ベル・クラネルの兄が医療系ファミリアにいるのは(性格的に)間違っている!   作:超高校級の切望

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ソーマ・ファミリア

 倉庫で眠っていた水で薄めたポーションを掛けてやる。直ぐに血は止まり歪なまま顔が治る。

 皮は腐らぬようにアルコールに漬けておく。因みにショック死しないように止まった心臓は電気で再度動かした。

 

「さて、と。ベルのとこ行くか」

 

 通常襲われた際逃げるのなら中立のギルドに向かうべきだろう。しかし相手は罰作(ペナルティ)を恐れず堂々と市民の目の中でも襲ってくるような連中。ギルドは流石に攻撃せずとも、虎視眈々と出て来るのを待つだろう。そして、中立のギルドはベルを匿い続ける事はしない。

 ならば取れる手段は一つ。大本をぶっ潰しに行くこと。一先ずはミアハ達と合流する。そこからだ。

 

 

 

 

 

「よおベル」

「兄さん!?」

 

 案の定、【アポロン・ファミリア】のホームにベルとヘスティアが居た。ベルはヴァハが何故ここに、と困惑し、しかし直ぐに昨夜の事を思い出し巻き込んでしまったのだろうかと暗い顔をする。

 

「もとより向こうは俺も狙ってんだよ。勘違いするな……ハハァ。それに、向こうから襲ってくるってんなら責められる謂れはねぇからなぁ」

 

 その言葉に、ベルは少しだけ暗い顔をする。兄の言葉が何を意味するのか悟ったからだ。

 

「んじゃさっさと今回の騒動の落としどころをつけてこようぜぇ。なあ、ミアハ様」

「うむ、住人に怪我はないとはいえ、彼等が住まう家々は多少の被害があった。何より、安心して暮らせぬだろうからな」

 

 ミアハとしても、アポロンは少し動きすぎた。如何に温厚とはいえ怒りが無いわけではないのだ。

 

「時にヴァハよ、今更なのだが、先程の赤子達は何だ?」

「ん? 俺の子ですけどぉ?」

「ほう、それはめでたい」

「いや、おかしいでしょ………」

 

 兄さんに子供? 居たのか? まあ兄さんモテるし。

 と、複数人の【アポロン・ファミリア】の連中が追ってきている筈なのにやけに静かなのに気づく。ヴァハに、未だ乾ききらぬ血がついているのも。

 そのまま正門に向かえば門兵が槍を向けてくる。神々が制止するより早く、ヴァハがその首を浅く斬る。

 殺しはしていない。ただ、声は奪った。喉を抑えコヒュコヒュ音を漏らす門兵達にベルがビクッと震える。

 

「や、やりすぎじゃないかい?」

「そう思うかぁ? ここまでの事をしておいて」

 

 100を有に超える人数で、10にも満たぬ者達を追いかけ回す。それもどれだけ怪我をしようと関係なく、捕まえれればいいとばかりに、主神を送還することになっても仕方ないとばかりに。

 

「殺意はねぇのかもなあ。だが人は尊厳を失った時に死ぬとか言ってる奴もいたしなぁ。うん、だから彼奴等も人殺しって事でいいんじゃねぇのお?」

 

 その言葉に、神々は悪意を見い出せない。ただ傷つける理由を探して、思い付いて、口にしただけ。馬鹿にしたわけでも無ければ怒っている訳でも無い。

 そんな神々の視線など気にせずホームへと入るヴァハの後を慌てて追えば、【アポロン・ファミリア】構成員達がすぐに武器を構えて出迎える。

 

「やぁ、ヘスティア、ミアハ。こんなところまで乗り込んできて、どうしたというのかな?」

 

 ニヤニヤと笑うアポロンを睨みつける二柱の神。ヴァハは懐からすっと手袋を取り出す。

 

「ハハァ」

「お、気が利くね。てい!」

 

 重さも確認せずに手袋をぶん投げるヘスティア。余裕の表情を浮かべていたアポロンの鼻が、ゴシャ! と潰れた。

 

「…………ふえ?」

 

 ゴン、と硬い音を立てて落ちる手袋。思っきり石が入ってた。

 

「「「アポロン様ぁぁぁぁ!?」」」

 

 すぐに騒ぎ出す眷属達だったが、アポロンが片手を上げ制する。鼻血が出ていた。

 

「ふ、ふふ………これは、『戦争遊戯(ウォーゲーム)』を受けるということで良いのかな?」

「あ、うん……なんか、ごめん」

 

 決め顔でヒクヒクこめかみを震わせるアポロン。鼻血が出ている。ヘスティアもちょっと気まずけに目を逸らす。

 

「ミアハも、かまわないね?」

「うむ。ポーションだ、使いなさい」

 

 ミアハはアポロンにポーションを渡してやる。

 

「そ、それでは神々の同意がなった! 諸君、『戦争遊戯(ウォーゲーム)』だ!」

 

 と、アポロンが宣言すると茂みや建物の中、果には噴水の中から神々が現れる。ロキはリヴェリアに『猛獣を街に放つ行為を見逃そうなどと』とリヴェリアに説教されているのでこの場にはいない。

 

「日数は、3日後でどうかな?」

「いや、一週間だ」

「おいおいヘスティア、あまり時間をかけるのはねぇ。こっちにはなんのメリットもないだろう?」

 

 ヘスティアの言葉にアポロンがそう返す。交渉材料がなく、ぬぐっ、と唸るヘスティア。明日からの会議、仮病使って時間を稼ごうか、と思った時ヴァハが前に出る。

 

「なら、一週間待てば勝った時これ返してやるよ」

 

 何やらベロンとした皮だ。何だ? と神々が不思議そうに見つめる中、ヴァハはそれを開く。アポロンの眷族、その場の神々の何名かがヒッ、と震える。

 

「お前の眷属の顔の皮膚。在庫に残ってた水で薄めたポーションで、もう治療しちまったからなぁ。古傷扱い、治せねぇぜぇ。でもこれがありゃ、もう一度顔面の薄皮剥がしてはっつけてから万能薬(エクリサー)かけりゃ元通り。な? 返して欲しいだろぉ?」

 

 アポロンは、頷くことしか出来なかった。

 

 

 

 

「んでぇ、俺になんの用だよベル」

 

 【ソーマ・ファミリア】ホーム。調子に乗って、大義名分の無い【ミアハ・ファミリア】のヴァハに手を出した構成員の存在を利用され滅ぼされかけた【ファミリア】。血の匂いが充満する中、ベルはヴァハに向き合っていた。

 

「この人達も、参加するの?」

「おお。アポロンと手を組んで、俺に手を出したからなぁ。お前んとこだけなら、眷属が誘拐された〜、なんて言い訳ですむのに酒に溺れたエルフは見るに堪えねぇなあ」

 

 ケラケラ笑うヴァハ。死人はいない。動けなくなった彼等を煽るように酒を浴びるように飲む。ちょっと溢れた酒を少しでも飲もうと藻掻くソーマの眷属を蹴り飛ばした。

 

「美味いか、ヴァハ・クラネル」

「んん〜、俺はもっと美味いの飲んでるからなぁ」

 

 その頃何処かの治癒師がクシャミしたとか。

 

「そうか、残念だ……」

「ぐっ、く………ソ、ソーマ様! これは、明らかに敵対行為です! ギルドを通し、抗議を……!」

「酒に溺れた愚かな子供が先に手を出したのだろう? 彼の言葉に嘘はない」

 

 眼鏡を割られた眷属の一人が言うが、ソーマは取り合う気はないようだ。

 

「いやぁ、しかし出るわ出るわ不正がたぁくさん。これ全部ギルドに届けてやろうかね?」

 

 神酒(ソーマ)にありつけない団員の何名かに別の快楽を与えてやり手にした真っ黒な情報が纏められた紙を見せるヴァハ。これを公開されたくなければ『戦争遊戯(ウォーゲーム)』に参加しろと脅す。

 

「兄さん」

「おっと、無視して悪いな。で、何だぁ? お前は少しでも己を鍛えて来いよ。弱っちいんだから」

「人を、殺すの?」

「ああ」

 

 あっさりと肯定する兄に、そっか、と俯くベル。しかし直ぐに顔を上げ、ヴァハを真っ直ぐ睨む。

 

「兄さん、僕と戦って」

「…………ほう?」

「僕が勝ったら、『戦争遊戯(ウォーゲーム)』で誰も殺さないで欲しい」

「……………へぇ」

 

 ゾワリ、と空気がカサつく。怒ったわけではなく、楽しんでいるというのは、残念ながら解ってしまう。

 

「Lv.差があるんだ、傷一つ付ければ勝ちでいいぜぇ? なぁに、たとえ当日動けなくなっても、俺が全滅させといてやるから安心しなぁ」

 

 雷霆の剣を構えるヴァハと、ヘスティア・ナイフを構えるベル。かくして兄弟喧嘩が始まる。他人のホームで。

 

「え、あれ? リ、リリは………?」

「リリルカ・アーデ、ここは危険だ。離れなさい」

「あ、はい。なんかソーマ様が優しい………え、こわ」

 

 ヴァハが来たあと、ソーマの酒を飲んで、こんなものと叫んだ筈なのに何故かソーマの当たりが優しくなった。というかベル、自分を助けに来てくれたわけではないのか。ちょっとショックを受けながらホームから出ると【ソーマ・ファミリア】ホームが炎雷と雷で吹き飛んだ。

 

「ハハハハァ! 元気だなぁベル、何か良いことでもあったかぁ!?」

「【ファイアボルト】!!」

 

 崩れゆくホームから飛び出したベルとヴァハが放つ赤い雷と金色の雷がぶつかり合う。構成員達は一応全員恩恵を持ってるし、完全に崩れたわけではないから多分無事だろう。うん、リリは何も気にしません!




因みに、ベルは一度ロキ・ファミリアのホームに訪れたけどすぐに兄の居そうな場所に向かった。
窓からベルを見たアイズは頼られる気まんまんでティオネに伝えてスタンバったけどベルは来なかった。

ヴァハ君のヒロイン

  • フィルヴィス・シャリア
  • アスフィ・アル・アンドロメダ
  • アミッド・テアサナーレ
  • エルフィ・コレット
  • メイナちゃんやティオナを混ぜて全員
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