流星の軌跡   作:Fiery

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唐突に書きたくなった……!

めっちゃ短いです


幕間なな:成長悲喜交々

 

学校が再開してから少し経ち、そろそろ秋の気配が漂い始める9月末。

洗い物も終わってリビングで一息ついている所に、騒がしい声が聞こえてきた。

 

「おーねーえーちゃーん! ボクを裏切ったなぁー!」

「やっ、木綿季! 何してるの!? 義姉さんとめてください!?」

「木綿季、まだ確定してないから落ち着きなさい。藍子、測るからじっとして」

 

聞こえてきた内容に涼は疑問符を浮かべるが、気にしてはマズいと本能で理解して意識をテレビに戻した。歌番組のCMが流れており、予告では『YuNaと神崎エルザがコラボレーション』などと流れている。

ALOでも『この日放送の番組に出ますんで見てくださいねー』と送られてきたのは覚えている。中々忙しいのにALOへのダイブは欠かしておらず、短い時間だが彼女と彼女のマネージャーだという『ノーチラス』に、自分と詩乃、藍子と木綿季というメンバーで冒険にも出たことがあった。

ノーチラスとはSAO時代の顔見知りでありパーティの時に挨拶できなかったので、改めて挨拶をしておいた。

 

「藍子、カップ数が1つ増えているわね?」

「ボク増えてないのに何でおねーちゃんだけ!?」

「待って、待ってください二人とも! に、兄さん助けてください!」

「涼! こっち来たら怒るからね!」

「詩乃ー、邪魔はしないが冬服の手配も必要だからそこそこになー」

「それもそうね。成長を見越してワンサイズ上にしてたけどそれがギリギリだし」

 

涼が3人の方を見ないままに言えば、詩乃の手が緩んだ。

藍子は、迫る木綿季の手を払いながら安堵の息を一つ吐く。

 

「ゲームなら取り押さえるの楽なのにィーッ」

「現実では! わたしも! 木綿季と! 同じメニューで! 鍛えたからね!」

「ついでに同じ物食べて何でおねーちゃんだけ胸が大きくなってるのさァッ!!」

「兄さんが居る所でそんな事叫ばないでよ木綿季!!」

 

姉妹の喧嘩の音を聞きながら涼は知ってた、と内心で零す。

発端としてはもうすぐ冬服に移行する為、姉妹は事前に買っていた制服に袖を通していたのだがその過程で同じサイズのはずなのに藍子が『キツイ』と言い出したのが始まりだ。

そして目ざとく自分と違う部位に目を付けた木綿季が藍子を襲い、詩乃が仲裁に入って胸囲を計測した、という流れである。あとはりょうくんわかんない。

 

「涼、ちょっと仲裁お願い。二人はもう服着てるから」

「藍子ー木綿季ー、いい加減にしろよー」

「おにーちゃん離して! おっぱい揉めない!」

「揉ませないよ!? 木綿季には揉ませないからね!?」

 

羽交い絞めにされてようやく大人しくなった木綿季を涼が連行するのを見届け、藍子はようやく一息ついた。

 

「というか、何で今まで言わなかったの?」

「……に、兄さんが居る前で言えるわけないじゃないですか……」

 

詩乃の問いに、藍子は顔を真っ赤にして答えた。

 

 

 

 

 

 

翌日の学校。

昼休みに涼はこの世の怨念を垣間見た。

 

「ウラギリモノォ……ドコォ……?」

 

ツインテールの髪が逆立ち、いつも分けられている前髪が目元を隠すように垂れ、しかしその向こう側にある目が真っ赤な光を湛えている。

見た目は少々違うが、その姿は彼らの知る綾野珪子だ。

ただし纏った負のオーラがやばい、怨霊か鬼みたいになっている。

 

「やべぇ。ちょっと勝てないかもしれん」

「ちょ、ちょ、見捨てないでくださいよ兄さん!」

 

涼の背に隠れた藍子が、より強く彼にしがみ付く。

確かに涼も腰が引ける程度のオーラなので、それを向けられている藍子が怖がるのも納得だ。

 

というのも、昼休み早々に藍子が涼と詩乃の居る教室に飛び込んできた。

助けてくれと言うので事情を聞けば、どうも昨日の話題を木綿季がまだ引きずっていたらしく、それを中等部で仲の良い珪子に言ったらしい。

すると、何故かカタコトで自分を追い回す彼女が現れたのでこうして逃げてきたとの事。

 

そして詩乃が藍子を連れて木綿季の元に行ったが、また数分後に藍子が全力疾走で帰ってきてこうなっている。

 

「……バラしたであろう木綿季は?」

「義姉さんにこめかみぐりぐりってされてました」

「そのまま綾野を止めてはくれなかったんだな……」

「ミツケタァ……!!」

 

二人のなけなしの《隠密》は、今の珪子の《超感覚》であっさり見破られたらしい。

ギン! と視線を二人に向けられて、二人の背筋に悪寒が走る。

 

「逃げるぞぉっ!」

「は、はいぃっ!」

「マテェッ……!」

 

校内を走って逃げる二人と、それを追う珪子。

涼だけなら闇雲に逃げても問題ないが、藍子が居るとなると昼休みが終わるまでの時間逃げ切れない。

 

「に、兄さん! 何処に逃げるんです!?」

「助っ人の所だよ!」

 

故に涼は珪子を止められる可能性がある人間が居る教室を目指す。

 

きーりがーやくーん! あーそびーましょー!

「はっ?」

 

つまり、珪子の想い人である和人を味方にし(巻き込み)に来たのだ。

 

「え? 涼? それに藍子まで? 何だどうした?」

「説明は後だ兄弟! 追いかけてくる奴説得してくんねーかな!?」

「ココカァ……!」

 

息が上がり始めている涼と、既に息が荒い藍子。

それとは対照的に一切息のあがっていない珪子。

精神が肉体を凌駕するにもほどがあるだろ、と涼も藍子も思うがそれは捨て置いた。

 

「け、珪子さん?」

「和人さんどいて! 裏切り者を問い詰められない!」

「何だ何だ一体何があった!?」

「問答無用! 裏切り者死すべし!」

「裏切り者って何なんですかぁっ!?」

「和人で無理かよぉっ!?」

 

藍子を抱き上げて、涼が教室を出てまた走り出す。

ふと考えれば自分は巻き込まれただけなのでは? という思考が生まれたが、暗黒面に堕ちた珪子に妹を渡してはどうなるかわからない。主に乙女の尊厳的な意味で。

後、今の珪子は純粋に怖い。

 

「ん? アンタ何してんのよ?」

「俺の後ろ!」

「後ろ? ヒェッ……」

 

途中で里香とすれ違ったが、後ろの珪子を見てガチビビりするくらいだ。

今の珪子を止められる当てがあるとすれば、後は我らの副団長だけだなと考える。

 

「あれ? 涼君に藍子ちゃん?」

「よっしゃぁ! これで勝った!」

「あ、明日奈さん! 助けてください!?」

 

これまた幸運にも廊下を歩く明日奈を見つけて、涼は加速する。

ダッシュで彼女の背後に回って、珪子との間に彼女を置いた。

 

「え、なになになにって珪子ちゃんも? いったいどういう事?」

「ちょっとあいつを暗黒面から戻して話ができる状態にしてくださいお願い!」

「あー……まぁいいけど、ちゃんと後で説明してよね」

 

必死な涼の声と普段と違う様子の珪子に何かを察したのか、明日奈は凛々しく珪子の前に立ちふさがってくれた。

 

「珪子ちゃんどうしたの?」

「裏切り者に制裁するんです!」

「いや裏切り者って。とりあえず落ち着いてくれないかな?」

「邪魔をするなら明日奈さんでも……!」

「珪子ちゃ~ん?」

「ヒェッ……」

 

明日奈の《威圧》でようやく、珪子の動きが止まった。

それを確認して、涼も深呼吸して息を整える。

 

「あ、あの、兄さん。そろそろ、お、おろして……」

 

我に返った後、自分が兄に俗にいう『お姫様抱っこ』をされている事に気付いた藍子が顔を真っ赤にして、消え入りそうな声で呟いた。

 

 

 

 

 

 

放課後の食堂。

昼休みに迷惑をかけた仲間を集めての事情説明。

 

「俺の所に来たのはそういう理由かよ……」

「あー、うん、何か納得したわ」

 

和人と里香は、涼の説明に納得はしてくれた。

和人は腑に落ちないと言った表情だったが、それでも自分が説得要員に選ばれた理由は理解できた。

 

「で、今二人はあぁなってるわけか」

 

三人が視線を向けた先には、珪子と木綿季が並んで座っており、その向かいに明日奈と詩乃。そして藍子が並んで座っていた。

今回の騒動の原因となった珪子と木綿季へ対しての説教フォーメーションである。

 

「珪子ちゃん?」

「木綿季……」

「「ごめんなさい……」」

 

「まぁあの二人に説教されたら謝るしかないよな」

「そもそも原因が木綿季だからなぁ……ほんと二人共すまん」

「あたしは言うほど巻き込まれても無いけどねー」

 

主犯二人が反省の色を見せているので、説教も早々に切り上げられた。

 

「藍子ちゃんごめんなさい……」

「おねーちゃんごめん……」

「もうこれっきりですからね! この話題に触れちゃだめですよ!」

 

当事者も和解し、これで一件落着かと和人と里香、涼は胸を撫で下ろす。

 

「あぁ、涼」

「どうした詩乃?」

「仕方ないとはいえ、藍子をお姫様抱っこした件なんだけど?」

「あ、涼が死んだ」

 

笑っている詩乃から黒い物が見え隠れしている。

そんな彼女を見て、涼は思わず椅子の上で正座したし和人や里香は彼の死を連想した。

 

「ど、どうすれば許していただけるでしょうか」

「……わ、私にも、よ」

 

頬を赤くして、詩乃が囁くように言った。

 

「帰ってからで、いいから。私にもお姫様抱っこを所望するわ」

「謹んでお受けしますよ。お姫様」

 

「バカップルだ」

「バカップルね」

 

 

 




あたまからっぽにしてらぶこめっぽいものをかきたかった
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