お助けキャラ系TS吸血鬼、かの地にて、斯く戦えり 作:kr36
「これより遺体の解剖及び、採血する」
伊丹二尉の報告から、この少女は特地ではなく自分達の世界から来ていたらしい。だが、光る槍を投げて戦略核並の威力を発生させたとのことだ。
国籍も不明、正体も不明とあって遺伝子検査を中心に人種や力の源などを調べろと上から言われてしまった。
そもそも俺は外科手術は可能ではあるものの、解剖して調べる事をメインでやっている法医学や研究者でない、少女を解剖したところでわかることなどどうせあまり無いが自衛隊以外の人間を特地に送るのは時期尚早と言われてしまい俺に白羽の矢が立ってしまったのだ。
……あまり気が進まないがやるしかないだろう。
死体袋を手術台にのせジッパーをおろし彼女の姿が露になる。
外見は美人な事を除いて普通、開いている口には砂が付着していてチアノーゼが発生。間違いなく砂で溺死してしまったのだろう。顔が整いすぎなのとチアノーゼもあいまって人形の様だという印象が強く、とても不気味だ。
「ん?」
開いてる口からとても発達した犬歯が見えた。
肉食文化が中心の土地ではそういう特徴をもつ人間が居るらしいので常識の範囲だと思う。
解剖の前に採血をする。これは日本に送られ研究者の下に行く。身元が出てくれれば良いが。
せっかく大きな外傷が無いのだからMRIで検査ができればよかったのだがこちらには持ち込んでいないので切り開くしかない。
メスをお腹に入れ少し進んだところで、少女の体がかき消えた。
その場に赤い煙を残して。
サイド伊丹
「は?シェリーちゃんの遺体が行方不明?」
連日コダ村の住民たち受け入れのための書類を書き、やっと終わったと言わんばかりにそんな情報を衛田二曹が持ってきた。
「そうです。解剖中に目の前で煙のように消えてしまいました。解剖記録映像にもその様子がはっきり写ってました」
「原因は?」
「不明です。メスを入れたとたんに赤い煙とともに消えてしまいました」
「じゃあシェリーちゃんは人間でなかった可能性も」
「ありますねぇ」
「元の世界にも別種族がいるとか?」
「可能性はあります。細かい所は遺伝子検査待ちになりますが」
「そうか、わざわざありがとな」
「いえいえ、では失礼します」
解剖担当をしていた衛田二曹が離れていく。
「さて、明日部隊の皆にどう説明したもんか」
サイドシェリー
今霧になって駐屯地内部を動き回ってる。
窒息判定でぴったりHP0になったんだろうな、霧状態はダメージマイナスになると勝手になるはずなのだ。
霧状態で目が覚めた時にはメスを持った人が右往左往していたので、検死解剖でメスを入れられたためにHPがマイナスになったのだろう。
自由に霧になれる設定でよかった。
霧になったおかげで自由に霧状態になる感覚が分かったし陸さんの基地を見れる機会なんてそうそうないから特に楽しめそうなのだ。いわば傷が癒えるまでの小旅行だ、終わったら伊丹陸尉の所に顔見せすれば良いだろう。
サイド伊丹
昼から睡眠をとっていたせいか0500に目を覚ましてしまった。
水でも飲んで寝直そうと思ってベッドから降りようとしたら床でシェリーちゃんが寝てた。
一瞬幽霊かなにかかと思って驚いたが寝息が聞こえてきたので、シェリーちゃんが生きてて良かったと思いつつ彼女をベッドに運んで布団をかけると、朝一でこの事を報告をあげるために書類の制作を行い、総員起こしまでの残り一時間を起きて過ごすことにした。
そして前日の疲弊ぶりから総員起こし前に上司(伊丹)の様子を見にきた冨田が死んだ筈のシェリーを見て腰を抜かしたのは別の話である。
どのTRPGの吸血鬼からキャラ作ったかそろそろ察しのいい人は解かりそうだよね。