流星の軌跡   作:Fiery

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日間ランキングに乗ったり乗らなかったりしていてびっくりしました。
まじかー……


そのきゅう:攻略を祝って惚気る

●SAO男子部屋

 

えぎる:おーい、キリトとオーリは居るかー?

きりと:どうしたんだ?

おーり:一応居ますけど

えぎる:おぉ、居たか

えぎる:いやなに、前から言ってたあれをやりたいと思ってな

おーり:あれ……?

きりと:あー、アインクラッド攻略記念のパーティしたいって言ってたな

えぎる:おう、それだ

おーり:あー

おーり:何で今?

えぎる:主にお前のせいだよオーリ

おーり:はいぃ?

きりと:本当は三月の頭くらいの予定だったんだけど

きりと:オーリ、こっちの学校来るまで気軽に東京来れる所じゃなかったろ?

おーり:泊まりは確定だったし、親も流石にダメだって言ってたよ

きりと:それだとSAO攻略の立役者が揃わないって言うんで

きりと:お前がこっちの学校に来るまで延期って話をしてたんだ

えぎる:で、話を進めようとすればやれ同棲だの義理の妹と同居だの

えぎる:お前が忙しそうにしてたから、今まで様子見をしていたわけだ

おーり:え、そんな話になってたの一切知らないんですけど

おーり:確か二月くらいにキリトから連絡貰ってそれっきりですよ

えぎる:後はあれだ、いっそ夏休みなら学生が捕まりやすいというのもあるな

えぎる:社会人は予定を決めればどうにでもなる

おーり:どれくらい声をかけるんです?

えぎる:俺の伝手で呼びかけるから、精々50人くらいだな

おーり:多い多い

えぎる:嫁さんも妹さん達も連れてきていいぞ。華は多い方が良いしな

おーり:絶対に俺を呼び出すつもりだ……

きりと:俺とアスナは既に出席確定なんだから、お前だけ逃がすわけないよなぁ?

おーり:例の動画を俺は忘れてないよ

おーり:絶対、皆して俺を弄るんだろ

えぎる:そこはもう諦めろ

きりと:もう嫁さんにバレてるんだから、誰に弄られようと関係ないだろ

おーり:俺の羞恥心にとっては大いに関係あるんですけどー?

きりと:毎日、学校へ恋人繋ぎで登校する奴が何言ってんの?

おーり:キリトてめぇ今からALO来いよ。デュエルすっぞ

きりと:お? 完全決着の何でも有りだな? よっしゃ来いよ

くらいん:俺にとって、お前ら二人は等しく敵だ

おーり:正味、クラインさんは最初の第一印象何とかすれば行けるでしょうに

きりと:その辺の事はいつもうちの女性陣に言われてるのにな……

くらいん:喧嘩のスケジュール決めてたのに突然結託して正論で俺の心を抉るな!

えぎる:とにかく、オーリも強制参加なのでちゃんと来るように

おーり:わかりましたよ。日時決めたら連絡ください

 

そんなやり取りがあってから、夏休みに突入した最初の週末。

アインクラッド攻略記念パーティが開催されるのだった。

 

後ついでにALOでは、キリト・クライン・オーリの三つ巴で殴り合っていたという。

 

 

 

 

 

 

パーティ当日の『ダイシー・カフェ』

 

「さて皆、飲み物は回ったか?」

 

店主のエギルの声が店内に響く。

今日は店を貸し切りにして、中には40名ほどの参加者が居る。

SAOで最前線にいた者に限らず、様々にSAOの中で生きてきた人達。

あるいはその関係者を含め、という所。

 

「回ったみたいだな。乾杯の挨拶はー……一番向いてそうなアスナ!」

「へっ? わたしっ!?」

 

突然の指名で驚いた彼女だが、多人数の前に立つ事は別に初めてではない。むしろゲームではそれが日常だったため、さっさとエギルの横に並んだ。

 

「えっと、長い挨拶はあれですし、わたしからは少しだけ。

 SAOをクリアできたのは、ここにいる皆さん、ここに来れなかった皆さん。

 あの世界に居た、全ての人たちのおかげです」

 

その言葉に、場に居るSAO生還者達が目を閉じてあの二年に思いを馳せる。

 

「わたし達は、生きて還ってきました。

 だからとは言いません。それでも、あの二年の全てを忘れないでください。

 そして、今日は楽しみましょう。皆さん、コップを持って」

 

彼女の合図に、その場の全員がコップを持ち。

 

「SAOクリアに、乾杯!」

『かんぱーい!!!』

 

一瞬の静寂の後、各自が思い思いに談笑を始める。

特に何をするというプログラムも無い、ただのパーティ。

離れていた仲間と会い、皆が親交を深めていく。

 

「挨拶お疲れ様、アスナ」

「何も聞かされてないからびっくりだよもー」

「はっはっ、すまんな。まぁ後は好きに過ごすと良い」

 

挨拶したアスナを労うのはキリトとエギル。

エギルは早々にカウンターの中に引っ込み、カウンター席に二人は座る。

集まったメンバーの中には知っている顔もいれば、知らない顔もいる。

 

「ドーモ、シンカー=サン。オーリです。

 動画の恨みをここで晴らしても良いです?」

「アイエェェェェ!? 何でバレたの!?」

 

知ってる顔の筆頭がシンカーと呼んだ、穏やかそうな顔の男性を忍殺しそうになっている。

ちなみに首謀者の情報をリークしたのはエギルであるが、流石の彼も能面のような無表情で『広めた奴は誰ですか?』と延々と問い詰められるのは夢に出る怖さだった。

 

「オーリ君の隣の子は……まさか、この子があの…ッ!」

「ハイク詠みます?」

 

シンカーもシンカーで転んでもタダでは起きない。

伊達に、日本国内で最大のネットゲーム総合情報サイトの管理人ではないという事か。

目ざとく彼の隣に立つ詩乃を見つけたが、結果としては悪手だった。

 

「あ、オーリ君がアイアンクロー決めてる」

「あいつ、結構筋肉あるんだよなぁ……腹筋も割れてるって話だし」

「キリト君、秘訣でも聞いてみたら?」

「ジム行ってるって話したら、トレーナーの言う事聞いてちゃんと飯を食えだって」

 

食べてるつもりなんだけどな、とキリトは苦笑するが、オーリの言う事は一理ある。

アスナが彼に作っている弁当だって、その辺りの事を考えて作っているからだ。

血色は良くなったとはいえ、まだまだ『もやし』という印象はある。

 

「というか、隣でアイアンクローしてるのに嫁同士は普通に挨拶してるよ……」

「ユリエールさんの慣れっぷりからして、SAOでもあんな感じだったのかな?」

「らしいわよ? あいつ、情報屋の連中とも仲良かったんだから」

 

二人の元にリズベットが藍子と木綿季を連れてやってくる。

兄が率先して弄られに行ったので、妹達はこっちに避難してきたようだ。

詩乃は『私達の関係は誰に憚る事もないから』と不敵に笑ってさっさと付いて行った。

 

「詩乃のんの安定感ね……」

「兄さんは『ケット・シー最強の夫婦』についても色々言う事があるようで」

「二人の組み合わせは隙が無いからなぁ……」

「それに、どっちか撃破すると残った方がパワーアップするよ」

「あの二人はボスか何かなの?」

 

リズベットの言葉を誰も否定出来ずに、苦笑するしかない。

それくらいに、二人が組んだ時の安定感という物は段違いだ。

仲間内で対抗するとしたら、キリトとアスナと言うペアしかないだろう。

 

「あ、今度は男の人達に絡まれてますね」

「堂々と婚約者です宣言して、顔を真っ赤にした詩乃に背中叩かれてる」

「キリトくーん」

「アスナさん僕に無茶言わないで」

「あの空気、たまに家でも出すんだよ。凄いよね」

 

藍子と木綿季の悟ったような表情に、三人は何も言えない。

 

「二人はやっぱりあたしの妹に!」

 

更に混沌とするような物言いでシリカもやってくる。

 

「もう慣れたし、おにーちゃんも詩乃おねーちゃんもご飯が美味しいから無理かなー」

「一度おばさまが来ましたけど、もっと美味しかったです」

「胃袋を、握られている……!?」

「オーリの奴、カレー以外も作れたのか」

「料理のバリエーションは義姉さんの方が遥かに多いですよ。

 兄さんも他の料理を作れなくはないですけど、得意なのはやっぱりカレーですね」

「で、そのカレーのレパートリーが多いんだよね」

「あいつの祖先にインド人でもいるの?」

 

リズベットの言葉に、五人はインド人風のオーリを思い浮かべる。

想像の中の彼は、何故かカレーを持っていた。

 

「「「ぶっふぅっ!?」」」

「ちょ、何で三人が吹き出してんのよ!?

 藍子ちゃんと木綿季ちゃんは口を押さえて震えてるし」

「いや……インド人ぽいおにーちゃんを想像したら……

 何故かカレー持って、真顔で『食えよ』って言うから」

「んふっ!?」

「あ、藍子ちゃんが決壊した」

 

カウンターに突っ伏して震える藍子。

声は出さないのは立派だが、震え方が結構ヤバいように見えるのはリズだけではないだろう。

そんな彼女の背中をさすりながら、リズは溜息を一つ。

 

「何かあたし、いつもと同じ事をしてる気がするわ……」

「リズさんは何と言うか……おかん?」

「それ言った奴は何となくわかった。後でぶっ飛ばす」

「でも確かに、お母さんと言うよりは……ですね」

「止めてよシリカ! あたしまだそんな風に言われる年齢じゃないの!」

「じゃあ、肝っ玉母ちゃん?」

「あーすーなーまーでー!?」

 

やいのやいのと盛り上がる女性陣を、キリトは眺めている。

そんな彼の元に、クラインがやってきた。

 

「おーう、キリト」

「クラインか。って、お前もう飲んでるのか……」

「嗜む程度って奴だよ」

 

彼はキリトの隣に座って、カウンターに体を預けるような体勢になる。

 

「しかし、お前もあいつみたいに回らねぇのか?」

「オーリみたいに自分から弄られに行くのは無いなー……」

「俺も弄られに行けとは言ってねーぞ?

 そうじゃなくてだな、お前ももっと誰かと話せって事だよ」

「コミュ障に無茶言うな」

「自分で言うな。オーリみたいに器用にしろとは言わねーよ俺も」

 

クラインだって、キリトが対人関係に不器用なことくらい知っている。

それでも、この場は皆が共通点を持った仲間なのだから、輪に入ってもいいのではないか。

 

「少なくとも、オーリ以外の同年代の男友達くらい作れよお前」

「あー……中々殴り合う機会ってないよな」

「お前らが仲良くなったの殴り合いなのかよ!? 蛮族か!?」

「あいつが売って、俺が買ったから蛮族はあいつの方だぞ」

「売買が成立してる時点で同類だろーが!」

 

もっともなクラインのツッコミに、キリトは黙り込んだ。

仮想現実の中ならこういう場でも話すのは苦ではないのだが、現実ではどうにも難しい。

余計な事を考えずに本音でぶつかれるという点では、あの時の決闘は良かった。

最高のコミュニケーションと言うつもりはないが、有用なのは確かなはずで。

キリトにとっては話をするよりは楽なのだから。

 

ちなみに、後にオーリにこの話をすれば『口下手相手は物理のが早い』とよく考えられてるのかわからない答えが返ってきて、クラインは絶句する事になる。

 

「疲れた……」

 

それから話を続けていれば、ほぼ全員に弄られたオーリが一団の中に入ってくる。

その後ろでは、彼に付いていた詩乃が苦笑しながらも彼を支えていた。

 

「エギルゥ、酒くれぇ」

「お前、ヤケ酒に入るのが早過ぎるぞ……」

 

その仲睦まじい様子を見て、クラインは荒んでいた。

本人達に向かって言う気はないらしいが、近くに居れば負のオーラは感じる。

 

「弄られて帰ってきたら負のオーラで出迎えられた。解せぬ」

「解せよ! この彼女持ちと婚約者持ちめ!」

「いや、俺とアスナは仲としてはもう夫婦だし」

「こっちは事実な上に、既にこの場の人に広めた時点で痛くも痒くもない」

「チクショォォォォッ!!! あぁんまりだぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

ガチ泣きを始めたクラインに、エギルがそっと酒を差し出した。

その眼差しは、とても優しい。

 

「……まぁ、頑張れや」

「エギルの優しさすら、今はいてぇよぉ……!」

 

 

 

 

 

 

パーティが佳境に入り、そろそろ最後の締めをどうするか、という塩梅。

しかし、主催者のエギルが時計を気にする頻度が増えている。

 

「どうしたんだ? エギル」

「ん? あぁ、ちょいとサプライズゲストを呼んではいるんだが……」

「まだ来ないんだ?」

「無理なら連絡をするって話なんだが、連絡が無いんだよ。

 しかしまぁ、あれか……オーリ、ちょっとこれ被ってなんか繋げ」

「無茶振り!? つか何この精巧な被り物……フェレット? イタチ?」

 

エギルに渡されたフェレット(?)の被り物を、ぶつぶつ言いながらもオーリは被る。

 

「いきなり何被りだしたの、おにーちゃん」

『いや、場繋ぎでなんかやれって振られた上に渡されたから被ってみた』

「ボイスチェンジャーつきの、動物の被り物……!」

「おねーちゃんの腹筋がまた崩壊した。加工声が渋いんだけど」

『藍子は犠牲になったのだ……無茶振りの犠牲にな』

「んぶっふ!?」

「おにーちゃん! それ以上笑わせたらおねーちゃん死んじゃうよ!」

『正直スマンカッタ』

 

そう言ってオーリが取ろうとすれば、入り口のドアがベルの音と共に開いた。

 

「すみません! 遅くなりました!」

 

入って来たのは、ギターケースを持った大学生くらいの女性。

遅れて、同い年くらいの男性が頭を下げながら入ってくる。

 

「おぉ、来たか」

 

エギルがカウンターから出て、彼女達を出迎える。

 

「すみませんエギルさん。まだ行けますか?」

「タイミング的には良いんじゃないか?

 さて、皆ぁ! サプライズだが特別ゲストだぞ!」

 

エギルの声に店内にいる全員の視線が、女性に集まる。

ここに居るSAOプレイヤーは皆、確かに彼女を見た事があった。

 

「おい、あれもしかして……」

「あぁ、《純白の歌姫》のユナじゃないか」

「そう、俺も来てもらえるとは思わなかったが、その彼女だ!」

「どうもー、ユナです。初めましての人も、そうでない人もよろしくお願いします」

 

彼女の挨拶の後、店内に割れんばかりの歓声が上がった。

歓声に驚いた藍子の笑いが止まり、その横ではシリカが目をキラキラ輝かせている。

 

「し、シリカさん。あの方は……?」

「あ、藍子ちゃんや木綿季ちゃんは知らないんですね。

 彼女、ユナさんと言えばですね、SAOでは《純白の歌姫》と呼ばれてた方です!」

「歌姫? あぁ、二つ名持ちって事は有名人なんだ」

「それはもう! 最近SAO発のシンガーソングライターとしてデビューもしましたよ!」

「わたしもSAOのコンサートに行ったなぁ……」

「へー、SAOでコンサート開くほどなんだってアスナさん行ったの!?」

「最終決戦前の慰安も兼ねてね。盛り上がったなぁ」

 

そんな風に盛り上がる女性陣の中で、リズだけ頬が引きつっている。

SAOで、ユナがオーリに告白している所を見た唯一のプレイヤーがリズである。

仲間にこの情報を喋った際には『女性プレイヤーにオーリが告白された』としか言ってない。

『誰が』オーリに告白したか、彼女は一切口外していないのだ。

リズがこっそり横目でオーリの様子を伺えば、彼と詩乃の二人が動きを止めていた。

 

(ちょいちょい、オーリも詩乃も大丈夫?)

(あー……あの人これ狙ってたんかなぁ)

(まぁ知ってたでしょうね)

(どういう事よ)

(俺ら、先日、あの人と、ALOで、会ってる)

(その際に藍子と木綿季にも話したのよ。二人は特に気にしないで行こうって感じだけど)

(へー……で、どうするの?)

(俺このまま、謎のフェレットとして押し通せない?)

(涼、私でもそれは無理だって言うわ)

 

チクショウ、と内心で叫んだがそれでもオーリは諦めない。

ユナが来た理由はとりあえず不明だが、まぁ歌いに来たと思えばワンチャンあると、オーリは自分を鼓舞する。

 

「それでエギルさん、お三方は?」

「あぁ、カウンターにの方で座ってるあいつらだ。

 おーい、キリト、アスナ、オーリ!」

「俺達?」

「何かしら?」

『俺はフェレットです。オーリではありません』

「んふぅっ!?」

「おにーちゃん、流石にそれはもう無理かな……

 というか外そう? それで喋る度におねーちゃん死にかけてる」

 

木綿季の冷静なツッコミを受けて、オーリは被り物を取った。

自分のあれこれと妹の命ならば、妹の命を取らなければならない。

ただ、この被り物は若干気に入ったので後でエギルに貰えないか交渉はしようと彼は誓った。

他の二人には何をしているんだという目で見られながら、オーリは彼女の前に立つ。

 

「ふふ、お三方が並ばれると、流石に壮観ですね」

「向こうじゃともかく、リアルだとどうですかねー」

「向こうだとアバターの身長がだいたい一緒だからね……オーリ君今いくつ?」

「180ちょうどくらい。3カ月ほどで5cm?」

「マジかよ。オーリの裏切り者めぇ……!」

「お前はちゃんと飯を食えよ」

 

いつものような掛け合いをしながら、アスナは説明をエギルに求める。

余談だが、SAO内でもこの四人は面識があるため、別に自己紹介などは必要なかった。

 

「平たく言えば、彼女が来る条件がお前ら三人だったんだよ」

「SAOで面識はありましたが、お話はそれほどしてませんでしたよね?

 なので色々と、貴方達しか知らないようなお話が聞ければ、と」

「色んな奴にSAOでの事を聞いて回って、曲を書く事に生かしたいそうだからな」

「今日は色々とお話が聞けそうな方が多いんですけど、特に聞きたいのはやはり」

「俺達だと?」

 

キリトの言葉にえぇ、とユナは頷いて三人を見る。

その中でオーリを見た時だけ熱が宿ったのを、アスナは見逃さなかった。

 

(あれー、これ、ひょっとしてー……)

 

その熱に心当たりのあったアスナはちらり、とカウンター席を見る。

そこには、怒るでもなく嫉妬するわけでもなく、不敵な笑みを浮かべている詩乃。

私から彼を奪えるものなら奪ってみろ、と言わんばかりの笑みだ。

 

(……あー、そういうことか)

 

アスナの脳裏に浮かんだのは一つの仮説。

リズが言っていた、最終決戦前にオーリに告白した女性プレイヤー。

それが、ユナなのではないか、と。

 

(オーリ君も凄い事になってるのねー)

 

アスナは内心で苦笑する。

詩乃と自分は似ていると思ったが、彼氏同士も似ているとは思わなかった。

誰かを助けて惚れられて――…それでも、自分が愛した相手に一途だ。

 

(ごめんねユナさん。 わたしは親友と仲間の味方なので)

 

まだ何も要請されていないが、アスナはスタンスだけは決めておく。

ユナの音楽活動についてなら協力する。

オーリとの色恋の話は協力しない。

 

(とりあえずは、これだけよね)

 

ここまでの思考を一瞬で終えて、アスナはユナへと笑みを浮かべた。

 

高速思考とも言えるこれは、実は対オーリ用に訓練している物だ。

自分のパートナーであるキリトは、超人的な反応速度を持っている。

そのキリトと互角に戦えるオーリは、反応速度とこの高速思考を高いレベルで両立している。

反応速度も訓練次第で何とかなるだろうが、そもそもの才能が違う。

それに、パートナーと同じ物を鍛えても意味が無い。

故にアスナは思考の高速化と、『読み』を深める事にした。

その訓練において、最も相手として都合のいい人物がオーリだった。

 

彼の手札の多さに対処するように『読み』を鍛える。

彼の高速戦闘に対応できるまでに思考を加速させる。

 

SAOの時から続けている訓練の結果として得た力は日常生活でも利点が多い。

最近では並列思考という概念を知ったからか、思考を増やす事にも挑戦している。

 

ちなみに、その話を仲間したら『何言ってんだこいつ』みたいな目で見られたという。

 

「では、話は後にして、先に歌っちゃいましょうか!

 エーくん、準備早く早く!」

「人使いが荒いなぁ全く」

 

ユナにエーくんと呼ばれた男性は、苦笑しながらもいそいそと演奏のための準備にかかる。

こうして、『アインクラッド攻略記念パーティー』を締めくくる演奏が始まった。

 

 




アスナさん、変態の傍にいたから何か魔改造されてる図(何

反応速度云々については完全に作者の独断と偏見。
アスナさんは地頭すごく良いみたいですし、切っ掛けさえあれば化けそう。
で、キリトを補うような進化しそう(小並感
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