ベル・クラネルの兄が医療系ファミリアにいるのは(性格的に)間違っている!   作:超高校級の切望

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情報収集

 ベートと合流し、リヴィラのボスであるボールスの下に向かう。

 

「おい」

「ん?」

「あんな雑魚共、騒いだところで囮にもなりゃしねえよ。使えねえ荷物を持ってこようとすんな。うざってえ」

 

 微かな敵意を滲ませるベートに、レフィーヤは意外だと思った。自分より弱い者を弱者と罵り罵倒する彼は、てっきりあの場の冒険者達を煽っていたヴァハと気が合うのかと思っていた。

 

「ん〜、でも撒き餌ぐらいにはなるぜえ? 血肉(トラップアイテム)もそこそこする。だったら彼奴等バラして撒いときゃモンスター共を避けられるかもなあ」

「アホか、中層のモンスターなんざ蹴散らしゃ良いだろうが。てめーみてえな雑魚には出来なくても、俺は出来るからなあ」

「何か苛ついてるのかあ? ハハァ。彼奴等のためか? お優しいこって。だがなあ、冒険者を冒険者として死なせてやるのも俺なりの善意だぜ?」

「彼奴等のため? 寝言は寝て言え。そもそも、てめーに言わせんなら彼奴等は冒険者じゃねえんだろうが」

「おお、それは盲点だった」

 

 頭いいなー、と笑うヴァハにベートはチッと舌打ちした。どうもこの二人は相性が悪い。ついでに言うと、ベートとフィルヴィスも相変わらず空気が最悪。あれ、このパーティ、フィルヴィスとヴァハの二人しか話してない? レフィーヤは同じファミリアであるベートをチラリと伺う。うん、無理。

 かと言ってヴァハもヴァハで、モンスターの血は啜るわ怪我をした冒険者をモンスターの餌にしようとするわで、あんまり関わりたくない。こうなったらやはりフィルヴィスさんしか…………

 

 

 

 

「おう【剣姫】なら俺様のところにも来たぜ。盾を預かってくださいってな、くれぐれもなくさないようになんて珍しく釘を刺してきた」

「盾?」

 

 リヴィラの街はダンジョンの中間地点。荷物がかさばる予備の武器などを街に蔵置する倉庫がある。リヴィラのトップであるボールスも所有しており、アイズはその客として来たようだ。

 

「おう、これだ」

 

 アイズは盾など持っていたかと首を傾げているとボールスが緑玉石(エメラルド)の光沢を帯びたプロテクターを持ってきた。

 綺麗だが、一級冒険者の品ではない。性能が低すぎる。これは、下級冒険者が使う装備だろう。

 

「あれ、それベルのじゃねえか」

「え?」

「俺の弟の装備だよ。ここの傷、間違いねえ………何でヴァレンシュタインがこれを預けた?」

 

 思いがけぬ弟の装備に不思議そうな顔をするヴァハ。まあ、これが弟のものである証拠はなく、アイズがいない以上受け取れもしないから放置でいいだろう。ともすれば弟が想い人に会える口実になるかもしれない。

 レフィーヤが他にアイズの情報はないかと尋ねればボールスは金の音を聞けば思い出すかもなどと情報料を催促するが、ベートに脅され断念。素直にアイズ達が購入していたアイテムを教え、そこからアイズ達の目的は食料庫(パントリー)であることが解った。

 ダンジョンの各階層に2つ3つ存在する巨大な石英(クオーツ)のある大空洞で、石英(クオーツ)からは透明な液体が染み出して、ダンジョン生まれのモンスター達の主な栄養源となっている。

 必要なことは聞いたと小屋の外に待機していたフィルヴィスが歩き出し、ベートもボールスに背を向ける。ボールスはベートに悪態を吐き、フィルヴィスに気付くと『死妖精(バンシー)』の名を出した。

 

 

 

 

 

 フィルヴィスの過去を聞き、仲間を見捨てておめおめ生き残った、何故まだ冒険者などやっているのかと罵倒するベートは自傷と自嘲の笑みを浮かべるフィルヴィスに達観している奴が一番ムカつくと吐き捨て、レフィーヤはフィルヴィスは汚れてなどいないとその手を取る。

 ヴァハは、そんなやり取りを見てどうでも良さそうに欠伸をした。取り敢えず思った事といえばベルが現在絶賛片思い中のアイズ・ヴァレンシュタインより、このエルフの娘の方が相性的には良いだろうなあ、という感想だけだ。

 

 

 

 

「………………っ!!」

 

 食料庫(パントリー)を目指す途中で、道を塞ぐように現れた緑の巨壁。突破れば中の通路は天井、壁、床まで緑の肉に包まれておりまるで巨大な生物の体内に入ったかのようなだった。

 そんな不気味な場所でも意を決して進むことにすれば食人花の群れに襲われ、かと思えば柱が降ってきてアイズと分断された。アスフィは明らかな人為的現象に冷や汗を流しながらも襲ってくる食人花達をどうにか退治していく。

 だが、数が多い。

 

「仕方ありません………全員、下がってください!」

 

 そう叫び背中の剣に手を伸ばす。無数の蔓が伸びてきて、キークスがアスフィを庇おうとしたが邪魔ですと押し退け剣を振るう。

 

「焼き尽くしなさい、『雷霆の剣』よ!」

 

 巻かれていた布が一瞬で焼き尽くされ、眩い雷光が周囲一帯を照らす。光に遅れて轟音が響き渡り大気が震える。食人花達は、魔石も残さず消し飛んだ。

 

「………う、うそ〜」

 

 魔剣としてもあまりに桁違いな威力にルルネが顔を引きつらせる。普段軽口を叩くポック、ポット姉弟も言葉を失っていた。

 

「す、すっげえっすねアスフィさーん! もしかしてそれ、伝説のクロッゾの魔剣ってやつですか!?」

 

 クロッゾの魔剣とはクロッゾ一族が打てる魔剣で、その魔剣はオリジナルの魔法を超えると言われる威力を持つらしい。少なくともアスフィが放った一撃は並の魔剣では説明がつかぬ威力。キークスが流石アスフィさんと褒める中、ふと異変に気付く。

 

「────っ!!」

「ア、アスフィさん!? その腕!」

 

 アスフィの腕は、焼けただれていた。一部が炭化している。

 

「問題ありません…………しかし、予想以上ですね」

 

 震える手でハイポーションを取り出し傷口にかけるアスフィ。傷はみるみる塞がっていく。

 

(レベル4の私でもこれ。なのに、平然と振っていたのですか、彼は………いえ、そもそも彼は正当な持ち主でしたね)

 

 脳裏に一人の少年がよぎる。この剣の本来の持ち主。彼は、今どうしているのだろうか?

 

 

 

 

「な、何でしょう今の爆音………」

「雷だな」

「ここはダンジョンだぞ」

 

 突如響いた爆音に困惑するレフィーヤ。爆音に驚き足をもつれさせ転びそうになったレフィーヤを支えたフィルヴィスがヴァハの言葉に呆れたように言う。

 

「魔法だろ」

「私とて雷撃系の魔法だが、あのレベルの爆音がなることなど………ああ、いや、お前は普通に鳴らしていたな」

「まあ、これ俺がお姫様に貸した剣なんだがなあ」

「何?」

「俺とあの剣はちっと特殊な繋がり方しててな、何処にあるかわかるんだ。『雷霆の剣』ってな、俺達兄弟が大好きな英雄の持ってた武器だ」

「おい、つまりてめえはアイズと一緒にいた連中がどこに向かったか、解ったってことか?」

 

 パリパリと雷を纏うとその雷が何かに引かれるように一方向に伸びるのを見て、ベートが問う。

 

「あのお姫様がヴァレンシュタインと一緒とは限らなかったからなあ………それより、あれは結構強力だがその分俺以外にゃ反動が来る。それを伝えてた上で、使ったってなると」

「なにか異常事態が起きたってことか? チッ、どこの雑魚か知らねえがアイズの足を引っ張りやがって、急ぐぞ!」

「は、はい!」

「お〜……」

「クラネル、真面目にやれ」




因みに24階層編は漫画基準です。

相違点
アスフィが魔剣(?)を持っている

使用したことによりベート達が向かう速度を上げたため到着速度はます

ヴァハが剣を辿れるため到着速度はさらに増す



感想お待ちしております

ヴァハ君のヒロイン

  • フィルヴィス・シャリア
  • アスフィ・アル・アンドロメダ
  • アミッド・テアサナーレ
  • エルフィ・コレット
  • メイナちゃんやティオナを混ぜて全員
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