ベル・クラネルの兄が医療系ファミリアにいるのは(性格的に)間違っている!   作:超高校級の切望

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迷宮探索

 季節外れの雪景色。

 ヴァハが雪で作った像の出来に満足しているとミアハが店から出て来る。

 

「おはよう、ヴァハ。ほう、随分うまく出来てるな」

「ああ、今から壊しますんで」

「何故だ?」

「本人もそれ望むでしょうねえ。何せ雪だ、まぁっしろだもの」

 

 血で作った剣で雪像を切り捨てグシャグシャと踏み潰す。行動はともかく、その目や表情から恨みがあるようには見えないがヴァハはたまにミアハには理解できない事をやる。

 

「時にヴァハよ、あの二人に何をした?」

「俺への恐怖消し」

「……二度としてはいけないよ。どれほどのトラウマでも、それは本人が乗り越えるべきものだ」

「だからダンチョにはやってねえですよお?」

 

 つまり他人と身内では、扱いが違うという事か。少なくとも今は彼女達を身内と判断しているだろうから安心だが。

 

「んじゃ、俺は迷宮行ってきますんで」

「…………ふむ」

 

 原型がなくなるまで壊しておいて、結局また新しく作り直された女性の雪像。

 雪像を作る際のヴァハの目に宿るのは、未練に殺意、そして僅かな………なんだろうか? 朴念仁にはわからない類のものだとは、自身を朴念仁と思ってないミアハには解らなかった。後隣に作った2つ目の雪像は、最初の雪像と良く似ているがこれは姉妹像なのだろうか?

 

 

 

 共同墓地とは別の場所に作られた墓に雪うさぎを置いておき、ダイダロス通りにやって来たヴァハ。未だ冷気が完全に消えぬ日陰だらけの場所で、【ロキ・ファミリア】の姿がチラホラ見えた。

 さて、どれで遊ぼうか。最大派閥などと言われてるだけありLv.3を多く保有するとはいえ、その期間は間違いなく数年。ソレをあっさり追い抜いたクラネル兄弟に思うところがありまくりな最大派閥の団員達の会話を耳にしながら、適当に暇をつぶす事にした。

 

 

 

「そういえばあの時、ダイダロス通りでモンスターを倒した冒険者が居たって話あったでしょ? あれ、例の【リトル・ルーキー】だって噂知ってる?」

「それで思い出した、無手だったとはいえティオネさんたちが苦戦した食人花、当時Lv.1の【狂剣(フィンディアス)】がエルフィの手伝いがあったと言え倒したらしいぞ……」

「またクラネル兄弟か………」

 

 最近何かと話題に事欠かないルーキー冒険者にしてすでに第3級冒険者のクラネル兄弟。最強派閥などと言われているがその中でも有名でもなんでもない彼等からすれば、思うところがある。

 

「クラネル兄弟の話聞くと思うんだが………いやそら死ぬだろ普通」

「「「わかるわー」」」

「Lv.1でミノタウロス単独撃破とか耳を疑ったわ!」

「支援ありとはいえ呪詛(カース)喰らったままワイヴァーンと戦うか普通!? しかもエルフィ魔法使えなくされてたんだろ!?」

「やめとけ、それは内密にしとけって話だ」

「そーね、マネする阿呆が出たら大変だもんね」

「Lv.2とLv.1の3人で18階層到達とかどうやるんだ!?」

「アミッドさん連れて中層を移動してくるとかどうなってんだよ!?」

「先週のあの戦いだって絶対負けると思ってたのにね」

「なあ、オレLv.3になってそこそこ経つんだけど………クラネル兄弟に勝てる自信がない!」

「「「わかるわー」」」

 

 少なくとも弟の方に関しては単純な強さはこちらが上。兄は、良く解らん。メレンでもレベルが上のアマゾネスを倒してたらしい。倒してたと言うか、殺してるがそこは彼らも知らない。

 3級冒険者や2級冒険者でも名を馳せる者は多くいる。当時最速のランクアップを果たしたアイズはその頃から有名だし、アミッドは今も名を知られている。

 そして新たにクラネル兄弟。

 

「だからかな、Lv.3になったって聞いても納得しちまった」

「団長やアイズさんを見てると感じるよ、この人達は俺達とは違うって」

「世間じゃ【ロキ・ファミリア】だけで凄いみたいに言われてるけど、そうじゃない。その評価にふわさしいのは団長達であって、私達じゃない」

「……………」

 

 悔しそうにうつむき、しかし何も言えない面々。そんな彼等にシャロンが叫ぶ。

 

「もう! 暗いのやめ! それでも私達は【ロキ・ファミリア】でしょ! 迷宮都市(オラリオ)最大派閥! オラリオの冒険者の憧れ! 落ち込むのは立派なホームの中だけにして、外では胸を張って偉そうに──」

「出来るのか?」

「「「───っ!?」」」

 

 この場に自分達以外の気配はなかった。会話をしていたとはいえ、今は闇派閥(イヴィルス)に関わるものを探している最中、だというのに接近を許した。

 警戒し各々の獲物を構えるが、声の方向に姿はない。

 

「周囲を警戒しろよ、相手が一人とは限らねえんだ」

 

 最後尾、声がする。振り返ると赤い髪に金の瞳を持つ少年が立っていた。

 

「極東には噂をすれば影、なんて言葉があるんだとよお。人のことコソコソ話してると噂してる奴が現れるってわけだ。【ロキ・ファミリア】の……誰だっけ?……まあ良いや。探しものは見つかったかぁ?」

 

 嫌味、だろうか? いや、確かに自分達は【ロキ•ファミリア】の二軍、その中でも、有名な方ではないけど。

 

「なんの………用よ」

「そう警戒するな。暇つぶしに雪遊びしてたら俺達の噂が聞こえたもんでなあ。悪口だったらどうしようって思って聞き耳立ててただけだ」

「…………悪口だったらどうしてたってんだ?」

「逆にお前等、俺がお前等の想像通りの行動したとしてお前等に何が出来るってんだ?」

「「「────っ!!」」」

 

 何も言い返せず固まる面々に、ヴァハはケラケラ笑いながらじゃあな、と歩き出した。

 

「え、まさか私達からかいに来ただけ?」

「そういえばエルフィが、悪人ではないけどだいぶ嫌な人って」

「アリシアさんも極悪人ではないけどだいぶ性根がネジ曲がってるって………」

 

 

 

「見つからなーい!」

 

 敵のアジトを探すはずが一向に見つからず、わ~ん、と、叫ぶティオナ。すっかり迷子だ。一度広場に戻ったほうがいいかも知れない。

 

「レフィーヤ! エルフィ!」

「えっ……フィルヴィスさん!」

「あ、フィルヴィスさん!」

 

 引き返す、続ける、と言い争っていると建物の屋根から、一人のエルフが降りてきた。警戒した一同だったがレフィーヤの知り合いとわかると警戒を解く。

 

「どうしてここに?」

「ディオニュソス様の指示だ。お前達に協力してやれと。唐突で驚いただろうが私も同伴していいか?」

「わっ私は大歓迎です! ありがとうございます! 嬉しいです!」

「うんうん! フィルヴィスさんが居れば百人力だよ〜!」

「人手が多いに越したことはないし助かるわ」

 

 と、ティオネが握手しようと手を差し出す。が……

 

「フィルヴィス・シャリアだ。協力はするが馴れ合う気はない」

 

 そう言って横を通り過ぎる。

 

「……レフィーヤ、私……嫌われた?」

「ひ、人見知りなんです………」

 

 そういえば自分も出会った時苦労したなぁ、とレフィーヤ。でもエルフィとは何時知り合ったんだろう?

 

「レフィーヤより前だよ。ヴァハとパーティ組んだとき、フィルヴィスさんも居たの。あの時は大変だったよね〜。私、あれでレベル上がっても良かったんじゃ」

「………すまない」

「別にフィルヴィスさんのせいじゃないでしょ? それにしても、思い出すなあ。ヴァハは今はもう寝ちゃってるのかな?」

 

 と、その時不意にティオナが鼻をフンフン動かす。

 

「あっちからヴァハの匂いがする!」

「あ、ちょっとティオナ!?」

 

 走り出したティオナを慌てて追う一同。匂いって、獣人でもないのに、と思いつつもそういえば姉も団長の匂いをよく嗅ぎ取っていた。

 果たして、ヴァハは居た。

 

「うわぁ、すごい美人」

「? 何処かで、見たような………」

 

 何やらものすごい美人の雪像を作っていた。アイズが小首をかしげ、ティオナが話しかけようとした瞬間だった………

 

「【血は炎】」

 

 ヴァハは何を思ったのか雪像に火を付け溶かした。

 

「ええ!? な、何やってるのすごい出来だったのに!」

「いや、俺が殺す前に死んだからこうして八つ当たりを………」




まだヴァハが小さい頃、叔母は世界を白く包む雪が好きだと言っていたことを母から聞いて居たヴァハは死んだという報告以来、雪が積もると像を作っては壊すようになった。
信じられるか? 眼の前で死なれてたらもっと拗らさてたんだぜ。


因みにヴァハに好意を持ってるからと言ってヴァハを良い人って思うのは今の所ユノとかクリティエとかタギーくらい。


感想お待ちしてます

ヴァハ君のヒロイン

  • フィルヴィス・シャリア
  • アスフィ・アル・アンドロメダ
  • アミッド・テアサナーレ
  • エルフィ・コレット
  • メイナちゃんやティオナを混ぜて全員
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