふたに手をかけた

 

 ふたはまるで重さを感じない

 

 そして、箱の中身が見えた

 

司『これは、赤......いや、赤黒いバラか?__っ!』

 

 そう呟くと、そのバラの棘が俺の指に刺さった

 

 そして、周りの風景が変わった

 

司『__花が、赤黒くなった?』

 

 さっきまで天国の様だった白い景色は

 

 赤黒い、地獄のような景色なった

 

司『これは。』

 

 まるで血で染められたみたいだ

 

 一体なんだ、この現象は

 

『__殺したな......』

司『?』

 

 声が聞こえた

 

 頭の上、天井からだ

 

 俺は目線を上に移した

 

司『なに?』

 

 ドーム状の屋根にはいくつもの死体が吊るされていた

 

 その数は軽く数えても100は超えてる

 

『また殺した、126人目だ......』

『人殺し......』

司『見覚えのある顔だな。確か、5年前に殺した人体実験をしてた研究員か。』

 

 俺は吊るされてる人間に話しかけた

 

 吊るされてる人間たちは恨めしそうに俺の事を見つめている

 

司『まだ地獄に行ってなかったのか?しつこいな。』

『なんで、なんで私を殺した......』

『家族がいたのに......』

 

 俺の声が聞こえてないみたいだ

 

 枯れた声で、自分の事を話している

 

『あの実験も、娘を治すために......』

『この、人でなし......』

『お前のせいで、娘も死んだ......』

『お前も死ね......今すぐに......』

 

 言葉を発する度に目が人間じゃなくなっていってる

 

 これは俺への恨みか

 

司『滑稽だな。』

 

 俺は吊るされてる奴らを見てそう言った

 

司『お前は娘一人のために未来ある子供を何人殺した?それをまるで自分が被害者みたいに。』

『死ね......死ね......』

司『うるさいな。お前は死んで当然だった、だから殺された。これ以上お前に言う事はない。』

 

 俺はそう言って

 

 赤黒いバラに触れた

 

司『確か、これの花言葉って死ぬまで憎みますだろ?それと、周りの白い花はスノードロップ。花言葉はあなたの死を望みますだったか。』

 

 俺は少し笑いながらそう言った

 

司『中々ロマンチックじゃないか。面白いぜ?』

『この.....』

司『ただ、バラはダメだな。』

 

 俺はそう言って、バラを吊るされてるやつに投げつけた

 

 それは重力がないみたいに飛び、奴の目に刺さった

 

『うぐっ......!』

司『お前死んでるから、これは当てはまらないな。返却だ。』

 

 そう言うと、奴は全く動かなくなった

 

 まるで、魂が抜けたみたいだ

 

司『成仏したか?なんだ、呆気ないな。』

 

 俺は来た道をたどるように歩いた

 

 天井からは吊るされてる奴らの血がポタポタと降ってきてる

 

司『__また会おうぜ。地獄でな。』

 

 俺が奴らに向けて語り掛けると

 

 光に包まれて、目の前が真っ白になった

__________________

 

司「__ん......」

 

 目を覚ますと

 

 そこは教室だった

 

司「なんだ、夢か。」

七深「__あー、起きたー?」

司「......なにしてるんだ。」

 

 声がした方に目をやると、横に広町がいた

 

 こいつは別のクラスだったはずだが、なぜここにいる

 

七深「偶々、通りかかったんだー。」

司「そうか。」

 

 周りを見ると、俺と広町以外誰もいなかった

 

 もう下校時間か

 

七深「すごい熟睡だったねー。疲れてたのー?」

司「......どうなんだろうな。」

七深「?」

 

 疲れてるかと言われれば疲れてるのかもしれない

 

 久しぶりに一日3時間以上眠った

 

 頭がすっきりした気がする

 

司「それで、通りかかったお前は俺の隣の席に座ってる。」

七深「前の事、謝った方がいいと思って。」

 

 広町はそう言ってきた

 

 あぁ、前のぶったことか

 

七深「あの時はごめんね。」

司「別にそんな事は気にしてない。」

 

 あの程度、気にするほどの痛みでもなかった

 

司「むしろ、俺はお前を面白いと思ったぞ。」

七深「え?」

司「そこら辺の企業の社長やらがあんな事してみろ、首つり自殺するぜ?」

 

 俺は笑いながらそう言った

 

 広町は困惑の表情を浮かべている

 

七深「ふ、普通じゃない?」

司「あぁ、異常だ。」

七深「そ、そっか......」

司「?」

 

 残念そうな表情だな

 

司「用はそれだけか?なら俺は帰るぞ。」

七深「あ、一個あった。」

司「なんだ?」

七深「今度ね、私達、初ライブなんだー。」

司「へぇ、そうか。」

 

 ライブ、か

 

 さてさて、どうなることやら

 

七深「あ、見に来る?」

司「時間があればな。」

七深「うんー。」

司「まぁ、初めてのライブだし、楽しめばいいんじゃねぇの。」

七深「うん。ありがとー。」

 

 広町はそう言うと、椅子から立ち上がろうとした、が

 

七深「あっ__」

司「!」

 

 広町はふらつき俺の方に倒れて来た

 

 完全に油断してた俺は受け止める事が出来ず広町と一緒に倒れた

 

 までは、よかった

 

七深「ん!?」

司「......」

 

 広町は俺に覆いかぶさっており

 

 俺と広町の唇は、重なっていた

 

 それに気づくと、広町はすぐに俺の上から飛びのいた

 

七深「あ、あぁ......///」

司「......」

 

 広町の顔は見る見るうちに赤くなった

 

七深「ご、ごめん......!」

司「広町?」

 

 広町は一言そう言うと、教室から走って出て行った

__________________

 

七深(や、やっちゃったよ、あんなの駄目だよ、普通じゃないよ。)

司「__いや、なんで逃げた?」

七深「!?」

 

 一応、ほっとくのはまずいと思って追いかけて来た

 

 俺はため息をつきながら広町を見た

 

司「俺は気にしないぞ。お前は気にするかもしれんが。」

七深「うん......」

司「反応出来てない俺にも非はある。一応、謝っておく。」

 

 俺はそう言った後、振り向いて教室の方を向いた

 

司「広町。」

七深「な、なに?どうしたの?」

司「ライブ、もうすぐやるんだったな。」

七深「う、うん。」

司「折角だ、行く。」

七深「え?」

司「それだけだ。」

 

 俺はそれだけ言って、歩きだそうとした

 

七深「柊木君!」

司「なんだ?」

 

 すると、広町が俺を呼んだ

 

 俺は目を向けた

 

七深「私、頑張るよ。」

司「あぁ、頑張れよ。」

 

 俺はそう言った後

 

 軽く手を振りながら、教室へ歩いて行った

 

 しばらく、背中に広町の視線を感じた

 

 ”七深”

 

七深(......なんなんだろ。)

 

 心臓がうるさい

 

 流石にあんなことあって、走ったら当たり前だけど

 

 少し、感じが違う気がする

 

七深(普通、じゃない......)

透子「__おーい!広町ー!」

七深「あ、とーこちゃん。」

透子「なにしてるのー?練習始まる......って、広町?」

七深「?」

 

 とーこちゃんは私の顔を見ると不思議そうな顔をした

 

 どうしたんだろう

 

透子「なんで、そんなの顔赤いのー?」

七深「顔が赤い?」

透子「うん!りんごみたいだよー!」

 

 顔が赤い

 

 なんでなんだろう?

 

七深「うーん、走ったからかなー?」

透子「そう?じゃあ、練習行こ!ライブは近いよー!」

七深「おー。」

 

 私は透子ちゃんについて、練習場所の教室に行った

 

 これって、なんなんだろ?

 

 気になるけど、今はライブを頑張らないと

 

 そう思って、私は気持ちを切り替えた

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