ベル・クラネルの兄が医療系ファミリアにいるのは(性格的に)間違っている!   作:超高校級の切望

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捜索隊

 【タケミカヅチ・ファミリア】による『怪物進展(パス・パレード)』を受け、ダンジョン内で行方不明になったベル・クラネル、リリルカ・アーデ、ヴェルフ・クロッゾの3名を捜索、救出する為の即席パーティーが組まれた。

 【タケミカヅチ・ファミリア】からはカシマ・桜花、ヤマト・命、ヒタチ・千草。

 【ヘスティア・ファミリア】からはヘスティア本人。

 【ヘルメス・ファミリア】からはアスフィ・アル・アンドロメダとヘルメス。ヘルメスが連れてきた謎の覆面エルフ。

 【ヘファイストス・ファミリア】からは残念ながら増援はなかった。戦える団員が軒並み【ロキ・ファミリア】の遠征についていったからだ。そして最後に………

 

「遅い! 何をやってるんだヴァハ君は!」

 

 【ミアハ・ファミリア】から来る筈だったヴァハ・クラネルが時間になっても来ない。準備してくるとか言っておいて、寝てるんじゃないだろうな彼奴。

 むむむ、と唸るヘスティア。そして、【タケミカヅチ・ファミリア】は何とも微妙な顔をしていた。

 彼らは孤児で、タケミカヅチ達に育てられた。共に育った彼等は自分達の絆は家族にも負けないと思いつつ、やはり家族を持つものを羨む程度には、血の繋がりに憧れというか、神聖さを持っていた。

 なのに、弟がダンジョンで行方不明になったと聞かされ、その元凶達が頭を下げる中ヴァハがとった行動は、笑う事だった。

 抜けてる奴だと膝を叩き、だらしがないと鼻で笑う。さらには助けに向かおうと言ったヘスティアの言葉に面倒臭そうな顔をした。

 なまじ家族というものに憧れたこともある彼等からすれば、それは何とも受け入れがたい行為であった。

 

「ヘスティア様、もう俺らだけで行ってしまいましょう。あんな奴が居なくても………」

「いやいや、それは駄目だぜ桜花君。彼は、単純に強い。この中で純粋なステータスならアスフィや彼女に分があるだろうがいざ戦いとなったら勝負はわからない、それぐらいには強い」

「そうだね。強いのは確かだ。それに、ベル君の行動を把握してくれるだろうし………」

 

 さっさと行こうとする桜花だったが神二柱に止められどこか不服そうだ。

 戦闘力評価に関して、アスフィは納得しているようだったが覆面のエルフは少し首を傾げていた。何せ彼はLv.2なりたて。同僚から「絶対嘘にゃあ、彼奴Lv.を偽ってるにゃん」とは聞いていたが………。

 

「よお、お待たせ。悪ぃなあ………捜索隊のメンバー増えたぜぇ」

「おお! 来てくれたかヴァハ君! 増えた?」

 

 と、ヘルメスが振り返ると白衣に見を包んだエルフと、小柄な銀髪の女性がヴァハの後に続いていた。

 

「おや、君はディオニュソスの所の………それに、アミッドちゃん?」

 

 フィルヴィスとアミッドだ。フィルヴィスまでは解るが、何故アミッドまで?

 

「アミッドは18階層の【ロキ・ファミリア】の治療だとよお………毒妖蛆(ポイズン・ウィルミス)が下層で大量発生したんだとよお」

「違いますよ、ヴァハ。それはディアンケヒト様から止められてしまいましたから。とはいえ、個人的な友人とダンジョンに潜るだけなら一々報告することもないですね」

「つーわけだ」

 

 認識阻害の魔道具(マジック・アイテム)である眼鏡をかけて、今はプライベートですからと嘯くアミッド。個人的と言いつつそれが嘘であることは神には解った。

 

「【ロキ・ファミリア】の皆様なら、18階層まで上がれば問題ないでしょう。私が手を貸すまでもありません………私はただ、やたら危険なことに縁がある友人が毒を受けに行くかもと心配しているだけです」

 

 【ロキ・ファミリア】が問題ないというのは本当だ。手を貸さないというのは嘘。その後の下りは、本当。彼女の中でヴァハは都市最大派閥をも苦しめる毒虫の群れに平気で突っ込むような奴らしい。

 

「つー訳で行くぞ、目的地、18階層【ロキ・ファミリア】野営地だ」

「なぜ、そこにあなたの弟が居ると?」

「不測の事態。日帰りの装備しか持ってなかった彼奴等にダンジョン内で助けを待つ選択肢はねえからなあ………死んでない以上ダンジョン内で動くだろうし戻ってこれないなら道がわからねえんだろ。なら向かうのは18階層だ。入り口がとてもわかりやすいからなあ」

「………本当に実行するのか、そんな事。まともな神経じゃない」

「俺の弟だからなあ」

「「「ああ……」」」

 

 アスフィ、アミッド、フィルヴィスは納得したように声を出した。

 

「それよりてめぇ等、ベルにきちんと感謝しろよ」

「か、感謝ですか? 謝罪ではなく?」

 

 と、命が困惑したように尋ねると、ヴァハはケラケラと笑う。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……………なら、まずは感謝だろ?」

「「「────っ!!」」」

 

 ヴァハの言葉は、完全に【タケミカヅチ・ファミリア】を侮辱したものであった。弟を危険な目に遭わせた後ろめたさもあってヴァハの言動を咎めずにいた桜花は、思わず掴みかかりその腕を流され腹に膝を叩きつけられた。

 

「っ!? ぐ、か──!」

「お、桜花ぁ!」

「勘違いすんなよ? 助けに行くう? 力になる? 笑わせんなよおい。足を引っ張るお前等が、せめて形だけでもしたい謝罪に付き合ってやってんだぜこっちはよお」

 

 そのへんわかってるか? と腹を抑えてうずくまる桜花に尋ねるヴァハ。睨みつけてくる桜花だが言い返せない。

 

「わかったみてぇだな。んじゃ、縦穴使ってサクサク進むぞ」

「ベル君が登ってくるとは思わないのかい?」

「それに、【ロキ・ファミリア】の野営地に居るという説明がまだです」

 

 それにランダムに出現する縦穴を使いすぎると現在地がわからなくなるのでは? とヘルメスとアスフィが尋ねてくる。

 

「リヴィラはボッタクリの街。今回の遠征のために魔剣、不壊属性(デュランダル)を複数購入して、【ヘファイストス・ファミリア】の鍛冶師(スミス)にリヴィラの街に泊まる余裕はねえ。数も数だしな……彼処の団長、副団長、アイズは倒れているベルを見捨てはしねえだろう」

 

 縦穴に関しちゃ開けながら進む、と腰に挿している剣の()()の柄に手を置く。現在ヴァハは腰に左右3本、計6本の剣に、背中のひとふりという合計7本の剣を有していた。

 

「……………後」

 

 ヴァハはチラリとエルフ二人を見る。

 

「その出で立ち、貴方が『白巫女(マイナデス)』ですか……」

「私の事を知っていたか、同胞よ。不快な思いをさせるのは済まないと思う。だが、どうか今回だけでも我慢してほしい」

「不快など、そのような!? むしろ、私こそ申し訳ない。このような身で、同胞と共に迷宮に潜れることを少しばかり喜んでしまっていた」

「喜ぶなど、それが偽りであってもありがたい」

「偽りなどではありません。貴方は、私と違った。私のように汚れなかった」

「そんな事はない、この身はとうに汚れきって───」

 

 その光景を見てゲラゲラと笑い出す。予想通りだが、やはり直接見ると面白い。とはいえ、何時までも笑っては居られないのでダンジョンに向かった。

 

 

 

 

「それで、縦穴はどうするのですか?」

「こーする」

 

 中層に入ったあと、ヴァハは腰に挿していた剣を1つ抜くと掌に押し付け、皮膚と肉を切り裂き血を塗りつける。

 千草がひっ、と悲鳴を上げる中剣はバチバチと音を立て放電した。

 

「耳塞いで口開けろ」

 

 忠告は、たったそれだけ。慌てて耳を抑える一同の行動など見ずに剣を振り下ろす。轟音、閃光。

 目を閉じていた桜花達が恐る恐る目を開けると、ヴァハの目の前に直径3M(メドル)程の穴が空いていた。

 

「2階層分だけかあ………下に下がる程、頑丈になるそうだがまあ、ぎりぎり持つだろ」

 

 ヴァハが抜いた剣は、膨大な魔力に内から焼かれボロボロと崩れていった。




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ヴァハ君のヒロイン

  • フィルヴィス・シャリア
  • アスフィ・アル・アンドロメダ
  • アミッド・テアサナーレ
  • エルフィ・コレット
  • メイナちゃんやティオナを混ぜて全員
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