ベル・クラネルの兄が医療系ファミリアにいるのは(性格的に)間違っている! 作:超高校級の切望
「
「そ。ヴァハってオラリオに来たばかりでしょ? 誰とでも友達になれるエルフィちゃんが案内してあげるよ?」
ふっふーんと胸を張るエルフィ。聞けばダンジョンのモンスターを地上に運び、
「ふーん、便利そうだな」
「便利?」
「ウチは零細ファミリアだからなあ。サポーターを雇えんのよ。雇えたとしても雑魚じゃあ薬草取るために深くにゃ行けねえしかと言ってレベル2なら金がかかる」
レベル2の時点で冒険者が金稼ぎとしてサポーターの真似事をしているのが殆どで、サポーターとしての腕はあまり期待できないらしいし。遠征も行う大手のファミリアなら話は変わるのだろうがそういったファミリアは身内でパーティーを組む。
「だから、モンスターに荷物持ちさせたら金は必要ないしそこそこの強さもあるし便利だなあ、と……」
「なるほど。でもモンスターはダンジョンに戻すとまた凶暴化することも多いし、地上で荷車とかを轢かせるならともかく………サポーターはねえ」
「そうか。どっかに賢いモンスターが居りゃいいんだがなあ………人間に友好的なやつとか」
「いやいや、そんなモンスターいないでしょ」
というわけで弟も連れて待ち合わせ場所に集合。【ロキ・ファミリア】の冒険者と聞いて明らかに緊張するベル。
普通、こんな反応だよねえ、と物怖じしない彼の兄を見るエルフィ。と、その時………
「おーいっ、待つにゃそこの白髪頭!」
と、失礼な呼び方がされる。周りを見る。まあ、ベルの事だろう。周りを見回すと『豊穣の女主人』の店先でキャットピープルの女性が手を振っていた。
三人は顔を見合わせ、彼女の下による。
「おはようございます、ニャ。いきなり呼び止めて、悪かったにゃ」
「あ、いえ、おはようございます………えっと、それで何か僕に?」
「ちょっと面倒ニャこと頼みたいニャ。はい、コレ」
「へっ?」
突然『がま口財布』を渡されシルに渡せと頼まれる。しかしさっぱり意味がわからない。混乱しているベルにリューが祭りに向かったシルが財布を忘れたので届けて欲しいと説明された。
「んじゃ、ベルはシルと合流したらデートしな。俺はこのままエルフィとデートする」
「え? え? 兄さんは来ないの? 僕一人で、この広い街で!?」
「おお? デートかぁ、えへへ。照れちゃうな〜………ふふん、ベル君。一人で見つけてあげな。その子もきっとベル君を待ってるからね!」
「いいお兄さんだねぇ。弟くんと仲がいいんだ」
「ハハァ。俺は兄ちゃんだからなあ」
「おー。やっぱり兄弟って皆そんな感じなの?」
「さあなぁ………」
流石『誰とでも仲良くなれる美少女かつ火炎魔法が得意な才媛』。あのやり取りでシルという女性がベルに好意を抱いていると解ったようだ。自称の癖に。
「まあ良い奴ってんならお前もだろ?」
「ありゃ、もしかして本当の目的バレてた?」
と、照れたように頬を掻くエルフィ。彼女の本来の目的は、確かにヴァハと仲良くなる事だが、それには理由がある。
いずれ行うであろう【ロキ・ファミリア】とのパーティーの際の、円滑化。知り合いであるエルフィが抜擢されたのだ。
「ヴァハは医療系ファミリアで、団員数も二人だけ。薬草とか素材を取りながらってことになるから仕方ないとはいえ移動は遅くなっちゃうからね。団員達にも納得させるためにはやっぱり仲良くならなきゃねえ。その辺はエルフィちゃんが手伝ってあげる!」
【ロキ・ファミリア】は【ディアンケヒト・ファミリア】とも交流が深い。わざわざ零細ファミリアの手伝いなどしたくないと考える団員も居ないとは言えない。
「あー、俺とベルを『お前等みたいな雑魚に入られるとファミリアの評判が下がる!』とか言って来た奴みたいにか」
「え、ちょっ………何それ報告しなきゃ」
ヴァハの言葉にエルフィが目を見開く。入団試験こそあれど、入団希望自体は来る者拒まずのはずなのに門前払いしたとなったら大問題だ。しかもレベル1でミノタウロスと互角に渡り合える優良物件。
「と、取り敢えず最初は私と二人で組むことになってるよ。で、私が戦いを報告してヴァハに合う相手を団長達が見繕う事になってるよ。いやぁ、幹部にならずに団長と対面できるなんてヴァハのお陰だよ」
「そうかい。ならしっかり感謝しなあ」
ヘラヘラと笑うヴァハにはーい、と返すエルフィ。と………
「おや、貴方は……」
「ん? おお、取立女」
「アミッドです………」
と、不意に声をかけられ振り返る。そこには銀色の髪をした美しい女がいた。アミッドだ。以前治療院で見かけた時とは服が違う。私服だろうか?
「休みか?」
「ええ、他の団員達に、今日ぐらいは休んでくれと………することも無いので、盛り上がり過ぎてハメを外し、怪我をした者が居ないか探していたのです」
「休みなんだよな?」
「? はい、ですからしたい事を」
「ハハァ。面白い女だな、お前」
「そうでしょうか? 私はあまり、冗談など言いませんが………」
ヴァハの評価に首を傾げるアミッド。きっと彼女の様な者を神々の言う天然と呼ぶのだろう。
「面白えよ。休み方がへったくそだ」
「…………では、どのように休めば……」
「ジジイの書いた本によりゃ、馬鹿になりゃ良いらしい。衆目で踊ったりな……祭りなんだから浮かれりゃいいんじゃねーの?」
「踊り………なる程。では───」
「……………」
「? 踊るのでは?」
手を差し出してくるアミッド。やはり天然だ。本当に面白い女。
「踊り方は?」
「それなりに知っています」
「んじゃ……」
と手を取ろうとした瞬間………
「モンスターだあああああああ!!」
喧騒を突き破るその叫び声に、周囲の人間誰もが凍り付く。そして、直ぐに悲鳴が響く。恐怖に、支配される。
「へぇ………」
「わわ!?」
「きゃっ!」
ニィ、と笑みを浮かべるヴァハ。人混みを避ける為に壁を登り屋根の上に移動する。アミッド達を担いで。
「怪我人が出るかもな。喜べ」
「いえ、別に怪我人が出て欲しい訳ではありません! ですが、怪我人に関しては任せてください」
「そりゃそうかあ。エルフィ、丁度いいから俺の戦いを見てろ」
「う、うん! 危なくなったら手伝うね!」
屋根の上を走っているとモンスターが見えてくる。大型の虎のようなモンスター。ライガーファングだ。
だが、何か妙だ。
屋台などを踏み潰しながら、周りの人間すら無視して走る。モンスターが、人間を襲っていない。時折何かを探すような動作をして走り出す。
「うわぁ、人が多くて、民家も近い…………ごめん、私今回役立たずかも」
「幸い、重症者は出ていないようです。あのモンスター、何かを探している?」
こんな街中では火炎魔法も使えず戦力外通告をするエルフィ。街を見下ろし大怪我をした者が居ない事に安堵するアミッド。
「【血に狂え】」
ヴァハは詠唱を唱え己の血を操る。肌を突き破り外界に出た血液が蠢き輪の一つ一つに一対二本の棘が生えた鎖へと姿を変える。
「ハハハァ!」
「グルアァ!?」
屋根から飛び降り背中に飛び乗る。鎖を首へと巻き付ける。棘がライガーファングの首に食い込みその痛みから暴れまわる。
体重移動を器用に行い、ライガーファングを誘導する。
「ゴアアア!」
「とと……」
振り落とすのを諦めたのかひっくり返り押し潰そうとする。無防備に弱点の腹を晒す事になるが背中に乗り続けられるよりはマシなのだろう。
「グルルルルルゥ!!」
低い唸り声を上げ、自身の背に乗っていた不届き者を睨み付けるライガーファング。どうやら広場に移動させられたらしい。
そんな威嚇を無視して、鎖にしていた血液とライガーファングから流れ出た血液を操り槍を作るヴァハは片手をライガーファングに向け指をクイクイと動かす。
「カモォン」
「ゴアアアアアッ!!」
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ヴァハ君のヒロイン
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フィルヴィス・シャリア
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