ベル・クラネルの兄が医療系ファミリアにいるのは(性格的に)間違っている! 作:超高校級の切望
「ほら何時までも目ぇつぶってねえで目を開けろ」
「………………」
ヴァハの言葉に恐る恐る目を開ける少女。眼下に広がる町並みに、わぁ、とため息を漏らす。
「見ろよ、人がゴミのようだ」
「ご……み? ゴミの、よー?」
たどたどしい言葉でヴァハの台詞を復唱する少女に、ヴァハは教育って楽しいなぁ、とケタケタ笑う。
「ゴミ……ひとは、ちーさくみえると、ゴミのよー?」
「人間等しくゴミ同然だなぁ。そこに価値を見出すのは知性を得た奴だけだからなぁ」
ケラケラ笑うヴァハに、よく分からないのかう〜、と頭を押さえる少女。
「ひとは……ひとの、つながりとかいのちとか……とう、とい? とーとい、とおもうよ?」
「じゃあ豚は?」
「ぶた?」
「飯にするから粗雑に扱ってねえって? 粗雑じゃなきゃ良いって問題でもねぇだろ。結局は人間様が優れてると思った末の価値観なのさぁ。エルフはそれをかなり重度に発症してる」
「むずかしーはなし、わかんない……」
「そりゃそうだ、ガキにゃ物語でも聞かせたほうが為になる……まあ要するに、だ。命に価値なんてねぇんだから、お前は好きにその力を振るって気に入らねえ奴等をぶち殺しても良いって話だ」
「ちから………?」
コテンと首を傾げる少女に、ヴァハはやはりその疑問に答えることなくケラケラと笑うのだった。
「着いた着いた。お、集まってんなぁ」
元【アポロン・ファミリア】の
今一番勢いの乗ってるファミリアに入れば自分も強くなれると思っているのだろう。
「ふわぁ………おみみ、ピコピコ………」
少女は
「…………ん?」
「ひう!?」
「カサンドラ? どうし………ヒュッ」
不意に、見知った顔を見つけた。カサンドラとダフネだ。ヴァハと目があったカサンドラは顔を青くして固まり、ダフネは腰を抜かしてへたり込む。
「な、なんで……ああ、あんたが………此処に」
「弟のファミリアだぜぇ? 顔も出すさ」
カチカチ歯を鳴らすダフネ達に特に興味もなさそうなヴァハ。ヴァハの存在に気づいた冒険者志望達は一斉に道を空ける。
「あ、兄さん!」
「よお、来てやったぜぇ。人気みたいだな……」
「うん。でも、兄さんの方には来なかったの?」
「俺の戦闘シーンは全国放送されてねぇからなあ……」
だから傍目にはベルが活躍しまくったようにしか思われていないだろう。と、ヴァハの腕の中の少女がベルの頭をじっと見つめる。
「おゆき………まっしろ」
「ん? ああ、ベルの髪は雪みてえだな」
「? 兄さん、その子は?」
「迷子だ。拾った」
「兄さんが?」
「そんなに不思議か?迷子だ。子供には普通優しくしなきゃだろう?」
「え、でも兄さんは普通じゃないし……」
ベルの言葉にヴァハはヘラヘラと楽しそうに笑った。
「んじゃま、とっとと選別始めな。主神の意見はあまり聞かなくて良いぞ」
「え、なんで?」
「眷属の夢の応援より言葉にもしてねえ己の願望を優先する雌の言葉に価値なんざねえからなあ」
そうヴァハが笑った時だった………
「へ、ヘスティア様ぁー!」
館から勢いよく命が飛び出してくる。なにやら慌てているが、右手に何かを持っていた。
「に、に、荷物の中から………借金
結論、【ヘスティア・ファミリア】の入団希望者は姿を消した。
「ね、ねえダフネちゃん………良いの?」
「良いのよ、借金まみれのファミリアに入るなんて、巻き添え食うなんてごめんだもの」
名残惜しそうなカサンドラと違い、ダフネは次は何処を候補にするかと考える。彼女達の容姿やレベルならどのファミリアでも受け入れてくれるだろうが……。
「まあそう言うな。借金ファミリアも中々面白えぜぇ」
「おもしれー………?」
「………え」
不意に聞こえた声に、顔を青くする二人。何時の間にかヴァハが二人と肩を組んでいた。頭の上に顎をちょこんと乗せた少女は二人をじっと観察するように見る。
カサンドラはともかく、ダフネなら突然肩を組まれたら反撃の一つ二つはする筈だ、相手がヴァハでなければ。
顔を青くしカタカタ震えるダフネ達を見てヴァハはケラケラ笑い腕を離す。その場にへたり込む2人にヴァハは世間話でもするかのように切り出す。
「入団希望者こそ増えなかったけどよお、名が知れて客は増えてんだ。対して増えた団員は一人だけでなぁ。俺も仕事に駆り出されること多くて多くて………そんなん訳でどうだ? ウチで働かねえ?」
「あ……あんた、アタシ等に何をしたか忘れた訳……?」
睨んでいるつもりなのだろう。顔を青くし、涙が滲んた目で、それでもヴァハを真っ直ぐ見つめるダフネ。気丈な女だ。対して……
「ご、ごめんなさい………ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい。あ、謝りますから、もう、許して………ダフネちゃんだけでも、ひ、酷いことしないでください……」
カサンドラの心は完全に折れている。ダフネの方とて、ギリギリを張り詰めているだけだ。
「おかしな事を言うなぁ。先に手を出してきたのはお前等だ。俺は弟思いの良い兄貴だからなぁ、ベルの為にやりすぎたがもう敵対してないだろお?」
弟思いなどと嘯くヴァハに、なんの反応も返せない2人。
「………そういや知ってるかぁ? 怒りも喜びも……恐怖だって、魂は知らんが肉体が感じてんのは脳が発してる電気信号でしかねえんだ」
ヴァハは二人の頭をぽんと手を置く。バチリと紫電が走った…………
「…………? あ、にゃんにゃん!」
何が起きてるのかさっぱり解らない少女は野良猫と戯れていた。
ヴァハ君のヒロイン
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フィルヴィス・シャリア
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アスフィ・アル・アンドロメダ
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アミッド・テアサナーレ
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エルフィ・コレット
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メイナちゃんやティオナを混ぜて全員