ベル・クラネルの兄が医療系ファミリアにいるのは(性格的に)間違っている!   作:超高校級の切望

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Lv.3へのランクアップ

 ギルドの受付嬢。冒険者のやる気向上のため、種族問わず美人がその役職に振り分けられる。

 故に彼女達と恋人関係になりたいと思う者は多い。いっそ、そういう関係になれることも冒険者としては別の、男してのステイタスとも言える。そんな受付嬢の中で、一番人気なのは………

 

「はあ〜、今日もエイナちゃん可愛いなあ〜。またランクアップして褒められて〜」

「お前じゃ無理だって………はぁ、ランクアップ出来る奴等は羨ましいよなあ……」

 

 エイナ・チュールだ。

 基本的に冒険者とは仕事の関係でいようと距離を取る受付嬢が多い中、親身になるエイナは非常に人気が高い。胸もデカイし。

 そして、最近人気が上がり始めたのが………

 

「ローズさんも綺麗だよなあ」

「ここ最近、なんかますます綺麗になったよなあ………」

 

 ローズと言う狼人(ウェアウルフ)である。

 赤い長髪に、狼人(ウェアウルフ)らしくどこか狩人を思わせる鋭い瞳。

 氣怠げにも見える対応に興奮する男は後を立たない。そんな彼女が、時折ダンジョンを見つめ物憂げにため息を吐く。その姿はどこか儚げで、神々の言葉を借りるならギャップ萌で落ちたものも数人。

 

「俺、この前食事に誘ったんだ。断られたけど」

「俺も………」

 

 と、ローズを眺めている冒険者達。不意にローズに近付く冒険者が現れる。ローズと同じく赤い髪をした冒険者だ。

 

「…………聞いたよ、また死にかけたんだってね」

「まあなあ。いやあ、楽しかったぜ」

「…………ほんと、何時か死ぬわよ」

 

 死にかけた事をケラケラと楽しそうに笑う男をジト目で睨むローズ。男が気にした様子も見せないとはぁ、とため息を吐き、ふと気づく。

 

「………あれ、あんたの目………色、変わってない?」

「ん? ああ、気にするな。スキルだ」

「冒険者ってとりあえずそう言えば何とかなると思ってない?」

「こう言や深い詮索はできねーだろ?」

「…………ま、良いけど。それで、本日はどのようなご用件で?」

「ランクアップ申請」

「はいはい承りま…………………は?」

 

 

 

 

『Lv.3

力:I0

耐久:I0

器用∶I0

敏捷:I0

魔力:I0

加護∶E

幸運∶I

 

《魔法》

【レッドカーペット】

・形成固定化魔法

・血液操作

・血液硬化

・魔法名詠唱不要

・詠唱式【血に狂え】

【  】

・名称無し

・血液発火

・詠唱式【血は炎】

 

《スキル》

【血染め】

・血潮吸収。

・血を啜り魔力、体力の回復。治癒。

・浴びた血により経験値補正。

・血を浴びステータスの一時アップ

・血の持ち主の強さ、血の量に応じて効果向上。

・吸血行為の際最適化の為快楽付与

【魔力放出・雷(真)】

・魔力を雷に変えて打ち出す

亜精霊(デミ・スピリット)

・雷属性の攻撃強化

・雷耐性の強化

・魔力にステイタス外補正

・精霊の血

・肉体の調整

・精霊の加護【対象∶アミッド•テアサナーレ】』

 

「とまあ、これが俺の今のステイタス…………お前が聞きてえのは、ここだろ?」

 

 そう言ってヴァハは羊皮紙に刻まれた【ステイタス】、そこに書かれたアミッドの名を指す。

 

「とりあえずランクアップおめでとう」

「ええ、ありがとうございます………」

 

『Lv.3

力:I0

耐久:I0

器用:I0

敏捷:I0

魔力:I0

神秘∶C

治療∶I

魔法

【ディア・フラーテル】

・回復魔法

・範囲指定

・全癒

・傷、病症、毒、状態異常の回復

・解呪

スキル

【聖女の血脈】(ブラッド・オブ・テアサナーレ)

・治癒魔法効果超補正

・魔力にステイタス外補正

雷精霊加護(ミノス・ボルト)

・魔力放出・雷(微)の会得

・雷属性耐性会得

【吸血鬼の贄】(ヴァンパイア・ブライド)

・吸血による対象の魔力回復、治癒力超向上』

 

 アミッドのステイタスを見たヴァハはふむ、と顎に手を当てる。

 

「まあ死にかけのお前に血をやったからなあ」

「血を?」

「あんときゃ反転したとは言え精霊の力を喰ったからなあ、一時的に俺の精霊としての力が濃くなった。表面化したというべきか? んで、その血をお前に与えた。初代クロッゾが『ウルス』にやられたようにな」

「…………まるで、あなたが精霊であるかのような言葉ですね」

「まあ精霊化しつつあるなあ」

 

 ケラケラととんでもない事を言うヴァハに、アミッドが目を見開き固まる。

 

「元々精霊の力は高純度の魔力だ。本人が望む形に、その魔力の在り方を多少は変える………『ウルス』が炎の精霊じゃなくてもクロッゾは鍛冶師である以上魔剣は生まれたろうな。伝承に残るほど規格外にゃならなかったろうが………」

「本人の………だから、私の場合は治癒魔法の補正という事ですか…………それで、こちらは?」

 

 アミッドが指差したのは【吸血鬼の贄】(ヴァンパイア・ブライド)。吸血による対象の治癒力、魔力回復の向上と書かれているが、それはつまり前提として対象が血を吸うことで治癒し、魔力が回復すると言うこと。どう考えてもヴァハ専用のスキルだ。

 

「それに関しちゃ俺は知らねーけど? 単純にお前の心と経験が生み出したスキルだ」

「…………………へ?」

 

 アミッドは凍りついた。

 

 

 

 

 そのまま凍りついたアミッドを放置して帰る途中、オッタルが『さらなる高みに近づいた事、ここに讃えよう』とか『お前も来るが良い、高みへ』とか言い残して酒だけ渡して去っていった。彼奴まさかランクアップする度に酒をおごる気ではなかろうか。

 まあ美味いから良いけど。

 

「つー訳で俺に勝てたらその美味い酒少し飲ませてやるよ」

 

 ヴァハはケラケラと笑いながら街壁の屋上に横たわるクロエに対して挑発する。Lv.3とLv.4と、普通に考えればヴァハが不利な戦い。しかし勝ったのはヴァハだ。

 

「ど、どーなってるにゃ」

 

 ぜーはー、と薄い胸を上下させるクロエ。ランクアップしたヴァハと初めての模擬戦。結果は、ご覧のとおり。負けた。

 

「じゃ、マタタビ酒はなしなあ」

「にゃっ!? ちょっと待つにゃ! 勝たなきゃ駄目なんて聞いてないニャー!」

「模擬戦が俺のためになるから報酬やってんだ。お前が俺より弱かったらためにならねえ、なのになんで報酬やらなきゃならねえんだよ」

「ぬ!? そ、そうにゃ! ニョルズ様にゃ!」

 

 明日から来なくて良いぞーと言いたげなヴァハに銀花夏梅(シルバイン)のマタタビ酒が手に入る唯一の伝を失いそうになったクロエは唸る。そして、はっと何かに気付いたかのように叫ぶ。

 

「ミャーはもうだいぶ【ステイタス】の更新を行ってないニャン。だいぶ溜まってるはずだから、更新すればまだまだ戦えるニャ!」

「ふーん」

「信じてねーニャこいつ!? う、嘘だと思うにゃら一緒にメレンにくるにゃ! 目の前でステイタス更新行ってやるニャ!」

「神月祭が終わってからなあ」

 

 こうしてヴァハはクロエと海まで旅行する事になった。




感想お待ちしております

ヴァハ君のヒロイン

  • フィルヴィス・シャリア
  • アスフィ・アル・アンドロメダ
  • アミッド・テアサナーレ
  • エルフィ・コレット
  • メイナちゃんやティオナを混ぜて全員

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