ベル・クラネルの兄が医療系ファミリアにいるのは(性格的に)間違っている! 作:超高校級の切望
アイズ・ヴァレンシュタインは落ち込んでいた。
遠征帰還の祝宴から2日。あの祝宴で、ベートに馬鹿にされた冒険者がいた。その場に居た。絶対傷つけてしまった。
鬱だ。アイズの中の幼いアイズも落ち込んでいる。彼の兄らしい男はむしろベートよりの考えだったし多分慰めていないのだろう。
謝りたいなと思っている事を相談に乗ってくれたリヴェリアに教える。リヴェリアは今は悩めば良いと言ってくれた。
そして、リヴェリア以外にも彼女を元気付けたい娘達と共に出かける事になった。
「てめぇ! ふざけてんのか!?」
街中を歩いていると怒号が聞こえた。喧嘩だろうか? オラリオではよくある事とはいえ、少し気になり視線を向ける。
三十代ぐらいの冒険者風の男達と、赤髪の少年。そして少年の腕に抱かれているポケーとした茶髪の少女。
「んん〜? ふざけてるう? 俺があ? はは、心外だ」
「だって、今まで………なのに、突然───!!」
「ハハァ。適正価格払えつってるだけだろ? なぁに、ほんの少しだ」
「ふ、ふざけんな! そんな金払えるかっ!!」
「じゃあこの話は無しだなあ。別の店で買いな」
「買いなー」
ベェ、と舌を突き出し笑みを浮かべる少年。冒険者達の眉間にビキビキ青筋が浮かぶ。
「な、何でしょう。ボッタクリ?」
「どうかしら。単に値段を上げただけで騒ぐ奴もいるしねぇ」
「でも、払えないほどなんでしょうか?」
「あれ、あの人あの時の……」
レフィーヤとティオネが話しているとティオナが少年の顔を見て呟く。あの時? と尋ねると2日前の祝宴と伝える。
アイズも気づく。あの時の白髪の少年の兄だ。腕の子は、誰だろ?
「よおし、助けなきゃ!」
「あっちが法外な値段で売ってる悪者かもしれないわよ?」
「ティオネだって前にアミッドに似たことしてたじゃん。それに、あの人アルゴノゥト好きって言ってたし、悪い人じゃないよ!」
「何よその判断基準」
妹の悪人認定に呆れるティオネ。が………
「今までただで配ってたろお!? 今回も、何時もみたいにくれよ!」
「やだねえ」
「やだねー」
「クソが! てめぇそれでもミアハ様の眷属かよ!」
「クズ野郎! 主神様の優しさを見習えよ!」
「何時もみたいにただでポーション配ってりゃ良いんだよ!」
「俺はミアハ様じゃねえからな。優しさには期待すんな」
「すんなー」
どうやら本当に冒険者側が悪い様だ。少年も煽りまくりだが。
「てめえ、俺らにそんな態度取っていいと思ってんのか! 俺等を誰だと思ってる!? 都市最大構成員数を誇るソーマ・ファミリアだぞ! てめえらみてぇなチンケなファミリア、店ごとぶっ壊せるんだよ!」
「ああん? そりゃ脅してんのか? よしよし、メイナ、ちょっと離れてろ」
「聞いてんのかてめぇ!」
少年が少女を降ろし背中を押してむこうに歩かせていると、一人の冒険者が殴り掛かる。少年は拳をかわし肘と膝を少しずらした位置で上下から伸ばされた腕に叩きつける。
「!? ぐぎ、があああ!?」
ゴギンと腕が圧し折れ骨が飛び出す。そのまま冒険者の鼻が裏拳で叩き折られる。
「て、てめえ! この、よくも!」
「ハハ! ちょっと金払えばいいだけなのにケチって金払わず、言葉で脅してそれでも無理なら実力行使。よくもはこっちが言っていい台詞だよなあ? ミアハ様が優しいからこそ、俺が汚れ仕事しなきゃいけないんだよなあ。嫌なのに、あー、仕方ねえ………ハハハァ」
「ざけんな!」
向かってきた冒険者の顎を膝で蹴り、足を払い転ばせ頭を踏みつける。
「ウチに何かしてみろ。ハハァ………それはつまり殺していいって事だから歓迎するぜ?」
「このイカれ野郎が!」
と、最後の冒険者が剣を抜く。少年は楽しそうな笑みを浮かべ指をゴキリと鳴らした。
「ぶち殺してやる!」
「ハハァ! ハァー! やってみろよお!」
流石に止めないとまずい! ロキ・ファミリアの少女達はすぐに掛けだそうとした。だが、彼女達よりも早く動く影があった。
「やめて! お兄ちゃんに何するの!」
少女だ。戻ってきたらしい。
「るせぇぞクソガキ! アーデ見てるみてえでイライラすんだよ!」
「っ……!!」
冒険者が少女に殴りかかる。少女は思わず立ち止まってしまう。それは不味い。冒険者の身体能力は一般人など簡単に殺せる。
「あぐば!?」
と、突如雷鳴が鳴り響き冒険者が焼かれる。
「ハハァ。冒険者が一般人殴ろうなんざあ、頭蓋が砕けるとこでも見たかったかぁ? なら見せてやるよ」
「あ、が………ごべ!?」
頭を掴み、地面に叩きつける。何度も何度も。周りの人間が引くぐらい。路面が赤く染まっていく。
「ハハハ! そろそろお前が見たがったもんが見れんぞお!」
「お、お兄ちゃん!」
「んー?」
感覚的に次で頭蓋をくだけるな、とワクワクする少年だったが少女の声にピタリと動きを止める。
「や、やりすぎだよ………」
「…………んー。そうかあ?」
「そうかも……」
「そうかあ」
震えながら、怯えながらもまっすぐ自分を見つめる少女に、少年はあっそ、と立ち上がると男を蹲っている冒険者達に投げ渡す。
「ウチのファミリアに来たけりゃ何時でも歓迎するぜぇ。ハハ、客としてもそうじゃねえとしてもなあ」
「ひっ!」
「す、すいませんでしたぁ!」
しかし仲間を置いて逃げ去った。あれだけ脅しとけば良いだろう。自分より弱い者にしか喚き散らせず、強者にはヘコヘコするだけの男達だ。
「怖い思いしたろ? 今日はもう帰るか?」
「………」
プルプルと首を横に振る少女は抱っこして、とでも言うように腕を伸ばしてきた。
「…………何で?」
「楽しそうだった。人を傷つけるの………でも、私が殴られそうな時怒ってたような気がした」
「普通、子供に殴りかかるようなやつは怒られる」
「お兄ちゃんは普通じゃない」
「ハハハハハァ」
少女の言葉にやはりケラケラと笑う少年。騒ぎはとりあえず収まった。やりすぎでもあるが、諍いはよく起こるのだ。オラリオの民も日常に戻っていく。
「おーい、昨日の人ー!」
「んー?」
「……んー?」
レフィーヤ達も声を掛けていいのか迷っているとティオナはなんの躊躇いもなく声をかけた。
「あー、アルゴノゥトが好きな女」
「おんなー」
「覚えてたんだ。そうだよ、英雄譚は基本的に大好きだけどね! あたしティオナ! さっきの見てたよ、凄いね!」
元気溌剌なティオナに少年の腕に抱かれた少女は警戒したように少年の胸に顔を埋める。
「凄いかあ? だってあれ雑魚だろ。お前からすりゃ、俺もな」
「すごいよ! なんて言うんだろ? 流れるみたいというか、動きに無駄がないっていうの? うん、とにかく凄い!」
「ハハァ………さては馬鹿だな。語彙力が低い」
「バカだなー」
「馬鹿じゃないよー」
少年どころか少女にも馬鹿扱いされプンプン怒るティオナ。と、少年が片手を差し出してくる。
「英雄ではアルゴノゥトが好きだ。弟が好きだ。子供と老人、花が少し好きだ。【ミアハ・ファミリア】所属のヴァハ・クラネル。よろしくなあ………こっちはメイナ。「
「しょーらいのゆめはぼーけんしゃです」
「ヴァハにメイナちゃんね! 改めて、ティオナ・ヒリュテ! よろしくね!」
メイナ
オリキャラ。青の薬舗の常連の一人娘。冒険者に憧れる勇気ある少女。普段はぼーっとして自分に触れている人の言葉を真似する癖があるが動く時には動ける良い子。可愛らしく大変男子に人気だが最近初恋をしたらしい。
ヴァハ君のヒロイン
-
フィルヴィス・シャリア
-
アスフィ・アル・アンドロメダ
-
アミッド・テアサナーレ
-
エルフィ・コレット
-
メイナちゃんやティオナを混ぜて全員