ベル・クラネルの兄が医療系ファミリアにいるのは(性格的に)間違っている!   作:超高校級の切望

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サントリオ・ベガ

「ミアかーちゃん、明日クロエとルノア貸してくれ」

 

 いきなりやって来ていきなり要求だけしたヴァハに、ミアは胡乱げな瞳を向ける。

 

「ここはそういう店じゃないんだけどねえ」

「知ってるぜえ。俺だってそっちの目的で借りる訳じゃねえよ。間に合ってる」

「………あの子達に何させるつもりだい」

 

 彼女達の過去を知るゆえに、彼女達の過去を知っているであろうヴァハに警戒するミア。ヴァハはそんな威圧感などどこに吹く風。

 

「来るかどうかは彼奴等の判断に任せるさ。ま、ちょっとカジノに誘おうと思ってなあ」

「………昨日の? 助けないんじゃなかったのかい?」

「だって金払ってくれるらしいし……」

 

 別に一括じゃなくても良いし、と笑うヴァハ。家も、娘も取られて、それでもあの夫婦は金を払うことを選択したようだ。ならきっと、彼は助けるのだろう。依頼通り、連れて帰るのだろう。どんな方法であれ。

 

「それにあの子達が必要なのかい? あんたなら、一人で出来るだろう」

「あー………じゃあ一人で出来るからって一人でするのは違うわって昔ババアに言われた事を思い出したからって事で」

「言われたのかい?」

「言われてねえけど?」

 

 こいつの言葉本当に軽いなと睨むミアだったがヴァハはやはり受け流す。

 

「まあちょっと面白いことが起こりそうなんだよ。事情話せば、あの二人も喜んでついてくるだろ」

「事情?」

「カジノのオーナーの護衛にゃ、あの『黒猫』と『黒拳』が居るんだってよ」

 

 

 

 

「つー訳で、ここが目的のカジノだ」

「おしろみたい………」

 

 オラリオではない、諸外国が投資した2つの娯楽施設の一つの大賭博場(カジノ)。その中でも娯楽都市(サントリオ・ベガ)と言う国により投資された最大級賭博場(グラン・カジノ)『エルドラド・リゾート』を見てヴァハの買ったドレスを着たノエルは目をキラキラさせる。

 

「オラリオ敵に回しかねねえ行為やってる時点でトップはニセもんだろうが証拠なきゃ話にならねえ。昨日みたいな手は流石に使えねえし、取りあえず向こうが接触してくるまで稼ぐぞ」

 

 そう言ってたったワンコインだけ購入したヴァハはルーレットの一点(ストレート)数字賭けで36枚に増やしそのまま再び全額かける。これも的中、1296枚に………。

 

「ほれノエル。この400枚がお前の小遣いだ。お前等は200枚ずつな」

「贔屓にゃ!」

「増額を要求する〜!」

 

 ブーブー、とブーイング飛ばすのはノエルと同じくヴァハにドレスを買ってもらったクロエとルノアだ。元々顔立ちの整っている彼女達が着飾れば、なかなかどうして人目を引く。

 

「なら帰れ。勘違いしてるようだが俺がお前等を誘ったのは向こうに対してちょっとした嫌がらせがしたいからだ。名を騙るって事は本物より弱い可能性が高い。なら、別に俺一人で十分だろうしな」

 

 ヴァハは彼女達に助力を請うた訳ではない。ただ、オラリオ暗黒期において恐怖の代名詞にもなった『黒拳』と『黒猫』を名乗る連中がいると教えただけ。彼女達では入れない最大賭博場(グラン・カジノ)への入場権を自分は持っていると言っただけ。ついて行きたいと言ったのは彼女達。

 

「別に俺は海パン男神や牛乳女神がそんな連中を抱え込んでいて、そいつ等が懲りず悪事を行っていたって噂が流れても良いんだぜ?」

 

 それが彼女達が偽物をぶちのめしに来た理由。罪を押し付けられる可能性があり、それが恩神達に迷惑がかかる可能性に繋がるから、こうして参加したのだ。

 

「まあこの小瓶をあっちこっちに置いてくんなら資金も必要だろうし貸してやっても良いがなあ」

 

 そう言ってヴァハは指先サイズの小さな小瓶を幾つか取り出す。中身は赤い液体。この大きさなら机の下や観葉植物の影にでも置いておけばまあバレないだろう。

 

「やる」

「やるにゃ」

「ほらよ」

 

 クロエとルノアにも追加で200枚ずつ。計1200枚がヴァハの手元から消える。

 

「うっし! 稼ぎまくるにゃ!」

「ま、私は程々にね……」

 

 軍資金を手に入れ早速ゲームしに行く2人。ノエルはその場に残りジッとヴァハを見つめる。

 

「………楽しんでこいよ」

「……えっと………えっとね、わたし……おとーさんがたのしかったら、たのしいよ」

 

 周りの大人達がホッコリする中、ヴァハは流石に娘連れだと動きが制限されるなぁ、とむしろ面倒臭がっていた。それに……

 

「………………」

 

 ノエルを見つめる複数の目。攫ってくれりゃ拷問して情報吐かせる大義名分が出来たが、警戒しているのか近づいてきそうにない。

 

「まあ良いか。取りあえず、そのコインでジュースとか買えるから先にそっち行くぞ」

「うん!」

 

 炭酸の果汁系を頼んだら元々ついていたアイスの上にさらにアイスが追加されていた。チョコチップで目や口があり雪だるまのよう。ノエルはサービスしてくれた店員にお礼を言ってゲームの為に席に座ったヴァハの元に駆け寄りゲームを眺める。

 ヴァハが稼ぐ。時にあえて負けてやり、しかし確実に稼いでいく。それを惜しみなくノエルのお菓子代に消費していった。

 

「ニャー、負けたニャ。追加の軍資金ちょーだいニャ」

「私はそれなりに稼がせてもらったよ。ありがと」

 

 涙目で抱きつきながらコインを強請るクロエとコインの格を上げ運びやすくしたルノア。美女二人が戻って来たヴァハに集まる視線の量が増す。

 

「つか、あんた進行役(ディーラー)と対決するのばっかりやってんのね」

「その方がカジノから奪えるからなぁ」

 

 金を落としに来た客より、カジノから直接金を奪うやり方をするヴァハ。客が湯水のように落とす金に比べれば微々たる額だが目に見えて金が流れていくのはカジノとしても面白くあるまい。ましてや、稼ぎまくっていたから暗殺者を送った筈の男が平然とまた稼いでいては。

 

「お久しぶりですなあクラネル殿。今回も随分と稼いだようで」

 

 そう言ってやって来たのはオーナーのテリー。ヴァハの連れている美女美少女3()()を舐め回すような目で見る。

 

「よおオーナー。今日も俺のための金、蓄えてるか?」

「はははは。確かにこのままでは当カジノの金も底をついてしまうかもしれませんなあ」

 

 内心ではてめぇ如きに有り金奪われるわけねぇだろと思ってそうだが、表に出さずにこやかを笑う。

 

「そこで提案なのですが、もっと稼げるゲームに興味ありませんか? 前回は断られてしまいましたが、今回はお連れの方々もいらっしゃいますし」

「いいぜ」

「おお! 本当ですか」

「噂のお前の集めた美姫達にも興味あるからな」

「これはこれは………クラネル殿もなかなか好きな方だ」

「いや、単純に此奴等より美人なのかなあって思ってなあ。だって、お前に惚れ込むんだろ?」

 

 テリーの顔が一瞬引き攣る。美人扱いされたクロエとルノアは悪い気はしないがなんとなく居心地悪そうに身をよじった。

 

「はは、ははは………確かに、クラネル殿のお連れの方々もお美しい。し、しかし私も彼女達をかけがえのない美女達だと思ってますよ」

「何十人も居んのに? 因みに俺は代わりのいない最高の美人だと思ってんのは一人だけだ」

 

 ノエルの頭を撫でながら言うものだから、テリーはノエルの母、ヴァハの妻だろうと思う。確かに娘でこれなら母も相当………しかし愛人を連れている場に居ないということはカジノが嫌いか愛人との仲が良くないか、なのだろう。

 

「私等愛人って思われてない」

「多分そう思うように言ってるんだニャ。向こうが奪いたくなるように」

 

 ヒソヒソ話す二人の声はテリーには聞こえていない。

 

「では、こちらへ。貴賓室(VIPルーム)へ案内します……」

 

 

 

 

 そこは表側に比べると静かで、社交室(サロン)の様な印象を受ける。オラリオの外で見ればなかなかの手練が揃う中、格が違うのが二人。黒髪の猫人(キャットピープル)に、大柄なヒューマンの男。

 

「………彼奴等か?」

「あの無駄に自信有りげで、特別視されてそうな態度。間違いないニャン」

「……………」

 

 扉が閉まる直前、ヴァハは眼帯をしたエルフが入ってくるのを見つける。隣の美しい貴婦人がその視線に気付いたのか一瞬驚いた顔をして、困ったような顔で手を振ってくる。エルフがそれに気づきヴァハに視線を向ける前に扉が閉められた。

ヴァハ君のヒロイン

  • フィルヴィス・シャリア
  • アスフィ・アル・アンドロメダ
  • アミッド・テアサナーレ
  • エルフィ・コレット
  • メイナちゃんやティオナを混ぜて全員
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