ベル・クラネルの兄が医療系ファミリアにいるのは(性格的に)間違っている! 作:超高校級の切望
極東には藁にもすがると言う諺があるらしい。
溺れる者は、仮令それでは人一人浮かせる事が出来ないとしても、浮かんでいる藁にさえ掴まるという意味だ。
彼等は今絶望に沈みかけていた。悪をなしてでも取り戻したかった絆を、他でもない相手の方から拒絶されたからだ。ただの夢と、切り捨てるにはあまりに鮮明に記憶通りの声に、姿、匂い、仕草だった。
それに、拒絶された。故に、その声に縋る。
「そう自分達を責めるな。辛い言葉を吐かれたのだろう。だがな、俺はお前達がそこまでの悪党だと思えない」
囁く様に優しく、しかし誰もの耳にも届く力強い声。えてして英雄と呼ばれる者達は人心を集める。ましてや、ヴァハは数多の英雄の演説の記憶に加え、本来ならそんな覇気を持たぬ身で詐称してみせた道化の記憶がある。
「お前達は………君達は、自爆を躊躇っていた。家族に、友に、恋人に会いたいと願う君達が今更死を恐れるとは思わない。本当は、気付いていたんじゃないのか。こんな事をしても、彼らに顔向けできないと」
まあそんな事は無いだろうが。死ねば会えるから死ぬのは怖くないと言いつつ、結局死ぬのを躊躇い隙を晒していただけだろう。ならその隙をつくのは、敵なのだから非難される理由はない。
「お、俺達は………」
「君達に問おう! 君達が、己の命を捧げてまで会いたいと願う者達は、再会の為に虐殺を望むような者達なのか!?」
「ち、違う! あの子は、そんな子じゃ!」
「そうだ! あいつは、優しくて!」
ヴァハの言葉に反応し否定し、すぐに自己嫌悪からか俯き震える。
「そうだろう。そんな者達だからこそ、君達の様に、命をかけてまで再会を願う者達が居る。そんな者達だからこそ、こんなふうな事は、して欲しくなかったはずだ」
なら、どうすれば良い。どうすれば良かった。どうすれば、許される!
そんな、逆恨みに近い怒りをヴァハに向ければ、ヴァハは優しく微笑む。
「君達がしたことは、無かったことにならない。奪った命は返らない………だけど、これからの命を守ることは出来る」
「守るって………そんな、どうやって」
「そうだ。誰も、君達の差し伸べた手を取らないだろう。疑い、怯え、逃げるだろう。それだけの事を、してきたのだから」
「「「───っ!!」」」
再び俯く
「だけど、今【ロキ・ファミリア】が窮地に立たされている」
「【ロキ・ファミリア】?」
「今ちょうど……」
「彼等は、きっと多くのオラリオを民を救うだろう。いつか、ダンジョンの謎を解き明かし、モンスターの脅威から人を救うだろう」
今の
「そんな彼等を、救ってみないか? きっと信じないだろう。何よりあの勇者が、一度悪に堕ちた者の手を取るはずもない。君達の行いはただの乱心として伝えられ、名も記されぬまま忘れられる。英雄にも悪党にもなれない………だけど! 『俺達はあの【ロキ・ファミリア】を助けて死んだんだ!』って……家族に、友に、恋人に…………自慢できるって思わねえ!?」
「…………彼奴に、自慢」
「……お母さんに………」
「そうだとも! まずは、謝らなきゃだろう。間違えた事を、人を殺した事を。君達の大切な人は、本気で謝ったら、それを無下にする人じゃないだろう? だから、本気で悔いて、全力で謝って、仲直りしたら………自慢しようぜ。向こうが覚えてなくてもさ、俺の前世はこうだったって、言ってやろうぜ?」
静寂。だが、ヴァハの言葉は彼等にしっかりと染み込んだ。顔上げ、その瞳に浮かぶ光に、ヴァハは嗤う。
「俺はやる! やってやるぞ!」
「わ、私も! もう一度あの子にあって、お姉ちゃんは、こんなことしたんだよって言いたい!」
「僕だって!」
「やってやる! やってやるぞ!」
「チョロ………とと…………その意気だ! これは英雄譚にも語られぬ、7年前の老兵達と同じ、ただの時間稼ぎ! だが、その稼いだ時間こそが【ロキ・ファミリア】を、オラリオを、世界を救うだろう!」
世界を救う、何とも人を酔わせる言葉だ。正義を振りかざす者達に、もはや裏切りの躊躇いなどないだろう。
「さあ! 今一度邪神から取り戻した愛と正義を胸に、【ロキ・ファミリア】に反撃の機会を作れ!」
「「「おおおおおおお!!!」」」
敵は来世の再会を質に数多の人間を操る。なら、どうするか。
答えは簡単。来世での再会が望まぬ形であると誤認させ、望む方法を教えると謀ればいい。
「いやあ、やっぱり愛とか友情とかって素敵だなあ。そう思わねえかあ後輩」
フィアナの背骨をゴリゴリ踏みつけながら、合流してきた同士たちを殺す
彼等にもう一度号令を掛けてやり、残るはフィアナとヴァハ。
「さて自称悪党のガキ。お前、何んでそう俺を睨む? さっきまで怯えてたのになあ。怖い怖い………あ、片目潰しておくか」
「ぎっ!?」
ブチュ、と眼球に血の針が刺さる。ガクガク痛みで震えるフィアナ。彼女が喋れる様に、舌から針を抜いてやる。
「どうして、彼らを騙すんですか………」
「別に騙しちゃいねえぜぇ。俺は、確定はしてないからなあ」
ケタケタ笑い、フィアナの避難の視線などどこに吹く風のヴァハ。に、しても……と目を細める。
「俺が怖いくせに、誰かのため怒るかぁ。本当に、お前は優しいなぁ………その優しさ、いつまで持つか」
「優しく、なんて………私は、悪──」
「そっか。じゃあ死ね」
「────え」
スッと首元をなにかが通り抜け、首から下の感覚が一切合切消え去る。倒れるのとは違う、けど似たように床が迫る。
あれ、これ…………死───
「おっと。あぶねえあぶねえ………目の棘が脳に刺さったら流石にアウトだよなあ」
「────」
そう思ったのに、意識が途切れない。頭皮に痛み。誰かに髪を掴まれた。だけど、ヴァハの両手が見える。
「ああ、自分の状態が知りたいか?」
誰かの手が頬に触れ、くるりと上を向かされる。後頭部を支える手の感覚。視線の先に、伸びる腕は。見覚えのある体から生えていた。
「────」
声が、出ない。当然だ。だって、体の感覚がないのは、繋がっていないからだった。
自分の首を抱える、首なしの自分の体。断面から伸びた赤い糸の束は、血だろう。それで脳に新鮮な血が送られている。
「心臓が動いてる限り脳がなくなっても
「……………」
「ん、ああ、何でこんな事をってか? 脳から電気信号出てると操りにくいんだよ。特に、魔力の高い奴だと。なら取り敢えず切り離しておこうって思ってな………なあに、俺が生きてる限り死なねえよ」
違う、そうじゃない。何故、生かす。いや、そもそも生かしてるのかこれは。体は切り離され、心臓も肺も外付け。頭に血を送られているだけの状態。
死んでいないだけの、死体。
「────」
死が、永遠に続く。
「───────!」
「ん? ああ、悲鳴あげてるつもりか。おいおい壊れるなよ。お前には後で聞きたいことがあるんだ」
恐怖に染まった思考は、ヴァハが紫電をまとった指を当てれば無理やり覚醒させられる。なのに恐怖だけは未だ消えない。
「んじゃ行くかあ。お前を閉じ込めれるぐらいの血を得たら、持ち方変えてやるよ。それまでは自分の体に運んで貰え」
無い筈の体が、寒い。カチカチと歯がなる。ヴァハはそんな様子を見て楽しそうに笑っていた。
「────」
許してください、という声が出ない。殺してください、という言葉が出ない。
正気は保たされたままなのに、恐怖が膨らんでいく。母の存在すらも、塗り潰すほどの恐怖がフィアナを飲み込んでいく。
ロキ達がダイダロスを調べると言った際、ヘルメスはイシュタルを調べてたらしい。その際ベルの情報渡してフレイヤと抗争起こさせてた。
今回も似たようなことをしたの。だけどヴァハ君のことは黙ってる。美神とヴァハ君が昔であった結果小国とはいえ国が2つほど滅んだから。
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拷問描写
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SAN値が弱いんです(やめてください)
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可哀想だし(やめてあげて)
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可哀想だし(いいぞもっとやれ)
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可哀想は可愛い(ガンガンやれ)