ベル・クラネルの兄が医療系ファミリアにいるのは(性格的に)間違っている! 作:超高校級の切望
まさかここで『ミノス』の名が出るとは予想外だった。そもそもあれは
自分が彼の気配を放つ理由は解るが、その自分を知る『彼女』とは何者だ?
「付いてきてもらおうか。何、断っても良い。死体のまま連れて行くだけだ」
「んっん〜………レベル6ってとこかあ? カマォン」
チョイチョイと指を動かし挑発するが、乗ってこない。そうとう自分に自信があるようだ。ヴァハの挑発など弱者のさえずりにしか見えていないのだろう。と──
『─────────ァァァっ!!』
「あん?」
不意に響き渡る叫喚。ヴァハが視線を向けると
胎児は宝玉の中で藻掻きヴァハを見つめていた。
何だあれ?
「アイズさんの時と同じ………?」
と、レフィーヤが思わずと言った風に呟く。アイズ………【剣姫】アイズ・ヴァレンシュタインの時も同じ反応したのか。彼女と自分との共通点など1つしかない。その上でもう一度考える。何だ、あれは?
反応している理由があっているならそれを感じ取れる存在という事になる。ダンジョンはいまだ謎が多いし、アイズも自分も通常の人類に比べ
それに、『ミノス』と言う名を知っているとなると…………
「あー、そういう感じい? 面倒くせえ事になってんなあ」
突拍子もない可能性だ。だがこの下界には神の常識の埒外の出来事も起こる。なら、『その可能性』も十分ありえる。
「てめえ等の関係なんざどうでもいい。アイズは何処だ」
「【
「さっさと答えやがれ!」
「私の同志が相───」
「ヴァレンシュタインならあっちだ。誰かと戦ってる見てえだな」
男が何やら口元を歪めながら言いかけたがヴァハが唐突にある方向を指差す。
「この距離なら解るさ。俺と彼奴は、あの変な胎児が求める共通点があるからなあ。つー訳でそっち行けよ、彼奴は俺が目当てらしいしなあ」
「…………」
ヴァハの言葉にベートは男を見て、周囲の【ヘルメス・ファミリア】を見る。忌々しそうに舌打ちして視線を男に戻した。
「アイズは負けやしねえよ。それより、俺はあの男の目が気に食わねえ」
「おやさしいこって。だがあれは俺の獲物だ」
ベートがこの場に残ろうとする真意を察したヴァハは己の獲物である男を剣で指すがベートはふん、と鼻を鳴らす。
「雑魚は雑魚らしく周りの雑魚を殺してろ」
「ハハァ。俺は指名されてんだよ。あんま雑魚雑魚他人に言うなよ、弱く見えるぞ」
「あぁ?」
「ちょっ! な、なんで味方同士で険悪になってるんですか!」
ベートがヴァハを睨みつけるとレフィーヤが慌てて止めようとする。その光景を見て、男はフンと笑う。
「二人同時でも構わんぞ? どのみち、私には勝てまい」
「おっお〜♪」
「あぁ?」
自信満々の男にベートが青筋を浮かべヴァハがニヤニヤと笑う。二人はほぼ同時に駆け出した。
先に男の下に到達したのは、ヴァハ。
「ぬう!?」
「………あ?」
鮮血が舞った。ヴァハが男の肩を切り裂いたのだ。
「え、嘘………速、
ベートのレベルは5。第一級冒険者で、その総力は魔法を使ったアイズには瞬間的には劣るが【ロキ・ファミリア】1。そのベートが、先を越された。
有り得ない事態にレフィーヤ達は目を見開き、男も己の肩に刻まれたら赤い線を見て呻く。
「チッ、浅い………」
「があ!」
「と……」
浅い傷を見て舌打ちするヴァハに男が接近する。腕を振り下ろせば地面が砕ける。とんでもない膂力である。
「てめぇ等、俺を無視してんじゃねえ!」
ヴァハが雷を纏った剣で細かい傷をつけていく中痺れを切らしたベートも参戦する。双剣と蹴りによる連続攻撃。
速度と手数に物を言わせた
(コイツ、硬え!)
レベル3のレフィーヤでは照準できぬ程度には早いが速度はベートが上。マトモに攻撃が当てているのはベートだ。しかしまるで堪えた様子がない。異様な打たれ強さ。それに対し………
「どけ! ベート!」
高速移動するヴァハが移動速度を乗せた突きを放つ。雷を纏い放たれた突きに対して男は身を捩り何とか躱すも胸の肉が抉れる。
「っ!
男が叫ぶと都合4匹ずつ食人花が襲い掛かってくる。ヴァハは男に向かって雷を放つが、男の真横を通り抜けた。
「ふん、どこを狙っている」
「犬っころ」
「何?」
雷の纏を失い速度が落ちたヴァハは素のステータスで食人花達と対処するも、先程迄の圧倒的速度は出せていない。再び雷を纏い始めるが一度放つと速度が落ちるようだ。
そんな一撃を外したヴァハに嘲るような笑みを浮かべる男だったがヴァハもまた、嘲笑うかのような笑みを返す。訝しむ男だったが、答えはすぐに返ってきて。
後方より響く雷鳴。振り返ればベートは足に雷を纏い、食人花を焼き滅ぼしていた。
「なっ!? 『ミノス』の雷を!?」
「チッ、雑魚の手を借りるなんてなあ!」
「────っ!!」
驚愕する男にベートが接近する。
「フィルヴィス、続け」
「ああ、【一掃せよ破邪の
回避行動を取ろうとする男だったが、遅い。ヴァハが雷を落とす。それでも先程の威力に比べれば弱く、硬直は一瞬。だが一瞬あれば十分。
「【ディオ・テュルソス】!」
男はすぐに片手を突き出し受け止めようとするが、異変が起きる。男の周りで帯電していた雷がフィルヴィスの放った白き雷霆に吸収され、その威力を増した。
「ぐお!?」
「上出来だ。死ね───」
感電し、動きが一時的に不可能になる。硬直した男に、ベートは全力の蹴りを放つ。
レベル5の蹴撃と異質な威力を誇るヴァハのスキル。2つが合わさった一撃を、ガードすることも出来ずにまともに食らった男はそのまま吹き飛ばされ巨大花が寄生する
「───っ………? クラネル、お前の雷は、いったい」
同じ標的に放った同属性の魔法なら解る。しかし同属性ながら既に帯電しているだけだった雷が意思を持ったかのようにフィルヴィスの魔法に向かい、しかも有り得ないほど威力を底上げしたのを見て困惑するフィルヴィス。
「や、やった……?」
と、レフィーヤが呟いた言葉を聞いてハッと男が吹き飛ばされた場所を見る。異常な耐久性を誇るようだが今の一撃、ただでは済まないはず。
「…………化け物ですか」
だというのに土煙の向こうに立っている人影。アスフィが苦虫をかみ潰したような表情を浮かべる。
「惜しかったが」
体中に大きな損傷を受けても尚、健在な男は笑う。腹や胸が焼け焦げている事などまるで気にしていない。
「『彼女』に愛された体がこの程度で朽ちるわけがない」
「「「────っ!!」」」
次の瞬間誰もが息を呑む。男の傷が異様な速度で塞がり始めたからだ。フィルヴィスは一瞬ヴァハを見るがヴァハも目を細めていた。
回復魔法も使用せず傷を癒やした男は口角を吊り上げて、俯いていた顔を上げる。その顔に、フィルヴィスが息を呑む。
「どーしたフィルヴィス? ……アスフィもか」
隣にいたフィルヴィスだけでなく後ろにいたアスフィもまた目を見開いているのを見てヴァハは改めて男を見る。病的なほど白い肌の男。フィルヴィス達はどうやら正体を知っているようだが………。
「オリヴァス・アクト……!」
「オリヴァス・アクトって、【
男に向けられた名を聞いてルルネが信じられないと言うように叫ぶ。
「馬鹿な! 何故ここに死者が居る!?」
フィルヴィスも叫ぶ。何故なら、目の前の男は生きているはずがない存在だから。
彼は『27階層の悪夢』の首謀者にして、自らもモンスターに食われ下半身のみが見つかり死亡とされた元
「生きていたのですか」
「いや、死んだ。だが死の淵から私は蘇ったのだ」
どこか誇らしげなオリヴァス。だんだんと癒えていく己の体を、己の体に働く力の大本であろう何かを思い起こしたのか恍惚した表情を浮かべをた。
不意に、誰かが気づく。衣服が壊れ剥き出しになった下半身。それは、食人花達のように黄緑色に染まっていた。
そして、血肉が吹き飛び剥き出しになった胸元に、極彩色の結晶を見つけた。
「私は2つ目の命を授かったのだ! 他ならない『彼女』に!」
『魔石』を見せつけるかのように両腕を広げるオリヴァス。誰もが絶句する中、ヴァハは誰にも聞こえぬ声で呟く。
「『加護』か? モンスターと融合して、また随分と歪んだ形になったな………だが、あれなら」
感想お待ちしております
ヴァハ君のヒロイン
-
フィルヴィス・シャリア
-
アスフィ・アル・アンドロメダ
-
アミッド・テアサナーレ
-
エルフィ・コレット
-
メイナちゃんやティオナを混ぜて全員