ベル・クラネルの兄が医療系ファミリアにいるのは(性格的に)間違っている!   作:超高校級の切望

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即席パーティー

 市街の上。クラネル兄弟はそこで鍛錬をしていた。

 連携の訓練だ。ベルが手数に物を言わせた猛攻(ラッシュ)を繰り出すもヴァハが血で生み出した先端が鎌のように孤を描き、鋭い刃を持つ赤い触手一本に全て対処される。

 

「【ファイアボルト】!」

「んっん〜」

 

 放たれた炎の雷を黄金の雷で相殺するヴァハ。眩い輝きに身を隠しながら姿勢を低くして接近したベルに鎌を振り下ろそうとすると小さな矢が飛んでくる。そちらを叩き落とし、その隙にベルがナイフを振り上げ────

 

「あめえ」

「知ってる!」

 

 ──なかった。振り上げられた掌の中には小さな袋。小石を投げつけ袋を破壊すると黒っぽい粉が撒き散らされる。

 胡椒だ。目潰しのつもりなのだろう。実際、ヴァハは目を守るために瞼を閉じた。

 ベルは居場所を伝えるだけの叫び声を完全に止め、大きめの石を投げ別の方向から音を立てる。

 反射的にヴァハの意識が向いたのを確認して、滑るように背後に移動し、ナイフを振るう。

 

「が───っ!?」

 

 瞬間、蹴り飛ばされた。後ろ回し蹴りで浮き上がったベルの体は市街の外に放り出され またぁ!? と内心で叫ぶベルの耳に「ベル様ぁ!?」とリリの叫び声が聞こえてきた。

 

「っ! 【ファイア、ボルト】、【ファイアボルト】ぉ!」

 

 ボボン! と火炎が2度飛び出す。その勢いで壁際に寄ったベルは体を回転させながら足裏を壁に接触させ《ヘスティア・ナイフ》を壁に突き立てる。

 ザリリリリリッ! と靴裏から嫌な音と感触が伝わってくる。地面が近づいてきた、タイミングを見計らい曲げていた足を勢いよく伸ばし壁を蹴る。体にかかる力のベクトルが変わり、地面を転がりながら勢いをなんとか殺しすぐに立ち上がる。

 

「ベル様ぁぁぁぁ! 大丈夫ですかああああ!?」

「大丈夫だよおおお!」

 

 Lv.2になったから耐えられた。ランクアップしてなければ耐えられなかった。そんなことを思いながら、ベルは市壁の表面を見る。

 意外と、ゴツゴツしている。

 ヴァハとは鍛錬の意味も含めて競争していた。手加減してベルより後に出たヴァハに、直ぐに追いつかれたが階段は狭く登った時点で勝ちだと思ったら既に上に居た。

 

「そこで待ってて、今行く!」

 

 少し距離を取る。息を大きく吸って、駆け出す。

 勢い良くはね、石と石の隙間に爪先を差し込み、体を上に蹴り上げる。僅かな出っ張りに指をかける。思い切り体を持ち上げる。

 これを繰り返し、頂上まで到達した。

 

「おめでとう。明日はもう少し本気出しても良さそうだなあ」

 

 驚いた様子のリリと驚いた様子もなく笑うヴァハ。日はまだ昇っていない。時間はある。ベルは再びナイフを構えた。

 

「どうして、解ったの?」

「目に頼っていいのは一対一(サシ)の時だけだ。敵が複数居りゃ、死角から攻撃もされる………だから、目で見ねえで敵の動きを把握できるようになれりゃ簡単だ………教えてやろーか? まずは目を閉じろ」

 

 閉じろと言いつつ突如ベルの眼前を赤い何かが覆い、直ぐに目に張り付く。視界を奪われ混乱するベルに蹴りが放たれる。本日二度目の、落下を味わった。

 

 

 

「やりすぎですおかしいです! お義兄様はベル様を殺したいのですか!?」

「Lv.2が市壁の上から落ちた程度で死ぬかよ」

 

 いや、普通死ぬ。

 開店前の豊穣の女主人の店員は開店準備をしながらも内心で突っ込んだ。

 現在豊穣の女主人に居るのは店員と、シャワーを浴びるために来たクラネル兄弟とリリ。そしてメイナが居る。

 

「んで、メイナの方はどうだ?」

「ん〜、才能としては、普通? でもきちんと続けていけば恩恵を刻む日には十分な強さを手に入れてると思うにゃん」

 

 クロエはメイナをそう評する。特別目立った才能はないが、学んだことをきちんとやろうとする真面目な性格。現状なら大成は出来ないかもしれないがかと言って冒険者として挫折することもないだろう。

 

「あ、そうだ兄さん。パーティー組んでくれそうな人、見つかったんだけど」

 

 

 

 

 

 と言うわけで会うこととなった。話を聞けばミノタウロス戦で砕けた鎧の代わりを探し、どうせなら同じ作者の物を探していた際に偶々出会った作者本人らしい。大した偶然もあったもんだ。我が弟ながら『幸運』に恵まれている。

 その作者は『鍛冶』の発展アビリティを欲しているが派閥内で孤立しているのか、共にダンジョンに潜る仲間がいなかったらしい。ついでに、ベルの専属になったそうだ。名前を聞こうとしたが本人が会う時に名乗る、と言ったそうだ。

 

「お〜い、兄さ〜ん」

 

 と、ベルの声が聞こえてきた。隣に立つ男が、ベルの専属鍛冶師志望兼パーティーメンバーだろうと赤毛の男を見る。

 

「………クロッゾ?」

「……………っ」

 

 その人物を見てヴァハがその名を零すと赤毛の男はピクリと柳眉を吊り上げる。

 

「あれ、兄さん知ってるの?」

「確かに俺はクロッゾだ。で、それが何だってんだ?」

 

 と、どこか敵意をにじませる男にベルがオロオロしだす。ヴァハはほー、と無遠慮にクロッゾと呼んだ男を見る。

 

「…………魔剣打てるか?」

「あんたもそれか。悪いが打つ気はねーよ」

「つまり打てると……………くっ、くく…………ははははははは!」

 

 と、ヴァハが腹を抱え笑い出す。突然の行動にベルも男もキョトンと呆ける中、ヴァハは本当に楽しそうだ。

 

「くく、そうかそうか。クロッゾ………ベルの専属鍛冶師が、クロッゾか!」

「…………あんた、何がおかしいんだ」

「さて、ね…………血は争えないって事かもなあ…………まあ、良いさ。弟を宜しく頼むぜクロッゾ。噂はかねがね聞いちゃいるが、俺はお前がお前の意地の為にやれることもやらずベルを見殺しにしても、文句は言わねえから安心しな」

 

 ヴァハはケラケラ笑うとその場から去っていった。

 

 

 

 

毒妖蛆(ポイズン・ウェルミス)………?」

「強力な毒を持つモンスターだ。下層で大量発生したらしい。【ロキ・ファミリア】も、被害にあったと………」

 

 『耐異常』アビリティを持っていてもG以下ならばまともに動けなくなる規格外の毒を持つ最悪のモンスターが、よりによって大量に生まれたらしい。

 遠征帰りの【ロキ・ファミリア】も被害に遭い、18階層で足止めを食らっているとか。

 

「レフィーヤが心配だ。すぐに潜りたい」

「あー………」

「だ、駄目か? いや、私とて急な願いであることは承知しているが」

 

 何なら今から一人で飛び出しかねないフィルヴィスに、違う違うと肩をすくめるヴァハ。

 

「実は弟が『怪物進展(パス・パレード)』食らってダンジョンから帰ってこなくてな、主神命令で捜索に行かなきゃならねえんだよ。だからダンジョン潜るのは反対じゃねえが、複数人つくことになるぜえ?」

 

 怪物進展………神々の間ではモンスタートレインとも呼ばれる行為だ。トレインって何だ?

 簡単に言えば複数のモンスターに囲まれ撤退を選ぶもモンスターから逃げ切れない奴等がすれ違った冒険者にモンスターを押し付ける行為である。

 

「それは………いや、大丈夫だ。ディオニュソス様からパーティーを組めと言われ、お前は私と組んでくれた。その恩を無下にする気はない………」

「ついでに言うとエルフが交じると思うから仲良くなあ」

「え? は………? い、いや待て! 同胞(エルフ)!? む、無理だ!」

「大丈夫だろ、向こうも犯罪者だし同胞に軽々しく触れるわけにはとか考えてそうだからなあ。むしろそういう面白い光景みれねえと行く意味あんまねえし」

「……………お、弟なんだろ? 無事かどうか、保証もないのに」

「Lv.1でミノタウロス倒す奴が中層で行方不明になった程度で死ぬかよ。俺の弟だぜ?」

「……………………」




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ヴァハ君のヒロイン

  • フィルヴィス・シャリア
  • アスフィ・アル・アンドロメダ
  • アミッド・テアサナーレ
  • エルフィ・コレット
  • メイナちゃんやティオナを混ぜて全員
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