ベル・クラネルの兄が医療系ファミリアにいるのは(性格的に)間違っている!   作:超高校級の切望

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闇に沈む神酒の眷属

「へぇ、じゃあヴァハのおじいちゃんは本も書いてたりしたんだ」

「ああ、「アルゴノゥトが始まりの英雄と呼ばれる所以はこれじゃあ!」って見せてくれたりな。ドワーフの英雄ガルムーザ、狼帝ユーリス、争姫エルシャナを始めとした時を同じとされる英雄達はもちろん三大詩人の二人を絡めたストーリーを上手く組み立ててたなぁ。自分で書いたくせに「ワシはこいつの大ファンなんじゃ」って………俺はその本があったからアルゴノゥトが好きになったな」

 

 そうとも、怪物とわかり合おうとしたあの男が自分も大好きなのだ。自分は間違いなく「あちら側」。人に理解されず人を理解できぬ側だ。

 だからこそミノタウロスを羨ましく思う。

 別段孤独があるわけでも、疎外感を感じたわけでもない。ただ、時折羨望を抱く。英雄と笑いながら殺しあえた怪物の方に。

 

「いいなぁ、読んでみたいなぁ」

「あー、内容は覚えてるから書き写すまで待て。ただ、あまり人に広めるなよ? ジジイとの約束なんでなあ」

「なんでなー…………お兄さん、それ、私も読んでみたい」

「あー………じゃあ書き写したら3人で読むか」

 

 ぼーっと自分を抱き抱えているヴァハの真似をしていたメイナははっ、とティオナとヴァハの距離が接近している事に気づき慌てて会話に参加する。

 

「メイナちゃんも興味あるんだ?」

「うん。ちゃんと………」

 

 メイナの父親から考えることすら面倒臭がる子だから基本的に手はかからないと聞いたが、案外能動的に動くようだ。

 まあ理由は分かるが。

 

「てか服買いに行くんだろ? 男の俺がついていって良いのかねえ」

「かねえ」

「うーん………どう思う?」

「私は、構わない」

「別に良いんじゃない? 何なら男目線で可愛い服とか買えるかもしれないし」

「み、皆さんが構わないなら私も別に……」

「メイナは?」

「…………女冒険者の日常、興味ある……くふぁ」

「興味あんのに眠そうだな」

「普段のこと……」

 

 そういや始終ぼーっとしてる。眠いからなのか。

 

「血を作れ血を。好き嫌いせず鉄分を取れ」

「?」

 

 不思議そうな顔をされた。祖父には血が足りないと鉄分を取るように言われていたのだが、田舎の療法か?おのれ爺、恥をかいた。

 

 

 

「今日は楽しかったかあ?」

「たのしかった……」

 

 その後服屋を回り、やがて解散。アイズは明らかに何か………おそらくベルのことを聞こうとしていたがタイミングが掴めず話しかけてこなかった。さてはコミュ力0だなあの女。

 

「お兄さんは、これからどうするの?」

「ダンジョンにちょっと潜る………」

「こんな時間に?」

「ハハァ。夜のほうがテンション上がんのさ。吸血鬼なんでな」

「きゅーけつき?」

 

 

 

 

 ダンジョンの8階層。夜遅く、冒険者の数は少ない。キラーアントなど厄介なモンスターに出会したくないのだろう。

 

「んっんー♪ ハハハァ」

「いぎ、あああ! ぐうな、俺を食うなぁぁぁ!」

「たす、たすげでぇぇぇ!!」

 

 キラーアントは死にかけると仲間を呼ぶ。男達は今まさに、自分達で瀕死にしたキラーアントに呼ばれたキラーアント達に喰われている。

 男たちが間抜け、というわけではない。キラーアント一匹ぐらいなら簡単に倒せる。それを、ある人物に投げようとした瞬間腕が落ちたのだ。

 

「ハハァ。俺の魔法、本当に便利だよなあ。剣も槍も糸も自由自在だ……」

 

 赤い細い糸で寄ってくるキラーアントを切り刻みながら笑うのは、彼等がモンスターに殺させようとしたヴァハ。

 

「ほ、ほんのちょっとした、い、悪戯なんだ! 助けてくれ!」

「無理だあ! ハハァ! お前らが、俺の趣味をギルドに報告するとミアハ様がうるせえだろうからなあ。せーとぼうえいつっても、ギルドはともかくあの人にゃ通じねえ」

 

 殺されそうになったから殺しました。ファミリア同士で襲撃など良くあること。ましてや今回の相手はオラリオ屈指の神格者(じんかくしゃ)として知られるミアハの眷属と犯罪まがいな事ばかりする【ソーマ・ファミリア】の構成員。ギルドとしても、ヴァハ側を擁護するだろう。

 だがミアハはやりすぎだと言ってくるだろうし、腹いせにあることないこと吹聴され暮らし難くなるのも面倒だ。

 いっそ殺し合いありの戦争遊戯(ウォーゲーム)でも挑んでくれたら助かるものの、こいつ等は自分の意見を上に届けることも出来ない下っ端。昼間叫んでいた嫌がらせも、本来なら実行に移せなかったろう。

 それに、三人組のうち一人で()()()()()。これは間違いなく犯罪だろう。と、開かれた腹から内臓を喰われている全身の皮膚と目玉がなく神経が焼かれた痕のある死体を見る。

 

「妙な話だよなあ。お前等は俺を殺したい。なのに直接殺すのは気が引ける。だから、こういった手に出る」

 

 ぶっちゃけるならステータス上、この男たちの方がヴァハより僅かばかり強い。それでもヴァハが勝った。ヴァハには躊躇いがないから。

 ルールに守られた人間社会で生きる以上、シミつく人を殺してはならないと言う観念。人を殺すという一線を踏みとどまらせる良識と呼ばれるもの、それが存在しないから。

 ヴァハからすれば不思議でならない。痛めつけて、苦しめて、死を感じさせて恐怖に顔を歪めさせる程度には罪悪感より興奮を感じるくせに最後の一線はなかなか超えられずモンスターに手をくださせるコイツ等が。

 ヴァハのように、社会的弱者になることを面倒臭がってるわけでもないくせに。そんな考えを抱く自分こそがおかしいと理解しつつ、知識で納得しつつ感情が常に自分以外の者たちの感性を疑う。

 まあ、世界は広いし同族はきっといるだろう。ティオネにも、思い出したくない女を何故か思い出すのよね、とか言われたし。

 

「た、助け………誰にも言わ………ひぎゃあああ!!」

 

 喉を食いちぎられとうとう悲鳴すら挙げられなくなる。キラーアント達を押しのけ絶望に染まった表情の顔を首元から千切る。

 

「ハハァ………おもしれぇ顔だなあ」

 

 ずっと見ていられそうだが、どうせその内腐る。持ち続けるわけにも行かない。ポイと蟻の群れの中に放り捨てて帰ることにした。

 

 

 

 

ヴァハ・クラネル。

 Lv.1

力:C607

耐久:B785

器用:A852

敏捷:S901

魔力:B769

 

《魔法》

【レッドカーペット】

・形成固定化魔法

・血液操作

・血液硬化

・詠唱式【血に狂え】

【】

《スキル》

血染め(ブラッド)

血潮吸収(ブラッドドレイン)

・血を啜り魔力、体力の回復。治癒。

・浴びた血により経験値補正。

・血を浴びステータスの一時アップ

・血の持ち主の強さ、血の量に応じて効果向上。

・吸血行為の際最適化の為快楽付与

【魔力放出・雷】

・魔力を雷に変えて打ち出す

 

 

 

「スキルの効果が変質しているな。一体どれだけの血を浴び、スキルに経験値(エクセリア)を与えた?」

 

 スキルが芽生える理由は本人の心や経験値(エクセリア)恩恵(ファルナ)を与えた時点で芽生えていたことから心の在り方により発現し、経験値(エクセリア)により進化したのだろう。珍しいが時折あるらしい。おそらく経験値補正の効果もあるのだろう。

 

「あまり危険なことをするでない。金の心配ならするな。私もナァーザも、そこまで頼りないか?」

「ダンチョはともかくミアハ様は頼りないっすわ。今日もあんたのせいでただで薬やって当然と思う奴らがやってきて、断ったら殴りかかられてなあ」

「なに、それは………すまなんだ」

「ハハァ。反省してくれんならいいっすよお」




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ヴァハ君のヒロイン

  • フィルヴィス・シャリア
  • アスフィ・アル・アンドロメダ
  • アミッド・テアサナーレ
  • エルフィ・コレット
  • メイナちゃんやティオナを混ぜて全員
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