ベル・クラネルの兄が医療系ファミリアにいるのは(性格的に)間違っている! 作:超高校級の切望
「ん、あ………」
「ぷは……」
歓楽街の一端。耳を澄ませば建物の中から甘い声が聞こえる、そんな歓楽街の、風に乗り流される蕩けるような声。発生源は外だ。羞恥心のないアマゾネスが発情して道端でおっぱじめたわけではない。いや、アマゾネス達が始めたことというのは変わらないが。
「さっすがLv.3で、戦闘種族ぅ。健康に良さそうな味がすんなあ」
口元を己のものではない血で汚し、全身を返り血で真っ赤に染めたヴァハは血を啜っていた女をポイと捨てる。サラミだかミサラだかそんな名前だったが気にしない。
体に付いた血をペロリとなめながら周囲を見回す。巨大な爪痕や、深い斬撃、打撃の痕から引きちぎられたような傷など様々な方法で痛めつけられたアマゾネス達が転がっていた。それでも、ヴァハはキチンと加減して全員死なないようにしている。
「たく、俺は女を買いに来ただけなんだがなあ」
「ふ、ふざけやがって………あたし等に何したか、忘れたってのかい………」
「俺が何したあ? 【
ダンジョン内での闇討ちはよくある事だが、本来なら罰則ものだ。しかし【イシュタル・ファミリア】はとある理由からギルドも手出しがしにくく、結果としてなかった事にするという無理やりな手段をとった。
つまり、ヴァハが闇討ちをした帰りに出くわしたアマゾネスなんて居なかった事になる。
「本当はユノを買いに来たんだが、テメェ等と遊ぶのに夢中で巻き込んじまったかあ…………あ、そういや──」
と、リーダー格のアマゾネスをチラリと見てヴァハは笑う。
「
「っ………!?」
「まあ噂によると、すぐに気絶しちまうんだってなあ。それでも良いって奴は、飛んできたアマゾネスにぶっ飛ばされるんだっけ? おお、なんてこった。今日はアマゾネス共が大量に床に転がっている! これはチャンスだ」
「ふ、ふざけんじゃ───ぐう!?」
「ほら、頑張れ頑張れ」
怒りに身を震わせ立ち上がろうとしたアマゾネスの後頭部を踏みつけ、顔を地面に押し付けてグリグリと力を込める。
「ハハァ。ほら、もっと力を込めろよ、頭が潰れちまうぜ………それとも、先に狐を犯したほうがやる気が出るかあ?」
ケタケタと楽しそうに笑うヴァハ。と、その時だった…………
「あ………?」
何かに腕を片足を掴まれ、振り返る。
「パ…………パァ…………」
それは赤子だ。本当に、赤い。まるで血のように。空っぽの眼孔が、此方を見据えていた。
「あ、そぼ………あそぼ………」
「……………やだ」
バチリと、紫電が走る。
「と言うことが昨日あってなあ。歓楽街にゃ気を付けろよお」
「何言ってるんですかお義兄様! ベル様は歓楽街などに行きません! ええ、いかせませんとも!」
神々の会合、
「それを決めるのはベルだ。想いを口に出さずただ何時か、なんて考える小汚えちびっ子共にゃ決める権利はねえ」
「「うぐっ!?」」
ベルにもダメージが入った。というか、ベルにもダメージを入れた。その方が面白いから。ちなみにここにベルの主神がいれば彼女もダメージを負ってたことだろう。
「ていうか【イシュタル・ファミリア】ってLv.5も居たような」
「ああ、途中から喋るモンスターが来たなあ。ありゃ多分Lv.5相当の深層モンスターだろ。それに赤子の群れを押し付けて、取りあえず逃げた」
「…………え、群れ?」
「踏み潰したら増えた………」
まるで魚卵のように泡立ちから生まれた赤子の頭が此方を見つめ、紅葉のような手で足に絡みついてきた時は流石に気持ち悪かった。なのでその赤子達をカエル型モンスターに投げつければモンスターを覆うような形で増殖しモンスターの足止めになった。
「なんですかその赤ん坊………」
「歓楽街だからなあ…………産む事より色に狂った女が邪魔だから捨てた胎児とか、産んだけど育てられなかった赤子の霊じゃねーの」
「ひ、非科学的ですありえません! た、魂は死後天界に帰るんですから!」
リリが顔を真っ青にして叫ぶ。ベルの顔色も悪い。語って良かった。
「そ、それよりさ………僕達、どんな二つ名がつくんだろうね」
「さあなあ………」
ベルが話をそらしたので乗ってやる。神々の連中は頭がおかしいから、どうせ変な名前をつけるのだろう。何故か人間はそれを深いとか、かっこいいとか感じるらしいし。ヴァハは寧ろ痛々しくて背中が痒くなる。因みにヴァハは他人に名付けるなら容赦なく、痛々しくて仰々しい名前を付けまくる。
神の会合、
ロキ、ヘルメス、ディオニュソスは件の極彩色のモンスターについて神々に探りを入れるが、尻尾らしい尻尾を掴むことは出来なかった。
なので話は変わり、命名式。ランクアップした
「ほい、冒険者エリカ・ローゼリア。称号は【
「いやあああああああああああああ!?」
「ヤマト・命ちゃんの二つ名終わりかー? ないんなら締め切るでー?」
「まだだ、俺の
「
「
「ばかやろう、
「やめろぉ、やめてくれええええええええ!?」
ヘスティアは神友の叫びに力が足りぬ己を呪った。そんな痛々しい名前が決められる中、一人の神がディオニュソスに声をかけた。珍しく参加したのだから、名付けをしろと。
タケミカヅチはディオニュソスに無難な二つ名を付けてくれと願い………
「そうだな【絶†影】、なんてどうかな?」
「ディオニュソスゥゥ、テメエエエエエエエエエエ!!」
ヤマト・命の二つ名、【絶†影】に決定。
残る二人はミアハとヘスティアの眷属、クラネル兄弟だ。
ロキが当然絡んだ。有り得ないとは思いつつも魔石を持ち魔石を食らい力を増す『強化種』の可能性も視野に入れつつ探る。
まあ、ヘスティアもミアハも善神だ。可能性としては考えつつもほぼ100%ありえない。それでも尋ねるのは、まあ嫉妬だ。一年という自慢のアイズの記録を抜かれたことに対する。神の力を使ったのか問いつつ十中八九未発見のスキルに目覚めたのだろうと予測している。と、フレイヤも絡んできた。
とある理由でフレイヤがある男達に出すらしいちょっかいを邪魔出来なくなっているロキはしぶしぶ引き下がった。
「じゃあこの二人の命名式や。なんかええ案あるやつおる?」
「ふむ。では私が───」
「あ、ミアハはなしやで?」
無難な二つ名を付けられても面白くないし。
「はいはーい! アマゾネスの集団と喧嘩して狩ったらしいので【アンチイシュタル】! イシュタル様が凄い目で見てるうううう!?」
「おいおいおい、死んだわ彼奴。【
「【
好き好きに名前を付けていく神々。ミアハはうむむ、と唸る。と、その時………
「はいは〜い、次は私〜」
「お、アルティオ」
ほんわりした空気を放つ女神が立候補する。ミアハは助かったというような顔をする。彼女はミアハと同じケルト圏の神。付き合いも長い。
きっと無難な二つ名にしてくれるだろう。
「皆さん覚えてますか〜? ミアハ君を信仰してた『古代』の街の、魔剣を〜………」
「古代?」
「は〜い。魔剣が
「あ〜、あれね。覚えてる覚えてる。なんだっけ?」
「ほら、あれだよあれ」「あー、だいたい理解した」
「わかってない(笑)」
ミアハは記憶を探る。自分を信仰していた地域の、古代の魔剣と呼ばれていた剣? 何だったか。
「『何者もこの剣から逃れることはできず、一度鞘から抜かれればこれを耐える者はいなかった』そんな伝承を語られていた、敵を斬るまでは決して鞘に収まらない魔剣ですよ〜」
「…………あー、あー! 思い出した思い出した!」
「あれ、でもあの剣名前あたっけ?」
「ヌァザってやつが使ってなかった?」
「情報それだけ。名前今の団長に似てるし【ヌァザの剣】は?」
「それでいこう! それがいい!」
「インパクトにかけるなあ」
「私は〜、街の名前をつけてはどうかと思ってますよ〜」
「おっし! なら当て字はウチにまかせい! リヴェリアとも珍しく仲ええみたいやしなあ!」
「それで、これが俺の二つ名ねえ………まあ【
ヴァハはそう言って、二つ名の書かれた紙を見る。
【
狂った剣。狂剣。転じて狂犬。当て字はロキがしたらしい。【
感想お待ちしております
ヴァハ君のヒロイン
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フィルヴィス・シャリア
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アスフィ・アル・アンドロメダ
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アミッド・テアサナーレ
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エルフィ・コレット
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メイナちゃんやティオナを混ぜて全員