ベル・クラネルの兄が医療系ファミリアにいるのは(性格的に)間違っている! 作:超高校級の切望
「…………オリヴァス・アクト?」
『アレガ、『
ヴァハの言葉に、驚愕する二人。白いモンスター………オリヴァスは窪んだ眼窩の奥で目を細める。
「ありえません、
「そういや箝口令敷かれてたなあ。生きてたぞ、オリヴァス。胸に魔石持ってたから、灰にしてやったんだがなあ…」
まあこうして知った訳だし、いいかと超機密事項を平然とバラすヴァハ。モンスターの正体がオリヴァスと言われた途端、
『悪夢』の生き残りか?
「……ソウダ。私ハ、貴様ニ殺サレタ………」
名は意味を持つ、名はその存在を縛るとは、極東の言い伝えだったか。名を呼ばれたオリヴァスは、憎悪の気配こそ消えぬものの言葉を解する獣から、知性を宿した獣へと在り方を変えたように落ち着きを得る。
「ダガ、私ハ再ビ生ヲ得タ………第三ノ命! 嗚呼、嗚呼! コレコソ『彼女』ノ愛! 慈愛! 聖愛! 寵愛! 返サナクテハ、応エナクテハ! 嗚呼、ナノニ…………ナノニナノニナノニナノニナノニナノニ!!」
盲目的なまでの信仰。ヴァハは死んでも馬鹿は治らねえか、と呆れる中オリヴァスは頭を抱え叫ぶ。
「『彼女』ノ声ガ聞コエナイ! 『彼女』ノ存在ヲ感ジトレナイ! 側ニアッタハズナノニ! 私ニ愛ヲ向ケテイテクレタノニ! ………………アァ、ダガ、見ツケタ。見ツケタ見ツケタ見ツケタ見ツケタ見ツケタ見ツケタ見ツケタ見ツケタ見ツケタ見ツケタ見ツケタ見ツケタ見ツケタァァァァァァ!! オ前ダ、ミノス! 貴様ヲ見ツケタ! 貴様ヲ殺シ、『彼女』ニ捧ゲル! ソレガ私ガ『彼女』ニ証明スル愛! 『彼女』ニ返ス愛ダ! 敬愛ヲ! 親愛ヲ! 我ガ愛ヲ示シ、『彼女』ト再ビ繋ガル糧トナレエエエエ!」
大気を震わせオリヴァスが叫ぶ。明確な意志を持ったからか、感じる威圧感が増す。だが───
「感情で強くなれるほど、この世界は甘くねえんだよお!」
突っ込んでくるオリヴァスの攻撃を回避して逆に切り裂いてやる。傷口を電熱で焼き、再生を遅らせる。と───
『再ビ死ネ! オリヴァス・アクトォ!』
人外の耐久力を持つモンスターでも、人外の膂力を持つ
だが───
「ルゥ、アアアアアアアッ!!」
オリヴァスが咆哮を上げると同時に魔力が溢れ出る。モンスターの中には炎を吐いたり人を魅了する歌を歌ったりと、理外の現象を起こす。それらは人類同様、魔力を用いた魔法だ。
モンスターと成り果てたオリヴァスも使えるようだ。
『サセルカ!』
魔法を扱うだけあり、魔力の流れを感知したのか
轟音と共に砂煙が舞うが、恐らくは無事だろう。ヴァハも雷を放とうとして、止まる。
『────ッ!!』
「ヴオオオオオオッ!!」
『───速イ!?』
土煙の中から飛び出して来たオリヴァスは、新たな傷を負っておらず、先程までよりも格段に速い動きで迫る。舌打ちしたヴァハは、しかし何が起きるか見るために加減して雷を放つ。
「無駄、ダア!」
と、オリヴァスが立ち止まり叫ぶ。雷は………
「っ!
「オオアアアアアア!!」
魔法を喰らった白き怪物は、取り込んだ魔力を糧に
親和性の高い、魔物の特性を持つ魔力と少量とはいえ魔力としての質が高い精霊の雷を吸い込んだオリヴァスは、それこそ複数の魔石を喰らったかのように進化する。
一瞬でヴァハの目の前に移動し、拳を振るう。雷霆の剣で受け止めるがギィ、と軋むような嫌な音が聞こえ、ヴァハの足元が罅割れ、踏み留まれなくなる。
「ぐお!?」
「ガアアアア!!」
吹き飛ばされたヴァハに追いついたオリヴァスは両手を合わせ、鈍器の様に振り下ろしヴァハを地面へと叩きつける。
ステータスが大幅に上がったはずのヴァハをなおも圧倒する
『ソノ男ハ、私ガ殺スト言ッタハズダ!』
「………ハハァ。熱烈だなぁ…………じゃあまだ死ぬ訳には行かねえなあ!」
だが、それでヴァハ・クラネルが絶望に染まることなどありえない。相手が自分より強い? だから何だ。
殺し合いをしているのだ。わざわざ死地に向かうのだ。そんなことは当たり前だ。
「おいハニー、俺が動きを止めるから全力で殴れ」
『巫山戯タ呼ビ方ヲスルナ!』
「おお〜う。じゃあなんて呼べば良い?」
『……………エインダ』
「んじゃエイン、頼んだぞ………」
バチリ、と紫電が迸り、ヴァハの持つ雷霆の剣が輝く。
「消し飛びやがれ!」
「愚カ者ガ!」
放たれた雷を見て、魔法が通じぬどころか己の糧にしかならない様を見せられてなお魔法を使うヴァハを愚物と蔑み叫ぶオリヴァス。光から目を守るように腕を交差させ、すぐ真横を雷が通り過ぎた。
熱せられた大気に押されるも、その程度。僅かにゆれる肉体。しかし思考は異なる。目的が理解できず、次の瞬間首を傾げる………
「────カ───ッ!?」
ヴァハの雷を警戒し、周りへの警戒が疎かになったオリヴァスの懐に飛び込んだ仮面の女、エインが顎先に拳をかすめる。
故にエインの接近に気づけず脳を揺さぶられたオリヴァスは倒れそうになるも、それをエインが許さない。
倒れそうになる身体を拳で無理やり起こす。
「ゴ、オ………ガッ! ア、アアアア!」
防がねば、避けねばと思考は理解しているのに体が動かない。少しずつダメージが蓄積されていく。
思考も、薄れていく。意識が遠のいていくオリヴァスを、現実に戻したのは愛する『彼女』の気配。
「───っ! ア、アアアアア!!」
『グッ!?』
虹彩がまぶたの裏に隠れかけたが、その気配を感じ取りギョロリとエインを睨み付け、太い指でその体を押し倒す。そのまま反対の手でローブを引き裂いた。
『ッ! 貴様!?』
「────ア、ッタ」
その太い指に摘まれているものを見て、オリヴァスは感極まったように呟く。モンスターに姿を変えたとはいえオリヴァスに押し倒される事が我慢ならぬのかエインの声色に怒気と殺意が増していく。
『【終わる幻想、還る魂──引き裂けぬ
唱えられたのは詠唱。
『【エインセル】』
何処からか光の粒子が飛んでくる。エインにその穢なき白い光が吸い込まれていく。閃光が散り、獰猛な魔力の風が吹き荒れる。
エインは己を押さえつける
「オアアアアア!?」
そのままオリヴァスを蹴りつければ、明らかにエインの膂力が上がりオリヴァスの体はいとも容易く吹き飛んだ。
「────っ!?」
アミッドは目を見開く。その圧倒的な力もそうだが、何よりもエインの体に起きた変化に。
破かれたローブの隙間から覗く病的なまでに青白い肌を薄紅色の『根』の様なものが蹂躙する。
「へえ………なかなかどうして、美しいなあ」
「─────ぁ」
「………あ?」
ヴァハが、何かに蝕まれる女の体を美しいと称すると、エインは頭を抑える。
『………何故、コノヨウナ………アノ方ニ、何ト………セメテ彼奴ダケデモ殺シ───!? ダガ、命令ニ無イ! 違ウ、誤魔化スナ、私ハ、オ前ハ───!?』
己の思考に混乱するように叫ぶエイン。が、唐突に感じた悍しい気配に振り返る。
『フフ…………ウフフ、アハハハハハハ…………』
『馬鹿ナ、早スギル………』
エインがあり得ないというように呟く中、ヴァハは声の主を視界に捉える。オリヴァスの背中が隆起し、裂け目が生まれる。そこからヌルリと指が出てきて、羽化するように何かが飛び出してくる。
「嗚呼………嗚呼。ドウゾ、我ガ身ヲ、魂ヲ………全テ捧ゲマショウ。ドウカ、私ノ愛ヲ………」
本来なら灰色の大地が生まれるほどに、魔石を喰らわねば生まれぬ筈の『それ』は、オリヴァス・アクトという強化種を核とし、オリヴァス・アクトの持つ特異な魔力吸収能力を使いダンジョンから魔力を奪い、挙げ句の果てにはオリヴァス・アクトの魂すら飲み込み強制的に羽化する。
オリヴァス・アクトの体が痩せ細っていく。白い毛が伸び、地面に根を張る。己の身が『彼女』の使い捨ての分身の一部になる現状に、オリヴァスはただただ歓喜しその魂を完全に消滅させた。
『────ッ!』
エインは撤退する。『あれ』を恐れている訳では無さそうだが、だからといって『あれ』が危険でないと言うわけではない。
完全に姿を現したそれは、とても美しい『女』の姿をしていた。オリヴァスの骨の様な顔と、痩せ細った白い体も相まり死体から上半身だけをはやした天女が如き美しき女は、ヴァハがフィンから聞いていた容姿に比べだいぶ幼い容姿で、愛くるしい笑みを浮かべヴァハを見つめる。
『ミノス───ミノス! 会イタカッタ、会イタカッタ!』
そのままキョロキョロと周囲を見回す。
『『アリア』ハ、居ナイノ? デモ、イイワ………ミノス、貴方カラ………貴方モ、一緒ニナリマショウ? 貴方ヲ食ベサセテ?』
ダンジョンでモンスターに喰われ、その魂を捉えられ、意識を保ったまま、しかし本能の部分を、他者を喰らい、滅ぼすモンスターのものに反転させた『穢れた精霊』。その力の一部、『
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ヴァハ君のヒロイン
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