ベル・クラネルの兄が医療系ファミリアにいるのは(性格的に)間違っている! 作:超高校級の切望
あまり進んで入りたくない構造の『アイアム・ガネーシャ』に通されたクラネル兄弟。
団長であるシャクティは、言い分を聞いて頭を抑える。
「つまり、『
「えっと、はい……その、ごめんなさい」
「悪かったなぁ」
シュンと落ち込む弟の方はまだ良い。なんかこう、庇護欲がくすぐられるがシャクティはその辺りの公私はしっかり分けられる。兄の方は反省した様子もなくヘラヘラと笑っている。
「『
「いえ、僕はベル・クラネルです」
「おいこいつ何言ってんの?」
ガネーシャの言葉に改めて自己紹介するベルとガネーシャの奇行が何なのかシャクティに尋ねるヴァハ。シャクティは無視してくれ、と頭を抑えた。
「まあ、事前に申請さえしてくれれば貸し出すような場所だ。何より、朝の騒動の際本来諌めるべき我々の挙動が遅れた負い目もある。初犯だし見逃そう」
「あ、ありがとうございます!!」
「ただヴァハ・クラネル。お前は市民から色々と苦情が来ている」
「ハハァ。冒険者つうモンスターと変わらねえ強さを持った連中がドンパチやってるところに来るんだ、むしろ巻き込まれて死んだり、人が死ぬところを見なかっただけで喜ぶべきだろぉ? それともぉ『冒険者同士が争っていたら市民は避難しましょ〜って公文が守られた事はここ数年ありませんでしたぁ。その結果残虐行為を見ることになりましたが冒険者が悪いです』なんて発表するかぁ? 無理だよなぁ」
そうなれば都市の守護を行うガネーシャ達が様々な派閥から敵意を買う。
あくまで市民を守る彼等が、避難出来なかった市民を保護するならともかく避難
「お前は、性格が悪いな」
「よく言われる。長所だと思っている。良かったなぁ、これから俺に嫌なことされても、嫌な奴と知ってる相手から嫌な事をされるのと、嫌な奴だと知らない相手から嫌な事されるのはストレスが段違いだ」
「…………」
ビキ、とシャクティの額に青筋が浮かぶ。
「ま、まぁまぁ落ち着けシャクティ! 彼の言うとおりだ、本来なら避難すべき状況でありながら避難せず、喧嘩を覗こうとした市民に落ち度がある。やりすぎではあるかもしれないがそもそもアポロンが先にやりすぎている。彼を非難出来ない………は! ガネーシャ、今面白いこと言っ──!!」
ドゴォ! とガネーシャの机が圧し折れた。
「すまん、気が立っていた」
「はい、すいませんでした」
シュンとテンションが下がったガネーシャであった。
「お疲れ様です」
「あ、アミッドさん」
「よおアミッド……丁度いいベル、礼を言っとけ。お前の腕治したのこいつだ」
『アイアム・ガネーシャ』の
「弟相手に、些かやりすぎでは?」
「ハンデはくれてやったさ。手加減は、こいつ自身が望まなかったろうからなぁ」
「あ、うん。えっと、だからアミッドさんも兄さんを怒らないであげてください」
反省の様子なしのヴァハと、むしろ被害者であるのに申し訳なさそうなベル。そんな兄弟を見て、アミッドはため息を吐く。
「時に、【ソーマ・ファミリア】でも何やら事件があったようですが」
「主神のソーマがその件に関しちゃ『
あの眷属にすら興味がないと噂のソーマをどう説得したのだろう。彼の事だから、まともな方法ではないのだろうが。
「で? 用件はそれだけか?」
「………これより『
「え?」
「はぁ? あの爺がそんなこと許すのか?」
「私が、個人資産とディアンケヒト様がファミリアに内緒で売上から横領していたヘソクリを賭けたので。取り返す為には、貴方達に勝ってもらわないといけなくなりました」
「へぇ、思い切ったことすんな、やっぱ」
護衛がいるとはいえ26階層に潜ったりと、やっぱりいざという時の行動力が高いアミッドにヴァハはケラケラと笑う。
「んじゃ、ベルを頼むぜ」
「え? あ………その、私は……えっと、あのスキルの関係上貴方の側にいた方が良いのでは?」
ベルの背を押しその場から去ろうとするヴァハにアミッドが慌てて声をかけるが、ヴァハは歩き出す。
「悪いが少し一人で行きたいところがあるんでな。まあ、俺のスキルならそもそも修行程度じゃ死にかけはしねぇよ」
「いえ、説得力ありません。貴方、自分がどれだけ巻き込まれ体質が自覚して………あ!!」
ヴァハはそのまま屋根の上に飛び乗りあっという間にかけていった。Lv.3とはいえ非戦闘員。バリバリの前衛であるヴァハに、追いつけるわけがない。
「あ、あの………なんか、兄がすいません」
「気にしないでください、彼が此方と歩幅を合わせる事なんて、それこそ可能性の低い話でした………そんなに、私と居たくないのでしょうか?」
「え?」
「何でもありません」
その翌日の昼頃、ダンジョン内でドゴっと殴打音が響く。倒れるのは、金色の髪を伸ばし前髪で目を隠した少女。
「くそ、くそぉ! 私が、この私がお前なんかと!」
彼女を殴ったのは、顔に包帯を巻いた男だ。他にも何名かいるが、少女以外皆顔に包帯を巻いている。誰一人少女を助けようともせず、むしろ忌々しげに睨んでいる。
少女を殴った男は、本来あるはずの耳の膨らみが無かった。
「っ、や、やめてください………わわ、私、あ、貴方達にはなに、何もして……うぐ!?」
腹を蹴られ地面を転がる少女。包帯の男女はしかしそれでも溜飲が下がらないのか少女を何度も蹴りつける。
「………行くぞ。こんな醜い女でも、Lv.3だ。この階層のモンスターには遅れはとるまい」
と、その男が言えば特に反対意見が上がることなく包帯の男女は頭を抱え震える少女を睨んだ後、その場からさる。
「なんで、私……あ、貴方達には何も………何もし、してないのに。ア、アポロン様の愛をう、失った、同じなか、まなのに………」
「お、いたいた」
「ひぅ!?」
と、不意に聞こえた声にビクリと震える。まだ暴力が振るい足りなかったのか、と恐る恐る顔を上げる。
「酷い怪我だな、大丈夫か?」
「…………あ」
顔についた泥を、優しく拭き取られる。顔を上げたその先に居たのは、赤い髪の少年。
「よおクリュティエ、相変わらず綺麗な目だなぁ」
カサンドラが見た夢
傷ついた兎、太陽から放たれる炎に打たれボロボロになっていく兎は、しかし突然反撃し、炎を噛み潰し、太陽を飲み込む。
もう一つ
カサンドラは一人草むらに立っていた。そこには月桂樹が一つだけ育っており、カサンドラはそれに水をやろうとする。落雷が落ちて、月桂樹を焼いた。
カサンドラが泣いて縋ると月桂樹は元の姿を取り戻すが、また落雷が落ちる。カサンドラに治せる範囲で焼き、カサンドラが燃えてしまわぬように治しても、雷は何度も何度も月桂樹に落ちる。
さらにもう一つ
そこは数多の躯が転がっていた。
いいや、躯ではない。皆まだ、生きていた。カサンドラが治癒しようとすると、一人の頭が
此方に向くその花は、向日葵。まるで大きな目を持った花がじっと見つめてきてるかのようで、カサンドラは思わず後退るが誰かにぶつかる。後ろに倒れていた男が立ち上がっていた。
その男の顔も、咲いていた。
あちら此方で、向日葵が咲く。
人の顔を溶かして、向日葵が咲く。人の体を持った向日葵畑。カサンドラはそこで目が覚めた。
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ヴァハ君のヒロイン
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フィルヴィス・シャリア
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アスフィ・アル・アンドロメダ
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アミッド・テアサナーレ
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エルフィ・コレット
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メイナちゃんやティオナを混ぜて全員