ベル・クラネルの兄が医療系ファミリアにいるのは(性格的に)間違っている! 作:超高校級の切望
どっかに行ってたリューが戻ってきた事により、漸く休みが取れたクロエ。
久し振りの己の主神との再会。皆元気にしているだろうか、してるだろうな。と、少し楽しくなってきて鼻歌を歌う。
待ち合わせの時間も近いしそろそろ向かおうと部屋の扉を開け廊下に出ると鍵を締める。と、がチャリと隣の部屋の扉が開く。ルノアが起きたのだろう。挨拶ぐらいはしてやろう………
「………ん、おおクロエか。おはようさん」
「…………にゃ?」
出て来たのは、ヴァハだった。
「は、え!? ク、クロエ!? ちょ、ちが………違うからねクロエ!」
ヴァハの言葉にクロエがいる事に気付いた部屋の主であるルノアが慌てて出てくる。寝間着だ。
「ほんと、違うから! ただクロエを迎えに来たこいつが、その……!」
「どーしたクロエ〜、宇宙の真理を垣間見てる猫みたいな顔になってっぞ〜」
「いやどんな顔よそれ………はぁ、とにかくあんたから説明しときなさいよ」
「あれだけ声を漏らさねえように我慢してたくせにもう偉そうにしてやがる」
「ぶち殺すぞてめえ!?」
ヴァハはケラケラ笑いながらルノアの拳を躱すと放心状態のクロエを抱え窓の外から飛び出した。
メレンに着いた頃にはクロエも漸く正気を取り戻した。
「血を吸ってた?」
「ああ。ちょっとした取引でなあ。健康的で中々美味いんだ、彼奴」
そういえばそんなスキルがあると言ってた。スキルの影響で味覚まで変化してたのか。
「にゃ、まさかミャーの血も!?」
「え、いや。お前幼少期から毒に慣れてるせいで体に悪そうだから良いよ」
いらないいらないとケタケタ笑うヴァハに、クロエの額に青筋が浮かぶ。
「味わってもねーのに体に悪いとか言うんじゃねーにゃ!」
「じゃあ味見させろよ」
「バッチコイニャ!」
と、吸血鬼伝説の一般的なイメージからか喉元を晒してくるクロエ。と、その時…
「ん? 今の声、クロエちゃんか!? ひさし、ぶり………?」
漁師らしき男が角から顔をのぞかせ、クロエの後ろ姿を見て嬉しそうに叫ぶ。そして男の前で首元とはいえ服をはだけさせる姿を見て、カッ! と目を見開く。
「クロエちゃんが男を連れてきたぞおおおおおおお!?」
その声は、メレン中に響き渡ったという。
「おうおうおう! お前がクロエちゃんが連れてきた男か!」
【ニョルズ・ファミリア】ホームにて、ヴァハは暑苦しい男達に囲まれていた。ステイタスがあまり育たぬオラリオの外では、オラリオと異なり見た目が屈強になりやすい。網を引く漁師達らしく立派な上腕二頭筋がピクピク動いている。
「そうだなあ。まあここに来たのはクロエに連れられからだなあ」
「ほほう!?」
その言葉に、男達は反応する。そして………
「よし! 今夜は宴だ!」
「「「うおおおおおおおお!!」」」
神の言葉に、一斉に吠えた。何だこの連中、暑苦しい。けど面白いとヴァハはケラケラ笑うのだった。
「いやぁ、悪いな、結局絡む奴等もたくさんで」
その夜、新鮮な魚が大量に出るというオラリオでは中々行えない宴をして酒を飲んだヴァハ。クロエは顔は良いから人気だったのか泣きながら絡んでくる連中も何人かいた。全員が寝静まったあと、テラスで潮風を浴びているとクロエの主神であるニョルズが話しかけてきた。
「クロエは、今は離れ離れだけど俺の大事な娘だからな。オラリオでも元気でやってるってのは手紙とかたまにくるから知ってたけど、うん。やっぱり会いに来てくれて嬉しいよ」
彼奴中々帰ってこないからな〜、と笑うミョルズ。真っ黒な海を見つめ、不意にその笑みを哀愁漂うものへと変える。
「彼奴はさ、色々隠してる事もある。過去、人に言えないような事をしてたことも……だけど、良い奴だ。良い奴なんだよ、お調子者で、騒がしくて、でも寂しがりやで…………あの店があって良かったし、あの店の連中も好きだ。だけど、あの店は、まあ、事情がある奴等の集まりで、皆クロエの秘密を知ってる。お前ももし知ってしまっても、クロエの側にずっといってやってほしいんだ!」
ニョルズはそう言うとヴァハに頭を下げてきた。
「俺クロエが暗殺者ってのは前から知ってけど」
「え!?」
「ハハァ。まあ別に、面白いから側にいるのは良いけどなあ」
「え、あ………そ、そうか。クロエ、怖くないのか?」
「ぜんぜぇん。警戒心が少し強いくせに餌やりゃ懐く猫みてぇでまあまあ好きだなあ」
ヴァハの言葉に、そうか、とミョルズは嬉しそうに笑う。
「んでニョルズ様よお、あんたクロエにどんな弱みを握られたんだあ?」
「………………なんのことだ?」
「酒溢れてんぞ」
酒の入った杯を持つニョルズの手は…………震えていなかった。ヴァハを見ればケラケラ笑っている。
「確認しなくても人間からすりゃ嘘は得意だなあ。けどまだまだ甘え………ま、詳しくは聞かねえでいてやるよ」
ヴァハはそう言うと【ニョルズ・ファミリア】の好意で話をつけてくれた宿へと向かう。
「なんか用かあ、クロエ」
「にゃ……」
暗闇の中からばつの悪そうな顔でクロエが出てくる。どうやら酔いつぶれていたふりをしたらしい。まあ元暗殺者だ。店ならともかく、ファミリアとはいえ他所では酔いつぶれないようにしてるのだろう。
「ほんとに、ニョルズ様が何してるか調べる気はにゃいの?」
「ないね。興味もねえ……だいたい予想できるしなあ」
くぁ、と眠そうに欠伸をするヴァハに、そっか、と道端の小石を蹴るクロエ。
「おミャーが強いのは知ってるニャ。性格もくっそ悪いのも………でもミャーはもっと悪人ニャ。敵対したとか関係なく、お金で殺すような奴ニャ…………本当に、怖くない? それ以前に、嫌じゃないニャ?」
ニョルズの言葉も聞いていたのだろう。どこか不安そうに聞いてくるクロエに、ヴァハはやはりケタケタと笑う。
「だから何だあ? この世界にゃ殺したいから殺す、弱い物いじめがだぁい好きなクズだっている。暗黒期の全盛期に比べりゃお前なんてまだまだ捻くれただけの子供だな」
「おミャー暗黒期体験してねーにゃ」
「その通り、パシリやリディスから聞いただけ。田舎までわざわざ来てくれてご苦労な連中だったぜ……」
その頃は絶対オラリオに行くなと念を押された。人死にが横行するその時代ならば、きっとヴァハはより強い敵を求めて
「まあ安心しろ。俺は雨に濡れてる猫見ると段ボール蹴飛ばさず傘をおいてくタイプだから」
「なんにゃ、段ボールって………」
「さあ? 神に聞け、俺も詳しく知らん」
ヴァハ君のヒロイン
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フィルヴィス・シャリア
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アスフィ・アル・アンドロメダ
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アミッド・テアサナーレ
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エルフィ・コレット
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メイナちゃんやティオナを混ぜて全員