ベル・クラネルの兄が医療系ファミリアにいるのは(性格的に)間違っている! 作:超高校級の切望
吐き気を催すほどの血の匂いが充満する。
魚の血ではない。人の血。いや、人の血といってもいいのだろうか。
「ハハァ………ギャハハハハハ!」
「「「オギャアアアアアアア!!」」」
刃の付いた血の紐を振るい、赤子を切り裂き、爆ぜさせる。飛び散った赤子の肉片………否、赤子を形成していた血液はボコボコと泡立ち無数の赤子へと姿を変える。中途半端に壊されるとそこから頭が生えてきたりと異形も増えてきた。
そして、そんな悪夢のような群の中でヴァハとユノは互いの得物をぶつけ合う。
「パ、パァ………あそ、ぼぅ……」
と、数体の赤子がヴァハの足にしがみつき、もはや地面一帯に広がった赤子達がほんの一瞬動きを止めたヴァハの足に殺到する。
無数の血の杭を生やし貫くヴァハ。赤子の手が力無く離れ………口が動く。
「【血、にぃ………く、るぇ】」
「────!」
赤子が崩れ、無数の刃になりヴァハの足を貫く。それこそ雲丹のように無数に、不規則に生えた血の刃は足元の赤子達も巻き添えにし、そこから泡立ち増えた赤子達がヴァハの足を覆い、体にまで登ってくる。
「「「【ちち血は、ほのぉ】」」」
その赤子達が燃え上がりヴァハが炎に包まれる。ユノは炎に視界を奪われたヴァハに向かって剣を振るう。
炎が酸素を食らう音により音による把握は出来ず、空気の流れも読めない。しかしそこはヴァハ、刃が接触した瞬間に身体をそらし致命傷を避けると血の鎖を生み出し建物の上に向かって飛ぶ。釣りのように無数に赤子がついてくるが雷に貫かれる。
「あ、び………びぇああああああ!!」
「ハハァ。なるほどなぁ………『俺の子』だ」
泣き出しながら雷を纏う赤子を見て嗤うヴァハ。と、持っていた血の鎖がゴボリと泡立ち無数の小さな赤子になりボトボトと屋根の上に落ち地面へと転がっていく。
「地上で雷の精霊の真似事かよぉ………殺されても文句言えねぇぞぉ」
兄弟達を足場に登ってこようとする赤子達に天から無数の雷が降り注ぐ。電熱で蒸発していく赤子達の絶叫が重なり悍しい泣き声を
「と!?」
そんな赤子を見てゲラゲラ笑うヴァハだったが屋根を砕き巨大な赤子の手が現れる。よくよく見れば赤子達がくっつきあって形成されているようで腕に空いた無数の眼窩がヴァハを見据える。
雷雲の無いこの天候で落とした雷では焼き滅ぼせないな、と判断し傷口から血を放ち炎で焼こうとする。と───
「あ、あぁ……」
「あそ、ぼ」
「パパ……」
傷口から流れる血が泡立ち、赤子の姿を取る。次の瞬間には無数の刃を生やしヴァハの腕が、右目を穿いた。
「あぎゃあああ!!」
「びええええ!」
赤子の波が動きの止まったヴァハを飲み込んだ瞬間、何処からともなく飛んできた黄金の魔剣に何体か貫かれ、赤子の渦に飲み込まれると内側から発生した雷が赤子を焼いていく。
「ああああああ!」
と、再び寄せ集まり巨大化した赤子。いや、巨大化とも言えない。まるで津波だ。建物を超えたヴァハだったが建物がズン! と揺れ窓ガラスが割れる。
「なっ!? ヴァ、ヴァハ!?」
「ん? おお、リヴェリア………とアマゾネス?」
「「「────!!」」」
リヴェリアを囲むように武器を持ったアマゾネス達。恐らくティオネ達との戦いを邪魔させぬための足止めだろう。と、建物を貫き指の短い赤子の手が飛び出す。手を覆う無数の頭が笑い、ボトボトと落ちてくる。
「!?」
「【血に狂え】」
「がっ!?」
と、ヴァハはアマゾネスの一人の首を掴み持ち上げると詠唱し、魔力の練度を高め魔法を発動する。アマゾネスの体内の血液に浸透した魔力はアマゾネスの生死を無視してアマゾネスの体ごと赤子の群れを貫く無数の杭となって伸びる。
「ハハァ、なるほど。あくまで『俺』と『お前』の『子』かぁ」
アマゾネスの血には変化はない。そうなった場合、彼女の求める子ではなくなるからだろう。なら話は早い。
「イ、イ・ヴィルー───!」
「【血に狂え】」
何かを言っていたアマゾネス達など無視して、ヴァハが再び詠唱を唱えた瞬間ヴァハに捕まっていたアマゾネスが弾け無数の血の杭を四方に飛び散らせる。
それらはアマゾネス達を貫いた。ヴァハの魔力を含んだ血液が、彼女達の血液に触れる。
「待て、ヴァハ!」
「ヒャハハハ!」
リヴェリアの制止も遅く、アマゾネス達の身体を突き破り血が吹き出す。より集まり巨大な怪物の姿となった血の塊が赤子の塊とぶつかり合う。
それでも質量は向こうが上。ヴァハはリヴェリアを抱え建物の上に逃げる。
ドバン! と赤子の津波が地面を赤く染め、無数の眼孔や腕を上に向けると同時に無数の杭に穿かれた。杭はそのまま形を変え赤子の群れを引き裂いていく。赤子の絶叫が響き渡る。
「お前、何故………殺す必要は」
「お前だって、殺したろぉ? 仲間を殺されてりゃ、あいつ等の命で償わせたろぉ?」
潔癖で高潔なエルフの本能か、敵対していると解りつつもアマゾネスを虐殺したヴァハを睨んでしまうリヴェリアに、ヴァハは気にした風もなく笑う。
「聖人ぶって、高潔ぶって………どいつもこいつも、理解できねえなぁ。そいつの行動で、所属で、生き方で、殺そうとしたり生かそうとしたり………本当は他人の命なんて平等で、興味ないくせに自分の中で差を作りやがって………」
仲間がもし裏切れば、その時点で殺す対象になるだろう。なのに護る命、殺す命を決める在り方を、ヴァハは理解出来ない。弟と誰か、どちらを殺すかと聞かれれば他人を選ぶだろうがそれは弟が自分を殺しに来ないからと言うだけで仮にヴァハが
ヴァハ・クラネルというのは、何処までも命に対して平等だ。敵対したならその時点で躊躇なく殺しに行ける。平等性が失われるのは殺せるか殺したいかだけで、今は殺したい相手が居る。ならば殺していい人間の命など好きなだけ利用する。
「ハハァ。お前はそうやって、命の価値に差をつけ続けるんだなあ………そうすりゃ、俺みたいにならずに済むぜえ?」
赤子の群が壊した建物から向かってきたユノの剣を受け止めるヴァハ。ユノは何処か悲しそうな顔でヴァハを睨む。
「酷い……酷いわ、ヴァハ。私との時間の中で、他の女と話すなんて、他の女の血を私達の子供に混ぜるなんて……」
「仕方ねえだろお? お前が、さっさと俺を独占しないからなぁ………」
膂力を以てユノを吹き飛ばしたヴァハ。キョトンとほうけたユノは、しかし言葉の意味を理解し微笑む。愛しい人の言葉に興奮する娼婦のように頬を赤く染め浮かべる蕩けた雌の顔。彼等と違い、自分の在り方を認めてくれるヴァハに、ますます好意が深まる。
「─────!?」
ヴァハの反応速度を超える急接近。見えなかったわけではないが、唐突に敏捷が跳ね上がり反応に遅れ唇を奪われる。
「んぐ、む………んぅ………」
「……んぁ……は、ん………」
舌を絡めピチャピチャと水音を響かせる。すぐ真横で行われた濡れ場にリヴェリアが顔を真っ赤に染める。
「んぐ!?」
そして、ユノはヴァハの唇を奪う。文字通りの意味で………。
唇を噛み千切り、舌を引き千切る。ヴァハが雷帝の剣を振るうも距離を取りグチャグチャ咀嚼し飲み込む。
「ええ、ええ。そうね、そうだわ………貴方の言う通り。渡さない、誰にも渡したくないの。だから、貴方を食べさせて? 貴方の子を、強い子を産みたいの」
「いいぜぇ………俺を殺せたらなあ」
傷を癒やし、笑うヴァハ。己の懇願を拒否せず肯定してくれたヴァハにユノはますます笑みを深め、興奮の余り股を抑え震えながら血液混じりの唾液を垂らした。
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ヴァハ君のヒロイン
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