ベル・クラネルの兄が医療系ファミリアにいるのは(性格的に)間違っている!   作:超高校級の切望

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即席チーム

「じゃあ、今日はよろしくね! 何処まで行っちゃう?」

 

 朝。エルフィとバベル前で合流する。まちに待った(エルフィ談)合同迷宮探査だ。エルフィがヴァハのダンジョン内での戦い方を見て、団長であるフィン達に報告し、相性が良さそうな団員と組ませる。

 故にヴァハが本気を出す必要があり、かつエルフィが余裕を持って見られる深度が望ましい。

 

「10階層以降だな」

「え……あの、後衛のエルフィちゃんには『大型』にも囲まれる可能性がある場所は、ちょーっと危ないかなあ」

 

 もちろんエルフィとてレベル3の第二級冒険者。早々やられる気はないが、後衛なのだ。ヴァハの戦いをキチンと観察する余裕があるかどうか………。せめて前衛があと一人ぐらいエルフィを守ってくれたなら、と思う。

 

「なるほど、良い事を聞かせてもらった」

 

 と、不意にそんな声が聞こえた。振り返ると一柱の神。でも知らない神だ。誰だろう?

 

「ディオニュソスか。昨日はあのまま帰れたのか?」

「ああ、取り敢えずね」

 

 困惑と警戒をしているとヴァハが声をかけた。どうやら知り合いらしい。

 

「んで、良い事ってのは?」

「早速、君に恩が売れそうだ」

「恩? 俺みてえな駆け出しに?」

 

 と、ヴァハが訝しんでいるとディオニュソスと呼ばれた神はヴァハの耳に口を近付けた。

 

「駆け出しだからこそ、だよ。私の眷属達(子供達)が殺された以上『敵』は私のファミリアを警戒している可能性が高い。ロキも大手、警戒されているだろう。そこで君だ………零細で、商業系、そこに所属の駆け出し冒険者………警戒する者はまずいない」

「よーするに、自分達では動けなさそうな案件を任せれる人材が欲しいと?」

「そういう事になるね」

 

 まあ、危険は少ない案件を選ぶよ、と微笑むディオニュソス。ヴァハとしては危険も万々歳だがディオニュソスとしては申し訳ない気分になっているようだ。何せ殺された眷属はレベル3。敵は最低でもレベル4上位か5ということになる。それでも、眷属(子供)の仇を放置する気はない。

 

「だからこそ、こちらも最大限の誠意を見せよう」

 

 そう言うとヴァハから離れ、ニコリと微笑む。貴公子然としたイケメンの笑みにエルフィ思わずドキリ。

 

「前衛が必要なのだろう? フィルヴィス、彼等を守ってやってくれ」

「なっ!? ディオニュソス様!」

 

 フィルヴィスと言うらしい白衣に黒髪のエルフが叫ぶ。綺麗な人だな〜、と眺めていたエルフィもハッとする。

 

「んー、なる程。まあコイツならエルフィの一人や二人守れるか」

「私は一人だけだよ?」

 

 と、エルフィ場違いのツッコミ。さて、エルフさんはどんな反応をしたかな〜、と視線を向けるも聞いていなかったようだ。

 

「ディオニュソス様! それでは、貴方の護衛はどうするのですか!」

「フィルヴィス、私は彼の不死性を良い事に、危険と知りながら協力させようとしている。ならば、手を貸せる範囲で彼の力になってやりたい……」

 

 反発するフィルヴィスに対してディオニュソスはヴァハの時と同じように耳打ちする。

 何話してるんだろう? とエルフィがヴァハに尋ねるとさあ、と首を傾げられた。

 まあ、ヴァハは大体予想しているが。デュオニュソスめ、一体どんな危険な仕事をさせる気なのか。まあ、楽しみだけど。

 とはいえ、ヴァハが()()()()()()()()()()()()()()事にも気付いている筈。その上でこの提案、信頼を勝ち取りたい可能性もある。

 

「俺にそんな価値があるとは思えないがねえ」

 

 あの事を知ってるわけでもあるまいし。

 

「ん? 何か言った?」

「エルフィは今日も可愛いなあ」

「ふふん、でしょう?」

 

 エルフィは今日もほんと馬鹿。馬鹿な子ほど可愛いと祖父が良く言っていたな。

 

「フィルヴィス。どうか、頼む」

「……わかりました」

 

 ディオニュソスの切望に、フィルヴィスが応える。

 

 

「ていうか今更だけど、駆け出し半月程度の冒険者が5階層超えっておかしくない? どう思うフィルヴィスさん」

「……………」

「あれ、おーい、もしも〜し!」

 

 ダンジョンへと続く螺旋階段。そこを降りる3人の人影のうち一つがしきりに話しかける。エルフィだ。

 フィルヴィスは無視を貫く。と前方から4人程の冒険者の一団が歩いてくる。少し脇にそれる。冒険者達は第三級なのか、お世辞にも上等と呼べる装備ではないが駆け出しにしか見えないヴァハを見た時点で通路を譲ろうとはしていなかった。が───

 

「っ!!」

 

 勝ち誇ったような顔も一変。一点を見つめ慌てて壁の端による。視線の先には、フィルヴィス。

 

「ば、『死妖精(バンシー)』………何でチームを」

「アイツ等終わったな」

「っち、おい貴様等、同胞の名を汚すな……まったく、忌々しい」

「おいやめとけ、死を撒き散らされるぞ」

「………………」

 

 フィルヴィスに対して恐怖の目を向けるヒュームと獣人の3人。そして、嫌悪の視線を向けるのはエルフだ。

 『死()()』。なる程、己の種族こそ至高と考え時には神すら見下す妖精(エルフ)にとっては、存在しているだけで不愉快なのだろう。フィルヴィスから距離を取ろうとするかのように早足で去っていく。

 

「バンシー? フィルヴィスさんの二つ名?」

「バンシーってのは死期が近い者のもとに現れ叫び声で知らせる、妖精の伝承だ。二つ名ってより、蔑称だな………モンスターや闇派閥(イヴィルス)を殺しまくった、って反応じゃねえなありゃ」

 

 エルフィがコテンと首を傾げるとヴァハが補足する。死期を伝える妖精? なんとも物騒な。エルフィが慌てて謝ろうとする。

 

「謝罪なら不要だ。その通りだからな………目的地が10階層なら、余裕もある。昔話をしてやろう」

 

 そうすれば、お前達も私と組む気はなくなるさ。

 そう笑うフィルヴィスの姿は、とても悲しそうに見えた。

 ヴァハは思う。そういった人間がいる事は理解できるが、やはり感情は理解できないと。

 先程の通り名、フィルヴィスの態度と、冒険者を続けている立場。不幸を招くとか、そんな話だろう。

 それを、そんな()()でもするような、どうか私を受け入れないでと言うような顔で話す人の感情を、ヴァハ・クラネルは知識でしか、祖父に無理やり叩き込まれた女心を察するための人心把握の知識でしか理解出来ず、どうでも良さそうにあくびを一つした。




ヴァハは女の子にモテるよ。顔が良くて祖父からナンパ術を叩き込まれていて経験も豊富だから。ただし大人びた雰囲気を持つため年下好きはヴァハがその気にならないと口説けない


感想お待ちしております

ヴァハ君のヒロイン

  • フィルヴィス・シャリア
  • アスフィ・アル・アンドロメダ
  • アミッド・テアサナーレ
  • エルフィ・コレット
  • メイナちゃんやティオナを混ぜて全員
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