ベル・クラネルの兄が医療系ファミリアにいるのは(性格的に)間違っている!   作:超高校級の切望

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戦乙女の本拠

「………何しに来やがった」

「逆に聞くが何しに来たと思うよ」

 

 殺気混じりのアレンの言葉にニヤニヤと笑いながら巫山戯た回答を返すヴァハ。アレンがチッと舌打ちした。

 

「報復か? 思っていたより阿呆みてえだな」

「ハハァ。それもそれで面白そうだがちげえよ、常識的に考えてそこらの雑魚数人殺せるだけでお前とかそこの4人に殺されることぐらい分かるっての。さては馬鹿だな?」

「その通り」「走ってばかりで頭が悪い」「所詮足が自慢の猫」「鈴でも付ければチリチリ喧しくなる」

 

 ヴァハの言葉に苛立ち小人族(パルゥム)四人組の言葉にさらに苛立つアレン。短気な奴だ。

 

「まあアレンと遊びたいのは山々だが、今回はフレイヤちゃ────何だ、全員短気か」

「様を付けろクソ野郎」

 

 無数の殺気に当てられ、ちびりそう、などと嘯くヴァハ。と、そこに美しい声が投げかけられた………

 

「思ったより早かったのね」

「「「────」」」

 

 【フレイヤ・ファミリア】の全員が跪く。

 ヴァハは声のした方向へと視線を向け、その神物(じんぶつ)を素通りして隣に立つ男を見る。

 

「よおオッタルさっきぶり」

「…………………」

「遊びに来たのよね? カードで良いかしら?」

「OK♪」

 

 

 

 

 

「ツーペア」

「ストレート」

 

 また負けた。神は嘘を見抜けるが嘘でなければ見抜けないはずなのに、此方の手札が解っているかのように勝負に乗ってこない。

 

「やめだやめ。勝てねえ」

「ふふ。ごめんなさいね………喉は乾いたかしら?」

「あー、酒なら持ってきてる」

 

 そう言って酒瓶を取り出すヴァハは部屋にいる唯一の団員である少女にグラスを用意させ、注ぐ。黄金色の酒は独特の匂いを醸し出す。

 

「私も頂いていいかしら?」

「どーぞ……」

 

 少女がグラスを持ってくると、酒瓶をヴァハから受け取りフレイヤの持つグラスに注ぐ。匂いを嗅ぎ首を傾げてから一口飲むフレイヤ。眉根を寄せる。

 

「不思議な味ね………不味くは、ないのだけど」

「因みにお前が覗いてた修行の相手である女もこの酒が好きだ」

「……………」

 

 フレイヤはム、と眉根を寄せ酒を飲み込む。やはり、進んで飲みたい味ではない。健康に良いと言われれば飲む者も増えるだろうが。

 

「まあ俺は好きじゃねえけどな。おい、ヘルンとか言ったか? 新しい酒用意してくれ」

「………貴方って、意地悪だわ」

 

 むう、と拗ねた子供用に頬を膨らませるフレイヤ。そんな仕草一つ一つですら、愛らしい。それこそが至高の美とされるフレイアという女神なのだ。

 

「お、この酒美味いな。ん〜? この匂い、いや、あれは葡萄酒(ワイン)だしちげえか………」

「ソーマよ、気に入ってくれたかしら?」

「ああ、気に入った………」

「でもこれ、未完成品なのよ。貴方が完成品を飲みたいと言うなら、とってくるのもやぶさかではないけれど」

「ハハァ。いい女が目の前にいりゃ安い酒でも美味くなる。ましてやお前ほどの美人ならその本物とやらよりも美味くなるだろうよ」

「ついこの前、好みじゃないと言われた気がするけど………いいわ。素直に受け止めてあげる」

 

 悪い気はしないもの、と微笑むフレイヤ。ヘルンと呼ばれた少女はそんなフレイアの笑みを見て顔を赤く染めている。

 

「それで、要件は何かしら?」

「俺と関わってるってだけで知り合いの女に手を出すな………このままじゃ娼館にもいけねえ」

「あら、そういう事がしたいなら私が相手になるわよ?」

「んっんー。女神を抱ける機会なんざそう無いだろうが遠慮しとく。お前を抱いてお前の眷属にならなかったら問答無用に殺しにかかるだろ、お前の眷属」

 

 死んでもいいが死にたい訳ではないヴァハからすれば向こうから迫ってきたならともかく此方から確実な死地に飛び込む気は、あんまり無い。

 

「そう、残念。けど、娼館はイシュタルの子達ばかりなのよね…………ああ、そうだわ。ヘルンを抱いてみない?」

「───!?」

 

 唐突に己の名が出されギョッとするヘルン。ヴァハはヘルンを見つめ、ヘルンが主神の命なら、イヤだけど、顔だけなら良いし、でもやっぱりと葛藤していると「好みじゃない」と切り捨てられた。

 

「そう、まあ仕方ないわ。代わりに、貴方は何をしてくれるの?」

「たまにこうして話に来てやる。後、お前がベルにするであろう試練だの褒美を手伝ってやる」

「試練…………そうね、試練。与えるでしょうね………貴方にも与えた方が良いんでしょうけど、どんな試練なら貴方を輝かせられるのか、残念だけど私も解らないわ」

 

 強くなれないとオッタルは言った。フレイヤも同じ意見だ。ランクアップに必要な、特別な経験値(エクセリア)。ヴァハのそれは、数多の英傑を揃える美の女神を持ってしても解らない。

 

「まあ、良いわ。ええ、貴方の条件を飲みましょう。女性関係も、仕方ないわね。男の子だもの。でも、私しか見えないようにしてあげる」

「楽しみにしてる………」

「ヘルン、案内をしてあげなさい」

「はい……」

 

 

 

「あ……」

 

 扉を出るとオッタルが居た。護衛なのだろう。

 

「よおオッタル、俺って強くなれねーの」

「今のままではな。お前自身、強くなる気がない。お前が好きな殺し合いをするのに必要なそれを、欲するまでもなく手に出来てしまっていたからだ」

 

 その状態が、長く続いた。そして、都市の外では負け知らず。虐殺のみが続いたヴァハは己自身が強くなることより強い敵を欲した。勝敗になど興味はなく、むしろ己の強さを邪魔にすら思うようになっていた。

 ここ最近負け続き。だが、負けることは別に良いと考えるヴァハでは、壁を超えられないとオッタルは言う。

 

「マジかー………」

「ああ。何か目的でもあれば、変わるのだろうが」

 

 【フレイヤ・ファミリア】にとってはフレイヤの寵愛。弟のベルなら英雄の資格といった感じか。生憎ヴァハにそんなたいそうな物はない。

 

「お前は、壁を超えられない」

「いうね。ならもし俺がランクアップしたら美味い酒奢れ」

「良いだろう」

 

 

 

 

 この後「青の薬舗」に帰ったらナァーザに滅茶苦茶怒られた。「豊穣の女主人」に行けば「心配かけるにゃー!」とクロエが引っ掻いてきてミアがバベルをひと睨みしたあと「アンタも大変だね」と少し高めの酒をくれた。




おまけ

「因みに女や子供には効果が薄いが、成人したオスにはマタタビはまじで効くらしいぜえ」

「へえ、今度アレン達に使ってあげようかしら」




感想お待ちしております

ヴァハ君のヒロイン

  • フィルヴィス・シャリア
  • アスフィ・アル・アンドロメダ
  • アミッド・テアサナーレ
  • エルフィ・コレット
  • メイナちゃんやティオナを混ぜて全員
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