流星の軌跡   作:Fiery

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おりしゅ(ファミチキください)
すとれあ(Lチキ売り切れです)
(ちくわ大明神)

お・す「「誰だ今の!?」」

しの「二人にしかわからない遊びをして、いきなり叫ぶのは止めなさい」
あいこ:パルパルパルパル
ゆうき「これに嫉妬できる姉ちゃんが分からない」


そんなゆかいないっか


それ使いこなせるのお前だけだから

 

 

 

 ボスの砲撃によって格納庫は大穴を空け、リョウゲツ(オーリ)らが居た場所は崩壊。六人はボスがいるフィールドである《B3》へと、瓦礫とともに落下する。

 

「ぐっ……点呼っ!」

いちっ!

にじゅーう!」(裏声

さんびゃーく!」(高音イケボ

えーっと、四千!

五万、でいいの?

最初にふざけた二人は六十万馬力で働け

 

 落下した後で何とか受け身を取ったアスナが呼びかければこれだが、とりあえずふざけられるなら大丈夫だと納得。下手人にはキリキリ働けというニュアンスで檄を飛ばして、アスナは状況の把握に努める。

 真上は大穴が開き、外の光も見えるがこの場所を照らす光量にはならない。しかしこの階層の照明は生きている為に、暗闇の中での戦闘にはならなかったのが救いではあった。ただ、そのせいでボスの威容がはっきりと見える。

 

「……大きすぎない?」

「目測で言うなら、上で見た母艦型より大きいわね」

 

 立ち上がりながらのウタ(シノン)の言葉に、全員が同意を示す。

 

 デカイ。説明終了。とでも言わんばかりの巨大さだった。

 一年前にリョウゲツら四人が戦ったサソリ型など比較にもならないほどに巨大なその恐竜型機獣は、機械の駆動音にも生物の唸り声にも聞こえるようなものを響かせながら六人の方へとその顔を向ける。眼部の光が一際大きく光り、次の瞬間にはその巨体に相応しい巨大な脚部の片方が持ち上げられた。

 

「股下と思われるところまでダッシュ!」

アタシちょっと無理かもしれん……

「キリトちょっとストレアの武器持つの手伝え! ストレアは気合いで走れ!」

「あーもう無茶苦茶だなぁっ!?」

 

 アスナの号令でコットン(STR低め)ウタ(AGI低め)が駆け出し、リョウゲツとキリト(バランスが良い)がストレアのキャノンを協力して運び、一番AGIが低いストレアがひーこら言いながらダッシュ。轟音と共にボスが足を踏みしめた時には、何とか股下らしき場所へと滑り込む事に成功。

 

「作戦会議!」

「予想外も良い所だからどうしようもなさそうな件について」

「一番詳しい奴が速攻で匙投げんな。定番で言えば足狙いだが……」

「直径何メートルだろ……」

「アンダーワールドで見たギガスシダーの倍じゃ利かないねぇ」

 

 全高百メートル程度と見受けられるボス。その脚は、両方が胴体部分並みの太さ。そして尻尾部分も同等に太く、胴体部分と同等に長い。移動されればそれだけで六人にとっては脅威であり、それを封じようと思えばどちらかの脚を斬る……もしくは動かないようにするのが一番だが、簡単にそれが出来そうな太さではないと判断できる。

 

「まぁ幸いな事は、このフィールドはボスが無制限に暴れられる広さじゃない事ね」

「上はボスよりちょっと高い程度。でも広さが尻尾を振り回しても問題ないくらいだし、足元(ここ)から出るのは危険かな」

「出た所に尻尾を振り回されたら、ミンチよりひどい事になりそうだな……」

 

 構造的に恐竜型は股下に対して攻撃が難しい。小型のものであれば機動性もそれなりだろうが、ここまで大型なら股下に何かしらの迎撃装備がない限り、比較的安全になる。同時にここから攻撃しても相手に決定打が与えられるかと言えば難しいのだが。

 

「……ボスのHPバーを確認できた人」

 

 アスナの問いかけに誰も手を上げない。

 リョウゲツの視線にストレアは肩を竦め、そこまでは確認してないと態度で示す。

 

「登るか」

「言うと思ったけどリョウ君、登ったとしてどうにかなる保証はないよ?」

「でも、試さにゃどうにもならんだろ。とりあえず俺が装甲をつたって登るから、五人は足の破壊が出来るか試してみてくれ」

 

 連絡はこれな、とリョウゲツは《スクワッド・ジャム》でも使用したインカムを装着する。それを見てアスナ達も装着し、起動。唯一キリトだけ少し手間取ったが、それでも問題なく通信できる事を確認して、リョウゲツはストレージからクロスボウのような形をした銃器を取り出した。

 

「リョウ、それ何?」

 

 ウタが見た事のない……それは即ち、この場に居る取り出した本人以外が知らない銃器に思わず疑問を呈した。

 

「ん? あぁ。アルティメット・ファイバー・ガン(UFG)ってワイヤーを発射する武器。前に《アファシス》……サポートAI実装の話あっただろ?」

「あー、あれか。それ入手したらユイもGGO来れるねーって話してた」

「前にそれがあるくさい遺跡を闇風が見つけたってんで、ちょっと《BoB》上位勢に混じって探索して見っけた」

「あぁあの時……私聞いてないんだけど?」

 

 ウタのジト目にリョウゲツは視線を逸らした。共通ストレージに突っ込んでいたので隠していたつもりは一切ないが、説明もしてなかったなと思い出したのだ。

 故にどう説明したもんかと少し思案すれば、今度はリョウゲツの両肩が掴まれる。『何奴っ』と左右を見れば何とも言えない威圧感を発する笑顔を浮かべたキリトとアスナが居た。

 

「リョウ」

「説明……してくれるよね?」

 

 メキメキと両肩が悲鳴を上げるくらいに握り込む二人から目を逸らし、リョウゲツは残った三人を『助けて』と感情を込めて見る。家族三人は『健闘を祈る』と親指を立てて返事をするという対応にリョウゲツは泣きそうになったが、男の子なので我慢する事にした。

 

「詳しい事はストレアに聞け」

「おい、アタシに丸投げすんなやクソ兄貴」

「ユイの話はお前にも関係あるからね。仕方ないね」

「後日みっちり稼ぎに付き合わせるから覚えとけよ」

 

 歯を剥き出しにして威嚇のような笑みを浮かべる妹に、兄も同じように歯を剥き出しにして悪党のように笑った。

 今まで見た事ない種類の表情の二人に、四人はドン引きした。スパークしてはいけない何かが二人の中でスパークした気がするが、とりあえずそれに付いては放置するのが良い。

 

「と、とりあえずそのUFGで登るの?」

「あぁ。射出するワイヤーは【アメコミのクモ男】が出す糸みたいな感じで張り付くレーザーワイヤーだから、引っ掛ける所が必要ないのが便利だぞ」

「まーたお前に持たせたら何か色々やりそうな奴だな……」

 

 気を取り直したウタの疑問に対する返答に、キリトは呆れたように零した。彼の頭の中にはある程度の広さの室内を縦横無尽に移動するリョウゲツの姿が浮かんでいて、軽く頭痛を覚えたからだ。

 SAOでは自前のステータスと装備。ALOではSTR(筋力)AGI(敏捷性)を上げる魔法を駆使して変態的な機動戦をこなす男に、まるで誂えたかのような装備がGGOに存在した事に驚きはあまりないが、揃ってしまった事には言いたい事の一つや二つある。

 

「でもリョウ君。落ちた時それ使わなかったの何で?」

「使って全員拾えるなら使ったけど、特にストレアはキャノン持ってる時点で無理だしな」

「全員受け身は取れて、落下ダメージ抑えられるから中途半端に拾うのも、か」

「そう言う事」

 

 それで一旦会話を切り、リョウゲツは身に付けていたインカムを弄って外……この場合はインディ(ラン)に向けての通信を試みるが、範囲外なのかボス部屋である為なのか不明であるが通信は出来ない。

 この場に居る仲間に向けての通信は可能なので、全員がインカムを送受信可能状態で身に付ける。それを見届けたリョウゲツが早速、UFGを駆使してボスへの登頂を開始した。

 

「さて……どう攻略しようか」

ここ(股下)に居ても埒が明かないのは確定で良いと思う。脚部と尻尾は装甲がだいぶ厚そうだから、ダメージは期待できないわね」

 

 ボスの動きを警戒しながら会話を始めるのはアスナとウタ。このパーティを指揮できるのはアスナしか居らず、ウタはスナイパーとしての観察眼を持って参謀的な立ち位置になる。

 

「機動力が必要ないから、構造上脆くなる関節部にもカバーの装甲があるし……リニアで抜けるか試す?」

 

 その話し合いに、ボスの動きを警戒しながらもストレアが入ってきた。それに続くように、警戒に回っているコットン(ユウキ)とキリトも意見を口にする。

 

「撃ってもしも暴れ出したら、お兄ちゃんの邪魔にならない?」

「ボスが多少暴れた程度であいつが登れなくなるとか無いだろ」

 

 キリトの言い分は雑であるが、その裏にあるのは信頼だ。それを感じた為にコットンは『あー』と納得を示し、アスナは『だよねー』とあえてリョウゲツの事を考えないように作戦を組み立て始める。

 

「まずボスの装甲がどの程度なのかを見ない事には始まらないけど……そのリニアキャノンってどれくらい撃てるの」

「一発撃つ毎に五秒程度のクールタイムがあって、連続十発も撃てばプレイヤーが持ってられないくらい熱くなる。そうなると十分程度は置いとく必要があるね」

「控えめに言って欠陥武器じゃないか? それ」

「元々車両に搭載する奴なのよ? プレイヤーが持って運用する想定なんかしてないんじゃないかしら。装備可能ステータスからして、ちょっと前のレベル上限だった150の極振りが前提だし」

 

 ちなみにこの《マシンナーズ・アニマ》関係を含むアップデートでレベル上限は200まで上昇している。リョウゲツとウタ、は現在160程度。続いてインディとコットンが140前後。アスナがスクワッド・ジャム前のブートキャンプで80ほどあり、ALOのアカウントでコンバートしたキリトはそのスキルレベルを考慮されて100ちょっとのレベルとそのステータス傾向であるSTR-AGI型に設定されている。

 その中でストレアは180と、仲間内ではぶっちぎりの数字だ。

 

「二人はまだわかるけど、ストレアのレベルがやばい」

「仲間内で一番自由時間あるのアタシだからさー。しかもGGOは還元システムあるから、これはもう仕事になっているわけで」

「このゲームを完全に仕事にしてるプロGGOゲーマーは既に上限だから、レベルだけ見たらストレアはセミプロって所かしら」

「思った以上にGGOが魔窟だった……」

 

 キリトがドン引きするが、ストレアもGGOばかりやってるわけではない。それに最上位のプレイヤーやそれこそプロなら、相応に経験値が稼げるポイントの一つや二つは秘匿しているものである。

 後はALOではレベルというわかりやすい指標が無い為、よりインパクトを感じたというのもあるだろう。

 

「にしても、ボスに動きが無いのがすげー不安なんだけど」

「……そう言えば」

 

 踏みつけを何とか避け、警戒しながら作戦会議をしていた。そこまで長い時間ではないとはいえ、一つの動きも見せられないほど短い時間では決してない。しかし、ボスは最初の踏み付け以降、一切動いていない。

 その理由は何かと考えるが、判断材料が少なすぎる。少なくともこの場で考えを導き出す時間はないとアスナは判断して、コットンに視線を送った。

 その意味を理解して彼女は頷きを一つ返し、ストレージから四本の光剣を取り出して腰のホルスターに収め、残りの武器をウタ(シノン)へと渡した。

 

コットン(ユウキ)、いける?」

「もちろん、とはっきり言えないけどまぁ、何とかなると思うよ。今登ってるお兄ちゃんを除けば、走って囮になれるのボクだけだし」

「姿が見えれば動き出すのかどうかを調べるだけだから、動かなかったらそのまま戻ってきて。アタシが足の付け根部分にリニアぶっこむから」

「動いた場合は隅っこに誘導しながら、危険を感じたら適時離脱してね? わたし達も牽制はしてみるけど、それで動きが乱れたらもっと危ないし」

「大軍の中に飛び込むよりは安全だと思いまーす」

「アンダーワールドの事についてはわたし、まだ許してないからね?」

 

 笑顔の上に青筋を浮かべたアスナを見て、コットンは全速力で囮任務へと向かった(逃げた)。そんな様子にやれやれと溜息を吐いてそれを見送るアスナを見ながら、三人は顔を見合わせて苦笑する。

 

『あー、聞こえるか?』

 

 そんな所にリョウゲツからの通信が入った。何かあったのか、その声は少々硬い。

 

「どうしたの? リョウ君」

『今、こいつの背面を登ってるんだが……こいつの中に入れそうな穴っつーか、吸入口みたいなのを見つけたってのと、尻尾がちょっと気になる』

「どんな風に?」

『なんつーか……尻尾の上の装甲がハッチみたいなんだよ』

「ハッチ……」

 

 ふむ、とアスナが考えこむ仕草を取る。

 齎された情報を整理しつつ、意見を求めてウタとストレアを見れば、二人は揃って頷く。

 

「GGOのボスにも、取り巻きが居るボスは存在する。最初から一緒に出てくるのがスタンダードなんだけど……」

「ボス部屋にギミックがあって、時間経過かHPの関係で取り巻きが無限湧きみたいなのもあるよ。で、兄貴の見立てが正しくて、それがまさしくハッチなら……」

『嫌な予感が当たったな』

 

 ガシュッ! という、エアーが抜けるような音と共に、ガシャンガシャンと機械的な歩行音が響いてくる。それは一つや二つではなく、まさしく無数と言って良い程のものが響いている。

 

「コットン戻って!」

『アイアイ!』

『出てきたのは二足歩行の恐竜型だ。俺の方には登ってきそうじゃないが……』

「ならリョウ君、その中に入れそうなところから入れるか試して。無理なら」

『こいつを登りきって、何とか上まで行って救援要請か』

「入れるようなら、ここを切り抜けてわたし達もそっちに向かうから」

『――…光剣の刃が何とか入る。入口は開けとくから急げよ』

 

 UFGは共通ストレージに入れとく、というリョウゲツの言葉の後、素早くウタがメニューウィンドウを操作して、見覚えのあるクロスボウ型の銃を取り出す。

 

「人は引けるの?」

『可能だが本人のSTRと相手の重量次第だな。リニアキャノンを持った状態のストレアは確実に無理だ』

「アタシの最大火力、扱いが不憫すぎるんですけど? もっとこう、活躍の機会が欲しいんですけど?」

『俺とウタの共通ストレージならギリギリ重量制限に引っかからずに入れられるから、そっちに入れる。代わりに中の弾薬やグレネードはお前のストレージに入れろ』

 

 兄の言葉に妹は『りょうかーい』と返して、その共通ストレージと自身のストレージの中身の交換を素早くこなす。ついでにリニアキャノンを装備から外して、プラズマ弾頭装填済みの回転式弾倉グレネードランチャー二刀流に持ち替えた。

 その間に姿を現したのは、禍々しい容貌と両手の鉤爪を持つ二足歩行の機械恐竜。大きさとしては三メートルほどで、プレイヤーと比べれば十二分に巨大だ。そんなモンスターが大量にわらわらと自分達に群がってくる光景は、独特の威圧感があった。

 

「キリト君が先頭で脚部にダッシュ! ウタたん、ストレア、わたしの順で最後尾はコットンちゃん!」

「やっとこいつの本領発揮だなッ!」

 

 アスナの号令に応えるように、キリトが背負っていた二刀を抜き放つ。右手に持った《超振動剣ベガルタ》がキィィンと音を立て、左手の《高熱溶断剣モラルタ》がその刀身を白熱化させ、襲い掛かる機械恐竜に対して振るえば、溶けかけのバターよりも容易くそれを切り裂いていった。

 

「やっぱあれボクも欲しいんですけど!」

「弾斬りの難易度爆上がりするけど良いの?」

「光剣と実体剣の二刀流もロマン!」

 

 ボス戦後に、コットンが盛大に床を転がって駄々をこねていた光景をウタとストレアは思い出した。その時は色々と加味してキリト用に用意するだけで済ませたが、この後でまたあそこの周回になりそうだと笑いが漏れる。

 しかし最後尾を受け持つ彼女の剣も、光剣の中では最高水準のものを揃えている。今持っているのは《ドウジキリヤスツナ》というクリティカルに重きを置いた光剣であり、威力についてはコットンが今ホルスターに収めているもう一つの光剣《アメノムラクモ》には劣るが、クリティカルの発生確率と威力が高い。

 彼女の剣の技量は仲間内でも随一であり、剣を使った近接戦であれば高速戦闘中であっても相手のクリティカル部位に剣を振る事など朝飯前だ。襲い掛かる機械恐竜のクリティカル部位も数度の接敵で気付いて、次からは的確にそこを切り裂いている。

 

 故にこの組み合わせは《ライトニング分隊》において、最も凶悪な組み合わせの一つであった。

 

 敵を突破し、脚部に到達すれば素早くウタがUFGで足の甲に当たる部分に登り、その百発百中の腕を持ってメンバーを次々と釣り上げる。機械恐竜たちも跳躍によって登ってこようとするが、それはキリトとコットン、そしてアスナが振るう剣によって切り裂かれていく。

 

「バッチリ追ってきてるわね」

「更に上に行くにしても、何か増えてないか? こいつら」

「嫌な予想言った方がいい?」

 

 努めて軽い調子でストレアが語り掛ける。

 

「聞きたくないけど知っといた方がいいっていう矛盾!」

「コットンちゃん、それは別に矛盾してない……で、予想って?」

「このボスが《マシンナーズ・アニマ》の生産プラントも兼ねてたらやだなーって」

 

 彼女の言葉に四人は顔を見合わせた後、それぞれの頬が引き攣るのを自覚する。ボスが生産プラントも兼ねているとするならば、今自分達を襲う機械恐竜がほぼ無尽蔵に湧いてくるだろう事がありありと想像できたからだ。

 

「その予想から立てられる仮説は機獣抜きでボス戦に入ったら、主だった敵はボス兼プラントから現れるこいつら。勝利条件はプラントの停止……要は動力部の破壊だね」

「このボスの外観からHPバーが見えなかったとすれば、一応筋は通るわね」

「上で機獣をテイムしていた場合は、このボスそのものとの戦闘か……それだとちょっとヤバかったか」

 

 キリト達の中でGGO内の操縦に習熟しているのは《ライトニング分隊》の面々だけ。現実世界のものを含めればクラインやエギル、キリともバイクの運転で慣れがある。しかしその中で戦闘機動をこなせるのはリョウゲツとインディの二人だけ。それも通常の車両なのでこの機獣を操縦するのは困難……要するにその戦闘技術に不利を抱えながらの戦闘になる。

 それに大きさの格差がどの道著しいのだ。ならば慣れた身体で戦って、『一寸法師と鬼』の戦い位の事をした方が勝率が高いのも確か。

 ストレアの予想をそう解釈して、キリトが呟いた答えにアスナも大いに同意した。

 

 

 

 そんな時、ボスフィールドに新たな存在が乱入する。

 

『皆さん! 救援に来ましたよ!』

 

 轟音と共に床に降り立った青い機獣と白い機獣。その内の青から響く知った声を聴いて、五人全員が驚愕の叫びを上げ、『嘘だろお前』と内心を一致させたのだった。

 

 

 

 

 

 

 アニメや漫画では、こういう巨大ボスの核やコアというものは大体、体の中心に据えられる事が多い。生物の形をしていればそれは顕著であり、身体の端になる部分にそれを据えると色々問題があるからだ。

 まぁ頭部などの例外も存在するが、それでも設置するスペースや重装甲にしてもバランスがとりやすいなどの理由で身体の中心に据えられるものだと、リョウゲツは考える。

 

 そんな彼がボスの内部に侵入した時に利用したのは、外気を吸入するための直径十メートルほどの吸入口だ。丁度首と背の中間あたりにあったそれは格子状のフェンスのようなもので覆われていたが、その部分は光剣で切り裂く事が可能なオブジェクトだった。

 故に斬り裂いて内部に潜入を果たせば、内部構造はまさに機械の中と言った風情でありまさしくダンジョン。正規の入口があそこかどうかは不明ではあったが、『このボスは内部から攻略するボスである』という説が補強された形になる。

 

(向こうも色々起こってんなー)

 

 インカムから響く仲間達の声を拾いながら、吸入口から入った道を眺める。そこは確かに内部へと入り込めるものであったが、少し行けば上へと伸びる壁となっていた。

 

(上に続いてるって事は……この向かう先は頭部か。とすると、これは何のために頭部に続いてる?)

 

 思い出すのは、このボスフロアに落ちてくるきっかけになったあの光。自分達の車両にも搭載した《荷電粒子砲》の何倍もある規模の砲撃。それを撃つためにこれが必要なのだとすると、上にはその為の機能か何かが存在している事になる。

 リョウゲツ達が車両に取り付けた荷電粒子砲は、大まかに分ければ三つのパーツから成り立っている。大気から粒子を取り込む《吸入部》。取り込んだそれを加速させ、エネルギーに変換する為の《変換加速部》。そして発射の為の《砲塔部》。

 以前、サソリ型を倒した時に手に入ったのはこの内の砲塔部と吸入部のパーツであり、変換加速部については大量のジャンクパーツを交換するクエストをこなしてようやく手に入れた。それから積める車両を手に入れて改造……するのに拠点にガレージを設置する必要があったりして、貯め込んでいたクレジットが湯水のごとく消費された。

 

 消費した分、現実で恋人と義妹二人相手に埋め合わせをする羽目になったリョウゲツの一人負けではあったが、それに見合った威力にはなった。SBCグロッケンの近くで撃てば他のプレイヤーに一発でバレるので試射も出来なかったが、それでも機獣を相手に十二分の効果を発揮した。

 それの数倍の()()のあの砲撃を撃とうと思えば、そのパーツがより巨大になるであろう事は明白だ。吸入部は今自分がいる所であり、ならその先は……とリョウゲツは考えて、立っている場所が大きく揺れた。

 インカムからは『シリカ』と『リーファ』の名前が聞こえたので、異常を察知した仲間達が来たのかとも思うがどうも様子がおかしい。

 これだけの巨体を揺らす事が出来る可能性がある火力……リョウゲツ達の手持ちではそれこそ荷電粒子砲しかない。ストレアの持つリニアキャノンは人のサイズであるプレイヤーが持つには巨大ではあるが、車両武器としては最小に近い。故に威力も()()()()だ。

 

『兄貴ー報告ー』

 

 考え事をしながら何とか登っていれば、名指しでストレアからの通信が入る。

 

「数は?」

『二つー。まぁまず察してると思うけど、シリカとリーファが援軍に来ました。機獣に乗って』

「早速テイムしてるの笑うしかねぇわ。あの二人新規アカだったよな?」

『人間の不思議って奴だね。で、もう一個なんだけどさぁ……』

 

 通信の先で言い淀むストレアの態度で、リョウゲツは何かもう色々と察した。

 

「……俺一人でこっちやんの?」

『機獣が来た事でボスが動き始めたっぽい。少なくともアタシとウタはシリカたちの機獣に乗っての砲撃戦をやった方が良いし、残った三人がUFGを使って登れるかって言うと……』

「キリトお前、後二人連れて登ってこいや」

『俺に無茶振りするの止めろ。UFG使って自分だけ登るなら出来ると思うが、引っ張り上げるのは俺の腕だと無理だからな!?』

「流石にUFGはその一丁だけだからな……いや、ストレア。シリカ達の機獣はどんなタイプだ?」

『四足歩行のライオン型が二体だけど……』

「出来そうならでいいが、このボスを駆け上ってキリト達を背面まで運べないか?」

 

 兄の言わんとする所を、妹は正確に理解する。そしてこのボスの背面の形状を聞いて、可能か不可能かであれば可能であると結論付けた。

 

『登るのに使わないなら、UFGは戻しておいた方がいい?』

「いや、万が一落ちそうになった時の為に持っててくれ。使う必要があったら言うよ」

 

 その言葉と同時、ボスの咆哮が内部にまで響いてきた。その後でまた揺れ始め、ボスが行動を開始したのだとリョウゲツは理解する。

 

「俺はお前達を待たずに先に進む。追いつくならさっさとしろよ」

『抜かせ』

『ボクの分も残しといてねー』

『リョウ君その台詞、死亡フラグって奴なんじゃ』

『アスナ、旦那に対してそれはシャレになってないから』

 

 ウタの一言にリョウゲツは半笑いの顔になるしかなかった。おそらく他の通信を聞いた仲間もそんな顔をしてるんだろうなと思いながら。

 

 

 

 




おりしゅ「アスナがサブカルに精通し始めた件について」

きりと:光速で目を逸らす

おりしゅ「まぁきっかけはSAOだとしても、その後の影響はお前が一番だよな」
あすな「でも私の前でそういうネタ発言するのってオーリ君が一番多いと思うよ?」
おりしゅ「そっちの親御さんに殴られそうな発言は差し控えて頂けませんでしょうかアスナ様」(五体投地

きりと「許された!」
りーふぁ「いや、許されてないでしょ……」
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